智恵は「念のため」と菜々の肘の辺りにもリボンを巻き付ける。 これでもう、菜々は腕を降ろすことはできない。 赤いリボンに彩られた菜々の腕は、身に纏ったレオタードに負けない程に白かった。 汗ばんでほんのり光る腋に、智恵の指先が近づいていく。 「ひっ……ぃ…ぅんっ!」 両腋を爪でさっと掠めるようにされると、それだけで菜々の体はビクッと跳ねた。 「先輩、敏感〜。こんなのでくすぐったがってたら、体がもちませんよ?」 「そうですよー。私達もいるんですから」 そう言うと、しばし手を休めていた二人もくすぐりを再開する。 「ほらほら、ここはどうですか?」 バンザイによって剥き出しになったのは腋だけではない。 裕香は同じく無防備になった脇腹や背中をこちょこちょとくすぐる。 「きゃははっ…ひぅっ!…やぁ…ぁぁあああ〜!」 本当はマッサージをしていたお尻の辺りも対象にしたかったのだが、 そこには自分が座っていたので諦めた。 それに、時間はいくらでもあるのだ。後で思いっきり触らせてもらえばいい。 そして千尋は、残った菜々の下半身をくすぐることになる。 ―が、しかし。腕は縛りあげたからよいものの、下半身は未だに暴れ回っているのだ。 腕と違って足はそこ自体がくすぐる場所なのだから、ただ縛るのでは何か違うように思えた。 しばらくすれば疲れてくるだろうが…楽しそうな姉二人を見ながらそれを待つというのは、 千尋にとってはおもしろくない。 結局千尋は、智恵が奈菜をバンザイさせたときに使ったのと同じ方法をとった。 「っくく!…あはっ…ひ……ぁあっ!?」 足の裏から、菜々の体に猛烈な刺激が走る。 千尋の指が的確にツボを捉え、ぐいぐいと押し込んでいるのだ。 「ひっ……ち、千尋、ちゃっ!強…すぎぃっ!!」 菜々は必死に訴えるが、千尋の指は菜々の足を上がっていき、 ふくらはぎや太股にも強く食い込む。 体の芯まで響くような刺激に、菜々は下半身の感覚がなくなったようにすら感じた。 そうなれば当然、抵抗するどころの話ではない。 すっかり力の抜けた菜々の足に、千尋の指が、今度は舐めるようなタッチで触れる。 裸足の両足を指がゆっくりと這い上がっていき、菜々はぞわっと産毛が逆立つのを感じた。 首筋や腋は智恵に。背中や脇腹は裕香に。下半身は千尋に。 三人に全身をくすぐられているうちに、菜々の体には疲労が溜まっていった。 だんだんと体をばたつかせる余裕もなくなり、笑い声だけが大きくなっていく。