慌てて振り向こうとしたが、僅かに遅い。 「えい!」 「あっ!?」 忍び寄っていた少女は、玲奈のスカートを両手でバッとめくりあげた。 赤地に黒のチェック模様のミニスカートが翻り、一瞬ながら下着が露わになる。 「班長のパンツ、見ーちゃった〜」 「っ…!」 赤面した玲奈がスカートを押さえたときには、実行犯は既に手の届かない場所へと逃げていた。 「美保ちゃん、どんなパンツだった?」 スカートをめくったおさげの少女は美保というらしい。 どうせ働かないので、玲奈は四人の名前を覚えていなかった。 「うーんと。あんまりよく見えなかった」 「それじゃあ…もう一回やっちゃおう?今度はみんなで」 髪をお団子に纏めた別の少女の提案に、残りの三人は「わぁー!」と歓声をあげて賛同した。 「や…やだ、やめてよ……こないでったら!」 自らを包みこむただならぬ空気に、玲奈は思わずたじろいだ。 四人は制止の声に構わず、じりじりと近づいてくる。 玲奈は両手を前に出して牽制するが、いくら警戒しようと全方向に気を配れる筈もない。 ぱっと右から伸びてきた手を、何とか払いのける。 しかし、そのせいで左側ががら空きになってしまった。そこを別の少女が攻める。 「スキあり〜」 玲奈のスカートに深く手がさしこまれ、一気に捲りあげられる。 スカートの裾は先ほどより派手に舞い上がり、体の左側は腰までが丸見えになった。 「ピンクだ〜。班長、意外と可愛いのはいてるんだ」 「い…いい加減にしなさいっ!次やったら承知しないんだから!」 玲奈はスカートの前後を押さえ、きっと四人を睨みつけた。 しかしその顔は羞恥心により赤く染まり、声もどこか弱々しかった。 「寝てくれたらやめるー」 「寝たらもっとイヤなことするつもりでしょ!?絶対やだ」 「じゃあ、やめな〜い」 正面にいた少女−髪は短く、二年生にしてはかなり背が高い―が玲奈に手が届く距離まで近づいてくる。 「!」 玲奈は身構え、きつくスカートの裾を押さえつけた。 しかし少女はにやーっと笑みを浮かべると、素早く玲奈の上半身に手を伸ばした。 ―むにっ。 「やぁあんっ!」 反射的に少女を突き飛ばし、玲奈は自分の上半身を抱きしめる。 「真奈ちゃん、大丈夫?」 「平気平気。おっぱいタッチ成功ー」 突き飛ばされたのも気にせず、真奈はガッツポーズをとる。 一方、玲奈は予想外の攻撃に激しく動揺していた。 トレーナーごしに膨らみかけの両胸を掴まれた感覚が未だに残っている。 当然ながら初めての経験であり、あまりに鮮烈な刺激だった。 そして、前かがみのまま硬直してしまった玲奈を少女たちが放っておくわけがない。 「あたしも〜」 「私もまだ何もしてないよぉ」 前後から、お団子頭の少女と背の低いロングヘアーの少女が迫ってくる。 二人は隙だらけの玲奈のスカートの裾を摘み、同時に引き上げた。 「ひゃっ!?」 腰から下が完全に外気に晒され、玲奈ははっと我に返る。 両手でスカートの前後を押さえるが、二人に裾を掴まれたままなので上手くいかない。