総合トップSS一覧SS No.6-076-2
作品名 作者名 カップリング 作品発表日 作品保管日
無題 ハッサム氏 イリア(自慰)
ルカ×イリア|ハスタ×イリア
2007/12/26 2007/12/28

「イリア…」
 ルカの深い寝息が止まると、何の前触れも無く彼女の名前を呼んだ。
 下着しか身につけていないイリアは取り乱し、思わず毛布に手を伸ばして肌を隠した。
「ルカ! お、起きたの?」
「・・・・」
 一瞬空耳かと思い返したほど、ルカはベッドから動かない。
 彼の鼻をちょんと触るが、大きな反応は見られない。しばらくしてまた寝息を立て始めた。
 イリアは、今のが寝言と分かると、余計なことで驚かされたことにムカッとしたものの、ルカが無事と分かると嬉しかった。
 しかし「寝言」・・・と、決め付けるにはまだ早かった。
 ルカの手が、イリアの身体を覆っている毛布に伸びしっかりと掴んでいた。かといって起きてもいない。
 半覚醒状態、夢遊病のように、彼の体が本人の意思なく勝手に動き出していた。
 下着しかつけていない身体が冷え始めたイリアは、服を着ようと思い始めた―――と、毛布を引っ張るルカの手に気付いた。
 ルカは性欲ではなく、単純に寒いから毛布を取り返そうとしてやっていることなのだが、
 イリアには先ほどの事もあり、真っ先に先の延長上にあることが頭に浮かんだ。
 ルカは上半身裸で、包帯の下には華奢ではあるが男の子の身体をしていた。一度冷えたイリアの身体が再び火照り始めた。
「やっぱ・・アタシと全然違うわね」
 イリアが心臓を激しく鳴らしながら彼の体を見ていると、ゆっくりとルカの上半身が起き上がった。
 目は虚ろで、更に俯いたままで全くイリアの事を見ていない。
 心ここに在らずの今、部屋の中に居るのが誰なのかすら気付いていないようだ。
 多分、オズバルドが居たとしてもイリアと呼んでいただろう。
「イリア。僕、欲しいんだ(毛布が)」
「ほ、欲しいって・・アタシを!?」
「うん・・・」
 考える力が無いルカは、意味は分からないがとにかくハイハイと頷く。

(えーっ! ちょ、ちょっとこんなに積極的にこられると困るんだけど!)
 性欲と貞操の葛藤に、イリアはどうすればいいのか分からなくなり動きが止まった。
 ルカは相変わらず毛布を強く引っ張るが、中々自分の物にならない事に苛立ち、それまで以上に力を込めて引っ張ると、
 毛布を離さんとしているイリアを椅子から落としてしまい、イリアの手から毛布がするっと抜け、床に落ちた。
「きゃっ!」
 下着しか身につけていない身体を恥じ、手足を丸めて隠すと、あわあわと驚き戸惑っていた。
 そんな彼女の姿に気付かず、ルカは床に落ちた毛布を拾いに上半身を乗り出すが、そのまま勢い余りベッドから落ちた。
 落ちた拍子に、下に居るイリアを押し潰し、その柔らかい肢体をクッションにしたお陰で、彼は余計な傷を負わずに済んだが、
「ん・・・なんかやわらかい・・」
 ルカの右手はイリアの頬に、左手は太股に、顔は胸に当たっていた。
「こ、なっ! や! おたんこルカ! どこ触ってんのよ!?」
 声では嫌がろうにも、体勢と性への要求が高くて、どうにも引き剥がしといった行動へ移れない。
 口での注意などで、今のほうけたルカが止まるわけが無い。逆に本能的に、イリアの雌の身体を弄くった。
「イリアの・・おっぱいだね。結構大きいなぁ」
 顔を上下に器用に動かしてブラをずり上げると、その突起を唇で啄ばみ、ぴんと引っ張っては軽く舐めた。
「ひぃ・・くう…ん」
 子猫のように顔をしかめ反応を隠すイリアだが、下半身は素直に反応し、くちゅりと再び秘部から愛液が滲み始めた。
 ルカの左手が若干の湿り気を感じ取ると、少し動かしてその処をつんと突いた。
 単純な挿入でもイリアをますます高揚感に包み込んだ。
「はっあっ!」
 ルカが指を中で動かすだけで、声をあげて仰け反るイリア。
 彼女の反応を見たルカは、同じ行為を繰り返した。
 想像したルカの手が愛撫してくれて、自分でやる以上に感じたイリアは夢心地のように感じ、身体を流れに任せた。

 大人しくなった彼女を後ろから抱きかかえ、ルカは囁くように言った。
「ほんとうに女の人って濡れるんだね。びしょびしょだよ。」
 イリアの秘所を擽るように指を動かし、そこから溢れ出る蜜を指に塗りたくるとペロっと舐めた。
 そして、再び元通りに彼女の秘所へと挿入し、彼女が感じるようにじっくりと甚振る。
 少し弄っただけでも十分な濡れ方。 ぷちゅ、ぷちゃ…蜜が膣中で音を鳴らし始めた。
「イリアは結構こういうことしてるの?
それとも女の人って、皆こんなに濡れるの早いの?」
「そん、な・・ほかの人な…んて知らな……あんっ!」
「じゃあ、最初の質問に答えて」
「だから知らな・・いって…ばぁ・・
あ・・ぁあっ!!」
 感じたことでイリアは甘い官能の声を漏らす。だが、突然彼女の快感の流れがぷつと止まった。
 彼女の回答に不満があったのか、ルカが挿入していた指を抜いていた。
「イリアがよくしているのかどうかを答えてくれないとさ・・続ける気がおきないや…」
 小悪魔の誘惑のような囁き・・アクメを感じかけていた彼女には、耳を傾けざるを得なかった。
 この銀髪の美少年は、普段は臆病なのにこういう場面になると武将顔負けの性を見せていた。
 両の手で胸を鷲掴みにして、超音波のように小刻みに震わせるが、イリアはもうそれだけでは到底満足できなかった。
 線香花火のような弱い性感ではなく、打ち上げ花火のような強い刺激を、身体が求めていた。
「ルカ、答える! 答えるから続けて!」
 下を向いて観念したように言う態度に、ルカは屈託の無い笑顔を見せ、首筋に軽いキスをした。

「えーっと」
 答えにくそうに、軽く握られた手を口に当てる。恥ずかしさに身体が張り裂けそうでも、それが許されない。

「して・・・る方かもしんないわね。
乗馬の最中に鞍があそこに当たって、変な気分になっちゃうこともあるし・・」
「こんな風に?」
 ルカの言葉を皮切りに、再び秘部への愛撫・・・今度は指を二本押し込み、
 それぞれが全く別の生き物のように膣内を動き回る。
 ぶるると身を震わせて快感を受け入れ、はぁと甘い声を漏らす。
「ねえ、こんな風なの?」
「こんな・・て、く、鞍に指なん…か無っいわよ」
 「ふーんそうだよね」と納得しながら、ルカはイリアの首筋へ唇でちゅっちゅっと弱くキスしていた。
 ぞくぞくする感触に、イリアは涙を零し始めた。
 いつも強気な彼女の見せる姿に、ルカの心の悪戯がピンと動き出した。
 膣内でぐりぐり動かしていた指を抜き取り、呼吸が乱れたイリアに面向き合うと、ニコっと笑った。
「イリア、こういうことしていいよね?」
 と言って、ルカはイリアの眼前で自分のズボンを脱ぎ、大きくなったモノを出した。
 イリアは全身の毛が逆立つほど驚いていたが、ルカの手が彼女の肩を掴み、逃げられないように固定していた。
 それでも怖いイリアは目を固く瞑り、なるべく思い出さないようにしていたが、
 ルカが腰を動かし、モノが頬に付くと、小さい悲鳴をあげると共に頭の中はそれ一色になった。
 頬が糊を付けたようにべたべたして気持ち悪い。イリアの小さい顔に、ルカは何度もピタピタぶつけた。
「これをイリアの中に挿れたいんだ。それでお願いがあるんだけど・・・
僕の、まだ剥けてないんだ。このままじゃ格好つかないから、イリアに剥いてほしい。」
「ちょっと何頼んで・・・って、ルカ! おに、鬼でしょ、鬼ねアンタ!」
「イリアのことが好きだからお願いしてるんだよ………」
 ルカのたった一言で、千口を止まらず続けられるイリアは絶句した。
「えっ・・あ、あの、アタシは・・・」
 突然の告白で、心の整理に鏤骨していると、
「やめちゃおうかな・・・」
 という迷いを打ち消すようなルカの一言。
 足腰が立てないほどに感じた体と、高く登りたい自分の気持ちに後押しされ、固く瞑っていた目を開いた。
「剥く…ってどうすればいいのよ?」
「さあ、イリアに任せるよ。」
「う、上手く行かなくてもし、し、知らないから!」
 ゆっくりと、膨張したモノを手で覆い、吐息が届く距離で静止した。

 踊るように高鳴る心臓、混乱一歩手前にまで取り乱している頭の中、
 震えで鎮まらない手付きでゆっくりと、ルカの皮を広げ、下げていく。
 赤く染まったモノが包皮のカバーから徐々に現れ始めた。
 ルカはイリアの優しい手付きにすぐにでも精を放ってしまいそうだが、頭の中で電球が光り、閃いた。
「イリア・・・少し思い出したよ。
半分ぐらいは手でそのまま出していいんだけど・・それから先は濡れた物でゆっくりと湿らせてからやるんだって。
そうしないと、腫れてしばらく使い物にならないって言ってたよ」
 純度100%、根も葉も無い大嘘。普段ならイリアも騙されない、しかしこの状況で、更に
「だから、イリアの口とかで舐めて、ゆっくりやらないと、イリアもこれ以上気持ちよくなれないんだってさ」
 と快感を得られなくなるような事を言われると、
 エイジャの赤石に時限爆弾が仕掛けられているよろしく疑いつつも従うしかない。
 本当に半覚醒状態? と疑いたくなるほどルカの頭の切れ具合は鋭い。
「分かった・・舐めてあげる。それしかないんだったら、しょうがないからね。」
 言葉通りに、イリアは小さな口を開け、ルカのモノを精一杯ほうばった。
 嫌々亀頭を舐め、その周りを覆っている皮をしっかりと濡らし、
 丸いパイの皮を一枚一枚捲るようにルカの亀頭を出していく。
「わわ・・あぁ。」
 イリアの舌付きに、ルカも声を漏らす。
 これが1分2分と継続して行くと、ルカに溜まった快感もまた高まり、
 愛撫を受けているようにポタリと汗を垂らし、イカないように努めていた。
「どうしよ、イリアの口の中・・に・・出ちゃう・・か・も」
 言葉が届かないぐらいイリアは緊張し、涙を流しながらちょっとずつ、ちょっとずつ捲っていた。
 笠の部分まで出し、もう少しというところで一旦口を離し、げほげほと何度もむせた。
 口から零れた唾液を手で拭き、頬裏や舌の気持ち悪さも取れ、さてもう一頑張りと鼻息荒く構えていた
 その彼女の頑張りを前にして、ルカが顔をイリアと同じ高さまで下ろしていた。
「も…もういいよ。これ以上続けると・・・
あの・・・僕が・・もたない…んだ…」
 と、恥ずかしそうに言うが、イリアはそれが耳に入らずルカのモノにしゃぶり付き、
 しっかりと濡らしながら皮を剥き始める。
「えっ! イ、イリア! それはもういいってば!
だ、駄目だよ・・だ・・め…ぅ…ぅぅ………」
 底から沸きあがってくる射精の予感が強くなると、
 ルカはだんだん声が小さく、細くなっていく…
 目を瞑って射精に耐えるが、イリアの舌テクの上達は早く、
 精に不慣れなルカはすぐに射精へと達してしまった。

「・・・飲んじゃったんだけど」
「うん、僕のを飲んだね」
 あっけらかんとしたルカには、少しの罪悪感も見られなかった。
「なぁんでそんな前向きなのよ! ・・・あんた本当にルカ?」

 いつもと違うルカに、イリアはどうにもやりにくそう。
 逆にルカは先へと進もうと、イリアのパンツに手をかけ、太股の辺りまで引っ張っていた。
「や…」
 イリアは恥ずかしそうに顔を背け、背けた先で耳まで赤く染め、暴れる心臓の鎮まりを願っていた。
 辱らう彼女の珍しさに、ルカはわざとらしくゆっくりと下着を脱がしていく。
 蟻の歩みよりも遅いスピードで、膝頭まで下げると、一旦イリアの顔を見た。
 息もするのも辛そうでも、ルカにはその表情ですら可愛らしく思えた。
「かわいいよ、イリア」
「・・・バカ」
「足広げるよ」
 下着を片膝に残したまま、貝のようにしっかりと閉じられていた足を広げて、ルカはその奥をじっと見た。
 僅かばかり膨らみ、性感の高まりを割れ目から感じ取ると、
 顔とは別の女性の魅力を感じて、つい意地悪を言った。
「イリアって初めて?」
 今のイリアは恥ずかしさで言葉が耳に入らない、質問をしても顔を背けたまま。
 小刻みに震える彼女を引き寄せ、胸を両手で揉むと、ますます身体を震わせ、顔を逸らした。
「初めてなの? 教えてくれないとずっとこのままだよ?」
「う・・うん。」
「嬉しいなぁ〜♪
イリアの初めての人になれるんだし、僕の初めての相手が処女のイリアだって!
後でスパーダに自慢してもいいかな?」
「や、やだって! 知られたら絶っ対になんか言ってくるから」
 ルカはくすっと笑う。
「嘘だから安心してよ。僕だって絶対に何か言われるからね。
でも、イリアが実はけっこうエッチだよってことは言おうかな♪」
 いつものルカいじりのお返しとばかりにイリアをいじる、いじる、何度もいじる。
 とはいえ、ここまでの蓄積でイリアいじりも満足いったようだ。

 ちゅ、と触れるような軽いキスをすると、テスト中でも見せない真剣な眼差しを向ける。
 彼女をきつく抱き締め、そのまま押し倒した。

 ルカの腕の中に顔をうずめると、ハスタに刺された傷が目の前で滲んでいるのが目に入った。
「傷・・・痛むんじゃないの?」
 胸の傷を、優しい手付きでイリアが撫でると、ルカはイリアの艶やかな髪を撫でた。
「イリアの初めてが痛むならさ、僕だって痛い思いをしないと不公平だから、このままの体勢でいいよ。
我慢できないぐらい痛いなら、背中に爪をつきたててもいいから。」
「・・おたんこルカのくせに、シャレたこと言うものね。
それじゃ、こっちも痛かったら容赦しないからね。」
 ルカの首の裏で手を組むと、爪をしっかりと拳の中にしまい、イリアは目を瞑った。
 ルカは深呼吸をすると、自分のモノを掴み、ゆっくり挿入をした。

 押し込み始めると、間もなくぷつぷつという弱くも確かな感触がモノを通じて伝わり、
 意外なほど、すんなりと入った。
 ルカがあんなに焦らしたお陰で、痛みを感じないぐらいに濡れたのか、
 それともルカのモノがあまりに小さいものだからか、何にせよ痛みを感じなかった。
「・・おたんこルカ、アンタの背中をどうやって痛めつけてやろうか構えていたのに、意味ないじゃない」
 可愛げない態度を見せるが、内心は嬉しくて堪らない。
 最初はホットドッグを貰っただけの仲だったのに、
 今は自分の初めてを捧げる相手にまでなったことに、感慨深いものを持っていた。
「処女じゃなくなった今の気分はどう?」
 ルカは小悪魔っぽく笑い、純情な女性には答えにくい質問をしてくる。
「なんか・・・あ…想像して・・たよりも、ずっと痛くない・・
・・・あっ!!」
 イリアが大きく跳ねた。ルカがモノを強く膣壁に打ちつけて、そこからすりすりと膣壁を擦っていた。
 口から声を漏らして喘ぐ、イリアの気持ち良さそうな顔をルカは舌でぺろっと舐め、不満顔でもう一度言った。
「そうじゃないってば。
痛いかどうかじゃなくて、どんな気分なの? 答えてくれないと抜いちゃうよ?」
 ルカの腰がゆっくりと動き出し、イリアを突く。錦のように尊い新たな快感が登りつめてくる。
 彼女の心と記憶に永遠に刻み込まれるであろうそれは、短時間で終わらせるにはあまりにも勿体無い。
 ルカも同じだが、ルカはもっと楽しみたい気持ちが強く、行動のベクトルは全て楽しむほうへと向いていた。
「もう一度言うよ。
ねえ、イリア♪ 僕のがキミのこんなに大事なところにずっぽり入って、非処女になった感想はどうなの?」
 いやらしい言葉を混ぜつつ聞いてくる彼に、一片の怒りも沸かずに素直に答えた。
「うれ・・し・・・い。んん……ぅ…! うれしい・・ってば。
いつかね…こんな日が来ると思ってたけど・・はぁっ! あ・・アンタが相手で、優しく・・してくれたか・ら・・ね」
 甘い喘ぎ声を混ぜつつ、感じたままに喋った。
「僕も嬉しいよ。」
 ルカがイリアの頬に強い口づけをして、2,3日は残るような濃いキスマークを残した。
 それは岩の破片で出来た疵に重ねるようにつけられていた。

 手をあてて恥ずかしがるイリアの表情はマタタビで酔った子猫のように可愛らしげ。
 反対の頬にも同じように濃いキスマークを作り、舌でちろちろと擽る。
「る・・・かぁ…」
「イリア、もっとイジワルしたいんだけど?」
「・・・もう、限・・界、焦らさないで・・お願い…!
動いて・・・あたしの気が飛びそうなぐらい・・・動いてよ・・」
 ぽろぽろ涙を流し、泣き声でイリアはおねだりした。
 「イリアがこんな事を言うなんて絶対に無い」と思っていたルカは、彼女にこんな台詞を言わせたことや、
 モノを通じて膣から感じる天にも昇る快感に、満面の笑みを浮かべる。
「それじゃあ、アニーミさん・・・じゃなくて、他でもないイリアのお願いだからね。」
 わざとらしく間違えた。さん付けで呼んでいたあの頃は、うだつが上がらなかったが、
 今は逆におねだりするという力関係を確かめるようであった。
「動くよ。しっかり感じてね」
 腰の動きを再開し、ぐむっと押し込んで子宮口のところに先端を触れさせる。
「はぁあんっ!」
 ぐいぐい膣を圧迫される感覚が続き、イリアの身体がそれまでとは違う震えになった。
 腰を上下に揺らしながらゆっくり引き、また一気に押し込む!
 繰り返しが何度も続き、膣内から出る愛液がポタポタと滴り落ちた。
 爪を噛み、ルカと繋がっている快感の波を受け入れる。
 嬌声をあげて酔いしれるその快感が、彼女の中に再び込み上げている絶頂の予兆にすぎないといっても信じないだろう。
 ルカの腰がリズミカルに奥へ前へと何度も往復し、その度にイリアは声をあげ、身体を震わせ仰け反る。
 先ほどまで男を知らぬ処女だというのが信じられないほど感度良好、
 ルカのモノが膣内のどこを触っても、指が胸のどこに触れても媚薬を使ったような声を悲鳴のようにあげる。
 ルカも同じように、イリアの中で圧迫されるモノを通じて、膣内の熱や感触が面白いように分かった。

「イリア、キミの中・・・すごく温かい・・・
僕を、キミがしっかりと抱いてくれてるよ・・」
「ルカぁ・・るかぁ・・」
「もっと、イリアの協力で、気持ちよくなりたいなぁ。」
「んぅ…いいよ・・はぁ、ルカがしたいなら・・なんでもしてあげる・・」
 気持ちよさで、目の焦点も定まらない、絶頂感が全身に走るのも時間の問題だった。
 身体はそれを知っているのか、ルカとやけに肌を密着させていた。
 手と手を繋ぎ、足はルカをしっかりと抱きかかえ、頬と頬が擦れ合う。
「イリアのあそこ、もっときつく締めて。閉じるようにだよ。」
 快感という逃れようの無い催眠術をかけられ、言われるがままにイリアは股をできる限り強く閉じた。
 膣も縮み、受け入れているルカのモノを強く圧迫する。柔らかい膣壁と燃えるような膣熱が、ルカのモノを一層強く包み込む。
「きもちいい? ルカ・・これで気持ちいいの?」
「最高♪ こんなに濡れてさ、こんなにポカポカで、きゅぅ〜って僕のを圧迫してくるんだもん。他に言葉が無いよ。
それにしても、凄い濡れ方だね。僕と知り合ってからも、自分でもこういう行為をやってたんじゃない? けっこうエッチだよねイリアって。」
 思い当たる節あり、というか、ルカが起きる前にしていた。
「そ・・ういうのって、ルカは・・嫌いなの?」
「今は大好きだよ」
 その今が、半覚醒状態という意味の今なのか、それともイリアがそうだったから好きなのか、はっきりしないところがあるが、
 イリアはその言葉でにこりと笑って、ルカの腕の中で飼われた子猫のように大人しくなった。
「もちろんイリアのことだって大好き。
どれぐらい好きかって言うと、ね………!!」
 ルカの腰の動きが急に早くなった。
「きゃぁう!!」
 イリアが声をあげても全く意に介さず、愛液が零れるほど強く打ちつけた。
 膨らんだイリアの胸が落ち着き無く上下に揺さぶられ、二人の髪の毛がばさり、ばさりと乱れる。
 身体の隅々に性電流が走り、それで意識も飛びそうになるのを、ルカの身体に必死に抱きついて堪える。
「ルカ・・るか・・怖い・・
おかしくなる・・飛んじゃう・・・怖い、怖い・・」
「怖がらないで。僕も飛びそう。一緒にいこうよ。」
 気が狂いそうな性感の中、イリアの絶頂とルカの絶頂が同時に訪れた!
 目の前が白くなった錯覚に陥り、イリアはその白い世界で体の隅々から持ってきた声を高くあげ、
 ルカは彼女の叫びの中で、大きく身体を震わせると、子供の種となる白潤液をイリアの奥深くに注ぎ込んだ。

 イリアは余りに感じすぎて、膣が痙攣し、意識も夢現で、虚ろな瞳で天井を見ていた。
 ルカの出した精液が端から零れ落ち、彼はイリアの頬に深いキスをした。
「イリア・・・僕は君のこと・・僕の子供を産んで欲しいぐらい・・・大好きだよ・・」


「わっ!!」
 ガラムの宿屋の中、イリアは撥ねるように飛び起きた。
 汗びっしょりではあったが、しっかりと衣服は身に着け、首に巻いたマフラーもちゃんとあった。
 隣を見ると、ルカがぐっすりと眠っていた。上半身は裸だが、下半身にはきちんとズボンが穿かれていた。
 はっとして鏡を見るが、キスマークは見当たらない。2,3日残ると思っていたあのキス型の内出血が影も形もない。
「・・はぁ〜〜〜、なァんだ。
・・・夢。夢ね、夢に違いないわね。夢オチなのね。
おたんこルカがあんな積極的な訳あってたまるかって話よ!」
 といいつつ、あんなに感じたことが全部夢だったと思い返すと、ちょっと勿体無いかも、と嘆いた。

 どこまでが夢なのか・・・と悩んでいると、声が彼女に届いた。
「ん、お目覚めか? あんま寝てると、ハスタの野郎に寝首をかかれるぜ?」
 スパーダが眠気覚ましのコーヒーを飲んで、いつでも戦闘に入れるように息巻いていた。
 その後ろではリカルドが銃の手入れをしている。
 イリアは、鏡に映るポップコーンのように乱れた髪の酷さを驚き、さっと整えると、頭を整理した。
「アンジュから話を聞いたところまでは起きていたみたいね・・・
一応聞くけど、あんた達がここに来た時、アタシどんな格好だった?
あとアンジュは? 全っ然見当たらないんだけど?」
「何だぁそりゃあ? アンジュは俺が来たときにはいたし、イリアは最初から眠っていたぜ。勿論ルカもな。」
「後でセレーナに礼を言え。お前の頬にあった傷跡が消えていたのは、彼女がヒールしたからだ。」
 リカルドが手入れのため、銃口をこっちに向けながら言う。
「傷跡? ヒール? アタシに傷なんかあったかしら?
ふーん・・・なんだかわかんないけど、アンジュには感謝しないとね。
じゃあ、アタシまた寝るから。」
 と言うと、イリアは再び布団を被った。
 熊のような大きな欠伸を出すと、すやすやと溜まった疲れを癒すように眠った。
 一体何処までが本当で、どこまでが夢だったのかはっきりしないまま、彼女はこの事を忘れていった。

 彼女が周りの人の声ぐらいでは目を覚まさないほど完全に眠ると、リカルドがふっと笑った。
「ゴミ箱にティッシュが溜まっていたことや、椅子がヌルっとしていたことは言わなくていいのか?」
「『自慰行為してたって気付いていた?』っては聞かれなかったしな。
家じゃ兄貴たちと違ってデリカシーってもんは習わなかったが、
一応、ハルトマンに騎士としての心得は叩き込まれたんでね。
余計な事を言うつもりはねえよ。」
 かっこいい事を言うスパーダだが、鼻の下が伸びていた。
 リカルドはさすが大人というべきか、あるいは風俗で放出したのか、鼻で笑うだけだった。

 だが、宿屋の影でアンジュが必死に神に祈り、
 自分が見た光景及びルカとイリアにした処置を、二度と思い出さないように祈願していたことは、誰も知らなかった。


 目を覚ましたルカは何も覚えていないようで、イリアも夢だと思い込んだため、
 その後も二人の仲はくっ付くのかくっ付かないのか微妙な距離のままだった。

 さて、それからしばらく・・・一年近く経ち、前世の記憶巡りやアルカ、
 創世力についての問題もカタがつき、全て元通りの生活に戻った。
 ルカはテスト期間になり、友達からの誘いもきっぱり断り、部屋の中で知識を熟すように猛勉強をしていた。
 自分でも驚くぐらいすらすらと頭に知識が入っていき、試験も答案用紙の上をペンが踊るように走る。
 1週間を使ってやるテストも最終日。得意な暗記物で、前日は気合を入れて勉強した。
 さて、頑張るかと制服を着て、学校へと歩いていたら・・途中、思いも寄らない、されど嬉しい客がいた。
「イリア!」
 髪が大分伸び、馬で遊んでいるというよりは馬を優雅に飼っている印象を受けるが、間違いなくイリアだった。
 ルカはすぐに彼女に駆け寄ると、再会を祝して満面の笑顔をした。
 しかし、イリアはルカのように再会を喜ぶ風も無く逆にハァとため息をついていた。
「どうしたの? そんなにため息なんかついちゃって?
・・・もしかして、僕のこと忘れちゃったんじゃ……そうだよ…ね、僕なんか忘れられて当然だよね・・・」
「ネガティブになってんじゃないっ!!!」
 と、天地貫く怒号で一括。そのせいだろうか、遠くでどっかの子供が泣き出した。
 ルカも、その子供のように泣き出しそうに身を縮めていた。

 テストの時間までまだ余裕があるからということで、
 ルカは近くのベンチに座り、思い出話をしようと提案した。
 イリアも立ち話もなんだからと納得。
「その・・・ど、どう? サニア村の様子は?」
「ん〜まあまあね。家とか家畜とかは大分復興したわね。
最近はネズミ猿が十匹、村人が一人増えて、慌しい生活を送ってるから気が休まらないんだけどね。」
「そっか! こ、このまま上手く元通りになるといいね!」
 やっぱりイリアと話していると、緊張して言葉が上手く出てこないルカ。
 せっかく再会したんだから、「会えて嬉しいよ」とか言おうとしても、喉で止まってしまう。
 逆に、イリアは自分の言いたい事をハキハキと言った。
「それでさ・・さっき村人が一人増えたって言ったじゃない。
念のため言っておくけど、シアンじゃないからね。あいつはもうどっかに旅立ったから。」
「そ、そうなんだ。シアンも居ればよかったのに。
・・・あ、そういえばコーダは!?」
 その時、ルカはようやくコーダが居ないことに気付いた。
 いつもならイリアから離れずに常に付き纏っているあのネズミ猿っぽい生物が、今日は見ていない。
「ちゃんと居るわよ。」
 と言うと、指をパチンと鳴らした。コーダは大きな籠を頭に乗せ、慎重に、慎重にこちらへと近づいてくる。
「重いんだな、しかし」
 忘れられないこの口調・・・しかし、ルカはそれ以上に籠に入っている物体の方に気がいった。
「あれ? 子供・・っていうか赤ちゃんだ!
うわぁー、かぁわいいなぁ」
 人間の赤ん坊。とても小さくて、生まれてまだ数ヶ月あるいは数週間といったところか・・・
 何故か泣いている。どこかで大声でも聞いたのだろうか、
 泣き止まそうとルカは面白い顔をしたり、高い高―いをしたりするが、一向に泣き止まない。

 子供を泣き止ませようと四苦八苦しているルカに、聞こえているか分からないが、イリアは一応説明した。

「その子が新しくサニア村の一員になった子よ。
だけど、その子を村の中に置くべきかどうか、特に年寄り連中が揉めてんのよねー。
何しろ父親が外部の者で、しかも今は村の中に居ないってんだからさ。」
 途端にルカは不機嫌な表情を露わにする。気が弱いことも、正義感が高いところも変わっていないようだ。
「ひどい親がいるものだね…僕、その父親を許せそうにないよ!
この子の父親について、何か詳しいことは分からないの? ギルドの人達に協力してもらおうか!?
なんなら僕たちで探そうよ!」
 と言って、拳をぎゅうっと握り、イリアの前に突き出す。
 イリアはハァ〜と、深いため息をついた。
「そうね、後でみっちり説教してやらないといけないわね。
父親についてはね・・・結構分かってる部分が多いのよ。
アンタについても、色々と言いたいことがあるんだけどね・・・まあ、その前に一応言っておくわ。」
「そーだぞ、しかし」
 コーダも何かを物凄く言いたげだが、シシシシと歯を出して笑いたいところを、一応内緒にしているような感じ。
 子供の泣き声が小さくなったルカは、子供を抱えてみて、その重さに嬉しくなり、優しく微笑んだ。
「教えてよ、この子の父親の情報。」
「あ〜らそう〜?言ってもいいんだー♪」
 イリアは、旅の中で何回も見せた、魔女のようなあの笑い顔で言った。
「第一、王都レグヌム在住。」
「えっ! ここなの!?
じゃあ、イリアは僕に会いに来たんじゃなくて、この子の父親を探しに来たんだ・・なんか、へこむなぁ」
「第二、この子と髪の色が同じ。」
「髪の色髪の色・・あ、銀髪だね。」
「第三、立っっっ派な医者になりたがっています。」
「『なりたがっている』ってことは、まだ医者じゃないんだね。
僕と同じだね。レグヌムに学校は一つしかないから、ひょっとしたら、僕と同じ学校の中にこの子の父親が・・・
その人、もし同じ学校だとすると、すっごい若いね。
・・・あれ?」
 この頃になると、ルカはなんだか不安になった。
 王都レグヌムに住んでいて、銀髪で、医者になりたがっている人。
 心当たりが無い訳ではない・・というか、ありすぎる。
 普段は見れないが、鏡の前に立つと絶対に居る。
 父親になるために女性と行う行為自体には、身に覚えが無いのだが………

「ま、まさかね・・・はは・・ははは…」
 乾いた笑い。抱かれた子供は指をくわえて、慌て始めたルカを見つめていた。
 何かを察しているルカに、イリアはむふーっと息を吐いて、力強く言った!
「第四、『前世がアスラ』!!
・・・で、今はルカ・ミルダって名前の、銀髪で、王都レグヌムに住む、医者になりたがっている男の子。」
 そこまで言うと、思いっきり嫌味な口調で聞いた。
「ルカさ〜ん、もし一人でもそんな人物に心当たりがあるんでしたら、私に教えてくださらないかしら〜?」
「・・・・・・」
 第一、第二、第三のヒントには何か言っていたルカだが、
 この一番のヒントもとい答えには、何も言えなくなった。
 何かの仕返しのように、イリアは嬉しそうに飛び跳ねた。
「ついでに言ってあげよっかー? この子の母親はアタシよ!
この子はアンタとアタシの子供なの。念のため言っておくけど、アタシは誰にでも身体を許すような軽い女じゃないからね。」
 踏ん反り返って、ルカに拳を突き出すように言う。
 石化したようにルカは固まり、眉一つ微動だにしない。
 逆に、コーダは慌しくルカの足をバンバン叩いた。
「イリア、ルカ。コーダには分かるぞ。この赤子はお腹減ってきてるんだな、しかし。」
「あ、もうそんな頃かしら。コーダを連れて来て正解だったわ、こーんな使い方があったんだからね。」
「使い方って、失礼だな、しかし。」
 イリアはルカの頬を引っ張っている赤ん坊を自分の手に戻すと、服をまくった。
 少し大きくなり、若干黒くなっていた乳首に赤ん坊の口をあてがった。
 赤ん坊は美味しそうにちゅうちゅう吸い続ける。
 ルカは何もすることが出来ず、ただそれを見るだけであった。
 少しすると、赤子はイリアの胸から顔を離して、満足げにおくびをした。
 その口からは、少し母乳らしきものが漏れていた。
 ルカは必死で記憶を遡り、イリアとああいうことが無かったか考え込んだが、全く記憶にない。
「イ、イリアは・・・僕と……僕と、その…した記憶・・あるの?」
 おどおどしながら、小さく俯いて彼女に問いた。
 イリアは、子供が怯むような怖い目でギロッとルカを睨んだ。
「ルカ・・・まさか、まだ15歳のアタシを孕ませておいて、
アンタには記憶がこれっぽっちも無い・・・なーんて言うんじゃないでしょうね!?」
 逆に質問を返された。
「ま、一応答えるとアタシの記憶もすんごい曖昧なのよね・・・一時は夢だと思って忘れてたぐらいだし。
どーもアンジュの話を聞くと、ヒールを使うと傷跡と一緒に内出血も消えるっていうから、
まあ、そう思うのも納得が行くって言えばいくんだけどね。それでー、アンタは覚えてるの?」
「ギクッ!」
 こけしのようにピーンと背筋が伸びた。額から汗が滝のように流れ始め、口は金魚のようにパクパクしていた。
「どうなのかしら?? 全く記憶がないの? 
それとも〜やけにアタシに対して色々要求してくる記憶が、ほん〜〜〜っのちょっぴりでもあったりするの?」
 ずいっと迫ってくる彼女に、まさか覚えが無いとは言えない。かといって嘘を言うのも失礼に当たる。

 悩み考えて、更に悩み考えて、答えが出るまで考えたいところだったが、
 計った様に学校のチャイムがキンコンカンコンと街中に響いた。

「じ・・時間だから・・・僕行くね。あ、でも連絡だけはつくようにしないと!
とりあえず、イリアはどこに居る予定なの………?」
「別にー。決めてないわよ。逆から言えば、どこでもオッケー、アンタの家にしばらくお世話になろうかしらね♪」
「あ、そ、そうなんだ。(イ、イリアと子供と、一つ屋根の下)・・・って! 父さんと母さんもいるよ!」
 ルカの脳裏に、厳格な父親が大魔神の如く怒り狂う顔が浮かんだ。
 80点のテストを持って帰っただけで説教が2時間続くのだ、子供が出来たなどと聞いたら・・・
「じゃ、ルカん家でいいわね。
う〜ん、手ブラで行くっていうのも。コーダじゃ御土産にはならないわよね?」
「土産にするのはやめてほしいな、しかし。」
「い、家は待ってよ! あ・・えーと・・・場所、どうしよ・・」
 しどろもどろと悩む。旅の頃と変わらぬその姿を見て、イリアは安心した様子だった。
「じゃ、道具屋でホットドッグでも食べながら待っててあげるから、さっさと終わらせてきなさい。
オムツとか、色々こっちで揃えたいものあるしね。」
 と言うと、イリアは子供を抱いて、コーダと一緒に港の方向へとっとと向かっていた。

 一人ポツンと残されたルカは、自分の頬を強く捻った。
 世界が歪んで、これは全部夢でした、というオチが待っていることを祈って。
 が、世界が歪むどころか、逆に痛みでハッキリした。
「夢じゃ・・ないやぁ…
はぁ・・・パパになっちゃった・・・。どういう顔して家に帰ればいいかな・・・」
 重い足取りと沈痛な表情で、試験に臨むハメになった。
 『普段と違うことはするもんじゃないよ、後から色々つらくなるから』という天の声が聞こえた気がした。


 後日、ルカはこの日のテストの結果が他の四日と比べて、
 あまりにも悪いということで、担任の先生が心配して呼び出した。
「ルカ・・倫理学苦手だったのか? でも前期じゃ96点だよな。
53点だぞ? 今回勉強が足りなかったのか? それとも試験中に寝たのか?」
「あの・・……考え事していて、上手く頭が動かなくて、半分しか書けませんでした・・・」
「ほお、確かに回答率は低いが、書いた奴はほぼ全部合ってるな。それも前半に集中しているし。
その考え事って、何か重大なことなのか? お前に悩みがあるなら聞いてやるぞ。」
 生徒の身になって考えてくれるこの教師には悪いが、相談したところで悩みが取れることは無いだろう。
「身に覚えのないことがあって・・・それのせいで、家族会議が毎日続いているんで
・・・それが終わってから相談します・・」
「そうか。お前の実家はレグヌムに必要不可欠な大企業だからな。あまり大ごとにするんじゃないぞ。
それに、お前自身にもあまりいい影響はないだろうしな」
「・・・はい・・・」
 さすがに「もう大ごとになっています。子供が出来ているんですから…」とは、口が裂けても言えないルカであった。

 その頃、ルカの家では、イリアが煎餅をバリバリ食べながら、呟いていた。
「さーて、ルカのことどうしちゃおっかな〜。
この場で全教科教えられる教師としてスカウトしちゃおうかしら?
それとも、しばらくここでお世話になってもう一人ぐらい作っちゃおうかしら? それともそれとも♪」
 うしししと、頭から湯水の如く湧き出る悪企みの数々・・・その割には、どこか憎めない顔で笑うイリアだった。


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