奈菜はうつ伏せになって楽な姿勢をとり、 智恵は奈菜の上半身の右側・裕香は左側の腰のあたり・千尋は足の左側に座った。 「それじゃ、始めますよ」 智恵は言いながら奈菜の両肩に手をあて、指先にぐっと力を込める。 「んっ…!」 「痛かったですか?」 「ううん。ちょっと痛いけど、今の位がちょうどいいと思う」 それを聞き、智恵が再び親指を押し込む。 「うわー…凄くこってるじゃないですか。ガチガチですよ」 ぐいぐいとツボを刺激され、肩全体に痛みと気持ちよさがミックスした感覚が広がる。 「さて。私達もやろうか」 「うんっ!先輩。私、上手ですからね〜」 裕香の指が奈菜の腰を探り、くぼみを押し込む。 自分で言うだけあって、絶妙な力加減である。 千尋は手のひら全体を使い、両の太ももを丹念にマッサージする。 「先輩、どうですかー?」 「うん…すっごくいいよ……ふぅ…」 血行が良くなってきたからか、体が暖かくなってきた気がする。 全身のこりと筋肉の緊張を丁寧にほぐされ、奈菜は何とも言えない気持ちよさに包まれていた。 「だいぶ無駄な力が抜けてきたみたいですね…もうちょっと強くしますよ」 言うと、裕香は左肘を奈菜の腰に立てて回すように動かし始めた。 「強過ぎたら言って下さいね」 「平気…あ、そこ気持ちいい……」 肘はしっかりと腰のツボにフィットし、奈菜の呼吸に合わせてゆっくりと円を描く。 裕香も負けじと背中のツボを的確に見つけだし、強弱を付けて押す。 時には少し痛い位に強く、時にはもの足りない位の優しいタッチで。 背骨の隙間で揺するように指を動かすと、奈菜はくすぐったそうに 「きゃふっ」と声を漏らして身をよじった。 そして千尋は、マッサージの範囲を太ももから膝裏とふくらはぎにまで広げる。 膝裏の筋肉を人指し指と中指で伸ばし、ふくらはぎは手全体で鷲づかみにするように大胆に揉む。 新体操で毎日酷使されていることもあり、その辺りには特に疲労が溜まっていたようだ。 ぐっぐっと足の筋を伸ばしてやると、奈菜の口から「ふぅー…」と心底リラックスした吐息が洩れる。