手心を加える

【漢字】手心を加える
【読み】てごころくわえる
【意味】手加減をする。寛大に扱う。
【例文1】孫にはいつも手心を加えてしまう。
【例文2】娘の言葉には手心を加えるパパだ。
【例文3】我が子の可愛さあまり手心を加える。

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手心を加えることの意味と状況

相手の力量を鑑みて、手加減することを「手心を加える」と表現するわけですが、どのような心をもって実行しているかにより印象はかなり異なります。
運動とくに格闘技などであれば、上級者は未熟な初心者に対して手心を加えるのは当然です。
武道・武術は命をかけた真剣勝負なので全力で相手を倒すべきだ、などという問答無用な死合形式では命が幾つあっても足りません。
日々の訓練で上達を期待して指導するのが本意であるべきなのですから、手心を加えるのは正しい方法と言えるでしょう。
これとは逆に、手心を加えてはダメな状況というものもあります。
試験や検定の審査・審判などは、手心を加えるような余地があってはいけません。
審査が手加減されてザルになってしまうのは、コネや人脈などの不正な人間関係が行使されることによります。
結果が公表されれば実力不足から不正は明らかになるのですが、現実にそのような不祥事はあちこちで発覚しています。
権力者が権力を行使して何が悪いといった我侭な考えで、関係機関に不当な圧力をかけたことによるものなのでしょう。
手心を加えざるを得ない状況に追い込まれた人の心は、何ともお察ししますと言いたいところですが不正は不正。
巻き込まれたからといって、断罪に手心が加えられることなど期待すべきではありません。

手心を加えることは甘えなのか

寛大に対処することや手加減をする意味合いがある「手心を加える」ですが、日常生活で寛大に処理する出来事が起きても滅多に使用されることはありませんよね。
本当はいけないけれど「おまけをしてあげる」という意味と似た使い方をするのでしょうか。
類義語としては「目をつぶる」や「大目にみる」がありますが、やはり不手際を無かったことにして貰う行為を意味する言葉ですね。広い世代で通じる言葉ではありませんが、「おまけをする」で多くの方がその意味を理解できるので、「手心を加える」は少し丁寧すぎる言い方だと感じます。
これは日本人の人情から来た言葉ではないかとも考えられます。親しい人間が不手際をした際に、人情によって見逃すことや手を加えて問題を解決してあげるなどです。外国の事情はわかりませんが、外国にも「手心を加える」に類似する言葉は存在するのでしょうか。
手加減も連想しますから、その行為に甘えることも意味として含まれるのかと思います。悪い印象も存在する言葉ですが、一般には良いことを連想させるので「おまけをして貰うのはズルい」と考える方にとってはそう感じるはずです。手心を加えられて助かることのほうが多いので私は良い印象があります。

手心を加える采配に感激

私は、会社の野球部に入っていて、休みの日は練習や試合をしています。そこまで力を入れているチームではないですが、試合は定期的に行っています。
先日、ライバル的存在のチームと練習試合をした時に、私のチームのキャッチャーが打者の振ったバットにあたり、足を怪我してしまいました。骨に異常が無いか検査する為、監督が付き添いで病院に向かい、補欠がいない私のチームは1人足りなくなりました。
練習試合だから、8人でも可能ですが、不利な部分が多いので、相手チームと試合を続けるか話し合いました。相手チームは、私のチームと同じくらいのレベルだったので、ライバル心がお互いにあって少し微妙な関係でした。
話し合いの結果、1人相手チームから私のチームに助っ人で来ることになって、試合を続行することになりました。補欠の人が来るかと思っていたら、相手チームの4番をやっている人が来てくれたので、みんなで驚きました。
そんな手心を加える采配に、私やチーム全員が感激をして、それ以来そのチームと仲が良くなりました。練習する時も、人数が足りない時はお互い協力するようになって、姉妹チームのような関係になっています。
また、怪我をしたキャッチャーは、骨に異常も無く元気に今でも活躍しています。

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