ジョナサンとレナードの関係が、ギクシャクし始めてからほんの数日後の事だった。真夜中に突然、寮内に非常ベルが鳴り響いた。一斉に全室の灯りがともった。
「異常点呼!異常点呼!」
廊下で秘書が、がなりたてる声がする。
ジョナサンとレナードはベッドから飛び起きて、顔を見合わせた。その時、ロックを外すのももどかしいとばかり、コンチネンタル大尉がドアを蹴破って秘書と共に、入ってきた。
「起きろ!異常点呼である!」
秘書の言葉に続いて、大尉が言った。
「この基地にスパイが潜伏しているとの情報が入った。よって今から身体検査を行う!」
思ってもみなかった状況に、突然起こされた二人は驚いて、黙っていた。
「返事は!!」
大尉の怒鳴り声に、二人は声をあわせて「サー、イエッサー!」と、おとなしく服従の意を示した。
二人は命ぜられた通りに軍服を脱いで、下着姿になり、両手を頭の後ろで組んだ。
秘書が軍服のポケットを一つ一つ裏返して丹念に調べていった。ジョナサンの服を秘書が手にとった時、大尉は目配せを送った。秘書は頷いて見せ、ジョナサンとレナードには見えないように、そっと袖からしのばせて置いたエンブレムを、掌の中に移動させた。
「大尉、これを!」
秘書はそれをさも大発見をしたかのように、高く掲げてみせた。
大尉は大げさに、驚いた、という仕草をした。
「おお!それはアポカリプスのエンブレムではないか!!」
ジョナサンは眼を見開いた。もちろん、身に全く覚えのないことだ。
「貴様が、スパイだったのか?」
大尉が、底意地の悪い笑みを浮かべて、ジョナサンを見た。
(罠だ──自分を陥れるための…!)
ジョナサンは無言で唇を噛んで大尉を見上げた。レナードも心中は同じで、怒りを込めて睨んだ。
「どうした!貴様がスパイかと聞いておる!!」
「サー、ノー、サー!」
ジョナサンはきっぱりと言った。
大尉はニヤリ、と歪んだ笑みを浮かべた。
「そうか、ではゆっくりと調べる必要があるようだな…連行しろ!」
後ろに控えていた、秘書と、控えていた兵士がジョナサンの腕を捕らえ、連れて行った。
大尉は、レナードの方に向き直り、鞭の先を彼の頬に当て、言い渡した。
「同室者の連帯責任として、お前は営倉入りだ!」
レナードは悔しげに唇を噛んだ。
これでこの前、兵達の面前で恥をかかされた事に対しての礼をしてやったり、とばかりに大尉は満足そうにほくそ笑んでいた。
 
「うわあっ!」
シャワールームに連行されたジョナサンは、タイルの床に座り込まされて、秘書に髪を掴まれ、激しい勢いで顔に水を浴びせられた。身につけていた下着がずぶぬれになって体にはりつき、冷たくて気持ちが悪い。こんな状態に屈辱感を感じたのもつかの間で、ジョナサンが人の気配に気づいて振り向くと、大尉がいた。
大尉は全裸だった。そして、その巨体の中心にある、でっぷりとした下腹部の下にあるものは、上を向いてその存在を誇示していた。
その意味を瞬時に理解したジョナサンは恐怖に体が凍り付いた。たとえ髪をむしられても逃げなくては!とばかりに必死で体を起こそうとしたが…それより一足早く、秘書はジョナサンの腕を掴んで、床に押さえつけた。
「うう…っ」
大尉は、秘書に「大人しくさせろ」と命令し、秘書は手早くジョナサンの両腕を後ろに固定して、両手首を紐できつく縛り上げた。ジョナサンは抗ったが、タイルの濡れた床が滑って、脚の力だけでは立ち上がることはできなかった。秘書は慣れた様子で作業を済ませ、終わってしまうと、ジョナサンは抵抗を封じられていた。
「どうぞ」
秘書はジョナサンを、大尉の方に向きなおらせて、そのままどこかへ行ってしまった。
大尉は床に座り込まされたジョナサンの、濡れたタンクトップに両手をかけ、力任せに引き裂いた。
「うっ…」
さっきよりもひどい屈辱感を感じた。ジョナサンは唇を震わせて、堅く目を閉じた。くっきりした睫毛が影を作り、髪は濡れて額に張り付いていて、身体には水滴が滴り落ちている。
コンチネンタルは、彼を見下ろした。
──この部下は、こんなことをされても、泣き叫んだりせず、ただ顔を背けて屈辱に耐えている。…しかし、その唇を堅く結んだ表情が、いつまで保てるのだろうか。今まで、何人もの部下に関係を強いたが、大抵少しばかり強引にしてしまえば、この娯楽に餓えた軍の人間は、忘我の境地にひたれる行為に夢中になり、羞恥心を感じながらも自分から求めるようになる。ただ、この黒い髪の少尉は、少しばかり手こずらせるようだが…。
「お前は、強情だな…」
後ろ手に縛られた上に、肌を露わにさせられ、きゅっと唇を噛みしめている、ずぶ濡れのジョナサンの姿に嗜虐心をそそられた大尉は、その白い頬を手で撫でながら言った。
「だが、お前は私の部下だ。私の命令を聞いて、忠誠を誓わねばならん…それを今から、教えてやろう」
「……」
ジョナサンは下を向いた。だが、大尉はぐい、と顎を掴み、顔を近づけた。至近距離の大尉に、恐れおののいていると、大尉はジョナサンの首筋から耳朶にかけて、舌で舐めあげた。
「くっ…」
ジョナサンは気持ち悪さに体をよじり、嫌悪感を露わにして顔を背けた。その姿は、大尉の支配欲を一層駆り立てた。
大尉はジョナサンの頬をグローブのような大きな手で、はり倒した。ジョナサンは呻いて、床に倒れた。
大尉はジョナサンの小柄な身体に乗り上げて、何度も、同じように首筋を舌で舐め続けた。
「うう…ううっ…」
その気持ちの悪い感覚に、ジョナサンの身体は小刻みに震えていた。自重と、大尉の人間離れした巨体との体重に押しつぶされ、ジョナサンの身体の下敷きにされた両手はしびれ、感覚が無くなってきた。
大尉は、ジョナサンの頬の水滴が乾いてしまうまで、そうしていたが、やがて、身体を離した。
そして、ジョナサンが身につけていた、最後の一枚に手をかけて、ぐいと引き下ろした。
「おお…」
ジョナサンの、あまり濃くはない体毛に覆われた、淡い色のそれが現れたのを見て、大尉は不気味な笑みを浮かべた。
「や…やめろっ!」
ジョナサンは辱めに耐えきれず、声をあげて抵抗し、まだ完治していない脚で蹴ろうとした。しかし、大尉はまた頬をゴキッと音がするほど殴って、黙らせた。
「ぐはっ…!」
ジョナサンがその痛みに抵抗できなくなったところで、下着はつま先からはぎ取られた。
大尉は待ちかねたように、手首に巻かれた紐以外に何も身につけていないジョナサンの両膝を掴んで、左右に大きく開かせた。ジョナサンは必死で閉じようとあらがったが、大尉の怪力には、所詮勝ち目はなかった。
大尉はジョナサンの股間に顔を埋めるようにしてきた。
「うっ…!」
ジョナサンは思わず目をつぶった。大尉はジョナサンの晒された性器の先端を舌でぴちゃぴちゃと音をたてて舐め、そこがびくっと固くなって反応すると、唇をあてて、くちゅ、と吸い上げた。
「……ぅ…」
ジョナサンはきつく唇を噛みしめた。精神的には信じられないことをされていて、気持ち悪くてしかたないのに、身体は勝手に反応している。それをくわえている大尉にはすっかり分かられているだろう。そうされている淫猥な音がシャワールームに反響して、ジョナサンの羞恥心を煽った。せめて自分の声だけはあげたくなかった…。それでもどうしても、息づかいが漏れてしまう。
「はっ…うっ……!は…あっ…」
ふと、自分の方に誰かが来た足音を感じて、驚いて眼をあけると、秘書がいた。秘書も大尉と同じように、裸だった。
「……!」
秘書は床に倒されているジョナサンの頭の方にしゃがんで、腕を伸ばし、掌でジョナサンの両乳首を爪を立ててきつく摘(つま)み上げた。
「つぅ…!はあ…あ…っ」
その痛感に、ジョナサンの筋肉の付いた白い身体は、弓のようにしなった。薄い皮膚は敏感だった。責められた所は堅く芯をもって、赤みがさしてきた。秘書はそのまま、掌でそこを擦り立てていた。
「う…っ…」
大尉は、ジョナサンの根元のほうまで口に含んで、わざと彼に聞かせるように音を派手に立てて、舐めて吸い上げていた。押さえつけられた脚が、がくがくと痙攣していた。
男である自分が、男二人によって辱められているという状況は、とても直視できるものではなかった。ジョナサンは堅く堅く眼を閉じた。脳裏に、なぜか思い浮かんだのは…冷たく振る舞うジョナサンに戸惑い、心配そうな、悲しそうな表情を浮かべていた、レナードの姿だった。
(…レナード……!)
 
その頃、レナードはおとなしく、二人の兵士により、営倉へ連行されていた。
ジョナサンのことが気になっていたが、立ち止まると、兵士に背中をどつかれ、仕方なく従った。
とりあえず言うとおりにはしておいたが…どうもこの事態は異常すぎる。ジョナサンがスパイであるはずがない。そんな素振りは全くなかったし、第一あの謎の敵=アポカリプス達が、スパイを差し向けた、などという情報は、前代未聞だ。なぜ、そんなことを大尉が…。
薄暗い営倉のドアが、開かれた。
その時、レナードの脳裏に、ある場面がフラッシュバックした。
 
「兄さん!助けて!兄さんっ!」
あれはコロニーが突然の襲撃を受けて、半壊した時だった。たった一人の弟は、その時に、コロニーの割れ目に吸い込まれてしまった。崖のようになったそこから、はい上がろうと地面に手をかけ、弟は必死で泣き叫んで、助けを求めていた。レナードが必死で手を掴み、引き上げようとしたが、弟は、レナードの手から滑り落ちてしまった。
「ああああーっ!!」
ジョナサンによく似た、黒い髪の弟は一瞬で墜ちていった…。あの恐怖に凍り付いた表情は、まだはっきりと覚えている。
彼を守れなかった──そのことは、レナードが軍隊(ここ)にいることと無縁ではない。
 
レナードは決心した。兵士達が営倉の中に気を取られている隙をついて、ドアで当て身を喰らわせた。堅い鉄のドアと壁に挟まれた兵士は、苦しげなうめき声を上げて、ズズ…と座り込んだ。それでひるんだもう一人の兵士に、すかさずみぞおちの辺りを肘でガツッと音がするほど突いて攻撃した。
「うう…っ」
もう一人の兵士も、あっけなく床にうずくまり、しばらく動けなさそうなことを確認したレナードは、走り出した。
ジョナサンが、何か悲惨な事になっている──弟の幻は、そのことを伝えているとしか思えなかった。
軍規違反になったって構わない!彼を救わなければ…!!
レナードはひたすら、走った。
 
ぎゅっと目を瞑って目の前の光景を見まいとしていたジョナサンは、体勢を変な風にさせられる気配に、思わず目を開けた。秘書に膝を掴まれ、大きく左右に開かされた。自分の一番恥ずかしい部分を、脚の方にいる大尉の目の前に晒す体勢になっていたことに気づいたジョナサンは、驚愕して身体を振った。大尉は口許をぬぐった。そして、自分のを手で誇示して見せた。
ジョナサンは震え、激しく身体を捩(よじ)って、逃れようとしたが、秘書の腕の力は弱まることはなかった。
(…嫌だ……これ以上は…)
グリーンの瞳は悲痛に歪み、潤んでいた。ジョナサンは身体を恐怖に堅くして、大尉が思いとどまることを願っていた。
大尉は、位置を確認するように、指先で、微かに粘膜が見える孔に触れた。
「うあ…っ」
ジョナサンの身体は、びくっと竦(すく)みあがった。鋭い痛みが走った。
「…ふむ」
大尉はきつく閉じたそこから、すぐに指を離した。ジョナサンは少し力が抜けた。大尉が諦めたのかと思ったのだ。
しかし、違った。大尉はすぐに、ジョナサンの腰を抱え上げて、自分のものを彼の最奥に合わせた。きつく締まった箇所を、堅くなったもので無理矢理こじ開けようとしているのだった。
「くっ!…はあっ…あ…うっ」
その苦しさに、ジョナサンは唇を震わせて、息を吐いた。大尉の先端の部分は濡れていて、そのために少し滑ったが、それ以上は無理としか、ジョナサンには感じられなかった。濡れてもおらず、ほぐれてもいない、強張った未経験の彼の器官は、開こうとはしなかった。しかし、それでも大尉は押し当てたものを、奥へ進めようとしている。滑らない乾いた孔の粘膜をギリッ、ギリッと押し開かれる痛みは、耐え難いものだった。それが、欲望で充血している男の器官だと思うと、なおさらだった。
「やっ、やめろー!」
ジョナサンは身体を必死で振って、最後の抵抗を示した。
しかし…。
大尉はそんな抵抗を聞き入れはしなかった。むしろ嗜虐心を煽られた大尉は、ジョナサンの下肢を高く抱え上げて、腰に大きく勢いをつけて、「む…ん」と呻いて、抉(えぐ)るように、一息に奥までズグッと貫いてやった。
一瞬、ジョナサンは大きく痙攣した。焼け付いた杭を突き立てられたような激痛と、男に力ずくで後ろを犯されたことへの屈辱感が、彼を襲った。
「う…うわああああーーっ!!!」
ジョナサンの断末魔のような絶叫が、シャワールームに響いた。
「…む…ぅ…」
ジョナサンの、衝撃で強張ったそこはきつく大尉のものを締め上げた。
大尉に脚を抱え上げられて、下半身だけが高く上がった体勢で、繰り返し腰を押しつけられて身体の奥を抉られ、ジョナサンは吐き気がわき起こった。
「あ…ああ…ッ!はあっ!はっ!…あっ!」
辛そうに口を開けて、酸素を求めて荒く、低い声をあげるジョナサンの肩を、秘書は押さえつけて、その苦悶の表情を情欲に満ちた顔で見つめていたが、堪えきれなくなったのか、
「大尉、私も…よろしいでしょうか」
と申し出た。
「よし、お前は口を使え」
大尉はジョナサンの腰を抱えた。秘書は背中から腕を回し、二人でジョナサンの身体を支えた。大尉のものが身体の中に入り込んでいるまま、ジョナサンは背中が上になる姿勢に回転させられた。
「うああっ!」
内部で捻(ねじ)れるような、異様な感覚に、ジョナサンは悲鳴を上げた。その開けた口に、秘書の怒張したものがねじ込まれた。
「…!ぐぅ…っ…!うう…!げほっ!」
喉の奥に当たって、ジョナサンは反射的に噎せていたが、秘書はそれに気を留める様子もなく、もっと深くくわえさせようとしていた。
せめて喉の奥を突かれるのを避けようと、ジョナサンは必死で、舌で秘書のものを押し返そうとしたが、それはかえって刺激になったらしく、口腔内の物はふくれあがり、秘書はジョナサンの髪の毛を掴んで、頭を激しく揺すらせた。
「…ぐっ…うう…」
若い純粋な兵士は、二人の上官によって好き放題に蹂躙されていた。
…息が出来ない。吐きそうになる。腰を抱えられ、尻を突き出すような恥ずかしい姿勢にさせられて、両手は後ろ手に縛り上げられ、上半身は髪と肩だけ掴まれてやっと支えられているという辛い体勢だ。そのうえ、口が塞がれて窒息しかけている。でも苦しいのは口だけではない。内臓を掻き回される苦痛と、おぞましさ。大尉のぶよぶよした下腹部の肉が、ジョナサンの身体に当たって大きく揺れ続けていた。無理に受け入れさせられているジョナサンは、異様な感覚と灼熱の痛みに、気が遠くなりそうだった。
大尉の動きが一層激しくなっていった。ジョナサンの内部は、大尉の染み出てきたもので濡らされ、挿入された時より、滑りやすくなっているようだった。
大尉はジョナサンの腰を引き寄せて、強く掴んだ。動きがもっと激しく小刻みになり、呻く声が大きくなっていた。ジョナサンは身体を引き裂かれるような激痛に、声にならない悲鳴をあげた。そして大尉は、一段と大きく叫び、深く貫いて、欲望の果てを思う存分、ジョナサンの内部に注ぎ込んだ。
「…ああっ!…うあっ、うあああっ…!」
ジョナサンは頭を押さえる秘書に逆らって、大きくのけぞって叫んだ。その時、秘書も達し、ジョナサンの頬を汚した。
「…や、……うわっ!」
脱力した大尉がぞんざいに腰を抱いた手を離したため、ジョナサンの身体は支えを失って床に叩きつけられた。
 
レナードは廊下を走っていた。もしかしたら、ジョナサンが幸運にもあっさり返されて自室にいるかもしれない…と希望的観測を持って、まず寮の自室に戻ってみたが、空だった。レナードはいよいよ危機感を抱き、チェストの上のナイフを手にとって、走り出したのだった。彼の連行されていそうな場所を、ひたすら探した。大尉の執務室、捕虜収容用とされている施設、秘書の部屋…すべて見回ったが、どこにも見つからなかった。
もしや寮外かもしれない…と思ったレナードだったが、ふとシャワールームの前を通りかかった時、ロックされていることに気が付いた。ここは解放施設で、深夜でも使用しに来る兵士もいて、それは黙認されているため、時間外とはいえ、普通ならロックされていることは少ない。
レナードの脳裏に、弟の声がまた、聞こえたような気がした。本能的に「彼がここにいる」と感じた。
レナードはナイフの柄で、ロックシステムを叩いた。堅いガラスで覆われていたが、何度も満身の力を込めて叩くと、ひびが入り、壊すことが出来た。ドアが開いた。
その時レナードの見たものは…。
全裸の大尉は床に座り、同じく全裸の秘書によって、タイルの床に押さえつけられた男の黒い髪を掴んで、口による奉仕を強いていた。大尉と秘書はドアの開く音に気づいて、驚き、手を止めた。押さえつけていた手が緩み、被害者の男がこっちを向いた──ジョナサンだった。彼は振り返ってレナードの姿をみとめて、驚愕の表情を一瞬浮かべたが、すぐに、辛さに耐えるような、恥ずかしそうな表情になり、顔を背けた。
その痛々しい姿を見たレナードは、逆上した。
「貴様あーっ!」
レナードは手にしたナイフを鞘から抜いた。
「き、きさま上官に対して刃を向ける気か!?」
コンチネンタルは、急なことに、裸のまま後ずさることしか出来なかった。
「…コンチネンタル、お前のような外道は許してはおけない!」
レナードはそのまま、コンチネンタルに飛びかかり、そして──ジョナサンを
犯したものを、ナイフで斬りつけた。
「うわあああああぁぁーっ!」
大尉のこの世のものとは思えない悲鳴が響いた。
「大尉!大尉いっ!…ぐわっ!」
大尉に駆け寄った、共犯者である秘書にも、レナードの踵落としが見事に決まった。
血の海になった現場を後目に、レナードは、隅の方で裸体を晒され、縛られて床に転がっているジョナサンに駆け寄った。その身体は体液や血液で汚れていて、酷(むご)い蹂躙の跡を生々しく残していた。
「大丈夫か!?」
目の前で起きた出来事に、ジョナサンの眼は恐怖に見開かれて、身体を震わせていた。が、レナードが腕を自由にしてやり、起こそうと手を出すと、逃げるように身体を逆向きに捻(ひね)ろうとした。
「あうっ…!」
「無理に動くな、痛いだろう」
レナードの言うとおりだった、しかし、ジョナサンはレナードから顔を背けようとしながら、か細い声をあげた。
「レナード…、見ないで…見ないでくれ……」
見られたくなかった…。こんな屈辱的な姿を、しかもレナードに……。ジョナサンは起きあがって早くこの場から立ち去りたいと願ったものの、激しく傷つけられた身体は、少し動かそうとするだけで背筋までビリッと痛み、言うことを聞いてくれなかった。
レナードは無言で、バスタオルを出してきて、ジョナサンの身体をくるんで抱きしめた。
「苦しくて、辛かっただろうな…。すまない、守ってやれなくて……」
ジョナサンを抱く腕に、力がこもった。ジョナサンはその腕の中で、遠くにざわめきを聞いたような気がしたが──そのまま、シャワールームでの記憶は途切れた。

 

     

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