ようやく振動が止まり締め付けが緩むが、振動を与え続けられていたキリコの性器は達したばかりだというのに硬くなりはじめていた。
ここで止める気がキリコにはまったくない。まだまだこのバイブレーションを、気持ちのいい体を味わい続けたい。
半勃起のまま、キリコは腰を振り性器を熱い肉壁に擦りつける。
ぬるぬるとした感触が気持ちいい。締められる先端、摩擦される側面。
刺激を受けたキリコの性器はまた、どんどんと硬くなり反り返っていく。
完全な勃起感を感じたとき、またBJからの長いバイブレーションがきた。
その動きを堪能しつつBJの様子をじっくりと観察すると、すっかり意識が飛んでいるのか目は大きく見開かれ、体はガクガクと激しく震えていた。
これが。
ここにきてキリコはようやく理解した。
これが、ドライオルガズム。
話には聞いたことはあるが、ただの与太話かと思っていた。
この薬を投与した男が携帯でこの言葉を口にしていたが聞き流し、気にしていなかった。
だが、このBJの状態をみる限りそれは本当のことだったのだ。
射精せずに絶頂を感じる。
その快感は射精の何倍、何十倍だという。
そしてそれを感じる時間も信じられないほど長く、射精を伴わないため絶頂感は何度でも繰返し訪れる。
究極の快感。
薬のせいなのだろうが、BJはその究極を感じているのだ。
絶頂の度に体内がバイブレーションするのは薬のせいか、それとも元々BJが名器と呼ばれるものを持っているのかはわからない。
だが、これならキリコも何度も長く強烈な快感を味わい続けられるのだ。
BJは際限なく絶頂を感じ、その長い絶頂の間の体内の動きを存分に愉しむことが出来る。
「・・・まるで麻薬だ」
BJにとっても、キリコにとっても。
このセックスは強烈すぎてやめることができない。
「射精しないなら、射精せずにいられないくらいまで犯してやるよ」
キリコの顔が妖しい笑いを浮かべる。
征服欲、加虐感、色々な感情が混ざりキリコの性欲を高めていく。
すでに二回も射精しているというのに、まだまだ足りない。
もっと啼かせて気が狂うほど善がらせて、その体内をどっぶりと自分の精液で満たしたい。
そんな衝動をとめる理性はとっくの昔に消し飛んでしまっていた。
キリコは性器を引き抜くと、くんにゃりと脱力したBJの体を引き起こしうつ伏せにする。
女と違い男の体は重い。その足を抱えなくていい分動きやすい。
力なく寝そべるBJの腹の下に部屋にある限りの枕を差し入れて腰を突き出す体制をとらせる。
キリコの目の隠されることなくBJの穴が晒される。
散々嬲られた小さい穴は真っ赤に染まりぷくりと膨れ上がっていた。
今は閉まっている後門の周りは精液まみれで、淵には細かく泡だっている。
男の後門なんて見たくもないもののはずなのに、今は欲情を煽るだけだ。
「いくぜ、ブラック・ジャク」
そう声をかけたあと、キリコは一気に突き込んだ。
シーツを握り締めてBJは悲鳴をあげるが、後門は抵抗もせず巨大な性器を咥え込む。
すでにBJの後門は男を受け入れるための性器と化していた。
性器を咥え込み締め付け、挿入を悦び更なる快感を欲する。
キリコは後ろから圧し掛かると今までは与えなかった愛撫を施しはじめた。
前に回した手で胸や腹を撫でまわし、尖った首を指先で摘み、転がす。
「あっ!」
ちいさい喘ぎとキュッと反応して締まった後門で、BJが感じたことが伝わってくる。
「いくらでもいけ。たっぷり注いでやる」
キリコはそう呟いて、腰を突き上げはじめる。
ギシギシと鳴るベッドの音と、ぐちゅぐちゅという結合音。
BJの啼くような喘ぎ声とキリコの呻き。
それらは部屋を隅々まで満たし、いつまでも絶えることはなかった。
ふう、とキリコは大きく溜息をついた。
薬に侵されたBJを思う存分抱いたのはもう数ヶ月前のことだ。
翌朝、熱を出し動けなくなったBJを数日間看病した。
ヤりすぎたことは自覚していたし、BJの状態は薬によるものでなく、どうみても無理させたせいだったからだ。
薬の影響が残っていないことを確認し、BJが自分で動けるようになるまで回復したところで別れた。
看病している間はふたりとも言葉を交わさなかった。
自分達の行為が信じられなかったし、口を開いてその話題になるのを避けたかったからかもしれない。
だが、数ヶ月経って。
どんな女を抱いても何度セックスをしても、満足できない自分に気がついてしまったのだ。
BJとのセックスはあまりにも強烈だった。
あの体内の振動、あの乱れる姿、そしてくせになるような低い喘ぎ声。
どうしても頭から離れず、誰を抱いても比べてしまうのだ。
あの特殊な肉壁の蠢きはきっと薬のせいで、もう一度抱いたとしても同じ快感を味わえるはずはない。
そう自分に言い聞かせるが、すぐに『次に抱く』という選択肢があることに気がつき自己嫌悪する。
次にBJに会うことがあったのなら。
何をしてしまうのかわからなかった。
ふう、とBJは大きく溜息をついた。
薬に侵されてキリコに抱かれたのはもう数ヶ月前のことだ。
翌朝、熱を出し動けなくなったたが、キリコはその間看病してくれた。
まあ、薬によるものというより、キリコとのセックスでかなり無理させらたのが原因だから当たり前といえば当たり前だ。
熱で朦朧としてはいたが、あの抗いがたい衝動は二度と湧き上がってこなかった。
あの男の話が本当だとすれば、キリコに感謝をしなくてはいけないのかもしれない。
ようやく意識がはっきりし、自分で身の回りのことがひと通りできるようになったところでキリコは出ていった。
看病している間はふたりとも言葉を交わさなかった。
自分達の行為が信じられなかったし、口を開いてその話題になるのを避けたかったからかもしれない。
だが、数ヶ月経って。
たまに体が疼くようになった。男としての刺激ではなく、後ろがなにかを欲しがって疼くのだ。
そんな自分にショックをうけ、しばらくは立ち直れなかった。
だが、それほどキリコとのセックスはあまりにも強烈だったのだ。
女を相手するのと違う、支配される快感。
射精による快感ではない、体内の奥が爆発するような強烈な快楽。
そんなものを求めてしまい自己嫌悪する。
もう二度とキリコには会いたくない。
BJは心底そう思った。
そして、ふたたび。
ふたりは偶然再会する。
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