三人はくすぐりに熱中し、だんだん遠慮というものがなくなってくる。
「やっぱり腋は効くんですね〜」
智恵は菜々の腋を執拗にかき回し、うなじや耳の辺りには生暖かい息を吹きかける。
「この辺り、弱いんじゃないですか?例えば…こことか?」
脇腹は裕香に鷲掴みにされ、肋骨の隙間にまで指先が食い込む。
「先輩、ここが一番に決まってますね」
そして千尋は菜々の足の裏に狙いを定め、縦横無尽に爪を走らせる。
「あはははっ!ふぁっ…もぅやめてぇ!きゃは…ははははっ!」
菜々は笑いながら懇願するが、そんな姿も三人を喜ばせるだけのものでしかない。
「先輩、ホントにくすぐられるの苦手なんですね」
「ふ…ぁははっ!分かってる、なら……やめてよぉ…ひぃんっ!」
「こんな楽しいこと、やめられませんよ〜。もっともっと、いい声出して下さいね」
「やっ…あぁ…」
その時、偶然に。
三人の指がそれぞれ、菜々の体の中でも特に敏感な場所を捉えた。
「…ぁっ!はぁぁんっ!!」
菜々は体を大きくのけぞらせ、ひときわ大きな声を上げてしまった。
次の瞬間には唐突に三人の指の動きが止まり、菜々はハッと正気に戻って口をつぐんだ。
(今の、聞かれちゃった…!)
背中に冷や汗が噴き出す。
「せーんぱい?」
智恵が意地の悪い笑みを浮かべながら、菜々の顔をのぞきこんでくる。
顔を両手で挟まれてしまい、視線を逸らすこともできない。
「今の声、何ですか?」
「な、何って…くすぐったかったから…」
菜々がしどろもどろに答えると、裕香が背中側から声をかける。
「それだけですか?くすぐったがってるのと、ちょっと違ったような〜」
「もしかして……気持ちよかったとか?」
千尋がそう続けると、菜々の顔がカーッと赤く染まった。
「ち、違っ―むぐっ!?」
奈菜は半ば反射的に否定しようとしたが、その口を智恵の手に塞がれてしまう。
「言い訳しなくていいんですよ。これからじっくり、体の方に訊きますから」
三人は目配せして頷きあうと、奈菜の体を仰向けにひっくり返した。
そして当り前のように、それぞれの目当ての場所に手を伸ばす。


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