雪解け水が川になり、流れ始める頃。

いつもの仲間と、今日もこの坂を下る。

ことみ、古河、杏、椋の四人に加え、最近になって春原もその中で一緒に居るようになった。

そいつらと、笑いあって過ごした。

いつの間にか日課となっていた放課後の演劇部室。

結局演劇はやらなかったけど、それよりももっと楽しい日々だったと思う。

居心地が良かった。

高校生活の最後になって、やっとみつけた自分の場所。

そこで、たくさんの思い出を作った。

みんながそれぞれの進路も決まり、気がつけば今日はもう卒業式。

ことみはもちろんの事、杏と藤林はそれぞれ保育士と看護士という目標へ向けて進学。

古河は自宅のパン屋。春原は実家に帰って就職らしい。

まったく共通点が無い。

こいつらとはまったく、不思議な繋がりだと思う。

春原と馬鹿をやってダラダラ過ごしてきた二年間がまるで嘘のようだ。

あの日―坂の下で立ち止まっている古河を見つけた日。

全てはあの日から動き出した、そんな気がする。

色んな奴と出会った。

色んな事が起きた。

初めは嫌いだったこの学校。

今では愛しく、終わってしまうのがこんなに寂しい。

なんだか無性に誰かと話したくなった。

俺は…





古河を呼んだ。

ことみを呼んだ。

杏を呼んだ。

春原を呼んだ。

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