時すでに遅し
清々しい風が吹きぬけ緑をかすめる。
時刻は人々の大半が昼ごはんを食べ終わり、
ちょうど仕事に励もうかと重い腰をあげるようなときだった。
いきなり悪魔の男達三人組が、ドルクパートと呼ばれる新人女神の仕事場に侵入してきたのだ。
バン
男達が乱暴に開けたドアの音が静かなドルクパートの中に響く。
女神はいっせいにその音がした方向に振り向いた。
そこには初めてみるようなゾクゾクするような美貌。
自分達と反対とされる美しき悪魔に魅入られていた。
そのうちの赤い髪の悪魔鞍馬 の唇が薄く開いた。
「神 をお呼びしていただけませんか?」
こぼれる言葉はまるで誘惑するような声色。
聞きほれて返せないものどもの中からいち早く正気を取り戻した兵士は言葉を返す。
「申し訳ございません。それはできません」
「荒い手は使いたくなかったのにしょうがない」
鞍馬は近くにいた女神を手に取りその首に銀のナイフが当てられた。
女神は恍惚とした表情だ。恐怖の色はまったくなかった。
「じゃあ改めて神 を呼んでください。この人だけでは足りないですか?」
なんでこんなことになったのかそこにいた兵士には分からなかった。
神殿を覆う結界に異常はなかったはずだ。
コツコツコツ。
本館につながる通路からたくさんの足音が聞こえる。
鞍馬の隣にいる男シェルがそちらをじっと見つめていた。
金の装飾に彩られた扉がギィという音を立てて開く。
「王家一行ならびに守者のご入場です。道を明けなさい」
女神たちはその声にはっとなるとそそっと歩き道を譲る。
現れたのはルートという身分を隠すための布を被った者たちだ。
規律正しい足音をならし3人の悪魔の前に並ぶ。
「我が王宮に何ようですか?」
男とも女とも区別つけがたい声が響く。ルートから覗く髪は神々しい金色。
そのものの名は精霊レオといった。今最も神 に近しい存在といわれている。
ただ着るものたまに女物が存在することが難な人だ。
「王家のものならば現状を把握してきたのだろう?」
シェルは眼鏡を少し上げながら問う。
「それが分かっているのでしたらお答えしましょう。
現在神 はおりません。貴方の王と共に消滅したのはご存知でしょう」
そうなのだ。つい一週間前王家を象徴する神 は暗家の王と王妃と共に消滅したのだ。
あれはひどい戦いだった。欲におぼれた暗家とそれを止めるために出た天使たち。
精家の闇夜とその守者花紅露も参加した。
私は前線にたち、花紅路は後方で精霊が動かないようにしていたらしい。
精霊が動きすぎると自然のバランスが崩れるからだ。
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微妙なところで区切ってしまった。
この物語視点は後々一つになる予定。
由兎の手元にある原稿と話が変わっている。物語の進行は同じだけどね。
えぇっとボーイズラブっていえるのはずっと後の話。
読み手のときはこういう後からって言うのが結構嫌いなのにしてる因果だ。