海に黄昏し運命の古城2
この城を手に入れて数日。
ファオは階段を降りると足を止め、あたりを見渡した。
どこを見ても石垣ばかり。
海の上にあるということをかんば見れば当然だろうが違和感を醸し出す。
慣れない石垣の冷たさ、大きすぎて自分が小さく見える惨めさ酷く悲しい。
それでも、周りは動いていった。
この城を本拠地にするために。
はっきり言って、何から手をつけていいのか俺には分からなかった。
見ているだけで、人が慌しく動いていても興味さえも抱けなかった。
壊れていたのか?
少し落ち着いた今は素直にそう考えれた。
!
突然背中に衝動が走りビクッとしてしまう。
「ファオおはよう」
「おはよう。ルック」
日頃の良い教育のせいか挨拶を返していた。
後ろを取られるなんて勘が鈍っているのかもしれない。
でもよく考えてみると
この子は始めから気配を読めなかったことを思い出した。
「ルックそろそろ離れれくれないかな。さすがに重いよ」
ファオはルックの手を外しながら言う。
「鍛え方が足りないんじゃない」
言葉に反して笑顔が顔に上っており上機嫌だ。
それを証明するかのようにルックはもっと抱きついてきた。
「相手が嫌がることをしないって親から教わらなかったのか」
フリックは青いマントを揺らしながら近づき、腕を組んでルックを睨みつけた。
当の本人は気にした様子も見せず、ファオに寄りかかっていた。
「おい、フリック落ち着けよ。相手は子どもだ。
それに最近、変だぞフリック」
のんびりした様子でビクトールが歩いてきた。
身体が大きい性か声まででかい。
その性で多くの人の注目を集めてしまう。
彼の性格だったらそれは人脈を気づくに最適の道具なのかも知れない。
実際、俺もそうして仲間になったのだから。
「ビクトールさん。おはよう」
ファオが軽く挨拶すると
「よせって、さん付けなんて気持ちがわりぃ。
ビクトールでいいもちろんそこの坊主もな。」
彼は頭を掻き照れた様子を見せてはにかみ笑いを見せた。
ルックは先日の一軒が身に染みているのかファオの後ろにズット下がる。
服を掴まれているので自然と自分も下がる形になってしまった。
「なにもしねぇってのに」
ビクトールは反応に少し傷付いたように呟いた。
この古城でも一際、大きい部屋でファオ達、つまり、オデッサ率いるメンバーと
ファオ、ルック、マッシュは会議をしていた。
ルックはこんなところにいなくてもいいはずなのだが
「ファオと一緒にいる。僕を一人にする気!」
といってファオはつい可哀そうになって連れて来てしまった。
思ってみればルックは一人だった。
レックナートの所から連絡は一切ない。
それに、僕は自分の身に当ててしまった。
ルックを忍び見ると子どものような表情でつんと唇を尖らせ暇そうにしていた。
「ファオ聞いていますか?」
「んっ?」
すっかり自分に懐いてしまったらしい相手を見ていたら聞き逃してしまったらしい。
「ですから、このままでいる訳にも行きません。
と言ったのですよ。
私も軍師となった以上は行動しますよ」
怒鳴りつけられた時が嘘のようにマッシュは優しい顔をしている。
が同時に何かを決心しているかのように、しっかりと前を向いている気がする。
「で、こうやって集まって持ちかける以上策があるんだよな」
ビクトールが確認するようにいる。
「もちろんです。ここから、そう遠くないところにレパントという人が住んでいます」
ファオは腕を組み聞き覚えのある名を頭の中で数回繰り返す。
あぁあのレパントか……。
民のことを身近に考え、忠誠心もある男。
愛妻家としてもよく聞かれている。
その彼をどうするのだろうか?
「仲間にしてください」
いとも簡単そうに軍師は言ってくれた。戻る 罪と罰 進む
ダメだ……視点がころころ変わる症候群が……ぁバタリ