Lover Biscuit

 「ご苦労様でした〜」
 小春日和の日曜日の午後、西遠寺にまいどおなじみのツーハン星の配達員がやって来た。
 「たくさん来ましたねぇ〜。ワンニャー、手伝おうか?」
 「はい、お願いしますぅ」
 玄関の前に山積みなった荷物を未夢とワンニャーはルゥの部屋へ運び始めた。

 「はぁ〜、疲れたよ〜」
 「はい、どうぞ」
 荷物を運び終えた一人と一匹は茶の間でまた〜りとくつろいでいた。
 「ありがとう。彷徨のやつ、こういう時に限っていないんだから(プンプン。そうだワンニャー、これ食べようよ」
 差し出したお茶を受け取った未夢はちゃぶ台の上にビスケットの缶を置いた。
 「未夢さん、これは?」
 「さっきの荷物の中にあったよ。開けてみるね」
 「こ、これは…」
 缶の蓋に書かれていた文字を見たワンニャーの表情が一変した。
 「どうしたの?」
 「それは…おとなビスケットなんですぅ」
 「おとなビスケット?」
 「はい、このあいだ彷徨さんがこどもビスケットを食べて小さくなりましたよね。あの時、彷徨さんを元に戻すために慌てて注文したやつが今頃届いたんです」
 「そんなこともありましたなぁ〜。ワンニャー、説明書にはなんて書いてあるの?」
 未夢から説明書を受け取ったワンニャーは、
 「え〜と、食べると半日だけ大人になります…こどもビスケットと一緒ですねぇ」
 「へぇ〜」
 「それよりこれは返品しましょう。こんな危ないものをルゥちゃまが食べたらいけませんから。あ〜っ」
 「どうしたの?」
 「開けてしまったから返品できませ〜ん」
 「困りましたなぁ〜。それでどうするの?」
 「そうですね…。彷徨さんが戻られたらに本堂に封印してもらいましょう」
 「そうした方がいいよね」
 「あっ、もうこんな時間ですぅ。未夢さん、わたくしとルゥちゃまはこれから平尾デパートまで買い物に行ってきます。お留守番お願いしますね」
 「はいは〜い、わかりました〜」
 みたらしだんご、もしくは近所のお兄さんに変身したワンニャーはルゥとペポを連れて平尾デパートへと出かけて行った。


 
 「ただいま〜」
 ワンニャーたちが出かけるのと入れ違いに彷徨が西遠寺に戻ってきた。
 「もう、どこ行ってたのよ〜。ツーハン星から荷物が届いて大変だったんだから」
 「それは災難だったな」
 「なにが災難なのよ〜。彷徨ったらいつも肝心な時にはいないんだから」
 「はいはい、お疲れさま。あれ、これは」
 「おとなビスケット。ツーハン星の荷物の中に入ってたの」
 「おとなビスケット?」
 「ほら、彷徨がこどもビスケット食べて大騒ぎになったことがあったでしょ。あの時ワンニャーがツーハン星に注文したんだって」
 「そんなこともあったな」
 未夢の横に座った彷徨は缶の蓋を開けるとおとなビスケットを手に取ってみた。
 「これがおとなビスケットか。見たところ普通のビスケットと変わらないなぁ」
 「これを食べると半日の間だけ大人になるんだって」
 「ふ〜ん」


 「ねぇ、彷徨……」
 すりすりと彷徨にすり寄った未夢は彷徨の肩にちょこんと頭を乗せた。
 「ルゥとワンニャーは出かけたのか?」
 「うん、平尾デパートにいったからしばらく戻ってこないよ」
 「彷徨……」
 「分かってるよ」
 二人にとって愛を確かめ合うチャンスはルゥとワンニャーが出かけている時しかなかった。コクリと頷いた未夢は眼を閉じると自分から彷徨の唇を求めていった。

 「くちゅ…くちゅ…」
 (おとなビスケットか。半日で元にもどるのなら……)
 舌と舌とが絡み合う激しいキスを味わっていた彷徨の脳裏によからぬ考えが思い浮かんだ。
 「今いいものやるからな。眼つぶってろよ」
 「えっ?」
 唇を離した彷徨はきょとんとした顔の未夢の口の中におとなビスケットを押し込んだ。
 「モグモグ……ちょっと、なにするのさぁ〜」
 口に入ったおとなビスケットを思わず食べてしまった未夢の身体が光に包まれた。



 (ごくッ)
 光の中から20歳位に成長した未夢が現れた。背丈こそ今とほとんど変わらないが、顔つきは大人びていて、赤いワンピースに包まれた身体は丸みを帯び、子どもの身体から大人の身体へと成長していた。

 「か〜な〜た、おとなビスケット口に入れたでしょ」
 ようやく自分の身体に何が起こったのかを理解した未夢がきつい口調で彷徨を問い詰め始める。
 「あぁ、そうだ」
 「なんでこんなことするのよ〜」
 「たまには違う未夢としてみたかったのさ」
 ふくれっ面の未夢の後に回り込んだ彷徨は身体をそっと抱き締め耳元で囁いた。
 「もう……あっ」
 彷徨の手が胸の膨らみをそっと揉み始めた。
 「ちょっと…やめて………はぁ……はぁ…」
 そう言いながらも未夢の息がだんだん荒くなってくる。服の上からでは物足りなくなった彷徨の手が赤いワンピースのファスナーを下ろした。器用な手つきでブラのホックを外すと、今度は直に未夢の乳房を愛し始めた。


 「……なんか残念そうですなぁ〜」
 (ギクッ)
 「そ、そんなことないぞ」
 未夢の乳房を揉んでいた彷徨の手が止まった。
 「へぇ〜、さっきついてた溜息は何だったでしょうかねぇ〜」
 「いや………」
 (もう少し大きくなると思ったのになぁ…)
 それでも彷徨の手のひらに包まれた未夢の乳房はBカップ程度には成長しているのだが。
 「分かった、大人になったらもっと胸が大きくなると思ったんでしょ。ふ〜んだ、どうせあたしの胸は大人になっても小さいですよ〜」
 再びふくれっ面になった未夢の言葉を遮るように、彷徨は未夢の耳元に息を吹きかけた。
 「ひゃ〜ん」 
 ピンク色に染まった耳たぶからうなじに舌を這わせながら、彷徨は未夢の乳房を強く揉み出した。
 「やだ…いつもより…感じちゃう…」
 身体が成熟したせいなのか、それとも中学生の彷徨に大人の自分が愛されているせいなのか。未夢の身体に走る快感はいつもより激しいものであった。

 「彷徨…おっぱい…もっと…いじって…」
 普段とは違って大胆になった未夢が、いつもと違う色気のある甘えた声でおねだりする。それに応えて彷徨の指が乳首を指で転がし、弾き、強くつまむ。
 「はぁ〜ん…いい…彷徨……いいよ〜」
 顔を仰け反らせ喘ぎ続ける未夢の下半身に彷徨の手が伸びる。
 「はっ…あぁ〜ん」
 ワンピースをたくし上げ、下半身を露わにすると、彷徨は白いパンティの湿り気を帯びた部分を指で上下にさすっていった。


 「彷徨……そろそろ……ねっ」
 「あぁ」
 普段味わうことの出来ない感触を存分に味わった彷徨は未夢の身体を横たえると、むちっとした下半身を隠しているパンティに手を掛けた。未夢の腰が自然に浮き、彷徨の手助けをする。
 (こっちはどうかな?)
 パンティを脱がせ、太股を押し広げた彷徨の眼の前に未夢の濡れぼそった花園が眼に飛び込んできた。
 (う〜ん…)
 普段目の当たりにしている未夢のとはかなり違っていた。何も覆うもののなかった恥丘は若草で覆われ、控えめに咲き始めていたピンク色の花びらも今や満開となっていた。
 (何か他の人のを見てるみたいだな)
 「どうしたの、彷徨?」
 違和感を感じつつも彷徨は未夢の性感帯である内股にそっと舌を這わせた。
 「ひゃっ」
 (やっぱり未夢だな)
 むっちりとした未夢の太股が震え、蜜壺から熱い蜜がとろ〜りと流れ出す。クスリと笑った彷徨は内股から濡れぼそった蜜壺へと舌を這わせていった。
 

 「……彷徨……キスして……」
 クリトリスを舌で嬲られ、蜜壺を指でかき回され続け、身体を振るわせ快楽を貪っていた未夢が突然彷徨に声を掛けた。
 「なんだよ、いきなり」
 「お願い……」
 「分かったよ」
 蜜壺から指を抜いた彷徨がキスしようとした時である。
 「はい、彷徨さんも食べるのさぁ〜」
 いつの間にか手の中に隠していたたおとなビスケットを未夢は彷徨の口の中に押し込んだ。
 「未夢、お前…」
 思わずビスケットを食べてしまった彷徨の身体が光に包まれた。
 「へへぇ〜ん、さっきの仕返しなのさぁ〜」
 「あのなぁ〜」
 「……ぷっ」
 「なんだよ〜」
 「だって…彷徨の頭……」
 「頭?……あっ」
 自分の頭に手を伸ばした彷徨の表情が一気に曇った。
 「ない……」
 剃刀で剃られたのだろうか、青々とした彷徨の頭には髪の毛が一本も残っていなかった。
 「やっぱり彷徨はお坊さんになる運命だったんですなぁ〜」
 「…そんな…」
 「さ〜て、今度は彷徨さんのを見せてもらいましょうか〜」
 ショックを受けへたり込んでしまった彷徨の下半身に未夢の手が伸びる。
 「そんなに落ち込まないでよ。あんなにいやがっていたのに、おじさんの後をちゃんと継ぐなんて。彷徨さんはえらいですなぁ〜」
 ズボンのファスナーが下ろされ、彷徨の肉棒が露わになった。未夢の舌が亀頭から竿を丹念に舐めていくうちに、ショックを受け小さくなっていた肉棒が再び元気を取り戻した。
 「ほほ〜、立派に成長しましたなぁ〜」
 ピンク色だった笠の部分は黒く、そして大きく開いており、細かった竿の部分も血管が浮き出て、見違えるように太くなっていた。立派に成長したものを愛しげに握っていた未夢は、彷徨の顔を上目遣いで見つめながら肉棒をしゃぶり始めた。
 「ちゅぱ…ちゅぱ…んぐ……ぷはぁ…彷徨、気持ちいい?」
 答えの代わりに彷徨は未夢の頭を優しく撫でてやった。
 「もっと気持ちよくして上げるね」
 未夢の手が袋の部分に伸び、中の玉を弄び始めた。彷徨の背中に電流が走る。
 「うっ」
 (彷徨はこうされると弱いんだよねぇ〜)
 袋を弄っていた未夢は彷徨の肉棒を再びくわえた。口の中で亀頭を、右手で竿を、左手で玉を責められていた彷徨の肉棒はあっという間に頂点に達しようとしていた。
 「未夢…出していいか?」
 「だめ、彷徨はあたしの中でイクの」
 慌てて肉棒を口から取り出した未夢は彷徨に抱きつくと唇を重ねてきた。
 「彷徨…抱っこして」
 「未夢は甘えん坊だなぁ」
 未夢の頬にそっとキスをした彷徨はトランクスを脱ぎ捨てると畳の上に腰を下ろした。


 「何か変な感じだね」
 畳の上に座った彷徨の前に立った未夢は、腰を下ろすと、彷徨の肉棒を自ら蜜壺の中に導き入れた。
 「そうだな」 
 「……彷徨に抱かれているのに知らない人に抱かれてるような気がする」
 「オレもそうなんだ。未夢を抱いているのに他の人を抱いてるような気がする」
 「彷徨も?」
 「あぁ、でも……」
 (結婚初夜の予行練習と思えばいいかな)
 「何か言った?」
 答えの代わりに彷徨は未夢の身体を下から一気に突き上げた。

 「ひゃ〜ん…奥に……奥に…当たってるよ〜」
 違和感を感じていたが、それでも二人は快楽を貪り続けていた。彷徨が下から突き上げる度に、未夢は顔を仰け反せ、いつもとは違う大人びた喘ぎ声を上げていた。
 「もっと…もっと…」
 腰まで伸びた長い髪を振り乱しながら、未夢は彷徨の動きに合わせて腰を上下左右に揺ら続けていた。そんな未夢の上半身から、彷徨は赤いワンピースを引き下ろすと、身体を抱き締め、胸板で露わになった柔らかい乳房の感触を味わっていた。

 「いくぞ」
 発射の時が近づいてきた彷徨は未夢の身体をそのまま畳の上に横たえた。そして両足を大きく広げ、オムツを替える時のような格好にすると未夢の蜜壺を激しく突き始めた。
 「やだ……恥ずかしい……でも……はぁはぁ……気持ちいいよ〜」
 肉棒が出入りする姿を目の当たりにした未夢は真っ赤になった顔を両手で覆ってしまった。そんなBカップの未夢の乳房が彷徨に蜜壺を突かれる度にプルプルと震えていた。
 「来る……来ちゃうよ〜……彷徨……」
 「未夢……」
 「一緒に……来て……来ちゃう…はぁはぁ…来た……うわぁ〜〜〜〜〜ん」
 いやいやをするように首を左右に振りながら未夢が絶頂に達した。慌てて蜜壺から肉棒を取り出した彷徨は、未夢の乳房に熱く白いエキスを思いっきり放出した。


 「どうする?」
 大人の姿で愛し合った未夢と彷徨は畳の上で先程の余韻に浸っていた。だが、二人とも身体は満たされていても心は満たされていなかった。
 「ルゥくんやワンニャーに見られるととまずいよね」
 「そうだな。とりあえず元に戻るまで本堂に隠れてるか」
 二人が起きあがろうとしたその時である。未夢と彷徨の身体が光に包まれた。
 「彷徨……」
 「あぁ、元に戻ったな」
 おとなビスケットの効果が切れ、二人は元の中学生の姿に戻った。

 「彷徨……」
 「未夢……」
 見つめ合う二人にこれ以上の言葉は必要なかった。大人の姿でのセックスで得られなかった物を手に入れるために、未夢と彷徨は着ている物を脱ぎ捨て、生まれたままの姿になるとどちらからともなく唇を重ね、激しいキスを交わし始めた。

 「彷徨……来て」
 唇を重ねながら互いの一番大切なところを愛撫しあった彷徨の肉棒は勢いを取り戻し、未夢の蜜壺は再び潤っていた。そんな彷徨が未夢の身体を四つん這いにしようとしたその時である。
 「彷徨……前から…」
 「えっ?」
 「あたしの顔を見ていて欲しいの。あたしも彷徨の顔を見ていたいの」
 潤んだ瞳で彷徨の顔を見つめながら未夢が小さな声で訴えかける。
 「分かったよ」
 彷徨は未夢の身体を畳の上に横たえると、肉棒を蜜壺へ当てがい一気に挿入した。

 「どうだ?」
 「いつもの彷徨に抱かれてる方がずっといいよ。彷徨はどうなの?」
 「オレも今の未夢の方がいいなぁ。でも、おっぱいは大人の時の方がよかったな」
 「ひっど〜い」
 「なぁ、未夢」
 「なによ〜」
 ふくれっ面になった未夢の頬にキスをすると、彷徨は耳元で囁いた。
 「さっきより気持ち良くなろうな」

 「彷徨……いい……彷徨……か…な…た……もっと…」
 彷徨の身体にしがみついた未夢が唇を重ねていく。唇と唇、舌と舌、肌と肌、そして一番大切なところ。二人は身体の全てを使って互いの気持ちを感じ取っていた。
 「好き…彷徨……好き…」
 「オレもだ、未夢……好きだ…」
 目の前にいるいつもの彷徨に抱かれている。目の前にいるいつもの未夢を抱いている。大人の姿でのセックスでは満たされることのなかった何かが二人の心を満たしていく。

 「ダメ……彷徨……来ちゃう……来ちゃうよ…」
 未夢の蜜壺が彷徨の肉棒を締め付け始めた。二人とも頂点の一歩手前まで辿り着いたのだ。
 「オレも……イキそうだ」
 「中に…」
 「えっ?」
 「今日は……大丈夫だから……中に出して……いいよ」
 「未夢……」
 「あたし……彷徨のが……欲しいの…」
 「分かった」
 彷徨の腰のピッチが一段と早くなる。それに合わせて未夢の唇から漏れる喘ぎ声も一段と高くなる。
 「出して…彷徨の……いっぱい出して……はぁ〜〜〜〜〜〜ん」
 未夢の蜜壺の中に彷徨は熱いエキスを解き放った。その熱いエキスを受け止めた未夢もまた頂点に達したのだった。
 

 「ただいま戻りました〜」
 「おかえり、ワンニャー」
 「彷徨さん、お願いがあるのですが」
 「おとなビスケットのことだろ。未夢から聞いてるよ」
 「そうですか。それじゃお願いします」
 こうしておとなビスケットの缶は西遠寺の本堂に封印された。だが、二人と一シッターペットは知らなかった。西遠寺に届いた「おとなビスケット」が不良品であることを。

 「次のニュースです。先日ツーハン星より出荷された『おとなビスケット』に『成人式ビスケット』が混入していた問題について……」

 (終わり)


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