奈々の言葉を否定するように、美月は歯を食いしばって首を横に振る。 性感というものを知らないわけではないが、羞恥心も強い年頃である。 電気あんまで快感を感じている、などと認めることはできない。 しかし、そのまま足の指を細かく動かされていると、意に反して口から甘い吐息が洩れてしまう。 くすぐったさも確かにあるのだが、振動は先ほどよりももっと体の芯に響いている。 「はぁ…あ、ぅん……んんんっ…」 声だけでなく、頬も紅潮し、何かこみ上げるものを堪えるように眉間に皺がよっている。 奈々はそんな様子を見てとると、膝を使って振動を強めていく。 「別に嘘つかなくていいんだよ。ぶっちゃけた話、あたしもやられるの好きだし」 「え、えぇっ…?」 「実はね、あたしも従姉妹のお姉ちゃんに会うたびにやられてるんだ。 最初は辛いだけだったんだけど、段々気持ちよくなってきちゃって」 …そういうことか。 美月の頭の中では奈々と電気あんまという行為が結びつかなかったのだが、やっと疑問が解けた。 電気あんまをかけたことがあるのは将也だけと言っていたが、やられた経験はあったのだ。 「やられるの好きになっちゃってからは、将也にはそんなにやってないけど…… 美月ちゃんには何回でもやったげるから安心してね」 「いらないっ……あぅんっ!」 「うわー、えっちぃ声。うりうり、もっとやらしくなっちゃえ」 「ひゃっ…やめ……ぁ…っ!」 隠しようもなく、既に美月は電気あんまで快感を味わっていた。 秘部からは汗とは別の液体が染み出し、スパッツの股間部分をじわりと変色させていく。 逃れようにも、さんざん大笑いさせられたせいで力は使い果たしてしまっている。 「美月ちゃんも病みつきになっちゃうかもね。電気あんま」 「だ、めっ……これ以上は…」 「なんで?誰も見てないんだし、素直になろうよ。気持ちいいんだったらいいじゃん」 理性をギリギリのところで繋ぎとめている羞恥心を取り除くような、甘い囁き。 それを拒む力は、体にも心にも残っていなかった。 「ぅあ……あっ…き、気持ち、いぃ…」 「はい、よく言えました。ごほうびあげなきゃね」 美月が快楽を受け入れたのをきっかけに、奈々は秘部を集中攻撃し始める。 爪先に力がこめられ、ぐりぐりと美月の大事な部分に強く食い込んだ。 「はっ……ぁうっ……」 首は仰け反ってビクビクと震え、目が見開く。 半開きになった口の端からは涎が一筋こぼれている。 (初めてだし、これ以上やったらヤバいかな?) これ以上は焦らせないと判断し、奈々は美月の秘部に踵をあてがった。 「これで最後。それ、イっちゃえ」 とどめとばかりに、本日最高の勢いで足を震わせる。 「っ……ぁ…すご……いっ……!」 秘部から背筋を通って脳へと伝わる快感に加え、もはや全身の振動そのものも快感になっていた。 手はぎゅっとシーツを握り締め、腰ががくがくと勝手に痙攣し―― 「い……あっ……っっ!!」 美月は声にならない声を上げ、全身を弓なりに大きくしならせて絶頂を迎えた。 「っ……ひっ…」 その瞬間が過ぎ去っても、余韻にピクピクと身が震える。 奈々はそんな美月の足首を離し、顔をのぞきこむ。 「すっっごい可愛かったよ。おやすみ、美月ちゃん」 優しく頭を撫でられながら、美月の意識は急速に遠のいていった。 __________________________ 「……ぅん?」 目を覚ますと、お腹の上に奈々の頭がのっかっていた。 美月の寝顔を見ている間に自分も眠ってしまったようだ。 奈々を起こさないようにゆっくりとベッドから降り、彼女の頭の下に枕を置いてやる。 「うーん…」 身体が妙に重い。そもそも自分はどうして寝ていたのだったか。 ぼーっと考えていたが、ふと自分の身体を見下ろすと…… 「あ。あー」 全てを思い出した。 乾いてきてはいるものの、スパッツの股間部分だけがじっとりと湿っている。 『き、気持ち、いぃ…』 「ぐぁっ」 一生の不覚であった。 余りの羞恥に全身を赤く染めつつ、部屋の隅に投げておいたスカートを拾った。 そして奈々が完全に寝ていることを確認すると、スパッツと下着を膝まで下ろす。 むわっと鼻についた独特の匂いはなるべく気にしないようにして、さっさと足を引き抜いた。 「パンツは…洗面所までいかないと無いよね」 それに、さすがに下着は他人のものを使うのに抵抗がある。 意を決して、下着を穿かないままスカートを穿く。 違和感はあるものの、濡れたスパッツのままでいるよりはマシだ。 「さてと」 時計を見ると、時刻は午後の3時半。 美月が眠ってのはせいぜい30分程度だったようだ。 「とりあえず、時間はまだまだ十分にあると」 今日が土曜日であったことに感謝しつつ、美月は部屋全体をぐるりと見回した。 「まずは、これが寝てる間にロープを探さないとね」 そう。正確には… 奈々を縛るのに十分な長さがあり、暴れても切れない程度には丈夫な紐状の物を。 おしまい。