その手の趣味はないと思っていたのに、ザックスの身体の内の熱は収まりそうにない。
ザックスは仰向けに寝かせたクラウドの腰を上げ、指でそこを広げた。
「ここに入れるんだよな」
羞恥に耐えられず、クラウドは顔を真っ赤にして悲鳴のような声を上げた。
「いやだあ!バカバカ!そんなとこやめてよぉ」
抗議の声は聞き届けられず、ザックスは本能の赴くままにそこへ舌を伸ばした。
閉じられたそこを舌で舐めほぐされ、クラウドはザックスの頭を押しのけるようにして手を伸ばした。
「やだ、やだあ…」
とろけるような声にザックスは更に煽り立てられる。
まるで甘露を味わうように何度も舌を潜り込ませ、内壁を舐め上げた。
クラウドの抵抗もやわらぎ、いくらか緩んだので今度は奥へと指を差し入れ始めた。
唾液で濡れたそこはズブズブと指を飲み込んで行く。
「は、んっ…やっ」
「やじゃないだろ。ほら」
そう言ってザックスは竿の部分を指で弾くようにして揺らした。
鈴口からとろとろと白濁の液が滴っている。
「あっ…」
ザックスが挿入した指で中をかき乱すとまた雫が滴る。
「初めてなんじゃないの?後ろでこんなに感じるなんてやらしい身体だな」
言葉でもなじられ、クラウドは横に顔を向けて頬を膨らませた。
その表情を見ているうちに我慢出来なくなり、ザックスは孔の入り口に自身の先端を据えた。
「え…それ入れるの?」
「うん」
当然のごとく頷かれ、クラウドは身体を硬直させて訴えた。
「そんなの、入るわけ…っ」
「入るって。大丈夫」
なんと言ってもこれは夢だし。
自信ありげに呟くと、ザックスは中へと自身を挿入し始めた。
が、そこはまだザックスを受け入れるには狭く、クラウドはシーツを硬く握り締めて小さく悲鳴を上げた。
「ひっ…!」
「くぅ…きつ……」
入り口の狭さにザックスも思わず言葉を漏らした。
一気に入れようかと思ったが、眼下のクラウドが眉根を寄せて苦しそうな表情を浮かべていたのでいったん引き抜くことにした。
「ごめん、痛かったか?」
ザックスが顔を覗き込むと、クラウドは口をすぼめて小さく頷いた。
涙目で素直に答える様子に今度は庇護欲が湧いてくる。ザックスはクラウドをそっと腕の中に抱き入れた。
頭を撫でながら額や頬に慰めるように唇を落とす。
背中をさすって静かに抱いているうちに、クラウドは自分からザックスの胸に頭を預けてきた。
しばらく経って、ザックスは背中から臀部へと手を滑らせてそこを再び触れる。
びくりと身体を強張らせるクラウドを安心させるように唇を重ねた。
夢だからとリミッターが外れ、荒っぽいやり方をしてしまったことを反省した。罪滅ぼしのようにゆっくり丁寧にほぐしていく。
十分に慣らすと自分に背を向けるようにクラウドの体勢を変えて後ろから中へ入れた。
「う…はぁ…」
「ん…」
程よい締め付けに嘆息するとザックスは更に奥へと挿入する。
これなら大丈夫だろうと徐々に腰に動きを付け始める。
段々と強くなる衝動にクラウドはベッドに顔を押し付けて全身に走る快感に身体を震わせた。
「ああ、いやだあっ!こんなの、ダメ…」
苦しそうな喘ぎにザックスはクラウド自身へと手を伸ばした。
カリの部分を撫でるようにさわるとあふれ出た精液がぬるぬると指に絡みつく。
「なんだ、濡れてんじゃん。心配しちゃったぜ」
「ひぁんっ!触んな…」
非難する声も甘ったるく響く。心から嫌がっているのではないとわかり今度は何の気兼ねもなく抽送を始めた。
緩急をつけたその動きにクラウドも堪らず声を漏らす。
「あ、あ、もぅ…!」
「ん、出る…っ」
臀部を押さえて何度も打ち付けると、内壁がひくひくと収縮する。
ザックスはそのまま中で吐精した。
* * *
翌朝、目を覚ましたザックスはベッドの脇に下げている靴下を見やった。
昨夜と変わらず何も入っていない。
当たり前か、と自嘲しながらザックスはベッドの上で伸びをした。
ああ、いい夢だったな……。
そう思った瞬間、すぐ横で誰かの声が聞こえてきた。
「んー…」
声のした方を振り向くと、夢だったはずのサンタクロースの孫――クラウドの姿があった。
クラウドは寝返り打ってザックスに自分の体を寄せた。
「え……え!?なんでいるの!?」
どうして、あれは夢だったんじゃないのか?
しかし夢などではなく、こうして朝になってもクラウドは確かにそこに存在している。
夢だから無理強いするような真似をしても大丈夫だろうと思って抱いたのに、これでは話がちがう。
このままクラウドが目を覚ましたら烈火のごとく怒って自分を責め立てるのでは?
おろおろと慌てふためくザックスの声でクラウドは目を覚ました。ザックスと目が合うと少し視線を逸らし、目の前で揺れる黒髪をぐいと引っ張った。
「いてっ」と小さく声を上げながら、これが本当に夢ではないのだとザックスは思い知った。
どんな罵倒の言葉が飛んでくるか、ザックスは内心ヒヤヒヤしながら待った。
すると頬を膨らませながら少し顔を赤らめ、斜めににらみながらクラウドはぽそっとつぶやいた。
「…オレ、初めてだったんだから…責任取ってよ」
「は、はは…サンタさんって本当にいたんだなー……」
こうしてザックスはサンタクロースから十年遅いクリスマスプレゼントを受け取ったのだった。
END