「さくらさん、嫌なのですか?」
「当たり前です!」
「はぁ。それはそれは」
雛子はボトルを一旦床に置き、さくらにずいっと顔を近づける。
「それでは、またキスでもしてあげましょうか?」
「っ…!」
さくらは思わず身を引き、両手で雛子の肩を押した。
「あら?まだそんな力が出せるのですか。本当に、大したものですね」
雛子はおとなしく引き下がったかと思うと、今度はさくらの背後へと回る。
「ねぇ、さくらさん。素直になってくださならいと」
さくらの上半身に、雛子の両腕がまわされる。
「私、こんなことをしてしまいますよ?」
と、雛子はさくらの胸を掴んだ。
「ぅひっ!?」
さくらにとっては予想外の出来事に、あまり女の子らしくない悲鳴があがった。
「私は録画できればどちらでも構いませんよ。おもらしするところでも、感じる姿でも」
雛子の両手はさくらの胸をまさぐり、揉みしだく。
「私はこれから録画するテープを使って、さくらさんを家に招待するつもりです」
雛子は激しく体を揺するさくらを、抱きつくようにして押さえ込む。
「そうしたら、私のベッドで……ね?」
はっきりとは語られなかったが、想像するに余りある。
「ゃ…嫌です!やめて…くだ、さいっ!」
体に力が入らない今は、背後の雛子をどうすることもできない。
なまじ手足を動かせる分、抵抗が無駄だと痛感させられる。
「っ…くぅ……やめっ!」
「私だって、こんな所では勿体ないと思っています。
けれど…さくらさんがお水を口にしてくださらないので」
結局はその要求に行き着く訳である。
雛子はさくらの耳元に顔を近づけた。
「どうですか?このままだと、私はもっと凄いことをしてしまいますよ?」
はっきり言ってしまえば脅迫である。
「お水を飲んだって、電気が直るまで我慢すればいいじゃありませんか。
このまま私の好き勝手にされても構わないのですか?」
その囁きに、さくらの意志がぐらつく。
(我慢…どっちが、長くできるんだろう…?)
雛子の指使いは巧みで、うぶなさくらにすらそれが理解できる。
彼女自身も意識していない程度ではあるが、その体はさらなる刺激を求めていた。
そして五分程が過ぎ…差し迫っている危機から逃れる為に、さくらはついにギブアップしてしまった。
「…み…ます……」
「はい?何ですか?」
「水、飲みます!だから…触るの、早くやめて下さいっ!」
さくらがそう叫ぶと、雛子の手がぴたっと止まった。
「ありがとうございます。私、もう感無量ですわ」
雛子は意気揚々とペットボトルを手にし、さくらに差し出す。
一リットルもの水の入ったボトルを受け取ると、さくらはさすがに逡巡した。


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