廊下は寒かった。
 暖炉のあった部屋とは違って、外程ではなくても冷たい空気が剥き出しの肌を刺す。
 当然お腹も冷やされて、僕の中に満ちた1.5リットルのグリセリン溶液の威力はさらに強くなっている。
体がバラバラにされそうな苦痛が引かない。
(出したい・・・・・ウンチ・・・・・トイレぇ・・・・・)
 頭の中は排泄する事で一杯だった。寒気がして体が震えるのに汗が止まらない。
 僕はただひたすら太股を擦り合わせてほんの少しの快感で誤魔化しながら、
ほとんど鎖で引き摺られて雪香の後をついて歩いた。
 どれくらい歩いたんだろう。
 気がついたら僕は湯気の立ち籠める場所に居た。暖かい湯気が冷えた体にしみる。
 ぎゅるるるる・・・・・。
 限界を通り過ぎているお腹の方は楽にはならなかったけど。
 猛烈な鈍痛と、時々腸のあちこちを針で刺された様な痛みが閃く。
 雪香は僕の鎖を持ったまま、銀のベンチみたいな所に腰掛けている。
 ここが目的地ならもう着いたんだから、僕のお尻を塞いでいるものを抜いて欲しい。お腹を楽にさせて欲しい。
「早く、抜け、え・・・・・」
「抜いてもいいの? ここはトイレじゃないし、私もいるけど」
 言われて僕は周りをよく見てみた。
 どこをどう通って来たのかはわからなかったけど、濃い湯気の籠もった広いお風呂場みたいだ。
木のログハウスには不似合いなタイル張りの床と壁で、雪香が座っているベンチみたいな所は浴槽の縁だった。
部屋の隅にはゴールデンレトリバーとシェパードの二匹の姿もあった。
 廊下よりはましだけどお風呂場というのも嫌だ。それも、雪香の前でなんて・・・・・。
「いいの? 私に見られながらでも」
「い、嫌だ!」
 叫びながら足から力が抜けて、お尻をついてしまう。
「あ、くぅ、あぅ・・・・・」
 尻餅をついた時にアナルストッパーが床に当たって、僕の肛門が内側へ押されてしまった。
その動きが中の水へ、水から腸壁へ、腸壁から内臓へ伝わるのがわかった。
 元々最初に弄られた所為で調子が悪かったのに無茶して走ってしまって、その上浣腸を耐えてここまで歩いてきた。
 体全体が限界だった。
(もう立てない・・・・・)
 無意識に膝を胸につけてお尻を浮かせる排泄の姿勢をとって、後ろの穴が大きく広がる。
けど何も出ない。出なくてホッとするけど出したい。出したいけど出したくない。
「栓、抜いて・・・・・出させてよぉ」
「抜いてもいいのね?」
 雪香が立ち上がって僕の横にしゃがんだ。
 丁度今まで足を支えていた気力も尽きて、僕は前に倒れてうつ伏せになってしまう。
いや、もしかしたら雪香にお尻を差し出そうとしたのかもしれない。自分でもよくわからない。
 とにかく掲げられた僕のお尻に雪香の手がかかった。アナルストッパーが動く感触。
(抜かれたら?)
 一瞬だって、我慢は無理だ。
「やだぁ! 抜くな、抜くなぁああぁぁ!」
「そう、抜かなくてもいいのね」
 お尻を振って抵抗するとあっさり手は放れた。
「あっ・・・・・」
 雪香なら無理矢理抜いてくれると、抜いてしまうと思っていたのに。
 ぎゅるぎゅるぎゅる!
 一際大きくお腹が鳴った。痛みもどんどん強くなってる。
(お腹が破裂しちゃうぅ。抜かれなかったら、僕、どうなるの?)
 タイルにうつ伏せてしまった今、もう起き上がれる気がしない。
立ち上がれたとしてもすぐ足が震えて倒れてしまうだろうし、歩くなんて絶対無理だ。
ここを出て、どこにあるかもわからないトイレまで行くなんて、絶対に。
 このままだと本当に腸が破裂してしまうのかもしれない。
「お腹、痛いっ、のにぃっ! 抜いっ、て、取ってぇ」
 どうすればいいかなんてわからない。子供みたいに泣いて、泣き過ぎて、しゃっくりみたいに喉が引き攣る。
「困った子。抜いて欲しいの? 欲しくないの?」
 雪香が蔑む様な薄笑いの表情で見てる。
 出したいけど出したくないけど出さないとお腹が痛いけど見られながらなんて嫌だけど
お尻が壊れちゃいそうだけど人に見られながらお風呂場で裸で用を足すなんて恥ずかしいけど。
 僕は腹痛の上でぐるぐる考えながら、横に立つ雪香をただ見上げた。
「私に決めて欲しい? 自分の事なのに、どうしたらいいか私に任せたいのね?
仔犬みたいにすがって、飼い主が助けてくれるのを待ってるんでしょう?」
(そうなのか・・・・・な)
 何も言えなかった。
 雪香の手が伸びてきて、僕は掲げたお尻を振る。それが抵抗する為なのか催促する為なのかは、自分でもわからない。
 でも雪香はお尻には触らなかった。
「ここまで我慢した御褒美、ううん、逃げようとしたお仕置きの続きかな?
自分でどうするか、決めなさい。それならひとりでトイレにも行けるしね」
「えっ」
 ずっと手首を縛っていたロープがタイルの上に投げ捨てられた。解放された手が背中から力無く両脇に落ちる。
 長い間拘束されていた手はジンジン痺れていた。
(ひとりでトイレにも、行ける?)
 痺れで震える手に鞭打って上半身を持ち上げてみる。
四つん這いの姿勢から立ち上がろうとするけど、足に全然力が入らない。
(無理、だ。行ける訳ないよ!)
 足だけじゃない。手も体も弱ってしまって四つん這いで這い歩く事もできそうにない。
 ぎゅるん!
 お腹が悲鳴を上げている。
 トイレには行けない。でも、スッキリしたいと思えば簡単だ。ここで栓を自分で抜けばいいんだから。
「もうっ、駄っ、目ぇ・・・・・」
 僕は肩をついてお尻だけを掲げた姿勢に戻った。両手をお腹側から回して肛門から顔を出している栓を掴む。
「ええっ! なかば、こんなところでするつもり!?」
 雪香がわざとらしく素っ頓狂な声を上げた。
ロープを解いた後、あいつは浴槽の縁に座り直していて、真正面から僕を眺めている。
(こんなところに連れて来たのはお前の癖に!)
 どれだけお尻の穴を開いても駄目だっただけあって、ちょっとやそっと引いたくらいじゃ栓は抜けなかった。
恥ずかしいけど、本当はしたくないけど、トイレに行った時みたいにお尻に力を入れて肛門も一杯に広げ続ける。
 断続的にストッパーを引っ張っていると自分でお尻を弄っているみたいで、
括約筋と僕のヴァギナの中が競う様にひくひくしてしまう。
「涎垂らしてエッチな顔して、お尻でオナニーしてるの?」
「ちがっ、うぅ」
「それならいいけど、ここはお風呂なんだからウンチなんてしないでよ」
「うるさっ、いぃ」
「エク達だってちゃんと決まった所でするんだから。なかばも自分のトイレでしないと、ね?」
「犬とっ、一緒、するっ、なぁっ。ふあんっ!」
 抜けた。
 後ろの穴が一杯に口を開けて栓を出す瞬間、狭い入り口に擦れて背筋が痺れた。
後ろからの快感が前に回って女の子の部分の奥から溜まったものが纏まって溢れ出る。
「ああっ、あああああぁ・・・・・・」
 意識できたのはそこまでで、それから僕の思考は真っ白になった。
「ふあぁぁぁあああぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁっふうぅーっ! んんーっ!」
「あーっ、やっちゃった! 恥ずかしくないの、人前でそんなとこ晒しちゃって」
「やああぁぁあっ! 見るなっ、んっ、見る、なぁ・・・・・見ない、でよぉおぉっ!」
「見られたくなかったらトイレに行けば良かったのに。さっきも私の上でおしっこしたし、
なかばは誰かに見られてないとトイレもできない、変態犬ね」
「やあぁあんっ! 違うよぉ、違うよぉぉおぉぉぉお!」
 鎖が鳴ってる。
 ジャラジャラ。
 僕が頭を振っているから。
 首輪がついてるし服も着てない僕は犬なんだろうか。
 人間らしくはないけど。
 人前でお尻を振って恥ずかしい事をしてる。
 恥ずかしい?
 犬は恥ずかしがらない。
 なら、僕はいっそ犬になってしまいたい。
 誰かの前でお腹の中のものを出してしまうなんて、人間には恥ずかし過ぎるから。
 ぱしん。
 頭を叩かれた。
「トイレでしなさいって言ったでしょう」
 怒られた。
 駄目な所でトイレをしたから。
 仔犬みたいに頭を叩かれて。
 見上げたら怒った顔。
 なんて言ったらいいかわからない。
 浮かんでくるのは犬とか人間とか。
「くうぅん」
 自然と僕の喉は犬みたいに鳴いた。
 頭の中がぐるぐるする。
 何も考えたくなくて僕は頭から爪先までうつ伏せて脱力した。
 僕が鳴いた時、あいつは微笑んだみたいだった。
 女の子の部分の奥がきゅんとした。
 それは心地良くて、なぜか幸せな感じのする刺激だった。


 雪香が僕の出したものを全部洗い流して体も綺麗にされると、やっと真っ白になっていた思考が戻ってくる。
 自分のやった事をはっきりした頭で理解してしまうのは辛かった。
 さっきまで僕は苦痛で錯乱していた。でも雪香の前で自分で栓を抜いて排泄する事を選んだのは僕自身だ。
お腹が空っぽになった今考えれば、もう少しくらいは我慢できたんじゃないかと思えてくる。
(なのに、僕は・・・・・)
 顔が情けなく歪んで涙が溢れてくる。喉が痙攣する。
「うっ、く・・・・・ひっく・・・・・」
「ほらぁ、自分が悪いのに泣かないの」
 言葉は厳しいけど穏やかな声が聞こえて、仰向けに引っ繰り返された。
 横に来ていた雪香と目が合って、酷く優しい瞳から視線を逸らす。
 雪香の黒いワンピースは湯気の所為で体に張り付いていて、胸やお尻の曲線を強調して淫靡な姿態を見せている。
その姿に目が吸い寄せられるという事は、僕の中にもまだ男が残っているという事だ。
 鎖付きの首輪だけを着けた白い肌を無防備にタイルの上に投げ出して、
小さな胸も桜色の乳首も愛液の滲み出るシンプルな縦筋も隠せずに、
幼さの残る顔を涙で濡らしたショートカットの美少女は、
そうなってしまった僕は、雪香以上に淫靡なんだろうけど・・・・・。
 せめて泣き顔を見られたくない。僕は自由になった両腕で顔を隠した。
 お腹の上をすーっと撫でられた。
「あっ、くあぁっ」
 お臍の上を通っただけで触られた所がぴりぴりする。
 降りてくる手は下腹部をなぞって股間へ来た。熱い。背中とあそこが引き攣る。
 淫らしい声が出そうになって、僕は唇を噛んだ。
「うっ、んんぅ」
「わ、すっごい、溢れてる。ウンチしてる所見られて興奮した証拠ね」
「んんっ、んんっ、んんっ」
 くちゅ、くちゅ、くちゅ。
 嫌でも僕のヴァギナから粘液質の音と掻き混ぜられる感触が届いてくる。
僕の割れ目が指を挟んでる。僕のラビアは蜜と一緒に指に絡み付いてる。
僕の入り口と尿道の間が突付かれて痺れてる。敏感になったそこは細かい事まで感じさせた。
(男なのに、男だったのに・・・・・そんなとこ弄られて、気持ちいいなんてぇ)
 全身が水に浮かべられたみたいにふわふわしてきて、性器の感覚だけがはっきりしてくる。
このままじゃいけないのに、手にも足にも力が入らない。
「んぅ・・・・・んうぅん・・・・・」
 指が円を描き始めた。動きに合わせて陰唇が横に縦に引っ張られて、僕は完全に快感に呑まれた。
 こんなに早く昂ぶってしまうなんて、僕は本当に排泄する所を見られて興奮していたんだろうか。
割れ目の奥の反応に合わせて排泄の穴も開閉するのが、妖しい快感を教えてくれる。
「んぅ、あぅっ、ひううぅぅぅぅっ!」
 全部の感覚が股間に集中していく。
(またイっちゃうぅ!)
 そう思った瞬間、唐突に指が放れた。
 止められる訳ないと思っていたのに。思わず間の抜けた声が漏れる。
「え・・・・・」
「どうしたの? まだして欲しかった?」
 顔を覆っていた両腕をどかされた。
 雪香が呆けてしまう僕を見下ろす。
「して欲しいのなら、ちゃんとお願いしてみなさい。犬みたいに礼儀正しく、ね」
 くっと軽く鎖が引かれた。首輪が少し持ち上がって、僕にその存在を思い出させる。
 雪香の足が僕の口元に差し出された。唇と5ミリもないくらい近くだ。
 途中で見捨てられたあそこはじんじんしてる。体の奥から熱が出て異様にむず痒い。
自分の両手がそこへ向かうのを理性でなんとか押し留める。
 反抗しても酷い事をされるだけなら、諦めて従順な犬になってしまえばきっと可愛がって貰える。
どうせ、ペットにされる運命は変わらないだろうから。
 女の子にされても、恥ずかしい姿を見せても、僕はまだ人間だ。犬の真似なんてできるわけがない。
それに、いつかきっと逃げるチャンスはある。
 二つの選択が脳裏でせめぎ合った。
 僕は、選んだ。
 頭をちょっとだけ起こして雪香の爪先に唇を近付ける。
 そっと、唇が触れそうになったら、口を開けて中に足を迎え入れる。
 そして僕は大きく開いた口を・・・・・一気に閉じた!
 上の歯と下の歯が噛み合わさる。雪香の足は噛み付く直前に逃げてしまった。
「ふう、やっぱりね。でもそれがどういう事か、わかってるよね?」
 雪香の奴がお腹をぐりぐり踏んでくる。
 お腹より下に誘導したくて腰が動きそうになるのを堪えながら、僕は睨み返してやった。
 楽にはなりたいけど、男として、人間としてのプライドを捨てたくはない。
例えどんなに羞恥と屈辱を味わわされる事になっても。
 あいつの目から僅かにあった優しさが消えた。
「そう。なら次はどうやって壊してあげようかな」
 天井へ向けられた僕の視界から雪香がいなくなった。
 ホッと息を吐くけど、まだ治まらない股間の熱につい太股を擦り合わせてしまいそうになる。
 我慢していればきっと熱も引く。でも虫に刺されて物凄く痒くなった所を掻くのを堪えるのよりも、もっと辛い。
僕は自分の体を抱き締める様にして歯を食い縛った。抱いた体は細くて頼りがない。
「じゃあ、エク、ドウイ、私が戻るまでなかばの相手をしてあげて。・・・・・まだ舐めてあげるだけよ」
 去り際の雪香の言葉に、大人しくしていた二匹の犬が僕の方へ走り寄ってくる。
 まずい、と思っても体は全力疾走でもした後みたいに疲れていて、逃げる気力も残ってなかった。
 ぬっ、と僕の目の前にゴールデンレトリバーの顔が現れた。
大きな舌を出して荒い息を吐く金色の獣は、優しい顔をしている様に見える。
 ぺろっ。
「あんっ」
 頬の涙を舌で軽く拭われると、なぜか僕の口から素直に女の子らしい声が出た。
今更だけど、自分の声の可愛らしさに顔が熱くなってしまう。
 もう一匹、シェパードの方の鼻先が脇に潜り込んでくる。
普段ならくすぐったいのに、昂ぶりっ放しの僕の体は身悶えしてしまうくらいの快感を受けた。
「ひゃぁあっ、あっ、やめっ」
 股間が疼く。奥がじんじんするのが強くなって、内側から次から次に溢れ出てるのが触らなくてもわかるくらいだ。
 シェパードは脇から上って首輪の中に舌を差し入れてきた。
(我慢、できない。ああっ、駄目、駄目、駄目! 駄目なのにぃ!)
 理性とは裏腹に手が下腹部へ伸びてしまう。自分でそこを弄りたい、と僕のどこかが言っている。
ぐちゃぐちゃにして、嬲り尽くしてイってしまいたい!
 その時、ゴールデンレトリバーが体勢を変えて、僕の体を跨いで伏せをした。僕の頭の方に犬のお尻がある。
という事は、犬の頭は僕の股間の真上辺りにあるはずだ。
 股間へ伸ばそうとしていた手は犬と僕のお腹に挟まれて動かせない状態にされた。
 改めて見てみるとやっぱりこの犬は大きい。体長は60センチはありそうだ。
 そんな犬に圧し掛かられて身動きできない状態で、僕は待っていた。もう犬の舌でもいい。動かせなくした手の代わりを。
 ぴちゃっ。
 酷く水っぽい音がして、生暖かいものが僕の縦筋をなぞった。
「ふぁぁぁあああっ!」
 舌にいきなりクリトリスを弾かれて、僕は肺の空気を搾り出した。犬にイかされる屈辱も今は心地良い。
 なのに、後一回舐められたら昇天するという所で舌が止まった。
「な、なんでぇ・・・・・」
 気持ち良かったのに。
 次の刺激を待ち受けてそこはひくついてるのに。
 腰を振って催促しようとした時、あいつが戻ってきた。慌てて僕は言葉を呑み込む。
あいつにまた淫らな姿を見せるのは、嫌だ。
「お待たせー。エク、ドウイ、なかばはおいしい?」
 犬が吠えて答えた。股間を舐められてそんな事を聞かれて、僕は恥ずかしさで顔が真っ赤になっていたと思う。
「そう、良かったね。もうちょっと待っててね。私が済んだら、あんた達の番だから」
(どういう意味だ?)
 雪香の言葉が一瞬気になったけど、すぐに新しく持って来られた物に意識が逸れた。
 犬に腕と体を組み敷かれたままなんとか首を捻って見てみると、タイルの上にいくつも妖しい物が転がっている。
 先にキャップとポンプが付いた長いホース。5リットルくらい容量がありそうなポリタンク。
そして根元の膨らんだ赤黒い杭に犬の尻尾みたいな房が付いている物。
 どれも嫌な予感のするものばかりだった。なのに見た途端、ヴァギナと肛門が収縮した感覚に体が震えた。
胸が高鳴るのは怖いからのはずなのに、妖しい道具から目が放せないのはなぜだろう。
 雪香はまずホースを手にした。キャップから分岐していたポンプを取り外して床に放ると、一回僕の視界から消える。
ポリタンクはそのままだから、ホースは多分蛇口に繋ぐ気だ。
 しばらくしてホースのキャップ側を持って僕の足元の方へ来た。
「今度はただのぬるま湯だから安心していいわよ。その代わり、さっきより多く入れるけどね」
 足元から両足が持ち上げられた。お腹に乗った犬が邪魔で見えないけど、無様なM字開脚をさせられた。
お尻の穴が空気に触れてすっとする。
 抵抗したくても体が動かなくてどうしようもない。
そう考えていたけど、閉じた後ろの蕾に異物を感じて、言い様のない恐怖が湧き上がった。
「もうそこやめろぉ! 浣腸もうやだぁっ。お腹痛くなるの、もうしないでよぉお!」
 足の間に雪香の体があるみたいで閉じられない。結局抵抗は無駄だった。
どうしても僕がこんな目に会わなくちゃいけないんだ。悔しくて、悔しくて、悔しいけど、僕は無力だ。
 意思に反して、僕の窄まりは押し入ってくるキャップを喜んで受け入れてしまった。
排泄の激流に擦られておかしくなったのかもしれない。
先が抜けて長いホースに入り口を撫でられると、放って置かれてる前の割れ目が痙攣して抗議する。
丸く開いた括約筋を撫でられながら奥へ奥へと受け入れるのは、認めたくないけど、背徳的な快感があった。
「んっ、ふううぅぅぅぅぅ」
 止まらない侵入に押し出されたみたいに息が漏れる。
 ずん、と内臓を突付かれた。ホースが僕の行き止まりに達した合図だ。僕は直腸全体で真っ直ぐホースを銜え込まされた。
力を入れたり抜いたりすると、括約筋がホースの弾力を噛み締める。
(僕、変態になっちゃったのかな・・・・・)
 お尻の穴からの快感に戸惑っていると、ぴちゃっと水音がして割れ目を生暖かいものが這った。
「ひっ、うっ」
 熱が引き始めていたそこは大陰唇を這う緩い感触に再び燃え上がる。
 割れ目を開いて入ってきた犬の舌に尿道を突付かれて腰が引ける程感じてしまう。
クリトリスを避けて小陰唇の襞をなぞられる。
 ぴちゃ、ぴちゃ、と犬が水を飲むみたいに僕を舐めてる。
(おいしいのかな、僕のあそこ)
 舐められて味を確かめられてると思うと妙に昂奮した。変だけど、そんな事で昂奮するなんて、まるで変態だけど。
快感が引いた時は強気になれるのに、やっぱりこの感覚には逆らえない。
「さあ、行くわよ。その小さなお腹にどれくらい入るかしら」
 遠くから雪香の声が聞こえて、お尻で銜えたホースが堅くなった。
ホースに満ちた水流が入り口を通過して奥深い腸壁にぶつかってくる。
 入ってくるぬるま湯の勢いは強くはなかったけど弱いという程でもなくて、しかも浣腸とは違って奥深い所に直接注がれてる。
何かの本で馬に浣腸をする時は今の僕と同じ方法でする事があると書いてあった。
 自分が動物かバケツか何かの物になってしまったみたいに思えて、情けなくて悔しかった。
なのに、乱暴に浣腸されてると自覚したら僕の中を満たしていく水流とお尻に刺さったホースの存在感が、
犬なんて動物に出来たての女性器を嬲られていると自覚したらラビアを這う舌の存在感が、
全身の感覚の中で強く浮かび上がる。
「あ、ああぁううぅぅ」
 太股にも新しい舌の感触。休んでいたシェパードが僕の足の方に移動したのが見えた気がした。
 徐々に生まれてくる腹痛の気配に、僕は舌からの快感へ気を逸らした。
犬が僕の愛液をおいしそうに飲む音と合わせて尿道から膣口へ生暖かく弾力のあるものが往復する。
クリトリスを触ってくれたら一遍にイけそうなのに、決してそこには触れてこないのがもどかしい。
(こんなこと考える自体、僕、もうおかしいよ・・・・・)
 太股を滑る舌も弱い刺激をくれる。
 二つの舌の効果で、僕はゆっくりゆっくり、一回は無情に下ろされた高みに戻っていく。
「ひ、あ、あっ、あぁっ・・・・・あ」
 体が痙攣して腰が浮き上がる瞬間、舌達はまた突然愛撫を止めてしまった。
「なんで、酷いよ、続けてよぉ・・・・・」
 僕は犬達だけに聞こえる様に小声で頼んでみたけど、通じる訳がない。通じたとしても結果は同じだったかもしれないけど。
 性器の刺激が途絶えて熱が籠もるだけになってしまうと、不意にお尻の感覚が戻ってきた。内側から膨らむあの苦痛だ。
グリセリン溶液と普通のぬるま湯との違いがあるからはっきりはわからないけど、
さっきの1.5リットルの浣腸と同じ量はもう入っていそうだった。
 水流が止まらない。食べ過ぎてお腹がいっぱいになったみたいに、いや、その時よりも少し下の部分が張ってきてる。
溜まった水は肛門を内側から圧迫するまでになっていた。
 止まらない。
 腸の膨張感が増していく。
 お腹が膨らんでいくのがわかる。
 止まらない。
「やめてぇ! 止めて、お腹痛い、苦しいよ! 死んじゃう、死んじゃう、死んじゃう!  壊れちゃうぅぅぅぅう!」
 恐怖に急かされてお尻を持ち上げて力を入れた。
中からの水圧の手助けもあって太いホースがじりじりと外に向けて動き出す。
太くて長いホースを時間を掛けて排泄すると、ヴァギナで高められた体が火照ってくるみたいだった。
 イク直前で放っておかれた女性器の代わりに、肛門からホースの先が抜け出る瞬間を、
僕は意識してはっきり感じ取った。ヴァギナの奥が疼いた。
「あっ、駄目、止めて、止まって、出ないで、出ないでぇぇえええ!」
 口ではそう言ってしまうけど、僕はわざと強くぬるま湯を排泄していた。
 水流が入り口を擦って出て行くのが気持ち良いから、そうしたら昂ぶったままの女性器を刺激してイかせてくれそうで。
なくなったペニスを思い出しながら、僕はお尻で射精した。
「もう一回中を洗ってあげるからね、なかば」
 非情な雪香の宣言を聞きながら、頭にまで快感の熱に侵入された僕は、
天井のタイルを見ながら断続的にお尻に力を入れた。
ギリギリの所で昇天できずに、中途半端な刺激だけが僕の中に満ちていく様だった。


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