『 願い 』 21 ぎりっと歯噛みし…キャロルの一挙一動に大きく振れる気持ちの振り子----苛立ち・焦燥感、自分を激しく駆り立ててる。 キャロルを抱く腕に、力がこもる やがて一つの扉の前でムーラが控えていた (ここに来てから、会ったのは…この人を入れて三人だけ) 近づくと、頭を下げ扉を開く----- 「あ、あの王子、姫様の介添えを…」とおずおずと声を掛けた 「よい、呼ぶまで控えておれ…」「はい」と扉の中へと入っていく…その後ろ姿に「王子…何故そのように、ご自身を追い込まれる事を…」哀しげに後姿を見送る (眩しい…)陽の光を、久しぶりに浴びた気がする…大きな格子の青銅枠から差し込む太陽 湯気が立ち上がり、大きく造られている格子の青銅枠から差し込む太陽… 男は軽く合わせただけの衣装を肩から滑らせた…バサリと床に落とされた音で我に返る 無言のまま、キャロルの衣装に手を掛けた 「あっあの、一人で入れます…」巻き付けた衣装の合わせ目をしっかりと握る----- (あっ…)先程迄見せていた、笑顔とは全く異質な「笑い」----- 「ふふっ恥らう姫も、堪らなく可愛いのだが…私は共に入りたいのだよ…」 最後の方の言葉をゆっくりと、いい聞かせるように耳元へと囁くと、そのまま耳の中に熱い息と舌が入り込む (………)衣装を握りしめている手を緩めてゆく 「姫は疲れているであろう?ゆったりと…くつろぐと良い」衣装の合わせ目に手を入れ剥ぎ取る キャロルを横抱きにしたまま、湯壷へとゆっくりと身を沈めてゆく だが、光に透ける黄金の髪…白い躰がキラキラと光り、そのまま…陽の光の中へと溶けてしまう?----- 「消えるな!!」叫び、驚くキャロルの躰を強く、抱え込む「…ぃ、痛いっ!」 (…女神が堪りかねて娘を迎えに来たのか?……神罰を下すと言うなら下すがいい…) (だが、この腕の中の温もりを奪うものは、誰であろうと容赦はしない) 手を緩め、腰を掴むと湯の中で羽が生えているように軽い躰を抱えあげ、向かい合うと… 「…姫は疲れさせた責任は…とろうぞ」ぞくりとする笑顔を向けた。 22 猫の目のようにクルクルと変わる変化が怖かった… シャラシャラと金属の重なり合う音が、絶え間なく揺れている… 男はどんな時にもその腕輪を外さない…抱かれる時にも、今こうしている時にも決して… 外さぬ腕輪はまるで自分自身が施した手枷であるかのようだ 動くたびにシャラシャラと揺れる音が耳について離れない… 「ほら…動くと洗えぬではないか…」背中を撫で回しながらい反応を引き出すように探るように動く キャロルが反応する個所を見つけると、そんな言葉を投げかける… 湯気の熱気と男の手で広がる熱に、夢うつつの中の出来事のように感じていた 先程まで思っていた人が、再び脳裏に浮かぶ (…メンフィス…貴方の腕の中なの?…夢を見たの…怖かった…抱きしめて安心させて…) (貴方に抱かれると、愛しくて、傍にいたくて、触れられて、もっと傍に居たくて…私の躰の上で激しい吐息が、たまらなく愛しくて…荒い息の中で見せる切ない顔を見るだけで…幸せで涙が出る…) 「…姫…何を考えている?…」(そんな切なげな顔…) 「姫は随分と…暇を持て余しているようだな…」 23 Ψ(`▼´)Ψ 男の膝の上に跨らされていた----- 肉薄なまっ白い双球を両手でぐっと鷲掴みされると、花弁の隅々にまで、湯の熱を感じる。 「ぅっ…」何度も男によって貫かれた個所にピリッと軽い痛みが走り、顔を歪む… そうして、耳朶から肩までと、そのなだらかな曲線に舌を這わせ双球を掴んでいた手が、そのまま後ろから伸び痛みの残る個所の上にある小さな核を二本の指で剥き広げ指腹で、ゆっくりとゆっくりと円を描く、空いた手は激しく乳房を揉みしだき、固く変化した先端のしこりに、小さな核と同じように擦る… 「…ぃっっ…ぁぅっ…」(…熱いっ!!…) 「あっ…!!」----- 跨がされて開かれた両脚…その花弁にあたっているもの… 「…どうしたのだ?姫?」腰の位置をずらし、そのあたるものの先端で…花弁全体をなぞる… 顔も躰全体が赤く色づき過ぎるキャロルの様子に、ザーッと湯壷から抱え上げると 「はぁっ…はぁ」と、今にものぼせそうなキャロルを長い台の上にそっとうつ伏せに横たえると 「きゃっ!」 「ああ、冷たかったか?」背中にとろりとする液体を壷から背中へと垂らしながら----すうっと目を細め笑うと「責任は取るとは…言わなかったか?」背中全体にやわやわと香油を広げていく…やんわりと、揉み込むように、脚、太股、双球、首へと丁寧に繰り返す 「…さぁ、こちらを向くのだ…」 「姫…こちらを向くのだ」動かないキャロルに「私に…抱えられたいのなら、そう申さば良いものを…」-----その言葉にのろのろと起き上がり胸を手で覆い腰掛ける 「それでは、疲れを癒す事はできぬな…」肩を掴まれ、仰向けに寝かされた。 24 Ψ(`▼´)Ψ 明るすぎる部屋が、堪らなく恨めしい------ 胸にツツーッと香油を垂らし、その香油が潤滑油の様に、男の膚を滑る手に拍車をかけてゆく やがて、ツンと固く尖った先端を唇を寄せ、口に含み舐め転がす 「ここも、揉みほぐさねば…」囁きながら弄ぶ 「くっ…」先程から熱くなったキャロルの躰は発火しそうだ。 陽の光の中での反応は、どんな小さな所作も反応もさらけだす----- 穢れも知らぬ白い裸身…何度躰を重ねても輝くばかりに輝き続ける----- (さすがは、神の…ナイルの女神の娘よ…) だが、その神々しさにさえも煽られる----- (触れたい…繋がりたい…)性急な衝動にかられ素早く抱き上げ、湯壷へと取って返しすと躰についた香油を、洗い流す…と、キャロルを湯壷の端へと腰掛けさせると待ちきれぬとばかりに膝を割り腰を屈めて舐める。 座ったまま、強烈な刺激に、後ろ手を床につき、白い喉を反らし羞恥に涙ぐむキャロル (…こんな…明るい中で…いや)舌づかいがだんだと激しさを増してゆく 「…お願いっやめてっ…」顔をあげずに「…拒む事は許さぬと…何度もっ」ぐちゅっ---指が蜜壷へと侵入する とシャラシャラと、せわしなく鳴り続ける音----- 「…申したはず…」 「くっぅ…ここでは…お願い!!」ついっと顔だけをあげ、尚も出入りを繰り返す指----- 「…ここでは?では、続きはどこで?…」 「…ぁっ…部屋で…王子の…部屋…」 「そなたたつての願いとあらば、叶えよう…」 25 パンパンと手を叩く すぐに隣の部屋からムーラが顔を出した (…聞かれてた…)湯殿での出来事を思い出し、恥ずかしさに湯壷に自ら飛び込むように湯に浸かる 「…お呼びでございますか…」何も気付かなかった…何も知らないと…平静な仮面をつけて抑揚を付けずに応える 「姫の支度を整えてくれ」それだけ言うと、ザブンと湯壷に潜った。 「…はい、王子はいかがなさいます?」湯壷から顔を出し 「姫の支度が整うまで、湯浴みをする」と湯壷の端に頭を乗せて目を閉じている----- 「かしこまりました、では姫様こちらへ…」濡れた躰に布を巻きつけ促された 風のよく通った部屋は躰の熱を冷ましてくれる 「…姫様、お風邪を召しますよ」躰を拭こうとする 「ぁっ…自分で出来ますから…」 「…はい、わかりました…では、私はお衣装を」(何と無体な事を…) と背を向ける-----布が覆っていない所にさえ見える薔薇色の痣----- やがて、「あの衣装を…」キャロルが声を掛けると 「はい、では…あのこれを…」おずおずと差し出す衣装は、夜の衣装だった (……これが…これのみを私に求めているという事なの?)泣きたい位の屈辱---- その様子に気付いたムーラが、躊躇いがちに言葉をかける 「…姫様…私は王子の乳母です、ですから、王子の事は全てわかっているつもりでした…でも、今のような王子を見るのは初めての事です。何事に固執されない方でしたのに…姫様以外の事には…」ムーラの方が泣き出しそうな顔をしている 26 「……着ます」 「は、はい、すぐに」真っ白の薄物で…重なる胸元は花飾りの紐のみで止める、頼りなげな衣装… 身につけると、ムーラが装身具を付けようとしていた 「…それは要らない…誰に見せるわけではないもの…」(八つ当たり…わかっているけど…どうせ…) 「で、でも姫様、気持ちが浮き立ちますよ…これなんかとても細工が良くて、きっとお似合いになると思いますのに」 (姫様の憂いが…少しでも晴れますように…私にはこのような事しか出来ない…) 「…ごめんなさい…そうね、付けて貰うわ…とてもキレイね…」衣装にはまるで不釣合い… 髪は解いたまま、涙の形の額飾り、細かな花の細工の耳飾り…幾重にも重なる腕輪--- 「紅玉がとてもよくお似合いですわ、姫様」キャロルを優しく見つめている パンパンッと乾いた音が響いた 「…姫様…王子が…お呼びです…」視線を泳がせながら…そう伝える。 27 Ψ(`▼´)Ψ 座った男の脚に後ろ向きで跨らされていた 後ろから伸びた二本の手が交差するように、それぞれの個所を捏ね続けている 唇は以前に傷であったもの----今は薄い薔薇色をしている右肩の個所だけを丁寧に丁寧に舐めていた それは以前、男が付けたもの…殆ど目立たぬそれを舐め消すように何度も何度も舐め続けている----- 今の男の気持ちを表すようだ、慈しみ・後悔・渇望し求め続けるもの----- 「ぅっ…ぁぁ」細く糸をひくような、甘い声が広がり 首をガクガクッと後ろへ反らす、密着している男の体に、それは素直に伝わった 男の手が動いた 交差していた手を解き 両手で…剥かれた小さな核を一定のリズムで捏ね擦り、熱い蜜壷へと差し入れを繰り返す 「ぅぅっ…ぁ…ぁっ…」膝に乗せた躰が脱力した。 脇の下から手を入れ、腰を支えると寝台へと寝かせ 「もぅ…降参か?…」 くるりと、仰向けにすると 自身のくびれまでを、差し入れる。 28 Ψ(`▼´)Ψ 「っっ…」ゆっくりと時間をかけて、すっぽりと埋没させ そのまま…黙って躰の下に敷いたキャロルの顔をじっと…見つめる 「ぁ…」青い目が不思議そうに見上げた 「ん…そなたを感じていたいのだ…」 (ぁっ…また…この目は)…何度も感じた『変化』そしてこの上なく真剣な眼差し… 腰の下に手をくぐらせ、ぐっと繋がったまま…自分の膝の上に戻す動かずに…押し黙ったまま 「…姫の中は温かいな…姫自身のようだ…」ぎゅっと抱きしめられ 「姫…抱きしめてくれ…寒いのだ(心が)寒くて堪らぬのだ」 (…?……)ひどく不安定な様子に…おずおずと背に手を回す… (何?!髪の中に?)背中に回した手が硬質なものに触れた… 「それは、私の守り刀の鉄剣だ」髪を掴みスルーッと金の紐を解くと…キャロルの前に差し出した 29 「…これを姫にやろう…」しっかりと手に握らせる鉄剣 「ぇ?…」驚き、男の顔を見上げる 「…姫は…辛いのだろう?…私が…憎いか?」 (憎い…?辛い悲しい…メンフィスには逢えない…けど?憎しみとは違う気がする…) 「ここを…」と髪をかき上げ首筋を指し示す… 「ここを引くと、姫は…苦しみを終わらせる事が出来る…」 「なっ何を…?」慌てて手にある鉄剣を押し返そうとする… 「私は、そなたがそれを望むなら…それでもいいのだ…」…と天井を見上げ…(私も…心の中で望んでいるのやも知れぬ…) 「……」 「…求めずには…いられないのだ…どうしても抑えられぬ…」 「ぇ……」(私の躰を…?エジプト?…)この男の真意を…今なら聞けるかも知れない----- 「…な…何を?…」すぐに頭の上から激しい視線が落ちてきた 「何を?何をと私に…問うのか?…姫には…何度も私の気持ちを伝えてあるはず…忘れたとは言わさぬ」 「………」言葉が出ない…何と言葉をかけても…ひどくこの男を傷つける気がする----- 「姫は…戻りたいか?…エジプトに(メンフィスの元に…)?」怖くて聞けなかった言葉を口にした 「…私は…戻りません…」(戻れない…) キャロルの哀しみが、小刻みに震えている躰を通して心に哀しく響く… このまま-----自分を全て曝け出したなら?受け入れてくれるのだろうか----- (…それは出来ぬ…私が私で居られなくなる)頬を撫で、腰を抱き上げ繋がりをほどいた。 「ふっ…このような時にする話ではなかったな…ゆっくりと体を休めるがいい…」手を伸ばし高杯を取り口元へ運んだ時 「王妃さまーー、お待ち下さいませー」回廊の外がひどく騒がしい 「姫…少し騒がしい事になりそうだ、そのままで休んでおれ」慌てた風もなくヤレヤレといった面倒げに衣装を着る、腰帯を結わえているとバタンと強く扉が開け放たれた----- そこに、急ぎ足で来たのか、呼吸を整えている王妃が立っていた 「王子!!」王妃は、キツイ目を王子に向け 「何故、母に帰国を…告げに参らぬのですか?」傍で申し訳なさそうな顔でムーラが王子を見た 「これは、これは母上…寝所を突然訪問するとは、何と無粋な事を…」物憂げに答えた 30 いつもの王子と違う返答に眦をあげつつも、努めて冷静に 「のう王子よ…どうしたのです?いつもの貴方らしくありませぬ」 「…母上、私は私です。何ら変わる事はありませんが?…」腰帯を結び終え王妃と向き合うとその後ろでハラハラして事の成り行きを見ているムーラに目をやり、心配するなとばかりに軽く頷く 「これが?令名高きと世に名高い…王子の行いですか?」(日も高いというに、に薄暗く閉め切り燈火まで…) (床に広がる装束…装身具…何と嘆かわしいこと…) 「母上…ご心配には及びませんよ…」悪びれる風でもない振る舞いが、王妃の勘に障る… キャロルは天蓋の奥深くに体に掛け布を巻き付けて、身を縮まらせていた… (ヒッタイトの王妃…が来たの?) (もうダメ…ついに、来るべき時が来た…やっぱり…) (王子との事を…利用し、メンフィスを…エジプトを手に入れようと…)かつての出来事を思い出す、その事実を残す右肩に触れ(…守ろうと思うのに…私のせいで、又戦が起こるの?…)今にも王妃の前に戦利品の様に連れ出される…それはメンフィスにもエジプト国民の前にも自分の罪が、白日の下に晒されるのだと… 「何をなさるおつもりですか?」 つかつかと天蓋に向かって歩く王妃を呼び止めた (…何があったの?)声は聞こえるが、天蓋の奥のキャロルにその様子は見えない----- 「ほほほ…王子自ら、自室に招き入れ、傍を放さぬ程の娘を見るのも一興だと思うての」と、王子の横を通り過ぎようと… 「そのように無粋な事をするとは、母上らしくありませぬな」言葉に含まれた蔑みを感じ、王妃は更に憤った 「なっ何を?母に何という事を…以前の王子からは、そんな言葉は聞いた事がありませぬ…」 「そこに隠れている女!お前が王子をたぶらかしたに違いない、どんな手練手管を用いて王子に縋ったのか!出てきやっ!卑しい遊び女風情が!!」 天蓋に向かってヒステリックに叫び、尚も進もうとする王妃だったが 「母上!…それ以上愚弄すると、母上とあろうと許しませぬ!」怒りを滲ませた目を向けて、王妃の手を掴んだ |