「…結構、いる……かも」
「かもって何だよ」
「クラスの子が、『店長が全然客を見てないから簡単』とか、言ってた…」
「あー、なるほどな」
確かに弘樹の叔父はのんびりとした性格で、目もかなり悪い。
たまたま弘樹が店番をしていなかったら、由香も万引きに成功していただろう。
「今日の事は誰にも言うなよ。約束できるな?」
「うん」
由香が自ら広めるとは思えないが、念のため釘をさしておく。
「よし…じゃあラスト五分だ。ま、頑張れよ」
弘樹はそう言ってくすぐりを再開する。
「ん…ふぁっ…っ!く…はっ……ぁぁあああっ!!」
長時間続けている内に、弘樹のくすぐりはそれなりに巧みなものになっていた。
最後ということで遠慮せず、互いの疲れも無視して技巧の限りを尽くす。
神経を直接刺激されているかのような強烈な刺激に、否応なしに笑い声が引き出される。
「ぎゃはっ!はっ…はひっ!あははははは!」
由香の口もとはゆるみっぱなしで、涎が顎を伝ってワンピースまでも湿らせていた。
「はっ…はは…はぁああっ!ゃ…めぇぇっ!くるひ…ぃいっ!」
由香は息も絶え絶えに訴えるが、弘樹は応じずにくすぐり続けた。
とにかく由香を笑わせることだけを考え、徹底的に足の裏を責め立てる。
彼女にとってはあまりに長い四分が過ぎ、ついにラストスパートに入った。
滑らかで柔らかい肌に、爪が強めに食い込む。
由香の足の裏を知り尽くした弘樹の指は、無慈悲なまでに土踏まずを掻き回す。
「くひっ…ひはははっ!ぁは…は…はっはっはははは!」
由香は仰け反って笑い転げ、目には涙すら浮かべている。
全身はピクピクと痙攣するように震え、体の限界が間近なのは明らかであった。
「あと十秒だな。最後なんだから、思いっきり笑ってくれよ」
とどめとばかりに指の動きが激しくなり、今までの中でも最高のくすぐったさを与えられる。
「だ…らめぇっ……ぁ…はあっ…!ぎゃっはっははは!ぁははっ!
ひいぃっ!きゃひっ…!はあああぁぁぁああ〜!!」
由香は絶叫し、くすぐりが止まるとぐったりと動かなくなった。


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