「やる気がないんだろ。それじゃ、次が最後のチャンスだ。ちゃんと言えなかったら…分かってるよな」
その言葉に、由香はビクッと身を震わせる。
(次で言えなかったら…)
その後に待っているお仕置きを想像するだけで、むず痒いような感じがしてくる。
しかし、由香には他に選択肢が無い。
仕方なしに覚悟を決め、口を開く。
「わ…私は、もう二度と…っ万引きを、しませんっ!」
数回つっかえながらも、何とか早口でそこまで言い切った。
弘樹は指先で、由香の踵から指の付け根までをゆっくりと撫であげている。
「どうか…ぁふ……どうか、許―」
そこで前触れ無く、足の裏への刺激が強くなった。
弘樹の指は土踏まずに集まり、敏感なそこに爪が立てられる。
「許し…ぃ…っく!…ゆる……ぅうんっ!」
ここで笑ってしまう訳にはいかない。
由香は顔を真っ赤にし、歯をくいしばって笑いをこらえる。
「どうした?言えないのか?」
ブンブンと首を振って否定するが、言葉を続けられない。
気を抜けば即座に吹き出してしまいそうな刺激に、由香は口を結んで耐えることしかできなかった。
そのまま時間だけが過ぎていき、弘樹の指が往復する度に由香の忍耐力が削りとられていく。
どんなに頑張っても、弱点への攻撃をずっと我慢し続けられる筈もなく…
ものの一分も保たず、限界が訪れた。
「や…あっ…はあぁぁあああ〜!も、だ…めっ!ぃひっ…ひゃはっはっははは!!」
我慢していた分が一気に吹き出したかのように、由香は口を大きく開けて笑い声をあげた。
「ったく、全然反省してないな…お仕置き決定だ」
「あふゃ…やあっ!くひっ…ゃははははぁっ!」
普段はその名の通り、地面にすら触れることのない土踏まず。
弘樹は急所であるそこを中心に、リズミカルに刺激を送り込む。
強弱の入り交じったくすぐったさには慣れることもできず、由香の体は相変わらず跳ね続けていた。
「あはは…はあっ!……ぁ…ひっ!ひゃはぁっっ!」
しかし、次第に疲労が蓄積し、そんな反射的な行動すらとれなくなっていく。
「これ以上は、ちょっとばかし危ないか…」
何も拷問をしている訳ではない。
罰と称して体を障らせてもらっているだけだ。
(まぁ、十分楽しませてもらったしな)
弘樹はそろそろ潮時と判断し、由香に一つの質問をした。
「なあ。ここの店って万引き多いのか?」
これは、少し前から訊くつもりだった事だ。
「ひひっ…ぃっ!きゃはっ…?えっ…?」
「だから、お前の他にも万引きしてる奴はいるのかって訊いてるんだよ」
弘樹は少しくすぐりを弱めて、由香の返事を待つ。


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