『 遠い約束 』


(ああ・・・・またあの夢だ・・・・)
寝台の上に起き直ったイズミルは、はぁはぁと荒い息を吐き、滴る脂汗を乱暴に拭うと水差しの水をぐっと飲んだ。
辺りは夜明け前の灰色の光の中に沈んでいる。見慣れた室内がひどくよそよそしく思える。
恐怖、絶望、愛する者を守れなかったという体の底から冷え冷えとしてくる感触。

夢はいつも戦の場面だ。どこかの城塞の中。攻め入ってくる敵軍から妻子を守ろうとする自分。
だが守ろうとした最愛の妻は自分の目の前でむごたらしく殺されてしまう。
飛び散る血。炎の中に転がっていく首。自分とそしてたった今、女の首をはね飛ばしたばかりの敵の絶叫、子供の泣き声。

どうして自分と敵は生き長らえているのだろう。
どうして敵と自分は同じ相手を愛し、結局は幸せにしてやれなかったのだろう。
愛していたのに・・・愛していたのに・・何よりも誰よりも・・・・・・。

イズミルは大きく吐息をついた。深い悲しみと切なさが氷の刃となって胸を刺す。
その夢はイズミルが物心ついた頃から幾度も幾度も彼の許を訪れた。どこか遠い時代の遠い国で彼は生き、誰かを愛し、その愛故に過ちを犯し、全てを失った。
(夢・・・か。ただの幻なのかあるいは・・・私が私として生まれる前の出来事か・・・)
砂漠の国、アル・シャハルの世継ぎにして摂政であるシーク・イズミルは先ほどの夢の残像に心を集中した。
映像が驚くほど鮮やかに目の前に浮かんだ。
自分を見つめる金髪碧眼の少女と言っていいほどの年若い女性。窶れ、戦塵に顔は汚れていてもその侵しがたい凛とした気品、愛らしい優雅な顔立ちは隠しきれなかった。
そしてその少女のような女性の腕の中に守られている幼児。幼いながら賢そうな顔立ち。金茶色の髪の毛と瞳。その男の子は自分の幼姿にうり二つだと、イズミルは思う。


シーク・イズミルの瞼の裏にさらに映像は流れる。

むごたらしく死んだ金髪の女性の遺体を目の前に呆然と立ちつくす二人の男。
黒髪の男性と茶色の髪の男性。後悔、絶望、悲しみ、いつ果てるとも知れない悲痛な慟哭が戦野にこだまする。
―・・・・・! 何故にそなたは死んだのだ?何故に私と生きてはくれなかったのだ・・・!―

イズミルは目を開いた。部屋に明るい朝日が射し込んでいる。
「シーク、お目覚めでございますか?」
乳母のムーラが朝のお茶の盆を持って部屋に入ってきた。
イズミルは勢い良く起きあがった。しなやかな肉食獣のような見事な体が朝日の中に露わになった。
「・・・・・お顔の色が冴えませぬ。また・・・夢を・・・?」
勘のいい乳母は心配そうに夢の残滓に捕らわれる育て子を見やった。
(イズミル様は前の世でよほどお辛い目に遭われたのだ。いつとも知れぬ前の人生の心残りを背負って生まれ変わって来られるほどに・・・)
古い言い伝えでは、人は幾度も生まれ変わるという。し残した事を成すために。もう一度愛しい人に巡り会うために。
ごくたまに、前世の記憶を引きずって生まれ変わってしまう人間もいるのだ。
(イズミル様は戦争の夢をご覧になると言う。前世に強く捕らわれて不幸にお生きになるようなことだけはなさらないでくださいませ・・・)
ムーラの心に感応したようにイズミルは言う。
「夢に捕らわれるとは愚かなこと。私はアル・シャハルのシーク・イズミルだ。私は私として生きるために今の世にあるのだ」


自らを叱咤激励しながらもイズミルは知っていた。自分がどうしようもなくあの金髪の少女に捕らわれているということを。
愛らしく優しい顔立ちも、毅然とした凛々しい言動も鮮やかに覚えている。
夢の中の自分に向けられた、哀しみと深い・・・愛情・・・のようなものが混じり合った視線。
それなのに名前すら分からない。夢の中の幻だと敢えて自分に言い聞かせ、心押さえねばならないほどに惹かれている相手の名前を、彼は知らないのだ。
「馬鹿げている・・・!」
イズミルは呟き、アル・シャハル首長国の摂政としての義務を果たすために政務室に向かった。

「おはようございます、殿下」
イズミルを迎えたのは秘書官のルカだった。イズミルは鷹揚に頷くと早速書類に目を通した。
ここ砂漠の中の王国アル・シャハルは近年、外国との交流の門戸を開いたばかりの国で、今は驚異的なスピードで近代化がなされていた。
豊富な石油資源は国庫を潤し、賢君と讃えられる若い摂政イズミルの元で国内は急速に発展していった。治安は良く、教育は行き届き、産業は栄えた。
鎖国状態から脱して20年とたっていないのに貧富の差なども少なかった。
右上がりに成長を続けるこの国に多くの外国企業が投資し、進出したがったが,イズミルは慎重に受け入れる相手を選んだ。近代化は急がれるが、しかし全体のバランスを崩しては国益を損なう。

やがて午餐の時間となった。
伝統的なゆったりとした寛衣を着たイズミルは病床の父王を見舞いに行った。
病勝ちですっかり弱ってしまった父王だったが、しかし午餐を共にしながら息子と国政の事を話すのは楽しそうだった。
父王は息子に満足そうに微笑んで見せた。父親の不満はただひとつ、息子が30近くにもなって未だ独身であることだけだ。


「イズミル。そなたいくつになったかな?」
「20と8・・・でございますが」
空とぼけてイズミルは言った。
「わしがそなたの年の頃は・・・」
「・・・もう、そなたは6歳になっていたぞ、でございましょう。父上。
分かっておりますよ、おっしゃりたいことは。私も考えぬわけではありません。
しかし今は国事が山積しております。個人的な事はどうしても後回しになります」
「何が個人的か。世継ぎにして摂政たるそなたの婚儀は国事である。縁談は多くあるのだぞ?」
「国事であればこそ慎重にもなります。少しでも良い条件で我が国の国母となる女性を手に入れなければ」
「・・・・・・イズミル、そなたはまたあの夢を見たのか?」
イズミルの顔がさっと緊張した。
幼い頃、あまり悪夢―もとい戦場での生々しい光景―に苦しめられる息子を見かねた父王は伝統的な占い師に彼を見せた。
そのためにイズミルがどうも前世の心残りと共にこの世に生まれ変わってきた人間だと明らかになったわけだが・・・。
「そなたが夢を見た後はすぐ分かる。他人には分からぬであろうが、真実そなたを大切に思っている者には分かるものだ」
「父上、お心遣いは無用でございます。私は大丈夫です。
・・・・ではこれで失礼いたします」

「明日から『王家の墓』展の視察か。帝国主義者どもの悪趣味な墓暴きだ」
イズミルはルカが差し出したスケジュールに目を通しながら呟いた。彼は欧米人にはあまり好意的ではない。
「シーク、しかしリード財閥の総帥が主催している展覧会です。今後のこともありますし。ご視察だけでなく公人私人との会談もいくつか入っています」
「分かっている。ライアン・リードは私と同じくらいの年だろう。興味はあるのだ。まぁ・・・これも私の義務なのだし疎かにはしないさ。
外遊は多くの実りをもたらす。今回も色々取り付けたい約束や有利に取り決めてしまいたい案件が山積しているな」
そう言ってイズミルはまた書類の山に没頭した。


「王家の墓」展・特別先行公開の会場は華やかな賑わいに包まれていた。
リード・コンツェルンが行う言ってみれば企業展覧会であるのに、まるで政府主催の催しであるかのように各国の要人、名士が集い、中には王侯貴族の姿も見える。
「大した羽振りだな」
ゆったりとしたマントと寛衣に身を包み、アル・シャハール独特の長髪を無造作に束ね垂らした大柄なイズミルは何の感情も籠もらない口調で呟いた。
何だか肌がぴりぴりとするようで落ち着かなかった。
(何か、あるのか・・・・?この死者達を晒しものにしている場所で?)
王家の人間の常でイズミルもある種の感覚が人よりは鋭かった。何かに呼ばれているような、何かに強く引き寄せられるような感覚。
マッテイタノ、ヤットキタ、ハヤクオイデ、コッチダ・・・
(私に呼びかけても無駄だ。私は何もしてやれぬ。全く勘が鋭いというのも考えものだ。こんな・・・ざわざわした強い感覚は初めてではないか)
イズミルは目に見えぬ何かに向かって心の中で告げた。

眉目秀麗な異国の青年を振り返って見る人も多かった。だがイズミルはそんな視線など露ほども感じていないように傲慢とも威厳溢れるとも言えるゆったりとした歩調で会場内に向かった。
イズミルが一歩、会場に足を踏み入れるとわーんと鳴るようなざわめきと熱気が彼を圧倒した。
人々は口々に一同に集められた珍奇で貴重な展示物に目を見張り、訪れるVIPたちを指さしては、やれフランスの大統領だ、アメリカの大使だ、アラブの王様だと声をあげた。
「ようこそおいでくださいました、イズミル殿下」
スーツをぴっちりと着こなした金髪の若い男性が恭しくイズミルに礼をした。
(ロディ・リードか。この若さでライアン・リードの片腕を務めているとか)
「どうぞこちらへ。ご案内申し上げます」
イズミルは無表情に頷いた。一国の摂政が到着したというのにこの展示会の主催者はどこかの国の大使とのお喋りに忙しいらしい。我ながら大人げないと思いながらもイズミルは不快だった。


ロディに声をかけられて長身の男性ライアン・リードがイズミルの方を振り返った。そして大股にイズミルの方に近づいてきた。
「イズミル殿下、ご来訪いただきまことに光栄です。どうかこの展示会をお楽しみくださいますよう」
若く、容貌にも頭脳にも恵まれた大財閥の首脳と、これまた若き名君と噂される一国の世継ぎは固く握手を交わした。
リード財閥はアル・シャハル進出を望んでおり,イズミルもリード財閥の国内誘致を有利に進めたがっていた。
(ふん、食えそうにない男だな。若いくせに海千山千の老人のような図々しさがほの見える。そうでなければ大財閥の長は務まらぬということか。
貴族的な性格だと言うがどうかな。見たところ商売人の抜け目の無さも持っているようではないか)
その時、ライアンの蔭から小柄な姿が現れた。
イズミルを見上げて、はにかんだように控えめに微笑むその少女。
「!」(この娘は!)
イズミルは後頭部に雷撃でも食らったような衝撃を覚え,思わず手に持っていたパンフレットを落としてしまった。ばさばさっという乾いた紙の音がする。
(この娘は・・・ああ、この娘は・・・!)
イズミルは永遠にこの少女を見ていたいと思った。
梳き流しただけの柔らかな金色の巻き毛、白い肌。細い華奢な身体つき。そして、そして青い瞳。夢の中で幾度も幾度も自分を見つめた夏空のような真っ青の瞳。
お前は誰なのだ、と喉の奥に張り付いたままの言葉を必死に体の外に押しだそうとするイズミルの目の前で、金髪の少女はすいっとかがみ込んだ。甘い香りがイズミルの鼻腔に届く。
「お落としになりましたわ、殿下」
少女は―ライアン・リードが溺愛する義妹キャロル・リードは―イズミルにそっと紙の束を差し出した。


白い小さな手がイズミルに紙の束を差し出す・・・。
受け取るまでの、ほんのほんの短い間。
(お前は誰だ?)
(名前は何という?私はお前を知っている。いつもいつも私を苦しめ嘆かせる夢の中のお前。ああ、本当にお前なのか?思い違いではないのか?)
(夢の中にしかいないお前が何故、私の前にいる?人違いに決まっている!)
(いいや、お前だ。間違いなくお前だ。青い瞳、その顔を声を私が間違えたりするものか・・・!さっきの感覚は・・・・お前が呼び起こしたのか・・?)
凄まじい思考の奔流に放り込まれたイズミルの意識を余所に、その体は勝手に動いてライアン・リードの妹からパンフレットを受け取る。
「これは・・・ありがとう」
(誰だ?喋っているのは?私の大事なやっと見つけた娘に気安く声をかけているのは?)
自分の声すら遠く聞き慣れない音声のように感じられる。
瞳は確かに今この瞬間の光景を映しているのに、頭の中に流れ込んでくるのは見慣れぬ異国風の衣装を着て自分に向かって曖昧に微笑んでみせる夢の中の少女の像だ。

「どういたしまして・・・」
大人っぽいデザインのドレスを着ていながら金髪の娘は未だ子供っぽい幼さを残した声で話す。高いその声はしかし不快ではない。
(ああ、この声が喜びに弾んだり、楽しそうに会話を紡ぐその様子を見たい!)
「殿下、ご紹介申し上げます。こちらは私の義妹キャロルと申します。まだ学生なのですが今日は私の手伝いをさせています」
「・・・ご挨拶が遅れました、殿下。キャロル・リードと申します」
膝を折って慎ましく会釈する少女を誇らしげに愛しげに見るライアンの視線。
ライアン・リードが溺愛する義妹をいつ婚約者にするか、が欧米の社交界ではもっぱらの噂なのだがイズミルがそんなことを知る由もない。
(ああ・・・キャロルというのか、お前は。やっと・・・・やっと私はお前を捕まえることができる。やっと見つけたぞ・・・!)
イズミルはじっと少女を見つめた。誰がどう見ても美男の部類に入る整った顔立ちの若い君主のその視線に気づかぬ少女ではなかった。白い頬が見る見る赤く染まる。


夜。
「王家の墓展」特別先行公開に引き続き行われたパーティは各国の名士、要人、貴紳が集う華やかなものだった。
人々の目にイズミルの姿は神秘な砂漠の国の謎めいた王子、と映るのかあまり華やいだ宴席は好まない彼の周りに人垣が出来てしまっている。
「お国のアル・シャハルではようやく民間観光客の受け入れも始められたのですってね。行ってみたいわ!」
「でも男性は誰でも観光に行けるのに、女性は既婚者か40歳以上の独身者に限るのでしょう?時代錯誤な気もしますね」
「それは宗教上の理由でしょう。殿下は今回のご外遊のご予定は?」
魅力的な微笑を浮かべ、貴人特有の慇懃さでどの質問もさらりと受け流す彼に熱い視線を向ける女性は多かった。
やがてその人垣にライアンも加わった。スーツを着こなした長身の彼の傍らにはキャロルが居た。
「ミスター・リード、素晴らしい展覧会でしたね。エジプト国内におけるリード・コンツェルンの影響力はなかなかのものらしい」
熟練外交官の優雅と抜け目の無さでイズミルは大財閥の主に先に話しかけた。
アル・シャハルでは身分の下の人間が、先に話すことは無礼とされている。
「お言葉光栄です、殿下。エジプトは我がリード・コンツェルンに縁深い土地。この展覧会は単なるメセナではなく、エジプトへの返礼の意味もあります。
・・・個人的にはお国のアル・シャハルの素晴らしい文化のことをもっと詳しく知る機会を賜りたいと思っております」
「我が国に貴殿が興味を持たれるとは嬉しいことです」
その時、イギリスの王族の到着が告げられ、イズミルの周りの人垣は自然に崩れた。
イズミルは気配を消してごく自然に窓際に移動し、彼の視線に絡め取られたキャロルも導かれるように後に続いた。


(私ったら変だわ。こんなに・・・こんなに顔が熱い。どうしよう、兄さんの側を離れたらいけないって言われていたのに。
どうしよう、どうしてこのシークは私を放って置いてくれないのかしら?
どうして私は動けないのかしら?失礼って言って歩き出せばいいだけなのに)
自分に見つめられて戸惑い、上気している少女の初々しさがたまらなく愛おしく思えてイズミルはしばらくキャロルから視線を外さなかった。
胸元を刳った薄薔薇色のドレスを着て、豊かな髪の毛を結って白いうなじを露わにしている少女は魅力的だった。
白いうなじを飾るのは小粒のガーネットを連ねた首飾り。血のように赤く、燃えさかる炎のように紅い宝石が肌の白さを引き立てる。
勘の鋭いイズミルはやっと見つけた夢の中の少女が、自分のことを初対面の人間としか見ていないことに気づき落胆したが、そんなことが何だというのだろう?
忘れたのなら、あの酷い夢の中の光景を覚えていないならむしろ幸いだ。
今度こそ幸せな恋をするのだ!
(目を離せばあっという間に消えてしまいそうだ。これがまた夢であったなら私は狂うかもしれない)
イズミルはキャロルの緊張をほぐすように柔らかく微笑んだ。
「キャロル嬢と言われたか。先ほどは失礼した。あなたのようなレディは屈み込むようなことはしないのだろう?」
「そんな!・・・殿下こそ、一国のお世継ぎの王子様ですもの、落ちたものを拾うようなことなさらないでしょう?」
天真爛漫な返答はイズミルを喜ばせ、わき上がるような幸福感をもたらした。
独身の王族として常にスキャンダルを避けるよう用心深く行動してきた若者は、この夜初めて羽目を外した。
そしてキャロル・リードもまたライアンの存在を忘れ、異国の王族との会話に時を忘れたのだった。

10
伝統的な白い絹のアラブ風長衣を着て、長い豊かな髪の毛を無造作に編んで垂らしたアル・シャハルの王族独特の風俗。
わずかにクセのあるしなやかな髪の毛は黒みの勝った茶色で、この青年にアラブ以外の血も混じっているらしいことを思わせた。
ややもすれば冷たい印象を与えがちな整いすぎた怜悧な容貌。人を威圧し、自ずと屈服させるその威風堂々たる生まれながらの王族の青年の瞳はしかし、暖かな光を宿していた。
その真昼の砂漠のような金茶色をした瞳には今、キャロル・リードの小柄な姿が映り込んでいる。
イズミルは自分に見つめられているせいで竦んで動けなくなってしまった少女の戸惑いと物慣れない幼さを楽しみながら会話を楽しんでいた。といってもそれは一方的にイズミルが質問をして、キャロルが答えるというもの。
「・・・少し疲れられたか?顔が赤い。私の質問責めで草臥れさせたかな?」
「そんなことはありません、殿下。でも・・そうね、少し草臥れてはいます。
こんな華やかな席はちょっと苦手です。
あ、いえ、つまらないなんてことはないですし、たくさんの方からお話を伺えるのは楽しいんです。でもまだ私は子供ですし・・・」
薄薔薇色の絹の色が映える白い肌がほんのりと染まっていく。シニョンでまとめて薔薇の生花を飾った金髪が明かりに映えて輝いた。
装身具も最低限に楚々とした装いのキャロルにイズミルは深い満足感を覚えた。夢の中で探し求めていた少女は、理想通りの初々しい乙女として彼の前に実在していてくれる!
「私も宴会は苦手だ。静かなのが好きなのだよ。だが今夜は・・・楽しいね」
自分に微笑みかける「王子様」を見上げてキャロルは真っ赤になった・・・。

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