Smashing Pumpkins

 「暇ですなぁ〜」
 ハロウィンの夜、未夢は37.5℃の熱を出していたので、一人寂しく西遠寺でお留守番をしていた。彷徨は三太と、ワンニャーとルゥはももかと一緒に花小町家で行なわれているハロウィンパーティに出席していた。
 「ピンポーン」
 「あれ? 誰だろう」
 パジャマの上にカーディガンを纏い、茶の間でぼけ〜とテレビを見ていた未夢は急いで玄関へと向かった。
 「は〜い……………ひぇ〜〜〜〜〜〜〜〜」
 玄関の戸を開けた未夢の目の前にいたのは、ハロウィンの黄色いカボチャのかぶり物をかぶった一人の男が立っていた。
 「Trick or Treat?」
 「Trick……そういえば今日はハロウィンでしたなぁ。はいは〜い、ちょっと待っててね」
 台所に向かい、お菓子を探した未夢だったが、いつもなら必ずあるお菓子が今日に限ってはまったくなかった。
 「……あった〜」
 ようやく冷蔵庫のすみっこからチョコボールの箱を見つけた未夢は急いで玄関へ戻った。
 「お待たせ〜。はいお菓子」
 「Trick or Treat?」
 「ごめんね、もうお菓子ないの」
 「You are liar!」
 カボチャのかぶり物をかぶった男の語気が荒くなる。
 「嘘なんてついてないのさぁ〜」
 男は未夢を指さすとこう叫んだ!
 「No! It's a cake!」
 「あたしが……ケーキ?」
 こくりと頷いた男は、きょとんとした顔の未夢にいきなり襲いかかった。
 「ちょっと、何するのよ〜。離してよ〜」
 かぼちゃのかぶり物をかぶった男は未夢を床の上に押し倒すと、そのまま身体の上にのしかかった。
 「いや、やめて、離して」
 男の身体の下で激しく抵抗する未夢。だが、熱のせいなのだろうか、思うように身体が動かない。そんな未夢の控えめに膨らんだ胸の膨らみを、男はカーディガン越しに荒々しく揉み始めた。
 「お願い、もうやめて…………彷徨……」
 男の手の動きが止まった。男の身体の下から何とか逃れた未夢は両手を伸ばして、カボチャのかぶり物を脱がせた。
 未夢の予想通り、中からはバツの悪そうな表情をした彷徨の顔が現れた。
 「ばれてた?」
 「当たり前でしょ。出かけたときと同じ服着てるんだから。もう、何考えてるのよ〜〜〜〜」
 「ゴメン。………オレ未夢のことが心配だったんだ。花小町の家にいてもずーっと未夢のことを考えていた。だから様子を見に帰ってきた」
 ふくれっつらになった未夢の顔を真剣な表情で見つめる彷徨。
 「ちょっと未夢をからかってやろうと思ってこれを被ってみたんだ。けど未夢を見たら急に欲しくなって……」
 「彷徨……」
 「ゴメン、悪かったよ…」
 しょんぼりとした顔の彷徨が指で未夢の涙をふき取った。
 「彷徨……Trick or Treat?」
 「えっ……ごめん、お菓子持ってないんだ」
 「ふーん、それじゃいたずらするね」
 ニヤリと笑った未夢は彷徨のズボンのベルトに手を掛けた。
 「おい、未夢…」
 「彷徨さんは嘘つきですなぁ〜。こんなところに美味しそうなキャンディー隠して」
 ズボンの中からピーチ味のキャンディーのようなペニスを取り出した未夢はそれをペロペロと舐め始めた。

 「ちゅぱ…ちゅぱ……」
 二人はそのまま床の上に横たわり、下半身を覆っている物を脱がせ合うと、シックスナインの体制で互いの一番大切なところを愛し合っていた。子供がキャンディーを味わうように彷徨のペニスをしゃぶる未夢。彷徨はまだ熟していない二つの桃のようなヒップを両手で掴み、溢れ出る甘いラブジュースをすすりながら、ピーチ味のグミのようなクリトリスを舌で転がしていた。
 「未夢、そろそろ……」
 「うん。来て、彷徨…」
 両手を広げ、彷徨を迎え入れようとする未夢を横目に、彷徨は再びカボチャのかぶり物をかぶった。
 「ちょっと、何でそんなものかぶるよ〜」
 「たまにはいいだろ」
 「そんなことしなくて……あぁん」
 あわてて止めようとする未夢を無視して、彷徨は冷蔵庫から取り出したばかりのアイスキャンディーのようになったペニスを一気に未夢の中に挿入した。
 「やだ、外してよ……あぁ〜ん」
 初めはカボチャのかぶり物を脱がそうとしていた未夢であったが、彷徨に突かれているうちに、そんなことはどうでもよくなっていた。
 (何か変な感じですなぁ〜。彷徨としてるのに……)
 カボチャのかぶり物をかぶった彷徨とセックスしている未夢は、何となくとまどいを感じていた。そんな未夢のカーディガンとパジャマのボタンを外した彷徨は、露わになったサクランボのような乳首を指の間に挟み、マシュマロのような未夢の乳房を強く揉み始めた。
 「あん……彷徨……いい……いいよぅ……変になっちゃう………壊れちゃうよ〜」
 未夢の喘ぎ声が一段と高くなる。未夢は両手を彷徨の身体に回し、汗まみれの、熱のせいでいつもより火照っている自分の身体をぴたっと密着させた。
 (……いつもより気持ちいいよ〜。どうして……? やだ、あたし彷徨よりカボチャとしたかったの?)
 「彷徨……もっと……はぁ〜ん……いい……いいよ〜」
 未夢の唇から漏れる声が次第にすすり泣くような声に変わった。頂点が近くなったのだ。彷徨は腰の動きを一段と激しくした。
 「未夢、いくぞ!」
 「一緒に…一緒に……あぁ〜ん、イク……イク……いっちゃうよ〜〜〜」
 両手両足で彷徨にしがみついた未夢がエクスターに達した。そんな未夢の中に彷徨はホットカルピスのような白い液体を放出した。


 「ワンニャーたちが心配するといけないから、オレ花小町の家に戻るよ」
 ズボンを履いた彷徨はカボチャのかぶり物を手に取った。
 「うん、気をつけてね。ちゅっ」
 パジャマの上着だけを身につけたままの未夢は立ち上がると、彷徨のほっぺに軽くキスをした。



 「ただいま戻りました〜」
 「マンマ〜」
 「お帰り。ルゥくん、楽しかった?」
 「あ〜い」
 一眠りした後、茶の間でテレビを見ていた未夢の元に、ようやくワンニャーとルゥと彷徨が戻ってきた。
 「寝てなくて大丈夫なのですか?」
 「ありがとうワンニャー。でも、もう大丈夫なのさぁ〜。汗かいたら………熱下がっちゃった」
 「お前、何で顔赤くしてるんだ?」
 「えっ」
 (もう、彷徨のいじわる〜)

 「あ〜あ、疲れた」
 お茶を入れにいったワンニャーが台所に向かうのを見送った彷徨は、両手を広げて伸びをすると、そのまま畳の上に寝ころんだ。
 「どうだった?」
 「大変だったよ。花小町たちがずっと付ききりでさぁ」
 「彷徨さんは人気ありますなぁ〜」
 「あいつらから離れられたのはトイレに行く時だけ。本当に疲れたよ」
 「ちょっと彷徨」
 「なんだよ〜」
 「ずーっとクリスちゃんの家にいたの?」
 「えっ……。あ、当たり前だろ」
 「本当?」
 「おーい、ワンニャー。オレずっと花小町の家にいたよな」
 ちょうど茶の間に戻ってきたワンニャーに彷徨はたずねた。
 「はい、彷徨さんはず〜〜〜っとクリスさんたちと一緒でしたよ。あれ、どうなされたのですか? お顔の色が優れませんよ」
 (彷徨はずっとクリスちゃんの家にいた……さっきの彷徨はいったい誰なのさぁ〜)
 「こんばんわ〜。貧乏宇宙旅行者の夜星星矢で〜す」

 (終)

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