「どうしました?飲めないのなら、私が手伝いましょうか?」 「結構です!」 仕方なしに、ボトルに口をつけた。少しぬるくなった水が舌を潤し、喉を通り過ぎていく。 こくっ、こくっ…と喉がなる度、ボトルの中身が少しずつ減っていった。 「――ぷはぁっ…」 空になったペットボトルから口を離し、さくらは一息ついた。 しかし休む間もなく、二本目が渡される。 「はい、どうぞ」 「……」 「そんな目をしても駄目です。約束は守ってもらわないと」 さくらは恨めしそうに雛子を見つめつつも、二本目のボトルを口に運ぶしかなかった。 ――――――――――――――――― からん、と空のペットボトルが床に落ちた。 「ご苦労さま。かわいそうなので、この位で良しとしておきましょう」 テーブルには別に、空のボトルが三本並んでいる。 ペットボトル四本分もの水を飲まされ、さくらは早くも冷や汗をかいていた。 「さて…あとは待つだけですか。頑張って下さいね」 気楽に言うと、雛子は椅子を移動させてさくらの背後に座る。 「雛子さんも、約束は守って下さいよ」 「約束?」 雛子は小首をかしげる。 「水を飲んだんですから、その、胸を触ったりとかはできない筈です」 「あぁ…分かっていますよ。でも、胸だけでいいのですか?」 「え?」 さくらは何かを見透かされたように、ビクッと体を震わせた。 「胸だけではないでしょう?」 雛子はあくまでもにこやかに問いかける。 「もう一箇所、絶対に触られたくない場所があるのでは?」 その言葉に、さくらは顔を赤くして俯く。 「セクハラが過ぎてしまいましたね。分かっています。胸もあそこも、触りませんよ」 『あそこ』を強調して言うと、雛子は背後から手をのばし、手探りでさくらの膝に触れた。 「まあまあ。これでお手入れもしていないのですか…?こんなにすべすべだなんて」 雛子の手が膝頭から太股へと這いあがり、さくらは慌てて足を閉じる。 「ちょっ、雛子さん!」 「なんですか?」 「今、触らないって言ったばかりじゃ…」 非難の線にも動じず、雛子はさくらの足から手を離さない。 「えぇ。さくらさんの胸とあそこに限っては触らない、と約束しましたね」 「そんなっ!」 確かにそうとれないこともない言い方ではあったが、当然ながら詭弁であり、約束が違う。 とはいえ飲んでしまった水はどうしようもなく、雛子を止める手だてもない。 「では、約束通り…さくらさんの胸とあそこ以外の全て、じっくりと楽しませていただきます」 太股を離れた手は首筋を撫で、肩を滑り降りていく。 制服越しに背中や腹をまさぐられ、さくらの全身に鳥肌がたった。 「あら、そんなに動かない方がよろしいのでは?」 さくらが体を揺する度に、その腹からたぽん、と水音がする。 体の内側で液体が動く感覚が何とも落ち着かない。 できることならじっとしていたいのだが、舐めるような雛子の手つきに、ついつい体が反応してしまう。