「はっ、な、奈々っ…」
美月はなんとか笑いを押し殺し、奈々に呼びかける。
この電気あんまという技、想像していたよりも随分と体にこたえる。
どうせ我慢し続けても得る物もないのだしそろそろ止めておこう。
ギブアップしたからといって特に失う物も無いのだから。
そんな美月の考えを見透かしたかのように、奈々はべーっと舌を出す。
「やめてって言ってもやめない、って言ったよね?」
「なっ!?」
「言い訳は聞きませーん。あたしのスカートをめくった罰、しっかりと受けなさいっ!」
「うっ、あ、あっ、あははははぁっ!」
ブルルル…とより一層振動が強まり、強制的に肺から空気が搾り出される。
(や、やばっ……これ、本当にキツいっ…)
くすぐったいだけとタカをくくっていたのが間違いだった。
言っても聞かないならしょうがない。
美月は力ずくで電気あんまをやめさようと、がばっと上体を起こした。
体力勝負なら負ける要素が無い。
しかし――
「甘いよ、美月ちゃん」
奈々は腕を掴まれても全く慌てなかった。
足の指をそろえ、ちょん、と美月の一番大事なところをつつく。
「はぁうっ!」
それだけで美月の体はのけぞり、そのまま後ろへと倒れてしまう。
もっと体力の残っている間に暴れるべきだった。
そう後悔しても遅い。
「この、変態……きゃはっ、や、もうやめてってば!」
「今のは美月ちゃんが抵抗しなきゃやらないって。やられたくなかったら大人しくしててよ」
「ぅひっ、ひゃはははは!ひ、卑怯者ー!」
それから10数分間、部屋には美月の笑い悶える声が響き続けた。
「は……ぁ…うぅ……」
最早体を起こす気力もなく、小さく声をあげるしかできない。
そんな美月に、元気いっぱいの奈々の声がかけられる。
「どう?あたしの電気あんまの凄さが分かった?」
「…よーく分かった。もう完璧にギブアップ」
その敗北宣言を聞くと、奈々はぴたっと足の振動を止めた。
ようやく訪れた急速に、大きく息をつく美月。
汗で、背中にシャツが張り付いている。
「はぁ……こんなにキツいとは思わなかった」
「でしょ?必殺技なんだから」
「将也くん、こんなのしょっちゅうやられてるんでしょ?よく懲りないもんだわ…」
「んー…それはまぁ、理解は、できるんだけど…」
奈々は顔を赤らめ、恥じらうように言葉を濁す。
「将也ね、電気あんまされるの好きになっちゃったみたい」
「はっ?」
こんなに辛いのが好き?
最初のごく軽い振動ならマッサージ的な気持ちよさが無いとも言えないが、そういうことではないのだろう。
たった今その威力を実感したばかりの美月には、とても信じられない。
「電気あんまはくすぐったいだけじゃない、って言ったよね?」
奈々は言葉を続ける。
「実はね、美月ちゃんはまだ半分しか電気あんまの事を分かってないの。
 今までのはくすぐったくて疲れるだけの電気あんま」
「半分?」
「ん。もう半分はね…やっぱりくすぐったいんだけど、気持ちよくなっちゃう電気あんま」
三度、奈々の足が振動を始めた。
しかし、先ほどまでの電気あんまとは少し違う。
奈々は足の裏の上半分…特に指を使い、美月の股間に揉むような刺激を与えていた。
「も、もういいんだってばっ!電気あんまの凄さはもうよく分かったからっ…」
「だから、美月ちゃんはまだ半分しか分かってないんだってば」
制止の声を聞き入れず、奈々は足を震わせ続ける。
「ふぁっ、や……ふうぅ……」
足の指先が押しこまれている為に、スパッツがやや股間に食い込んできている。
「まだくすぐったいだけ?
 違うよね、さっき指でつっついたら反応してたし」


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