総合トップSS一覧SS No.6-076
作品名 作者名 カップリング 作品発表日 作品保管日
無題 ハッサム氏 イリア(自慰)
ルカ×イリア|ハスタ×イリア
2007/12/26 2007/12/28

 濃い朱の鮮血が舞った。
 それが地面に飛散するが早いか、ルカの体がぐったりと倒れこんだ。
 青い服を赤く染めあげた細い体は、地に伏しても少しも動かない。
 指の先に至るまで命が抜けたように・・・
「ねんねんころころ。この熱い火山の中眠れるなんてウラヤマシイよねェ」
 薄い緑髪の短髪の奇人ハスタは、自らがやった所業に対して毛の先ほどの罪悪感すら抱いていなかった。
 まだ幼いルカの胸部を貫いた槍から、つーと垂れるルカの血を、
 四足獣を思わせる長い舌でべろりと舐めると、ルカの窮地に唖然としていた一行を見据えた。
「ゲイボルグッ! テメェ!!」
 スパーダは誰よりも強い怒りを持ってハスタに食って掛かるが、
 ハスタは直接言葉を交わすなどをせず、槍をピュッと振った。
 矛先についたルカの血が勢いよく飛び、スパーダの衣服にかかり、染み込む。
 火口の熱で瞬時に乾き、服の模様の一部となると、ハスタはまた狂言を吐く。
「我ながらいい模様、あとでハスタ・ブランドの特許申請中。
協力者として、ルカの名前も加えておこうかな。うん、加えるべきね。
身を挺して作ってくれたんだから、創業者のオレよりも大きな字で書いておか」
 閃きを聞くことなく、スパーダは既に斬りかかっていた。
 が、ハスタは身をくるんと翻して斬撃を避け、そのまま火口へと落ちていった。
 落ちながら壁に槍を突き刺し、溶岩へと落ちることなく壁伝いに移動していき、銃でも届かない距離へと離れていった。
「畜生! 逃がしちまった・・とっとと倒してればルカがこんなことにならずに済んだのにッ!」
「スパーダ君・・・」
 凹む様に落ち込むスパーダに、聖女アンジェは彼の背中に手をあて、落ち着かせるように促す。
「自分を責めるよりも、今はルカ君を助けることに専念しましょ? ここにこれ以上居るとルカ君の体が持たないし、医者も居ないわ」
「う…分かってるんだ・・だけど」
「あーもー、自分とっとと納得しとき! 考えていい場合と悪い場合ぐらいあるやろ」
 格闘少女のエルマーナがスパーダの腰に強烈なキックを入れると、彼の雁首引っこ抜いてルカへと近寄った。
 ここが熱い気候ということだけでは片付けられないほど体温が上がり、呼吸が馬脚のように速く駆けていた。
 時間が経つと、ルカの纏う青い服に赤い波紋がどんどん大きく広がっていくのに対し、顔色はどんどん悪くなっていく。
 必死に彼の傷口を押さえ、回復昌術を唱えているイリアは、
 スパーダが居たことにすら気付かないようであった。ただ、一心不乱にルカの傷を治そうと、
 ルカの命を助けたいという一心だけを胸に、無理を通り越して唱え続けていた。
 バンっと岩が飛び散り、その破片がイリアの頬を切り裂き、
 女の命とも言える顔に傷がついても、イリアは自分に唱えることは無かった。
(ゲイボルグの事も気になるけど…今はルカの方が大事だな・・・)
 スパーダは二刀を鞘に収め、出血が収まったルカの幼い身体を持ち上げると、
 急ごしらえの担架に乗せ、担ぎ手となって暑さを物ともせずに下山した。


 リカルドの戦場仕込みの応急手当が功を奏したらしく、
 またイリアが精根尽き果てる勢いで唱えていた回復昌術も目覚しい効果を発揮した。
 ガラムについてすぐに医者に見せると、「命に別状は無い」とのお墨付きを貰った。
 彼の見立てでは、順調に行けばすぐに傷が塞がり、多少の痛みこそあれど退院してもよいとの事だ。
 一同はほっとするが、気が抜けない。ハスタが降りてきたという証言があったが、
 船に乗ってどこかに逃げていったという類の証言は無かった。
「う・・・う…アス・・・ラ…」
 ルカは、悪夢か痛みか、眠りながらも安らぐことなく魘されている。
 彼の裸体に縛られた白い包帯の一点が濃い朱に染まっている、到底戦いなどできそうにない。
「バカ、バカルカ! おたんこルカ!! おたんこバカルカッ!」
 イリアは聞こえようが聞こえまいが構わない気持ちで、
 ルカの前で何度も涙を拭い、大きくも震える声で彼の事を叱った。
 傷が治らない以上は、彼を守る者が居なければならない。
「ほな、交代でルカ兄ちゃんの事を守っとった方がええんちゃう?」
「そーだぞ。交代が来るまで休みだな、しかし。
コーダはこの国に来て全然メシ食べてないんだな、しかし。」
 謎の生き物コーダは涎を垂らして賛成。
「お前はこの国に滞在して、食いもん食べる口実が出来たから賛成してるだけだろ。
・・・だけど、俺も賛成する。ハスタが来たら、今度は時世の句も命乞いも聞かねえッ!」
「殺気付くなベルフォルマ。そうやって殺気立っていては、癒される疲れも癒されん。
ミルダが魘されている原因は案外お前にあるかもしれんぞ。」
 年長者のリカルドが、若馬のように息巻いて言うスパーダに苦言を言うと、
 スパーダは「悪かった」といい、鞭で打たれた様に黙る。
「雇い主・・・あんたの意向に俺も従おう。
自由な観光時間を多めに取るか、それともミルダの体の体調を気遣うか?」
「悩むこと………(う〜ん、ここに居れば汗を出してダイエットにもなるかしら?)………無いわ。
ここでルカ君の体が治るのを待ちましょう。 イリアもそれを望んでいると思うしね。
ね、イリア。イリアー??」
 アンジュとリカルドも賛成して、最後にイリア―――と行きたいが、
 イリアはいつの間にか罵声を止め、泣き伏していた。
 恥も外見も無く、ルカの横たわるベッドのシーツを強く掴み、
 普段の態度が微塵も感じられないか弱い啜り泣きをして・・・
「アニーミには聞くまでも無いか。決まりだな。
これからミルダが回復するまでの間、昼夜に分かれて、最低二人は常時周りにいろ。そして何かあったらすぐに俺に知らせろ」
 リカルドが銃の手入れをしながら言う。今のことでスパーダが少々疑問に思い、聞いてみた。
「どうやってアンタに知らせればいいんだ?」
「大きな声で名前を呼べ。ミルダが目を覚ますまでは常に半径20メートル外には出ないからな。」
「自分マメな人やなぁ〜。その半径20メートルてなにが基準なん?」
 エルマーナがほえーっと感心して聞くと、リカルドは真面目な顔をして答えた。
「風俗だ。いつまでミルダが寝ているか分からないから食糧も欲しいところだが、戦場で培った抑制術で4日までなら絶食できる。」
・・・しぃーん、と場の空気が凍りついた。嘘か誠か、よく分からない。
「リカルドのおっちゃん、そういうとこの抑制術覚えた方がええで。」
 エルマーナのツッコミは、ナイフよりも鋭くリカルドの胸を抉った。

「そ、それで、誰が最初に残ったらいいと思います?」
 コホンと咳払いをしたアンジュが話を進めた。
 初日はやりたくなさそうな顔をしていたのが、エルマーナ。お腹を押さえて、腹の音を堪えていた。
 誰も手を挙げなかったが、既に一人目は決定していた。話に加わらないが、全員が気にかけていた。
「誰か、アニーミが目を覚まし次第教えてやれ。」

 隣に座るスパーダが、帽子を深く被って目元を隠すと、
「今日の夜番は…俺がやる。
今は夜に備えて体力を取り戻したいから一旦寝るけどな」
「構わん、夜まで好きなだけ寝ろベルフォルマ。
では、俺も夜番をやろう。」
「あら? 貴方が大好きな風俗店は夜にやるものではありませんか?」
 アンジュが不思議そうに首を傾け、棘の付いた言葉を言うと、リカルドは目を鋭くして答えた。
「夜行性のゲリラもいる、という事だ。俺の目は暗闇でもそれなりに冴える。
ハスタは近距離で攻める型だから遠距離で狙う俺には相性が悪いが、逃げていく時に狙撃できるのは俺だけだろう。
アイツを返り討ちにできるかどうかはベルフォルマ次第だ。」
 熱心に戦略を立てる。これでスパーダとリカルドが抜けた。
 声に出さないが、今は嫌だと言う視線を熱心に送るエルマーナも除外。とすると、残りはアンジュになった。
「仕方ありませんね。あの人は生理的に嫌いですけど、ルカ君の為だから。」
 脳裏に浮かぶハスタの道化めいた表情に、気を悪くしたのはアンジュだけではなかった。
 皆一様に顔を伏し、火山での思慮の浅はかさを悔いていた。


 イリアが目を覚ましたのは、それからしばらく経ってからだった。
 既に日が沈み、小さな電灯が太陽の変わりに光の拠り所となっている。
 泣き疲れたことによる頭痛で身体に力が入らない。
 ルカの隣のベッドに寝せられていて、そこから起き上がるのも重労働に感じるほど体が重い。
「あ、気がついたみたいね。」
 周りを見回す前に、イリアに気付いたアンジュがよく温まったコーヒーをイリアに渡した。
 イリアにはそれを飲む力すら絞りだせなかった。
 手にある仄かな温かさに、眠気が若干覚めてくるまで、何をするともなくぼーっとしていた。
「・・・他の皆は? なんだか見当たんないんだけど?」
「皆でルカ君が目を覚ますまで護衛することになったの。ほら、いつまたハスタが襲ってくるか分からないじゃない。
スパーダ君はもうちょっと夜に備えて鋭気を蓄えているの。エルは今日はお休み(コーダも)
リカルドさんは近くで待機しているって。」
「で、今日の護衛はアタシとアンジュなわけね。」
 首尾よく状況を理解すると、コーヒーを一息に飲み干し、跳ね起きた。
 自分の腰に挿している銃を取り出し、弾を込めなおした。
 しっかりと準備をして、いつ襲撃してきてもいいように備えた。
 まだ若干口の中などに眠残が残っている気がするが、それも時間と共に消えていくだろうと、気を改めた。
「う…ぅ」
 そうしているイリアの耳に、蚊の羽音よりも小さなルカの呻き声が聞こえた。
「はぁ・・・」
 気が沈むほど大きくため息をして、ルカの魘されている表情を見る。
 傷からの出血は既に止まり、後は傷口が治るだけ。 それも順調に行くと三、四日で済む筈なのに、
 この魘され方を見ると、一生物の付き合いになったようにこっちが心配してしまう。
 気がついたら目頭が熱くなり、じわぁ、と涙が込み上げてきた。
 イリアはアンジュに悟られないように背を向け、若干の濁りのある声で、
「本っ当にルカったら手のかかる奴ね。後でまた笑いものにしてやんないと、アタシの気分が晴れないわ
ちゃんと生きなさいよ! そうじゃなきゃ笑えないんだからね、おたんこルカ!」
 自分に言い聞かせるように声に出した。アンジュはくすっと笑うと、「素直じゃないんだから」と呟いた。

 ポタリと、イリアの涙がルカの布団に落ちて染みていく、また一つポタリ、更に一つポタリ・・・
 拭っても拭っても、大粒の涙が止まる事は無く、イリアの押し殺していた声もまた、堰を切ったように漏れ始めた。
 ルカを仲間ではなく、異性として心配して泣いているイリア―――いくら女同士であっても、アンジュは気まずく思った。
(今だけなら・・・いいよね。頬の傷とか、痕にならないように治した方がいいよって言おうとしたんだけど。)
 アンジュなりに気を利かせた結果であった。
 足音を立てずに、アンジュは二人を一瞥すると、そっと部屋から出て行った。

 イリアは、泣き止んでからようやく部屋の中には自分とルカしか居ないことに気付いた。
 泣き顔を見られずに済んだアンジュの行動に小さく感謝しつつ、
 この状況に気まずさを感じずには居られなかった。
 何しろ、ルカは上半身に包帯以外何も纏っていないのだ。
 15歳ともなれば、異性に対して性的な考えを持つようにもなるし、興味もある。
 そして夕焼けのような薄暗さというか、妙にムードのある明るさで、
 男女が一組という状況では、何も思わない方がむしろおかしいだろう。
 無論イリアもよからぬ考えを抱かないわけではなかった。
 ルカも健全な男の子だ、目を覚ましたら思っていることだろう。
(ちょっとぐらいは。・・・今日こんなに泣いたのも全部ルカのせいだから、見返りがあっても
・・・・ま、いいでしょ!)
 念のため辺りを見回して、アンジュがこっそり見ていないかとか、
 ハスタが逆さ吊りで観察していないかを確かめると、ふーんっと鼻息荒く呼吸をした。
 高鳴る心臓と気持ちを抑えて、万が一ルカが目を覚ましたときに備え、電灯を更に暗くした。
 ルカのように目を瞑っていると、瞳が大きくなり、暗闇にはかえって強くなるのだから、
 この時イリアが取った行動は完全な間違いなのだが、
 彼女はそれすらも気にしないほど慌てていた。というか、調子に乗っていた。
 仰向けで寝ている無防備なルカに対し、意地悪く笑い顔を浮かべる。
(あんのチトセとかいう女とキスした頬はどっちだったかな〜?)
 かつて芽生えた嫉妬心を焼き殺すチャンスと思い、反対側の方に自分もキスしてやろ、
 という思いを持って、多少の緊張を踏み荒らしつつルカへと顔を近づけていく・・・
「うわァア!!」
 と、いざルカの頬に唇が触れるかというときに、ルカが叫び声をあげて寝返りを打った。
 そして、その方向は丁度イリアがキスしようとしていた方向で、イリアの唇を掠めるようにルカの唇が触れた。
 ・・何事も無かったように、ルカはイリアの唇を通り過ぎ、新しい向きになると、再び魘され乱れた呼吸を続けた。
 ハスタに刺された傷が痛んだのか、それとも嫌なことでも思い出したのか。呼吸は毒でも盛られたように浅く早い。
 しかし、イリアの呼吸の乱れは、ルカの比ではなかっただろう。
 蒸気エンジンが今にも破裂せんばかりに、鼓動が波を打っていた。
 二人の唇が触れ合った瞬間は一瞬だった。秒に直すことも難しいぐらいだというのに、
 イリアはその一瞬のことを鮮明に覚えていた。
 いや、覚えていたというよりは、そのときの呆気に取られた自分の事を何度も頭で反芻しているだけなのだが・・。

 元から喧嘩していたカップルのように気まずい雰囲気が、
 その場に親でも同伴しているかのように更に気まずいものへと変わっていた。
 イリアはルカとキスしようとしてはいたが、所詮頬にするだけのキスで、唇同士を触れる気は全く無かった。
 彼女にとってのファーストキスを、こんな形でしてしまった。
 普段の彼女なら、ここでルカを叩き起こして、背中に強烈な蹴りでも入れているところだが・・
「あ・・・えーと…」
 両手を椅子の下で組み、モジモジと身体を縮込ませる。彼女らしからず、頬を赤く染め俯いていた。
 ルカの身体の状態や、この薄暗い雰囲気、その中で高まった自分の性的な気分は、彼女を普段とは違う性格に変えていた。
 スパーダなら「らしくねーな」、エルマーナなら「自分風邪引いたんとちゃう?」と聞いてくるだろうし、
 ルカも「どこか悪いの?」と聞いてくるだろう。正直、心配してくれているのは分かるが、大きなお世話だ。
 イリアはいてもたっても居られず、ルカの近くに寄った。
 火山麓の気候と、この気持ちの高まりでは、今の衣服では熱すぎる。
 マフラー、ズボン、上着、と一枚ずつ、気付かぬ彼の前で服を脱いでいく。
 下着だけを身につけた状態になると、強気な彼女の面影は影を潜め、しおらしい少女の顔になっていた。
 そっと手を伸ばし、育ちが良く、作り物でも有り得ないばかりに整った彼の顔をこちらに向け、もう一度キスをした。
 今度は掠めるようにではなく、きちんと、何秒も。
 彼と唇を触れていると、心音や心まで共有しているような錯覚すら覚えてしまう。
 この何処までも走ってしまいそうな心の高ぶりを、ルカが苦しみの中で感じて少しでも安らいでくれるのなら、
 これ以上の幸せは無いと、らしくない考えすら一時抱いた。
 彼の呼吸以上に自分の呼吸が乱れる。
 心臓が、頭の中が、下半身が、熱い。
「ルカが…悪いんだからね」
 耳元で囁くと、彼の手を取り自分の胸元へと持っていき、歳相応に膨らんだ胸へあてた。
 血が足りない手はひんやりと冷たく、イリアの身体をぶるると震わせた。

「ん…」
 イリアが恥じらうものの、すでに昂った気持ちは冷えることなく、
 ルカの手をブラの中へと誘い、抱きかかえるように押さえつけた。
 初めて異性の手が触れているというのに、イリアは嫌がることなく、彼の手と自分の手を合わせ、静かに揉み始めた。
 旅の中で、坊ちゃんの手から男の手へと変わっていったその手を、本人に無断で何度も揉ませた。
 大きすぎず小さすぎず、形のよい乳房は下着の中でくにゃりと潰れ、ルカの手を通じて自分もその柔らかさに驚いた。
 イリアが自慰行為を全くしたことがないと言えば嘘になる。
 自然に性知識を覚えていく過程で、想像しながらやってみたことはある。
 だが、自分でやってみるのと他人にやってもらうのとでは全然違うというのを、イリアは今新しく知った。
「も、もうちょっと・・アンタの手、使わせてもらうから。」
 返事が来ない了承を取り、イリアはルカの手を使ってブラのホックをあくせくしながら外し、小さな二つの突起を外部に晒す。
 自肌で温めたルカの手を、その突起の片方に触れさせると、小さく官能の息を漏らした。
「ルカ・・もっと、触ってもらうからね…」
 彼の五指に自分の五指を当てると、傀儡のようにルカの指を動かした。
 自分が稀に行う自慰行為のように、最初は腕を交差させ、
 乳首に指一本をちょんと当てながら、他の指で膨らみを軽く拉げ始める。
 その頃から、無意識のうちに、自分の手も反対の胸に伸ばし、ルカの指と同時進行で胸を弄った。
「ふぅ・・・ふぅ・・・」
 深呼吸のような声を漏らし始め、汗が頬を伝っていく。
 指で弄られている胸を中心に、体温が火のように熱くなり始め、イリアの表情が快感めいた顔になっていく。
 繰り返されることにより、次第に、乳首への弱い愛撫を中心が中心となり、快感が身体全体に渦を捲くように広がった。
 乳首が度重なる愛撫で赤く膨らみ、ピンと大きくなると、イリアは下半身の異常に気がついた。
(やばっ。濡れてきちゃった)
 下着に付着しない程度の湿りではあるが、イリアの性への欲求は更に高まり、ルカの手は自分の胸そのままに、
 自分の手でパンツの中へと指を押し込み、へこんだ所をゆっくりと撫でた。

 いつものイリアは、ここでただ本能のままに弄っていたが、一つ閃いた。
(ルカの指だと思ってやると、どうなんのかしら?
胸がそうだったから、ここもルカが触ってくれるとしたら・・もっと気持ちよかったりして)
 そう思うと、ベッドで魘されているルカの顔を頭に焼き付けるように、じーっと見た。
 目を瞑り、頭の中でルカの顔をもう一度思い浮かべる。
 色々なルカの顔があるが、こんな時に情けない顔もおかしいだろうと思い、笑っている顔にした。
 深呼吸をしてルカの顔を頭に浮かべながら、おそるおそる指を動かした。
「あ・・っ」
 奥に入ると、水が撥ねるような小さな音がした。
 元々ここがイリアの一番よく感じるところで、胸よりも何倍も気持ちよく感じ、濡れるのも早かった。
「・・ルカ」
 ルカを思い浮かべながらやると、それは一際芳しいもので、
 指の隙間から漏れた液がパンツに滲み始めるのも時間の問題であった。
 指を動かすたびに、胸を弄くるのとは別の快感が身体に広がる。
 繰り返し、継続して快感を受け続けていくと、それは溢れて身体や愛液に表れていく・・・
 溢れ出た愛液が下着を伝い、外部へ露出していった。
 椅子の上に小さく零れ、イリアの快感の高まりと共に徐々にその水溜りは広がっていった。
 椅子の上に愛液の水溜りが出来たことに気付かないほど、彼女は熱中していた。
 胸元にあるルカの手を再び動かし、胸の突起を中心に愛撫してもらい、
 更なる快感を得ると、イリアの声は本人の制止が聞かないほど大きくなっていた。
「はぁ・・気持ち・・いいっ
ルカ・・ルカ・・・!」
 歯止めが効かないのは声に留まらず、秘所へ這わしていた指もまた止まらない。
 愛液で下着はぐしょぐしょになっている気持ち悪さも感じないほど快感に酔いしれ、
 酒でも味わえない極上の気分になっていた。
「もっ・・ちょっと・・行ってもいい・・・かな?」
 聞いていないルカに問うと、イリアはパンツを脱ぎ、一糸纏わぬ全裸になった。

 下着を脱いだことで、茂みに隠れていた部分を外気に晒すと、イリアは椅子の上で足を大きく広げた。
 膣口を塞ごうと言う構造に反抗するように、指を広げて左右に押し広げ、
 守られていた秘裂に中指を挿入させ、更なる快感を求めた。
 将来子供を産むところだから大事にしろという親の言いつけを守らず、
 快感を貪るように激しく前後し、膣壁をこすり、喘ぎ声を漏らした。
「はぁ・・ひゃっ! あぁ…んん、い、イイ! 気持ち・・いい・・!
ルカの手・・すごく、ルカ、ルカぁ…!」
 彼の名前を狂った様に連呼しながら自慰行為。自分でも恥ずかしいと思うが、声と快感は止まない。
 ピチャピチャとイヤらしい音が、夜のガラムの宿屋に響く。
 隣で今も寝ているルカが何かの拍子に起きたら、
 心臓停止してしまうのではないかという考えが頭をよぎるが、そのまま何処へと消えていった。
 それどころか、(その時はルカに触ってもらお♪)という考えすら浮かんできてしまったのだから、
 後で思い返すと自分がどれだけ淫乱なのよと後悔してしまうだろう。
 しかし、快感が五体に満遍なく浸透している今は、そんな恥知の心とはお構い無しに、
 彼の名前を思うがままに叫び、望むままに快感を得ていた。
 自分の意思が効かないようになってから何分が経っただろうか、
 イリアは自分の中の異物のような絶頂が込み上げてくる強い違和感を感じ取った。
「気持ち・・・いいよ。ルカ・・ルカぁ・・」
 込み上げる絶頂を誘導しようと、イリアは指をますます早く深く動かし、
 ルカの手を強く握り、胸の拉げ様に神経が行き通らないように強く握った。
 ルカの身体が動くほどに強く引っ張り、
「はぁ・・はっんあ! いく! いっちゃう! ルカ・・
ルカ・・ルカ・・・るかぁ・・・もう・・・・ぁ」
 呂律も回らないまでに快感に酔いしれ、虚ろな瞳で天を見上げた。
 そのまま硬直して、何も考えられない状態がしばらく続いた。
 込み上げてきた絶頂という異物は、自分を股間から頭まで貫き、そのまま身体に溶けていった・・・


 身につけている衣服全てを着るには、身体が火照りすぎた。が、とりあえず、下着だけでも身につけた。
 達した後にあちゃ〜という顔をして己の考えと行動を振り返ってみた。
(こんな・・変なことで感じちゃうなんて、アタシ変態なんじゃ・・
まあ、誰も見てないみたいだし、いっか!)
 自分の行動一つ一つに銃弾をぶち込みたい衝動に駆られるものの、
 その悔いたい思いの代わりにあんなに気持ちいい体験をしたんだから、まあ免罪してやろうと思ったとき、
 どさっ! と、ルカがベッドから転がり落ちてきた。
 心臓飛び出るほど驚いたイリアだが、ルカが眠ったままだということを確認すると、ほっとして彼をベッドに戻した。
 ぐっすりと眠っている彼を、弱っている小動物を見るような目で(空腹時のコーダを除く)、観察するようにじーっと見ていた。
 ルカの規則正しく繰り返される寝息を聞いて、彼を眺めるだけで飽きず、時間が過ぎるのは早かった。


 ハスタ×イリア(陵辱)    ルカ×イリア(純愛)


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