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タイトルRe^4: 小泉構造改革とはなんだったのか
投稿日: 2007/08/02(Thu) 22:31
投稿者おちょくり塾過去ログから
Subject:政民営化について(2):追加
From:北の狼
Date:2005/08/29 21:54
No:2635
クロネコヤマトについて、追加しておきます。

現在、クロネコを代表とする宅配業者と郵政公社は競合関係にありますが、競争条件は平等ではありません。
まずは税金。郵政公社は消費税以外の税金を納めていません。クロネコヤマトは、2003年、二十億個の荷物(宅急便、メール便)を扱っていますが、国に二百億円の法人税を払っています。利益は二百億円でしたから、一個あたり十円の利益で荷物を配達していることになります。
また、郵政公社は「公益事業」として様々な特典があります。役人、官僚、族議員による(先述したような不当ともいえる)バックアップはもとより、多くの地域で例外的に路上駐車が認められていたり、営業ナンバーを取得しなくてもよかったり、と。宅配業者は「営利事業」なので路上駐車禁止で、これが結構大きいのだそうです。都心では駐車場を借りざるをえないはめになったり、オフィスが集中する銀座などでは、なんと台車や荷車を使って効率を上げているそうです。
このような特典と郵貯・簡保の豊富な資金力を背景として、最近は郵政公社が物流の分野で攻勢に出ています。その象徴が「ローソンによる郵パックの扱い」で、追いつめられたクロネコヤマトは、2004年9月に「独禁法に基く是正措置」を求めて東京地裁に提訴しています。

郵政民営化によって、このような不平等の是正、すなわちイコール・フッティングが求められる所以です。


ちなみに、郵政民営化反対の論拠として以下のように主張されることがあります。

1)郵便事業は構造的に赤字だから、郵貯や簡保から切り離せない。
2)民営では(全国どこでも均一料金で配達する)ユニバーサル・サービスが維持できない。

これについて、ちょっと検討しましょう。
「ユニバーサル・サービスを維持するためにはコストがかかる。だから、赤字になる」と、この二つは関連しているのですが、しかし、これらには欺瞞が潜んでいます。
確かに過疎地への配達は効率が悪いですから、コストがかさむでしょう。しかし、それだけでは日本が世界一高い郵便料金をとっていることを説明できませんし、また、郵便局はユニバーサル・サービスにかかるコストを明らかにしていません。逆に、ユニバーサル・サービスが、郵便局の高コスト体質の言い訳とされてきたとも言えます。それが証拠に、公社化後、民間出身の生田総裁は2003年に一千億円のコストをカットしていますが、それでサービスが低下したという話は聞きませんから。
また、クロネコヤマトの宅急便は、97年に小笠原諸島までエリアを拡大してユニバーサル・サービスを実現しており、しかも黒字をあげているのです。クロネコメール便は全国均一料金を実現してもいます。しかも、重要なことは、同じくユニバーサル・サービスを実現しながら、郵政公社が扱う郵便は年間二六〇億通ですが、クロネコは宅急便とメール便とで二十億個にしかならないのです。つまり、配達密度は郵政公社のほうが十三倍も高いことになります(簡単にいうと、郵政公社が十三軒に軒並み配達するのに対して、クロネコは十三軒に一軒の割合で配達することになり、郵政公社の”配達効率”は十三倍高いことになります)。さらに郵政公社は年賀状まで扱っているのですから、クロネコが黒字を出しているのに、郵政公社が黒字を出せないとするならば、公社の無駄使いがあまりに多いということになります。
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Subject:郵政民営化について(3−1)
From:北の狼
Date:2005/08/31 00:52
No:2638
1990年代前半において既に郵政民営化の必要性を痛切に感じていたのは、政治(財政赤字)の観点からは小泉純一郎、郵便事業の観点からはクロネコヤマト、そして金融の観点からは銀行・生保業界です。
今回は、銀行・生保との関連をみていきます。

2001年5月、現・日本郵政公社総裁の生田正治氏が率いる経済政策委員会は、以下のように提言しています。

「肥大化し民間金融を圧迫し、市場を構造的に歪め、市場原理の阻害要因となって高コスト構造を温存させている郵貯・簡保や政府系金融機関は廃止すべきである。特に郵貯・簡保については、郵貯の『ノーリスク・ハイリターン』を保証する財政補助(利子補給)や、民間にたとえると年間約三〇〇〇億円の法人税、事業税、住民税等相当額の免除や、特定郵便局が国から受け取る局舎料(東京二三区で月額五〇万円前後)など、民間と比して優遇されている点が多いため、まず、このような実質上の補助金を直ちに撤廃すべきである。そのうえで、巨大な規模(郵貯二五〇兆円、簡保一二〇兆円)ゆえに一挙に廃止できないのであれば、廃止に向けてのタイムテーブルを設けて段階的に縮小して廃止し、またATM機能のようなユニバーサルサービスとして残すべきものについては民営化の方策を検討し、それまでのプロセスを含めて明示すべきである。
郵便事業については、高コスト構造と効率性の低さを是正し、高質のサービスによる利便性向上を図るため、民営化すべきである。」


日本の民間金融らが主導してこのような提言をなすに至った背景には、郵貯・簡保の肥大化、バブルの崩壊と金融不安、そして金融ビッグバンがありました。

郵貯・簡保の規模が小さいうちは、民間とのあいだで棲み分けが行われていたのですが、個人預貯金残高・個人保険資産の30%超、対GDP比で約70%もの規模ともなりますと、マネーフローの歪みや民業圧迫として問題になってくるわけです。しかも、始末が悪い事に、旧郵政省や総務省にこのことに対する問題意識がなかったどころか、予算を消化するため次々と不要な仕事を作り出し、さらには他の省庁や族議員たちもが続々と群がってきて既得権益をがっちりと固めてしまっていたわけです(その象徴が、特殊法人や粗製乱造された無集配特定郵便局です)。まあ、古今東西を問わず、「お金」が集まるところでは、ごく普通に見られる現象ですが、郵貯・簡保の場合そのケタがずばぬけています。
以下は、郵貯・簡保の規模の推移です。


郵貯総残高と簡保総資産高の推移(兆円)

   年    郵貯    簡保
 1965      3      1
 1970      8      3
 1975     25      7
 1980     62      16
 1985     103     29
 1990     136     53
 1995     213     94
 2000     250     123


上の郵貯・簡保の「お金」の増加の意味は、時期を二つに分けて考えると分り易いでしょう。ひとつは90年まで(【前期】)、もうひとつは90年以降です(【後期】)。

【前期】における郵貯・簡保の肥大化の原動力となったのは、(無集配)特定郵便局の”数による効果”です。
戦後間もない1946年、全逓信労働組合(全逓)が結成された時に、「特定郵便局制度は郵便事業のガンであり、時代にそぐわない」として、特定郵便局制度の撤廃が叫ばれていました。世襲や渡切経費、私有局舎がやり玉に挙げられ、それに追い打ちをかけたのが、47年の中央労働委員会の勧告「特定郵便局制度は廃止すること」でした。
そして1957年に「特定郵便局制度調査会」が発足して特定郵便局長は崖っぷちに立たされたのですが、この時39歳で郵政大臣に抜擢された田中角栄が登場して、制度調査会の答申で世襲制を認めるなど、全特(全国特定郵便局長会)の主張をほぼ丸のみして、大ドンデン返しを演じています。さらに、58年、衆院逓信委員会で「窓口機関が現在の1万2000では少ない。郵便局はどうしても2、3万局必要である」などとぶち上げ、以後その言葉どおり無集配特定郵便局が粗製乱造されていくことになります。
このようにして、田中は特定郵便局の救世主かつ郵政族のドンとして崇められることになりましたが、この利権を引き継いだのが金丸信→小渕恵三→野中広務の経世会人脈です。

このように増長した全特の力を見せ付けたのが、ひとつは、103万票を獲得したと言われる80年の参院選で、自民党はこの衆参同日選で353議席を獲得し圧勝しています。
もうひとつは、1978年、大平と福田が争った自民党の総裁戦です。大平を支持した田中は、郵便局の情報網−−−郵便局というのは信書等を通じて地域住民の情報をかなり正確に把握しており、これが郵政利権の隠された側面となっています−−−を利用して、総裁予備選の投票権を有する自民党員の住所氏名を割り出し、地図で特定して、(福田が強いと言われていた)首都圏で田中秘書軍団がローラー作戦を展開して、一人一人大平に投票するよう説得して回ったのでした。結果、首都圏での勝利を信じて疑っていなかった福田はなす術なく完敗したのでした。まさにこの時、福田の側に仕え敗北の様を見届けていたのが、誰あろう小泉純一郎・・・・・・。

田中が特定郵便局(とりわけ”無集配”特定郵便局)を乱造した目的は、その地域的分布をみれば明らかになります。
全国平均では特定郵便局比率は 76 %強ですが、この比率は高い順に東京都( 91 %)、神奈川( 90 %)、大阪( 90 %)、千葉( 88 %)、埼玉( 87 %)、京都( 86 %)となっています。他に愛知( 82 %)滋賀( 82 %)兵庫( 81 %)福岡( 81 %)で、茨城、栃木、群馬はいずれも 81 %から 82 %です。 対して特定郵便局比率が低い順に鹿児島( 57 %)、鳥取( 58 %)、宮崎( 60 %)、長野( 61 %)、富山( 64 %)と続き、秋田、島根、高知がいずれも 65 %、岩手、熊本、長崎が 66 %となっています。つまり大都市で多く田舎(失礼!)で比率が少なく、このことより、田中が特定郵便局を乱造した目的は、ひとつには大都市の選挙で弱いとされていた自民党の<集票マシーン>として、もうひとつには<集金マシーン>としてであったと推察されます。この辺の田中の先見性や実行力は、ある意味で大したものです。

「日本列島改造」(つまり公共事業のばら撒き)のために、郵貯・簡保を通じた<集金マシーン>として特定郵便局が機能したのが90年までの【前期】ですが、その集金力の源泉は乱造された特定郵便局の”数による効果”に求めることができます。この頃までは、銀行の「護送船団方式」が健在で、郵貯・簡保と民間金融業界との軋轢はまだ表面化していませんでした。
90年といえば、バブルが崩壊した時期ですね。

・・・・続く。
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Subject:郵政民営化について(3−2)
From:北の狼
Date:2005/09/01 02:05
No:2642
郵貯・簡保の「お金」の増加の意味を、90年までの【前期】と90年以降の【後期】に分け、前回投稿では【前期】について説明しましたが、今回は【後期】についてです。

【前期】における集金力の源泉は、乱造された特定郵便局の”数による効果”(組織力、情報力、地域ネットワーク力)に求めることができますが、【後期】の集金力の源泉は、直接的には「定額貯金」に代表される目玉商品の”質による効果”です。間接的には金融ビッグバン、そして背景として経済の不振にともなう公共事業増額の圧力などをあげることができるでしょう。

特定郵便局を取り巻く状況は、80年代に転換期を向かえています。
そのきっかけは、86年、「特定郵便局制度の撤廃」を要求するなど全特と戦ってきた全逓信労働組合(全逓)が、方針を180度転換したことです。全逓としても、矛盾を抱えながら肥大化した特定郵便局とはいえ、そこに改革のメスが入れば組合員の雇用にも影響が出ると気づいたわけで、こうなりますと、組合に選挙支援を仰ぐ野党としても特定郵便局制度を大っぴらに批判できなくなったわけです(現在の民主党も似たような状況にありますね)。
そうすると、「対組合」で徒党を組んでいた、全特と旧郵政省との関係に変化が生じてきました。旧郵政省にとって、組合対策としては、全特の存在価値は薄まってきたわけです。
また、80年代に入り、全特の売りのひとつであった、都市部における選挙の集票能力に、陰りが見えはじめてもいました。

そのようななか、1990年代初頭にバブルが崩壊し、民間銀行の金融不安や金利の低下を受けて、国民の民間銀行離れが進行し、「お金」は政府保証付きの郵貯に多く流れるようになりました。その際、主力商品となったのが郵貯の8割をしめる「定額貯金」で、これは半年複利で10年間の固定金利、しかも半年経過後はいつでも解約自由(もちろん利子はきちんとついてくる)という、民間機関ではとても成り立たないような破格な商品でした。バブル崩壊後の金利低下局面にあって、この10年固定の高金利は預金者に大いに評価されて、郵貯の資金量は急増してゆくことになります。実は、私もバブル崩壊直前に、NHKラジオのゲスト解説者の説明を聞いて、「お金」を定額貯金へシフトした一人です。
なかでもバブル崩壊直前の90年9月から91年6月までの定額貯金の金利は、実に6.33%。そのため、90年の預け入れ額は68兆円と過去最高を記録、91年も50兆円、92年も40兆円と続いていきました。半年複利で6.33%といいますと、100万円預けますと10年後には倍近い186万円になります。
また、1987年には300万円だった郵貯の預入限度額が、度重なる引き上げの結果、1991年に現行の1000万円となったことも、郵貯急増のひとつの要因でした。
このように、「経済バブル」のあとに生じたのが「郵貯バブル」であった、と言えます。

簡保も負けてはいませんでした。
90年代には公然と「簡保に入ると旅行がついてくる」などというキャンペーンが行われています。実は、私も間接的に誘われたことがあります(保険は他に大型のものに入っていましたので、よく検討せずに二つ返事で断りましたが)。
90年代前半、簡保が一大攻勢をかけていたときの女性旅行会社社員による以下のような証言があります(『郵貯崩壊』 仁科剛平)。

”われわれ旅行会社社員にとって簡保旅行の仲介はとてもおいしい商売なのです。何せ仲介手数料を3割とっても大丈夫なんていう旅行の手配は簡保ぐらいでしたから。そんな簡保の会の役員のご機嫌を損ねるなんて、論外です。セクハラされても、契約とってこいと当時の上司に尻を叩かれたものです。”

簡保の会の旅行というと、あの悪名高きお抱えの赤字施設「かんぽの宿」に泊まらせるのかと思いきや、実は一泊2万、3万もする高級民間旅館を利用することが大半だったそうです。つまり、「かんぽの宿」は従業員が安価で利用するだけの、一種の既得権益と化しているということですね。
ともあれ、「保険に入ったらもれなく旅行をプレゼント」などというマネは、民間にできるはずがありません。簡保がそれをできたのも、コストなど二の次で、ただ「お金」を集めさえすれば、「財投+利子補填+国家保証」というメカニズムで利益が確保されているからに他なりませんでした。

また、郵貯・簡保が違法に資金集めをしてきたことも有名です。
350万円まで非課税扱いとなる「高齢者マル優」制度を悪用した「偽装マル優口座」問題では、約9万7千口座で150億円あまりの源泉徴収漏れがあったことが2004年4月に発覚しています。
郵貯は、郵便貯金法10条で、1000万円を超えて預けてはいけないことになっていますが、1997年の旧郵政省自身による調査によっても、1000万円を超える違法貯金が96年までの3年間で38万件、額にして1兆5500億円にのぼっています。現在は、「名寄せ」によってかなり減少しているとは思いますが。
簡保でも、2003年3月、本来資格のない住宅資金や年金用などの財形商品に加入させていた事実が発覚しています。その数は、財形商品全契約数のなんと三分の一以上の約4万9000件、契約金額で約560億円にあたります。

このようなことが、郵便組織(とりわけ特定郵便局組織網)を使って、国の支払保証、三事業一体、諸税の免除、民間と異なる規制・監督といった、各種特典ないし民間との差別的取扱いという優位的状況のもと行われてきたわけです。
なお、税金については、郵貯・簡保が払っていない税金は、所得税、法人税、固定資産税、印紙税、登録免許税、法人住民税、事業税、事業所税といった国税と地方税で、唯一払っているのは消費税のみです。さらに、郵貯は民間銀行が払わなければならない預金保険料を払っていませんし、簡保は民間生保が負担している保険契約者保護機構に対する支払い負担がありません。理由は、郵貯・簡保は、国が支払いを保証しているからです(「見えない国民負担」と称される所以です)。
田中直毅氏によると、2004年3月現在で、郵貯・簡保に対する税制面での優遇は、ここ10年で郵貯がのべ5兆3540億円、簡保がのべ2兆4139億円に達しているといいます。


郵貯・簡保、すなわち特定郵便局長を中心とした<集金マシーン>が、なぜこれほどまでして「お金」を集めてきたのかというと、それなりのアメとムチがあったからです。アメのほうは、国家公務員たる特定郵便局長に付与された数々の特典や厚遇そして報償で、ムチのほうは、(郵貯・簡保資金をもとに)公共事業による利益誘導や特殊法人に連なって、利権や政治的地位を確保してきた旧郵政省や旧大蔵省を中心とする官僚そして族議員らによる圧力(ノルマ)です。
しかし、他方で、このような強引な「お金」の獲得は、当然、「民業圧迫」として不況にあえぐ民間金融の怒りを買うことになり、90年代に、その解決策として民間金融業界から郵政民営化が叫ばれるようになってきたのでした。

以上が、90年以降【後期】における郵貯・簡保の肥大、および”質による効果”の意味です。



ちなみに、郵政民営化反対の論拠として「郵政公社は国民のお金を一銭も使っておらず、公務員の給料はすべてその収益のなから捻出しており、さらに税金を補ってあまりある国家納付金も支払っている。よって民営化する必要はない」というものがありますが、簡単に駁しておきましょう。

まず、郵政三事業が黒字化したのは、あくまでここ二年のことに過ぎません。生田氏が公社の総裁に就任して以来の徹底したコスト削減、そして事業を拡大してきた成果です。
しかし、その事業拡大も、クロネコヤマトの項でも述べたように、国家保証や法・官僚のバックアップといった数々の特典付与と、その結果としての「民業圧迫」という状況のもとでなされてきたものであり、決して民間とイコール・フッティング(対等)の条件でなされてきたものではない、ということを念頭に置いておく必要があります。

次に、生田総裁も国会で述べているように、公社のままでは収支は徐々に苦しくなり、数年後には経営がすこぶる難しくなることはほぼ確定的です。
理由は、ドル箱である郵貯・簡保の資金が減少すると予想されているからです(資金が減少すれば、それを元手にした利子収入も減少します)。
実は、郵貯・簡保資金は既に、徐々にではありますが着実に減少してきているのです。2003年の郵貯残高は前年比で2.5%減の227兆円ですが、4年連続の減少を記録しており、これは開設以来はじめての事態です。生田総裁は、2002年には合計357兆円だった郵貯と簡保の資金量は、11年後の2013年には三分の二、すなわち240兆円に減少するとの見通しを述べています(昨今の状況からすれば、これでもまだ甘い見積もりだと思いますが)。その主な原因は、(上述した)90年代前半に高金利で集めた定額貯金がいま逃げ出しているせいで、この傾向は今後も加速こそすれ収まる兆しはありません。また、簡保の主力商品である「養老保険」や「学資保険」もまったく売れなくなっています(理由は簡単で、満期の受け取り額が払い込み額より低くなっているからです)。これらが経営悪化の主たる要因です。

つまり、「郵政公社は国民のお金を一銭も使っていない」というのは、確かに今はそのとおりですが、それでも政府保証などの特典や「民業圧迫」という土台の上で成り立っていることに変りはありませんし、また、将来的には、公社のままだと税金を投入しないと、とてもではありませんが経営が成り立たないのです。
その原因は何といっても、無駄の多い(無集配)特定郵便局にあることは明らかです。

<集金マシーン>としても、<集票マシーン>としても、いまやその機能を終焉させなければならない特定郵便局と、未だその「お金」や利権に群がり続ける官僚や族議員たちの問題。特定郵便局長が国家公務員である限り、(官僚や族議員はもとより)公社自身が自浄作用を発揮することも、外部からこれらの問題に大鉈をふるうことも、極めて困難と言わざるをえません。
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