復讐
「おい。闇・磨鈴そこにいるんだろう。出てこいよ」
私の眠っている隣でうっとりとするような、低い男の声が聞こえた。
確か、隣には闇夜様しかいなかったはずだ。
パタンと本を閉じるような音が聞こえ。空気に軽く結界が張られた。
闇夜の結界だ。
「あらら。見つかちゃたのね」
空間が震え、きゃははと嬉しそうな声が聞こえた。
どんよりと絡みつくこの気配、磨鈴か。
「当たり前だよ。俺の方が、力が強い」
それは謙遜なんてものは一切なかった。自分に地震を持った強い意思を持った声。
「あら、そこにいるのは貴方の守者かな?」
磨鈴は花紅露に指を刺した。
「・・・・・・そうだが」
闇夜はいったん口を切った。
「へぇこの男、私のこと気づいたわ」
磨鈴は感心したようにいった。
「・・・うるさいですね」
花紅露はぼそっと呟いたのだが、それは聴力の整った二人にははっきりと聞こえた。
・・・・・・
もちろん花紅露もそのつもりだったのだが。
「起きてたのか」
「・・・・・・」
花紅露は無言で立ち上がり闇夜の前に出る。
「私は戦う気はないわ。ただの様子見よ」
磨鈴は何にもしないというように手を振った。
「信じると思いますか?」
花紅露皮肉そうに笑う。
「花紅露下がれ」
なんでこの人は止めるんだろうか?
「憎んでないの」
と闇夜の反応を見ながら言う。
「俺は、お前よりレオと闇夜以外の兄姉が、憎い」
闇夜はぽつりと言った。
花紅露はその言葉に真実を見出したような気がして黙った。
「へぇ」
笑いそうになりながらも相づちを打つ磨鈴に
「何か、おかしいか?」
と闇夜は聞く。別段おかしいと思うことはいってないと思ったからだ。
「うん。普通、聖家の人間だったら、私を憎むと思ってたから。・・・好みかな」
余りに素直な磨鈴に、ちょうどポケットの中に入れてあるリボンを投げて、
「ふ〜ん。これやるよ」
と素っ気なく言った。人にものを送るのはどちらかというと。好きな方だから。
「ありがとう。これ、大好きなの」
と年相応な反応を見せる。
ここ数年見なかった素直な反応だ。
「服のあちこちについているもんな」
「おれいにx貸してあげる」
磨鈴は突然そんなことを言い出した。どうやら、今のことで警戒心をなくしたらしい。
「俺とレオの部屋と闇夜の部屋には、やるなよ」
半分、本気で言ってやったら
「分かってますって」
と意外な反応をしてきた。
「意外と可愛いな」
と本心を伝えてあげたら
「ありがと。兄さんと同じ位好きだわ」
「私の部屋にも入れないでくださいね。敵とみなします」
花紅露はぼそっと呟いた。
その言葉に花紅露を忘れていたのを気づいた闇夜は少し申し訳なかった。
「さっきはやる気だったくせに」
磨鈴はいやみに言い放った。
「無意味な争いは私の好むところではありませんよ。まして、関係ない人なら」
磨鈴にはその言葉は不吉なものとして残っていた。
これはあっさり切り捨てる人だわ。
とりあえず磨鈴にとっての、闇夜の株一気に上がった。
しかし闇夜は思った。xってあれだよな・・っと。
戻る 小説へ 次へ
視点が混乱中?とりあえず花紅露と闇夜の二人ってこと。
どんどん1ページあたりの文字が増えてきた。