偽典・女神転生 東京黙示録

第一話 「挫折」

ページ2    

けたたましい電子音が鳴った。
どうやら試験がもうすぐ開始する時間のようだ。
慌てて服を着替え、PCの前に座る。
管理部からの通信が入りこんだ。
試験開始を告げるメッセージが、画面にうつし出されていく。
『これより・・・・デビルバスター入隊試験の一つである、能力試験問題を送信する。
試験問題に対する回答は、
その都度提示される選択肢を選択する形式で行なう。
試験時間60分。
時間内にすべての問題に回答できなかった場合においても、
制限時間が訪れた時点で、試験終了とする。
質問等、試験中の外部との通信は一切禁じられている。
厳守する事。
万が一違反した場合、試験結果がどの様な物であろうと、不合格処分とする。

以上
受験番号0916 葛城史人 検討を祈る。』
緊張してきた。
問題が送られてきた。さっそく開いてみると、
『能力試験第一部 悪魔形態分類学

問題1
悪魔とは本来霊的な存在であるが、霊的な存在でありながらも
この世において肉体を持つ事が出来る。
受肉の手段は主に二種類に分類される。
一つの手段として、他の生物体の肉体に憑依し、それを自らの肉体とする場合。
そして、残るもう一つの手段として、大量の生命エネルギーを用い、
それを肉体に変換する場合である。
この生命エネルギーを生体マグネタイトと呼ぶが、悪魔がこの生命エネルギーを
人間からもっとも大量に摂取できる方法を、次から選べ。』
確か、血を流せるだったかな。
次々と問題を解いていった。
はっきり言って自信がない。
筆記試験が終え、自分の解答データは自動的に送られた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
筆記試験の結果が出た。
『DB受験番号0916 葛城史人。君の筆記試験の成績は以下の通り。

筆記試験総合得点 25問 50点中23点

引き続き実技試験が行われる。そのまま自室で待機せよ。』
思ったより成績が悪い。
何とか実技試験で取り戻さないと・・・・
しばらくすると、デビルバスター隊員がひとり部屋に入ってきた。
「次はヴァーチャルダンジョンを用いた、実技試験が執り行われる。
私の後に、速やかについて来る様に。」
彼に連れられて、普段は入れない一階下のB8Fの会議室に連れられた。
中には由宇香を含む3人の受験生がすでにいた。
「では、これより実技試験に入る。
受験生は各自二人づつ組みになって、ダンジョンに入ってもらう。」
そう言い終わると、デビルバスター試験管は、受験生を二組に分ける。
「葛城くん、貴方が私のパートナーなのね。
でも、葛城くんと組めて良かった。
だって、みんな知らない人達ばかりなんだもの。
・・・・お互い、頑張りましょうね!」
僕も由宇香と組めて嬉しいといいたかったが、試験官が睨んでいた為言えない。
試験官が実技試験のことを説明し出した。
「実技試験中の装備は、デビルバスターとしての最低限の装備をプログラムに設定してある。
その装備の中に、ナンブ・スーパーと、9mm通常弾がある。
分かっているとは思うが、ヴァーチャルダンジョン内とはいえ、扱いには十分注意するように。
では、諸君。健闘を祈る!」
ヴァーチャルトレーナーに座り、仮想空間内に入る。
ヴァーチャルダンジョン内には無数の悪魔が放たれており、
由宇香と共に少しづつ排除していった。

奥の方から、ものすごい爆音が聞こえた・・・・
「今の音はなに?」
「分からないでも、今は目の前のアンデットなんとかしないとな。」
骸骨姿の悪魔がさびた剣を振り回し、襲い掛かってくる。
銃で応戦したが、あまりに効いていない様に見える。
剣の先端がかする。
「葛城くん、大丈夫?・・・・・よくもやったわね・・・・ザン!!」
由宇香が放った衝撃波は目の前の悪魔を一瞬にしてバラバラにした。
「だいじょぶ?」
「大丈夫だけど、毒にやられたみたいだ。」
「ちょっと待ってて、確か毒消しの薬があったはずだから・・・・」
「葛城くんじゃない!」
聞いたことがある声がする。
後ろを振り向くと、何故か桐島がいた。
「英美さん、どうしたんですか?」
「ちょっと、今、大変な事が起こってるのよ。
システムにエラーが出て、そのせいでヴァーチャルダンジョンに、
試験用に設定した、ボスキャラのデータが暴走しちゃってるの!!
そうだ、貴方達も手伝って!!
ここで死んだって、本当に死んじゃう訳じゃないし。
とにかく、敵悪魔の出現フラグメントをOFFさせるには、
今のところ、倒しちゃうのが手っ取り早いのよ!」
「葛城くん、手伝いましょう。」
「そうだな、手伝うよ。」
「よかった。
あ、葛城くん、毒っちゃってるのね。
待ってて、今君たちのデータを変えてあげるわ・・・・・
これ、絶対内緒だからね!」
そう言うと、英美は自分のアームターミナルを操作した。
「・・・・・これで、OKっと!
それじゃあ、あたしに着いて来て!」
少し進むと早坂が待っていた。
「英美!!隊長達はどうした?」
「まだ到着までに、少し時間がかかるみたい。
葛城くん達が、試験でダンジョンに来てたから手伝ってもらう事にしたんだけど・・・・」
「葛城、すまないがよろしく頼む。
なにせ、緊急事態だからな。」
「ごめんね。こんな事させて。
あたし達も、出来るだけフォローするから・・・・・。」
「なに、これぐらい軽いものさ。」
「そうよ、デビルバスターになるならこれぐらいのこなしておかないと。」
「大きな口叩けるようになったな。
さぁ、あまりぐずぐずしてはいられない。行こう!」

ボスの部屋の扉の前に辿り着く。
「行くぞ!!」
早坂の声で、中に一斉に入る。
中に入ると、赤いドラゴンがいた。
「!!あいつだ!!」
「ポイズンドラゴン!?かなりの高レベル悪魔よ!」
「・・・・・やるしかない・・・・・・・
隊長達が到着するまで、何とか持ちこたえるんだ!!」

戦いが開始された。と、そのとき、
『聞こえるか?こちら西野!!』
「隊長!!」
『こちらは、今、ヴァーチャルダンジョン内に入った。
到着まで、あと少しかかる。
それまで、もちこたえてくれ!』
「了解!!
いくぞ!みんな!」
早坂の号令で僕と由宇香は早坂と英美を援護するするように銃を撃つ。
しかし・・・・・
「何よこれ!?ぜんぜん攻撃が効いてないじゃない!」
「手応えはあるのに・・・・HPデータも異常になっているのか?」
『こちら西野!!
現在、君たちのいる部屋の扉前に到着した。
全員、一旦撤退せよ!』
「了解!!
総員、室外に退避!」
急いで撤退した。
外には西野さんと山瀬が待っていた。
「全員無事か?」
「はい!」
「あ〜ん?随分と苦戦してるみたいだな?」
山瀬が憎まれ口を叩く。
「全然歯が立たないのよ!」
「ま、この俺様がきたからには、大船に乗った気でいるこった。」
「山瀬!!
葛城くん、橘くん、よく頑張った。
後もう少しだからな
これから、全員で突入する。
その後、山瀬、早坂、桐島。
葛城、橘、私。
この二組に分かれ、奴の左右に回り込み、一斉に攻撃をかける。」
西野さんが的確に命令し、
「了解!!」
全員戦いの準備にかかる。
「では、行くぞ!」
その一声で再び部屋の中に一斉に突入する。。

「アクシデントの発生により、ここまでで実技試験を終了する。
また、この試験が有効かどうかは、管理部の指示をあおぎ追って沙汰する。
諸君は会議室で待機してくれたまえ。」
DB試験官がそういって皆を解散した。
外に出ると、西野さん達がいた。
「二人とも、よくやったな。」
西野さんから誉められた。嬉しかった。
「なかなかの戦いっぷりだったぜ。」
「俺は、由宇香ちゃんのイメージが変わったよ。
聡明で淑やかな才女にプラスして、勇猛果敢な戦う女って感じだなぁ。」
「・・・・そんな・・・・・」
「山瀬の言う事は、いちいち気にしないでね。
でも、二人とも大したモンだったわ。本当に!」
「先程のヴァーチャルダンジョンでの試験についてだが、・・・・・
アクシデントが発生し、我々が介入したとはいえ、あれだけの強力な敵を相手に、
戦い抜いた事実は、試験内容的にも、まったく申し分ないと私は思う。
本来ならば、試験中にアクシデントが発生した場合、後日改めて再試験という形を取るが、
今回の件については私が詳しく管理部に報告し、再試験の必要がない様にとりはかろう。」
「本当ですか?」
由宇香が嬉しそうに言う。
「面倒なのは、誰だってご免だモンね!」
英美がおどけた調子で言った。
「では、これで、君たちの入隊試験は全て終了した。
後は、会議室に行って結果を待つ様に。」

会議室ではもう一組の受験生達が待機していた。
「諸君には、試験結果報告が出るまでここで待機してもらう。
ただし、各自私語は慎み、勝手に室内から出たりしない事。
以上!」」
と試験官が言った。
「もう心臓が破裂しそうだよ。
デビルバスター入隊試験は厳しいって言うし・・・・・ああ!」
と受験生の一人が独り言を呟いた。
「私なんて、これで受験二度目なの。
今度落ちたら、オペレーターにでも応募するわ。」
みんな自分が落ちてしまうのではないかと不安なんだろう。
「私たちも座りましょう。」
と由宇香が言った。
会議室の中は、ピンと張りつめた空気が漂っている・・・・・
由宇香が、小さな声で話しかけてきた。
声をひそめて話しかけている為、自然と由宇香の身体が側に来る。
彼女の髪からだろうか。
ほのかにいい香りが漂い、葛城の鼻孔をくすぐった・・・・
「ねぇ・・・・葛城くん・・・・・
結果はまだ出ないのかしら・・・・」
「さぁ?」
「・・・・そうよね。葛城くんにも分からないわよね。
ごめんなさい。何か不安になっちゃって・・・・・」
「そうだね。」
由宇香は、しんみりしてしまっている・・・・
慌てて元気になる言葉を捜した。
「君なら大丈夫だよ。」
「・・・・・ありがとう。
でも・・・・葛城くんは?」
「たぶん駄目。」
正直に言ってしまった。
筆記試験もたいして取れなかったし、実技も最後は早坂に頼ってしまった。
「そんな!」
少し声高に由宇香が言うと、他の二人の受験生の視線が由宇香に集中した。
由宇香はまた、声をひそめて葛城に言った。
「駄目よ。そんなに簡単にあきらめちゃ・・・・・」
由宇香は、不安がっていた自分の事は棚にあげてムキになっている・・・・
アナウンスが響いた。
「受験番号1225 秋本桃汰君。
会議室より速やかに退室し、試験官と共にラボまで出頭する事。」
「ぎゃあ!ぼ・・・・僕の番だ。
ああ神様。僕はどうか受かっています様に・・・・・ううう。」
「受験番号0818 富田安子君。
会議室より速やかに退室し、試験官と共に管理部まで出頭する事。」
「嘘!もう私の番なの?!
あーもー、どうとでもなれだわ!!じゃ、お先に!」
「受験番号1101 橘由宇香君。
会議室より速やかに退室し、試験官と共にデビルバスター詰め所まで出頭する事。」
「・・・・私の番だわ。
それじゃあ、葛城くん、お先に。」
由宇香もいなくなってしまった。
残るは自分ひとり。時間の流れが、恐ろしく遅く感じられる・・・・・
突然轟音が響いた!
音は、どうやら武器庫の方からだ。
どうする・・・・・
ここに待機したままにするか、
いや、様子を見に行こう。
葛城は、部屋を飛び出した。
作業員のおっちゃんが慌てた様子で部屋の前にいた。
「おい!今、武器庫ですげー音がしたぜ!
何なんだ、今の?
行こう!こっちだ!」
強引に連れられてしまった。
「・・・・・・ここだ・・・・・な。
お前・・・・・ちょっと行って見てこいよ・・・・・・
俺には、妻も子もいるし・・・・・」
「そんなぁ・・・・」
正直、なにが起きているか分からないところにひとりで行きたくなかった。
「そんな事言ってて、どうすんだよ!
お前は、デビルバスターになる為に試験受けてたんだろ?
こんな事ぐらいで尻ごみしてどうすんだよ。
俺はここで待っているから、何かあったら大声を出して俺を呼べ。
じゃ、頼んだぜ!」
また、強引に中に入れられてしまった。
武器庫に足を踏み入れた途端・・・・・
「動くな!動きゃ、こいつの喉笛かっ切るぜ!」
床には、デビルバスター隊員が倒れている。
その奥に、一人の作業員が武器庫の管理人を人質にして立っている。
「に・・・逃げろ・・危険だ!
こいつは悪魔に憑依されている・・・・グッ・・・・!」
「ヒャーハハハハ!!そーだヒヨッコはすっこんでな!」
どうする?
かなり危険な状況だ。
僕ひとりの力ではとても無理だ。
ここは一旦退いた方が良さそうだ。
僕は逃げ出した・・・・

スピーカーから声が聞こえた。
「受験番号0916 葛城史人
これにて試験終了。自室にて待機すること。」
すると、倒れていたデビルバスターが起き上がった。
「驚いたか?これも、試験の一環だったのだよ。
腹が立つのも無理もない。
だが、緊急事態に遭遇した場合の行動は、大変に重要なのだ。
パニックに陥ってしまう様では、勤まらないからな。
さあ、今度こそ、試験は全て終了した。
自室に戻って、試験結果を待つがいい。」

前ページ次のページ

偽典TOPヘ

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル