「あれ、これは……?」

彼女はダンボールの中から写真立てを見つけた。
それは10代の頃に撮った記念写真。その写真は当時の生徒会結成記念ということで
みんなで撮ったものものだった。そこに写っているのは彼女の親友であり今も世界を
飛び回っている憧れの女の子、いつも元気な小さくてかわいい女の子、いつもクール
でつかみ所のない少年、いつも気持ち悪いけどギターを持たすと別人に見えるメガネ
でサル顔の少年、厳しくも優しいお姉さん的な先輩、いつもとぼけていて胸が大きい
先生、いつも無愛想で一匹狼な後輩、そして……あまり特徴はないけれど、優しくて、
実は熱いハートを持った少年が微笑んだ彼女の隣にいた。
その少年は彼女が昔、恋焦がれた人だった。

すっと、彼女が目をつむると当時の楽しかった出来事が思い出される。
そして、思い出すたび少年の姿が浮かび上がった。

だが、彼女は思い出すのをやめた。
その恋は、5年前にあの空港で終止符が打たれたのだから。
そう思うと目頭が熱くなった。

「おーい、片付け終わった?」

後ろから声が聞こえて彼女はハッとして、急いで目を拭いた。

「まだ片づけ終わってなかったんだ? ……ん? それは……?」

彼はひょいと彼女が持っていた写真立てを取り上げた。あわわと彼女が慌てだした。

「へー? この頃の髪長かったんだ? それにいい顔してんじゃん?」

今の彼女はショートカットである。そう、あの失恋がきっかけで髪を思い切って切ったのだ。
某アニメヒロインの髪型に似ていると言われたことがあったが彼女にはわからなかった。


当時は失恋がきっかけで髪を切ることになるとは思ってもいなかったと彼女は照れ笑いしな
がらそう思った。

「片付け終わったらゴハンにしよう。お腹ペコペコでさ」

彼女は今まで押入れの中を整理していて、この写真立てを見つけたのであった。
ここは新しい生活の場であり、彼女は新婚だった。

「待ってて、すぐに片付けて支度するから!」

そして、彼女はそっと写真立てを、綺麗な思い出をダンボールの中にそっと戻した。

彼女は、良美は今、とても幸せだった。優しい彼の暖かさに包まれて幸せだった。
良美はエプロンをつけて愛する夫が待つキッチンへと向かって行った。


〜おわり〜


(作者・TAC氏[2006/03/20])


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