Blue Bright Bird
021:傷跡 -2-
紅風の魔獣に至る道。
「俺は、契約なんて知らなかった。何も知らずに、何も分からないままに、この剣を手に
した…」
苦渋の表情で呟いたゾロに、くれはは無言で先を促した。
ゾロはゆっくりと刀を引き戻し、その刀身を伝う赤い雫に陰鬱な視線を向けた。
――赤い色は、嫌いだ。
――故郷を奪い、幸せを奪った。
「三代鬼徹は…師匠の、形見だ」
くれはは眉をひそめたが、ゾロはそれに構わず言葉を継いだ。
「間違いねぇ。あんたの言う、聖って奴は…俺の、剣の師匠だった男だ。師匠は…“鷹
の目”って剣士に負けて、死んだ」