ザックスは頬を寄せながら服越しにサンタの孫の身体をまさぐった。
手で触れた感触にちょっとした違和感を覚えたが、久しぶりの行為に動作が止まることはなかった。
「あっ…」
発せられた艶のある声にザックスの興奮は高まる。
頬から首筋、耳朶へ舌を滑らせ、性感帯を刺激してやると、びくびくと痙攣したように身体が反応を返す。
しかし『そこ』へ手をやった時、決定的な違和感にザックスの動きはぴたりと止まった。
股間にあるはずのないものがあったからだ。
「あれ、え?……君、男!?」
「今更何言ってんだよ!」
「いやあの、だってこんな格好してるからてっきり…」
「これはじいちゃんが…こういう格好でお詫びすればあんたも許してくれるだろうから、これ着ていけって言い出して」
「な、なんつーじじいだ…」
呆れつつも的中しているだけにあなどれない爺さんだとザックスは感心した。
よく見れば下着まで女物という徹底ぶりだ。
顔を見たこともないサンタクロースがノリノリで孫に着るよう言い聞かせている様がザックスの脳裏にありありと浮かんできた。
(オレのことは口実で自分が孫の女装姿見たかっただけなんじゃねえの…)
しかしザックスが骨抜きにされたのは服装よりも中身だ。
この手の負けん気の強いツンツンした子がザックスはドンピシャで好みのタイプだった。
「そういえば…名前なんていうの」
「…クラウド」
なるほど、名前は確かに男だ。
クラウドは中性的な容姿をしており、変声期前なのか声もやや高めなせいでパッと見は男にも女にも見える。
長いまつ毛に大きな瞳。こんな色物の女装をしていなくとも普通の格好でも女性の中に溶け込めそうだ。
現に今こうして男とわかってもザックスの息子は全く萎える気配がなかった。
…もしかして自分に元々そっちの素養があるのだろうかと一瞬考えた。
「…まあいいか」
深く考えても始まらない。
それにどうせ夢だし、とザックスは行為を再開した。
自分が男とわかったにも関わらず、改めて身体に触れ始めたザックスにクラウドはぎょっとする。
「え?何やって…」
「さっきの続き」
身じろぐクラウドを無視し、ザックスは再びスカートの中に手を差し入れた。
「やめろってば!」
「やめろと言われてやめるわけないじゃん」
「何考えてるんだよ!オレ、男なんだぞ!」
「そんなの関係ないし」
「なっ…ちょっと!」
ザックスを阻もうとクラウドがもがくが徒労に終わる。
造作もなくあしらわれると、ひょいと頭の上で腕をまとめ上げられてしまった。
「何すんだよ、バカ!放せよっ」
負けん気の強い子がかわいらしく抵抗するシチュエーションにザックスはぞくぞくするのを感じた。
相手が男であろうと関係なく沸き起こる征服欲と夢の中でまでSっ気全開の自分に新鮮な感動を覚える。
ザックスは獲物を捕らえた獣のように舌なめずりをしながらクラウドの全身に触れていった。
そして胸元のボタンを外し、ワンピースの上部を脱がす。これでもまだ貧乳の女の子に見えなくもない。
乳首のあたりをたどり、指の腹で転がすように触ってやるとクラウドは首を振りながら声を上げた。
「あっやだ!」
「ふーん。これでもいや?」
「ん!…っはぁ、ん」
下着の上から股間をやわやわと揉まれ、クラウドは拳を堅く握り締めながら快楽に身を捩じらせた。
クラウドが腰をくねらせながらベッドに顔を沈み込ませている隙にザックスは下着の裾に指をかける。もうしばらくこのままにしておきたい気持ちもあったが薄ピンクのショーツを腿の真ん中あたりまで下ろした。
覆い隠されていた性器がザックスの眼前に晒される。
「あ、やっぱ付いてんだな…」
「バカぁ!当たり前だろ!」
身体は確かに男なのに女装と華奢な身体つきのマッチングにザックスは生唾を飲み込む。
男なのに女のような、倒錯的な見た目に思考を狂わせられていった。