3)
もう 逃げられは しない。
カルロは気を失った蘭世を抱え 離れの奥にある部屋へと戻った。
ワインに密かに混ぜた眠り薬で 蘭世は深い眠りに落ちていた。
(・・・)
額の髪にそっと口づければ 優しいシャンプーの香りが彼の鼻をくすぐる。
頬に残る涙の跡に視線が行き 一瞬カルロは眉を曇らせたが つい と視線を歩む先へと逸らした
居間の奥にある扉へゆったりと歩み寄れば その扉も例外なくスッと開いて主を迎え入れる。
その扉の向こう・・広い部屋の中央には 大きなキングサイズのベッドがしつらえてあった。
壁一面に大きく取られた窓には遮光カーテンがかけられ 間接照明の茜色に全てが彩られている。
ベッドの端にカルロは蘭世を横たえ 靴をそっと脱がせ・・そうして再び持ち上げて中央へと寝かせる。
(・・・)
カルロは思わずその眠る頬に手を触れさせた
薬が良く効いているのか 一向に目覚める気配はなく 蘭世は規則的な寝息を立てている。
あどけなさが残る寝顔に伏せた長い睫毛がそこはかとない女らしさを添えていた。
それが男心をそそる色気を感じさせていることは まだ彼女自身は自覚していないであろうに。
カルロは思わず蘭世の長い黒髪を一筋掬うと 瞳を伏せて そっとそれに口づけた。
ガラスの城で眠りつづける姫を見つけた心地だった。
ならばカルロは さしずめ隣の国の王というところか・・・
そんな甘すぎるロマンに彼はクス・・と自嘲の忍び笑いを漏らす。
(そして私は 王でも王子でもなく 彼女が目覚めるのを待つ気はない)
カルロも蘭世の眠るベッドへとあがり 彼女へ覆い被さって 先程解いた胸元に再び手をかけた。
ここへ連れてきた時に口づけたときよりも 彼女の唇は冷たく乾いた感触がしていた。
◇
<<ここから先について ご注意です>>
続き:第4話:には 多少なりともレイプ要素を含む表現がございます
苦手だったり 苦痛に思われる方は 次話を飛ばして →第5話へお進み下さい。
上記についてのお覚悟が出来る皆様は →第4話からお読み下さい
(なお 第4話と5話の間に 1〜2話 追加される予定もあったりしますが あくまで予定なので・・・m(__)m)
つづく
冬馬の棺桶へ bg photo:Silverry Moon Light |