「ついにやったぜ。最後はお前だ!」
レオンの目に焔が宿る。叫び声を上げ男に向かってゆく。
「フフフ、完成したぞ。これでも食らえ!」
「(あ…危ない)」
カイルの声が聞こえた刹那、レオンに向かって大きく光るエネルギーが襲った。
エネルギーは恐ろしいほどのまぶしい光を放ち炸裂し、轟音を立て近くの林をなぎ倒し、また元の静寂に戻った。
「レオーン!レオン…嘘、嘘でしょ!?」
レオンの気配が消えてしまった。クララは目に涙をためレオンの名を叫ぶ。
男がゆっくりとクララに近づく。逃げようとしたクララの腕を男の手が掴む。
「…」
皺だらけのカサカサした感触に思わず声を飲み込む。
「手こずらせやがって…おかげで俺も力を使い切って老人みたいになっちまった。
お前は確か治癒能力が優れてるんだよな。俺を元通りにしてくれれば悪いようにはせん。従わなかったら…」
「従わなかったどうするってのよ!殺すなら殺しなさいよ!レオンがいなかったら…私…私は生きていてもしょうがない!」
あの内気で自分の意見を積極的に表明できないクララが、
今は男を見据えている。その「強さ」に男も一瞬たじろいたほどだ。
彼女のレオンを思う気持ちはそこまで強いのか。
「嬉しいこと言ってくれるねぇ」
レオンの声が上から聞こえる。思わず二人は上を向く。
「き、貴様、何故生きている?!」
男はたまらず叫ぶ。
レオンは結界に包まれて、傷一つない。
「(全く…危ないところでしたよ)」
カイルの結界はあのロマノフですらも破れない。
「もうお前に反撃する能力は残っていないようだな」
レオンは結界を解くとゆっくりと地面に舞い戻る。
雲に隠れていた月の光が地上を照らす。男の顔が見えてきた。
「て…てめぇは?!」
男の顔に見覚えがあった。
レオンの父親の元で修行をしていた男だ。
「何故…何故父を殺した?」
レオンの顔に憎しみの表情が宿る。レオンはゆっくりと男の下に歩み寄り、両腕で男の胸倉を掴んだ。
「ゆ…許してくれ…俺は…この力を使って悪事を働いていたことが師、つまりお前の父親にバレてしまって
…それで…バレないように不意をついて殺したんだ…
頼む。許してくれ!俺が今まで稼いだ財産の半分、いや全部をやる。だから…だから…」
「うるせぇ!今までの所業、地獄で反省しろ!」
レオンの身体から焔が迸り、男の全身を包む。
「グアァァァァァ…」
男は断末魔の叫びをあげ、燃え尽きた。
「レオン!心配していたんだから…」
クララはレオンの胸に飛び込むとあとは言葉にならない嗚咽を漏らしていた。
レオンはそんなクララを優しく両手で抱きしめる。
レオンの逞しい腕と胸板から伝わる体温がクララを包み込む。
「ああ…心配かけたな…でももう大丈夫だ。さぁ、はやくがっこうにかえろ…」
レオンも体力をかなり消耗していたのだろう。そのままクララの上に崩れ落ちた
<<back | >>Next
保管庫に戻る
トップに戻る