『 願い 』

11 Ψ(`▼´)Ψ
「…ふぁっ…うっ」
やっと、唇が離れると息苦しさで呼吸が乱れ胸が大きく上下する、息があがった呼吸を整える間も与えずに首筋から胸へと舌を這わせ、そのふくらみを下からやんわりと持ち上げ揉みしだき、先端を指で軽く摘み優しく擦りあげ、捏ね回すとツンと固くなったそのしこりを、咥え、舌ではじき、舐め転がしつつ、内腿を彷徨い続ける手は、足の付け根をじんわりと撫で回す…やがて、ツーッとふくらみの間から舌先が舐め下りて、臍の窪みを辿る。
「…ぁぁっ!…っ」
堪えていた甘い声が漏れ、反射的に仰け反った
(…感じたくないのに、体が反応してしまう)

-----その艶やかな反応に黒髪の男への激しい嫉妬心が渦巻く-----

(私が、染め直す…他の男の事を思い出させはせぬ…もう、誰にも触れさせない…)
さっと、上半身を起こすと、身につけているゆったりとした装束を引き千切るように脱ぎ捨てると左右に大きく膝を割り開き、膝裏から手を入れ足を抱え込む様に固定する
「ゃっ…!」
秘めた場所を、触れずに眺めるだけの行為に猛烈な羞恥心-----
膝を合わせ隠そうとするも男の手で拘束され動けない-----
両手で顔を覆い、頭を左右に揺らす-----その恥らう姿の可愛さに
「…目をそむけるなと申したのに、まぁよい」と、笑みが出る
そして、おもむろにキャロルが隠そうともがいていた部分へと、そっと唇を付けた。

12 Ψ(`▼´)Ψ
花弁全体をベロリと舐め、潤った蜜の味を舌先で確認して、満足げに顔を上げると
「…濡れている…だが、まだまだ足りぬな」と囁くと、
そのざらついた舌が蕾を守っているかのような襞を、舌先でなぞりあげる、自在に硬さと形を変えながら硬い舌先で、蜜を掬い小さな隠れた核に載せ、小刻みにはじき、太く丸め蜜壷へ差し入れを繰り返す
「…ぅっ…はぁっ…」(必死に堪えても、どうしても声が…どうしよう…どうなるんだろう…怖い!)
「…もっと、もっと私を感じてくれ」
「ぁっ…ぃっ、ちがっ…感じてな…ぃ」
「そうか?心地良くないのだな?」と、核を包んでいる膜を剥き激しく舌で舐め転がし、蜜壷の中をかき回す
くちゅくちゅ----
「良い音が聞こえぬか?」自身も昂ぶり鼓動が激しい一気に貫きたい-----
「…は…ぁ、ぅっ…ああ!」(…息が…苦しい…体が…熱い)(…もう、何も考えたくないっ…)
男はその様子を見ると「…そろそろ…頃合か…」

13
-----男は何度も、狂気に近い衝動をどうにかやり過ごしていた-----
自分自身も限界だった…
キャロルの腰を持ち上げて、両足を抱え自身を花弁に押し当て上下に擦り、充分に蜜をつけて一気に貫いた…
「きゃーーっっ」充分に潤んではいても、性急な行動に成熟してない花弁に痛みが走った
「…ぅぅっ…姫…止めぬかっ…そのように…ぅっ」熱い内襞が自身を強く締め付ける感覚にじっと耐え、やり過ごすと、激しく突きながら、核を指の腹で撫で回し、細かな律動を加える。
角度を変えて、突く…「ぁっ…」キャロルの腰が逃げる、その個所を見逃さず更に突き上げる
「やんっ…!!ぁっあ…っくっ」(怖い…自分の体に戻れない…何か?くる?何?怖い…)
男はそのキャロルの様子に気が付いた
(…限界が近いな…まさか?知らぬのか?…)
「…姫、怖くはなのだ、受け入れるのだ」更に激しく突き上げるとやがて、弓なりに体を反らせ下腹部をうっすらと朱に染めて、びくびくっと痙攣する熱い肉襞に男もキャロルの中に低く呻くと熱いモノを吐き出した。大きく上下する男の荒い呼吸-----
「姫…まだだ、まだ足りぬ」と、再び覆いかぶさってきた。
朦朧とする意識の中で
(…これから…どうすれば?…もう永遠に会えない…メンフィス…)
-----一度の契りでも裏切りには変わりはない、許される筈はない、自分もそれは望んでいない-----
それならば、いっそ……(…この甘美な罰を受け入れよう…)
「?!…姫?…」男の背中にそっと手を回した。
その予想だにしていなかった行動に、更にキャロルの思いを募らせ。行為に耽ってゆく。

14
気だるく満足げに隣で寝入ってしまった愛しい人の背中の感触を楽しんでいた男は
-----(ひどく、ムリをさせてしまったな。起きたら湯浴みをさせて軽く食事も用意せねば)-----
悦びの中で、何度も自分の背中に手を回した小さな手の感触を思い出していた男だったが
「…メンフィ…なさいっ…愛している…」
(…姫…?!)
-----心が乾いてゆく-----
(…夢路で…通っている?王の元へ?…愛している?!誰を?)
-----心が急速に翳りを持ち、渇いていく-----
「…そうだったな…そなたは望んで私と愛し合った訳ではなかったのだったな…だが、放さぬ…決して!」
そして、冷徹な目を向けて、やわらかく上下している背骨をなぞり、双球の間をたどり、まだ熱を持つ花弁を押し開いてゆくその刺激に完全に覚醒したキャロルが
「…もぅっ…止めて、お願い」「…許さぬと申したであろう?」冷酷な瞳で笑みを浮かべて…
----夜明けが近いが、寝所で痴態は続いていた-----
体を折り曲げられ、耳の横の自分の足がゆらゆらと動いているキャロル自身の体がバネのように、突き上げられる度に押し返し、更に深く突き上げる力になる執拗な行為に、体が溶けそうだった。だが、キャロルが絶頂を迎えそうになると、ズルっと引き抜く…
「ぁぁっ、ぃっ!お願いっ…もぅっ」
「姫よ…辛いのだな?可哀相に…こんなになって」指で蜜壷へと愛撫をしながら蜜の付いた指を舐める。
「姫は、誰にどうして欲しいのかな?」
「…!!っぅ」
「言わねば、このまま…良いのか?」
「…しぃ…」
「聞こえぬな」
「…王子がっ…ぁぁっ…お願いっ…」
「姫は、この私が欲しいのだな、このイズミルを欲するのだな」激しく突き上げてきた。
-----キャロルは激しい快感にそのまま意識を手放した-----

キャロルの様子を確認すると、軽く装束を羽織ると寝所の続きの間に入っていった…

15
入り口に人の気配を感じ、本能からかサッとそちらに視線を向ける
ゆらりと長身の男…
(……王子…)思わず視線を床に向ける
ゆっくりと近寄り片膝を付き、床に転がったルカの半身を起こすと縛めを解くこともせずに、口を開いた…
「…ルカ…そなたは姫を死なせても…良いか?」
(…何を?!)意味が判りかねて、視線で問いかけた

(!!…何という顔をなさっているのですか…王子)、長年仕えたルカの知る王子は常に自信に満ちて何事にも悠然と構えていた。
が、今、目の前にいる王子…その瞳は果ての無い沼の底のように…暗く澱んでいる。
「…ルカ…そなた…死ぬ気であろう?」
「!!」王子の様子に気を取られていて、咄嗟に視線を外してしまった自分の不覚に…俯き唇を噛む…

(見透かされていた!…『鬼神の眼力』と異名をとる王子に…隠し事など…出来ようはずもなかったのだ)

尊敬する主君に仕える事が誇りだった…その王子に相応しいナイルの姫…命令に従い傍近く守ってきた姫が…主君の望みを叶え、役に立てる事が喜びであった筈なのに今は、遂行した任務が喜べない…

姫の傍にいて、身分を気にもせず無邪気に振る舞う姿、他人の命を守る為に命を賭ける深い慈愛…傍にいると春風のように、周りの思惑も清浄してしまうかのような心地良さを…いつまでも見続けていたかったのに…他人が自分をどのように思おうと構わないでも、姫にはだけは嫌われたくない…全てをわかってしまった姫の顔を見るくらいなら…

…胸の奥で人知れず、育っていた感情…その『名前』が
…気付かずにいたかった口に出す事も思う事も許されないその『名前』

自分の命と引き替えに、王子に抱かれ続ける姫を想うたびに身を苛み続けた感情に……

-----姫を縛る枷である自分…その枷だけでも外す事…-----

16
そなたには、辛い役をさせてしまったな…許せとは言わぬ…」
「だが…」ついと、ルカの顎に指を掛け、顔を上げさせると
「…今…姫が生きているのは、ルカ…お前が生きているからだ」
「!!…」
「私の為にも、死んではならぬ…生きてくれ…」と、悲しげに微笑むと全ての戒めを解いた。
「酒しかないか…」と、棚を見回し葡萄酒の入った壷を取り、そのまま目の前に差し出された。
「…頂戴致します」口に含むと乾いてた喉に王子の心遣いが染みた、
そして深く息を吸い、意を決して口を開く。

「…王子、ご無礼は承知です…でも、一つだけお尋ねしても宜しいでしょうか?」

同じように壷から直接、葡萄酒を飲んでいた王子に声をかける、が、(…何とお尋ねすれば…)続く言葉を探す

「ああ、わかっているよ、お前が問いたい事はね…」唇から流れ落ちる液体を拭いながら、ルカの言葉を制した
その仕草が、美しい容貌に更に艶を纏って凄みすらある動作に…一瞬目を奪われる。
「そしてお前には、問う権利もある」と寝所へと続く戸を見つめて

17
「…お前は、どうしても欲しいと心から願い、望むものがあるか?」
「?!」
「…私はある…心に決めた唯一のものがね…そしてその望むものが、どうしても手に入らないとしたら?ルカ…お前ならどうする?」
「…王子…」(……王子の望むものは……)
「何度も心を告げたのだ…そう…何度もね」酒壷を口へ運び、喉が上下する。
「だが、姫は私の言葉を心をも拒否するのだ…」初めて他人に告げた姫への激しい想い

「王位継承権など要らぬ、姫の心を得る為ならば…世継の身分さえ捨てようものを…その本気の言葉さえも受け入れてはくれぬのだ…」
(…これが本当の王子なのか?)黙って王子の口から零れる少年のような告白を聞いていた
「…その気持ちすら信じてもらえぬ程、私は…嫌われているらしいがな…」鬱陶しげに乱れた髪を掻きあげ「今日の私は…どうかしているな…忘れてくれ…」ゆっくりと寝所の去りかけて戸口で止まると「…他に方法があったのだろうか?…」振り返らずに告げた言葉はひどく悲しげで
「王子!」(私の望むものは……私の願いは…)
「このルカの望むものは、王子の望む全てを叶える事です」その背中に新たなる決意を告げると
「…ふっ、頼りにしているぞ、ではこの私に靡かぬ姫の元へと戻るとするか」
「いい忘れたが、そなたは『姫の臣下』で私の臣下ではないぞ」と悪戯っぽい笑顔で、寝所へと去っていった。

18
侍女達が忙しく、その身を飾ってゆく。
立ったまま、させるがままにさせていたが、部屋に入りうやうやしく頭を垂れたムーラに言葉を掛けた
「王子は、いつ母の元に顔を見せにくるのであろう?」眼には微かな怒りが見て取れる
「…王妃様…何を仰います。王子はまだ帰国されてはいらっしゃいません」
「…ムーラ…そなた自分では気付かずにいるのですね」言葉に棘を含んだ物言いに溜息混じりに告げる
「そち、私の前から度々に姿を消すわね…」侍女達が何事かと二人をそっと見ている。
「私以外の世話をする者といったら、王子しかあるまい?」
「いいえっ、いいえっ王子はまだ、お戻りにはなってはおりませぬ」(あのような王子を見せるわけにはいかない)
くくくっと笑いながら
「ムーラ、そちは本当に判り易いのぉ」とひとしきり笑った後に「王子の宮殿に参る!そちも付いておいで」言うなり、王子の宮殿に向かう王妃
「お待ち下さい。王妃様」後を追いかけて
「わかりました、申し上げます…」
「王子はお戻りになりました…」(すみませぬ、王子)
「…して?」
「はい?」心の動揺を悟られますと、とぼけた。
「何ゆえ、王子は帰国を隠すのであろう?」(さすが王妃様、何かを感じてらっしゃる…)
「!!……」(何と…何と言えば良いのだろう?)
「よい、そちには聞かぬ!見ればわかる事であろう」一刻も早く知りたいのか、ひどく早足で歩いてゆく
慌てて後を追いつつ、王妃にだけ聞こえるような小さな声で
「…王子は…お一人ではありません…」
「えっ!?…」驚いた顔でムーラを見る…
「皆の者は下がっておれ…ムーラと二人にさせておくれ」


(……あれからどの位…?何日?ルカは…無事なの?…)必死に意識を集中する…
(…確かめなきゃ…)
「っ…ぉ、お水が…欲しいの…ぉっお願いっ…」背中から乳房をやんわりと揉み、うなじに熱い舌を這わせる男に懇願した声は啼き続けたいるせいかひどく擦れている。

するりと手を抜き体が離れ、起き上がる気配に振り向くと、床に落ちている衣装を羽織り戸口に向かって行き扉を開け、パンッパンッと手を打つ乾いた音が響いた-----
(あ…明るい…)開けた扉から差し込んで来る、明るさと冷たい新鮮な空気がスーッと部屋に入り込み体に皮膚のように粘るように絡みつき、貼りついたものが、はがれ落ちていくような清涼感----

ゆっくりと部屋を見回して見ると…天井から重く垂れている幾重にも重なった布が鎧戸をも塞いでいてわずかな燈火の灯りのみ、音さえも入り込まない-----隔絶たれた空間-----やがて、回廊に控えていたであろう者に何事かを話し、寝台へ戻りそっとキャロルの横に座る…
(王子が沈黙すると怖い…何を考えているのかわからない…)

が、ずっと気に掛かっていた事を口にする機会を無駄に出来ない-----
「…あの…ルカは?ルカはどうしているの?…」(ひどい事をされてないと、いいのだけど…)
「喋るな!」その剣幕に思わずピクッと肩を竦ませた
(…怒らせた…でも…確かめなきゃ…)と、唇をを開きかけた途端に、大きな手で口を押さえつけられる----
「んんっ!」(何…?)訳もわからず、王子の手を引き剥がそうともがくキャロルに
「そのように、暴れるものではない…」
「そなたの供は、続きの間に控えている…案じるな」乱暴な行動とは裏腹な、優しい声…
(ルカが…ルカが生きてる!!)……キャロルの顔がパッと明るいものへと替わる
----それは捕らえてから見せた、初めての笑顔-----
(…いつも…私の傍らで微笑んでくれるなら…)口を塞いでいた手を離し、キャロルの衣装を白い体に落とす
「…ふっ、そなたに約束したであろう…」
「約束は違えぬと……私はそれ程に信用ならぬのか?…」その顔はひどく傷ついている風にキャロルに映る。

19
「王子…私です」と扉の向こうから声が掛かる
「ムーラか」
「…はい。お命じになられた物を持って参りました…」
「…待っておれ」と声を掛け、扉へと歩いてゆく
(…久しぶりに他人の声を聞いた気がする…)

二言三言話した後に、手に盆を持ち戻ってくると、燈火が灯る花台の横へ置く様を、ぼんやりと眺めていた
それは、数種類の果物・パン・壷などが青銅の盆から落ちそうな程に盛り付けられている
その中から壷を手に取り、高杯へと注ぎつつ「姫、こちらへ参れ…」と自分の横を空いた手でポンと指し示す…
しっかりと衣装を体に巻きつけて、促された場所から少し離れてに座るとその様を横目でちらりと確認し、高杯を口元へ運ぶと、ゴクリと口に含み顎に手を掛け顔を上げさせると唇を重ね、舌先で唇をやんわりと開け、ゆっくりと杯の中身を注ぎ込む…
「っ!!」…お酒が入っていると思っていた、が…注がれた液体の爽やかさが口中に広がると(?…甘い…はちみつ?……)柑橘類の酸味と混ざり合いほの甘い液体は、喉越しが良くとても美味しかった
唇へ全て注ぎ終えると、数回、同じ行為を繰り返す----

少しの沈黙の後、目を開けると-----
「…もう少し飲むか?」と、問う声は初めての口づけを交わした後のような、所在なさげな仕草も交じりいつもは、大人な男の中に、少年ぽさを感じる----
「…ぇえぇ」と、唇を開いた瞬間に「話すなと申すに…」と慌てて唇を塞ごうとして----「すまぬ…問うたのは…私か…」目尻に薄い朱に染めて微笑んだ
(…こんな笑顔も出来る人なんだ…)先程から感じている『変化』に戸惑う

20
そして(?…あっ!蜂蜜…)ようやく気が付いた-----さっきの乱暴な行動の意味が(私の為?…気を遣ってくれたの?)----自分の身を案じての行動だった事-----
近づいてくる唇に、静かに目を閉じる。
全て飲み干したのに…未だに離れない唇が、次第に甘く深くなる……
唇を外し「…そなたは媚薬のようだな…」(触れれば、深く求めずにはいられない)

「…湯殿の支度も整ったようだ…」とキャロルを寝台から抱えあげて、戸口へと向かう
(…この人が、王子がわからない、優しいのか恐ろしいのか?)

回廊へ出ると、眩しさに目をしばたかせ、やがて体の五感を取り戻す…と、
自分を抱いている腕の感触への違和感を感じる、思い出す暇もない…故意に思い出さないようしていた
懐かしい…愛する人と異なる、体臭、抱き上げられて見渡す風景、視線の高さ、温もり、空気の匂い-----
…涙を我慢するのが精一杯で瞼を閉じると、ハッキリと思い出す事が出来る顔…(メンフィス…)
身を預けている自分が…とても厭わしい
(ルカ…ルカだけは必ず無事に逃がさなければ…私には…もうそれしか残ってないのだから…)

(…姫の心は…今…ここに無い…)震える睫毛…隠されてしまった青い瞳、腕の中でこわばる体が小刻みに震えている
(…これ程に……)自分の気持ちが振り子のように大きく揺れている

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