『a foreign・・・』



(2)


蘭世はおぼつかない足取りで、カルロ、と名乗った男に
肩を抱かれ支えられ誰もいない薄暗い休日の、オフィスの廊下を歩いていた。
オフィスの片隅で、身も心も熔けていきそうな上等の口づけを受け・・
蘭世の心の砦はたやすくその男によって取り払われてしまっていた。
(こんなのって・・・こんなのって・・わたし、知らない・・・)
揺れざわめく蘭世の心。
そしてその男は・・耳元へ、囁く。
「誰にも邪魔されないところへ 行こう」

カルロは小さな会議室へ蘭世を誘う。
拒否もできたはずなのに。蜘蛛の巣の透明な糸にかかった蝶のように
見えない何かにからめ取られ誘われるままに歩みいる。
今日やっと話をしたばかりなのに。
それは・・男の妖しい魅力のせい?
それとも・・・自分自身の奥に眠っていた”好奇心という名の欲望”のせい?  
肩に背中に触れている場所から、絶え間なく優しく妖しい波動が伝わってくる。

扉が・・閉ざされた。
そして、カチリ、と鍵を掛ける音が背中で響く。
(狭い部屋で・・ふたりっきり・・・)
そう思っただけで蘭世は甘い眩暈を感じる。
だが、ふいに、カルロは蘭世を支えていた手を離し・・・彼女から離れた。
(?)
小さな会議室の上座から、カルロは椅子を引き寄せてきた。
肘掛けの付いた、比較的幅の広い・・課長クラス以上が座るものだ。
カルロはそれを蘭世から少し離れたところに置き・・スッ、と腰掛ける。

そうやって蘭世の方へ向き直り・・右手を差し出すのだ。
「私は無理強いはしない。・・・鍵を開けてそこから出ることもできる」
(!!)

どうしよう!

この期に及んで、男は蘭世に・・選ばせようとしているのだ。
自分の元へ来るか、それとも・・・離れていくのか。
蘭世の心は千々に乱れる。

蘭世は進むことも戻ることも出来ず、真っ赤な顔をして立ちつくしていた。
そんな彼女を知ってか知らずか、再びカルロは声を掛ける。
「お前の意志で・・・ここへ来なさい」
そう言って・・・カルロは、金縛りにあったように動かない蘭世をじっと見守っている。

そう。
選ぶのは自分。引き返すこともできる。
なのに・・・なのに・・・。
『・・・おいで・・・』
聞こえない声を聞いたような気がした。
蘭世は ふらふらと 見えない引力に引きつけられ・・彼の元へ、歩み寄った。
・・ううん、私、選んだ。自分で選んだのよ。
(きっと、もういちど あのキスをして欲しかったんだわ・・・)

蘭世はカルロが差し出す腕の中に おずおずと入っていく。
(あ・・・)
満足げなカルロの笑み。そして・・背中に回された大きな手がその細い身体を捕らえた。

再びの口づけは・・・先程よりもさらに熱く、甘い。
夢中になり・・やがて 蘭世もカルロの肩に腕を廻していた。

初めはぎこちなく立ったままカルロに半身を預けるようにしていたのだが、
やがて押し寄せる甘い感覚に溺れ彼の膝の上に崩れ落ちるようにして跨る姿勢になっていった。
「そうだ・・いい子だ」
彼の口から語られる言葉は少ない。
だが・・その手は言葉以上に巧みだった。
制服越しに愛撫してくる手は、もどかしく、ますます蘭世を深みへと引きずり込んでいく。
腰の敏感なラインをなぞると、思わず甘い声が桜色の唇から零れだしていた。
白いブラウスのボタンが外され・・胸元へカルロが忍び込んでくる。
「ああっ・・!」
つん・・と堅くしこった胸の突起を甘噛みされ、蘭世は身を仰け反らせる。
「だめぇ・・あぁん・・!!」
胸が相当敏感らしい蘭世は身悶え頭を左右に振っている。
吐息もますます熱くなっていく。
火照った体温で、さらに媚薬のように彼の香りがまとわりついてくる。
カルロは腕の中で乱れていく蘭世を愛で、己も高ぶらせていく。
そして。
「いやっ!どうし・・あぁっ・・・!!」
蘭世はいきなりの出来事にうろたえた。
あられもなく開いていた身体が・・突然、カルロのそれに貫かれたのである。
ショーツも、ストッキングさえも脱がされた覚えはない。
カルロは、ストッキングを静かに破りその隙間から侵入したのだった。
「だめぇ・・そんなぁ・・ぁ・・んっ・・」
思いがけない背徳の行為が・・蘭世をさらに妖しくときめかせる。
(こんなのって・・こんなのって・・・!)
深く、深く身を繋がれ狂おしいほどの快感が押し寄せる。
突き上げられるたびに身体を電流が駆け昇っていく。
思わず蘭世はカルロの首にむしゃぶりつくようにかきついてしまう。
蘭世の耳に・・カルロの熱い息づかいも届いてくる。
(!!)
カルロはさらに、片手を蘭世の下腹部に伸ばし、ショーツの隙間からすっかり赤く熟れた
敏感な芽を指の爪先で弄び始めた。
「きゃああ!!」
(いやあっ・・このうえそんなぁっ・・・!!)
余りの強い刺激に、悲鳴のような喘ぎ声を上げてしまう。
「おねがいぃっ・・・やめてぇっ・・!やあんっ・・!!」
身体の中心がビクビクと痙攣し・・蘭世は、その意識を手放した。





(・・・)
部長の挨拶は終わり、総務部からの連絡に切り替わっていた。
蘭世の頭の中で、まだ昨日のリフレインは続いている。

(あのあと・・まだ・・気が付いたら机の上、に寝かされちゃってて・・続いたんだよね・・・)

次第に頭の芯がクラクラとしていく。
(もう座りたいな・・)
そう思った途端、蘭世の身体がぐらっ と揺れた。



つづく


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