開放2
甘い香り。
何の香りだろう?それに妙に暖かい。
この暖かさは久しく感じていなかったような気がする。
闇夜は目を擦り視界をはっきりさせようとしていた。
「んっ〜。うわっあっごめんなさい。花紅露!!」
目の前には自分と同じくらいの身長の主、花紅露。
男としてはまぁふつうくらいかな?の腕の中で寝ていたらしい。
それより怒ってないかな。腕いたそうだし。
こわごわと顔をあげて花紅露の方を見る。
顔見えないのは分かってるんだけど、思わず確認せずには要られないのだ。
「なにかありましたか?」
花紅露は予想外に怒ってなかった。
「重くない?」
闇夜はのしかかったまま顔を上げて聞く。
「別段重くはありません。いつもやってることですから」
花紅露はまったく嫌がる素振りを見せなかった。
もしかしてこいつ意外に優しい?
「寝たんだ結局あのまま」
「どうやらそのようです。
私もぜんぜん気づいてませんでした。もうしわけありません」
「いいの。私が寝たんだから。
ゆうってば何時種明かし、してくれるのかな?」
「毒を盛られていたことを知らないみたいですからね。
ちょっと遅くなるんじゃないですか」
「やっぱり。そうか」
だいたい予想はついていたのだ。
毒のことが知られていたらもっとはやく片付けてくるはず。
おまけに冗談だと思われていた節があるから遅くなるのもよく分かる。
「今すぐここを空けろ!」
「ゆっゆう様、はいただいま」
「やぁ。行生殿、雪殿、未央殿。ご機嫌いかがかな?」
花紅露は邪気いっぱいに尋ねる。
おまけにゆうのことは無視だ。
「そんなことはいい。闇夜無事か」
行生は花紅露を遠ざけて通ろうとするが花紅露が阻む。
「私がお連れします。だいぶ、食事に含まれていた毒のせいで身体を病んでおいでですから」
「解毒剤を用意した」
雪は緑色の小瓶を袋から出す。
花紅露はそれを受け取ると一気に飲み干す。
ごくっ
「なっなにをする。せっかく用意したものを」
「毒が入っていたら大変ですから。
あぁもちろん私の体液で闇夜様の毒は中和させていただきました」
「馬鹿なあれはわたし達兄弟が作ったものだぞ」
「関係ない」
「花紅露そんなこといってないでさっさとその部屋から出た方がいい」
「そうですね。私たちにはこの部屋にいる理由なんてありませんからね」
「花紅露」
闇夜はおびえたように花紅露を覗き見る。
「闇夜お帰り」
ゆうはそういって闇夜を抱きしめる。
「父様」
「なんだい闇夜」
その言葉に安心して闇夜わギュッと父の方にしがみつく。
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ギュッの効果音が好き。のほほん?ふわふわってかんじがする。