『 ヒッタイトお家騒動編 』

11
「行ってはならぬっ!そなたは我が妃ではないか?どうして私と離れることを許すことができよう?」
イズミル王子は人払いした居間でキャロルの肩を掴み揺さぶった。キャロルは先ほどの使者の要請に諾の返事を与えたのだ。王子の許しも得ずに。
「姫っ、何か申せ!何故、黙っている?私に詫びよ、勝手な真似をしたことを!私は赦さぬぞ」
キャロルは切なさと、果てしない優しさの混ざった目で見つめて黙って首を振った。
「いいえ、王子。私はハットウシャに行きます。王の・・・命令に従います。行かなくてはならないの」
「姫っ!」
「分かっているでしょう?王子。逆らうことは許されないの。逆らうことは・・・王子の破滅を招くわ。覚悟はしていました。王子不在の間にも不安と疑念を募らせた王が何かをすることを」
王子はだらりと手を下げた。自分の無力がこの時ほど恨めしかったことはなかった。サフィエにたきつけられた王は、王子がカネシュの土地で力をつけ、王位簒奪を企てはしないかと恐れた。そして王子がもっとも大切にしている妃キャロルを人質に求めたのだ。
王の使者は露骨にキャロルを人質に差し出すことを求めたのではない。ただ出産間際のサフィエのいる後宮をきちんと差配してくれる女性が欲しいこと、サフィエが神の娘キャロルに側にいて欲しがっていることだけを求めてきた。
全ては見え透いた嘘だ。王子の放った密偵の報告は、人質を取らねば安心できなくなるまでに疑心暗鬼を募らせた病的な王の有様を告げていた。
「王子。お願い。私をハットウシャに行かせてください。・・・私は大丈夫よ。あなたが帰ってきてくれるのをずっと待っています。あなたのこと、毎日、神様に祈って待っています。
あなたのためにできることが私にもあって・・・私、嬉しいの。ね、私を行かせてください」
「ひ・・・め・・・」
王子はキャロルを抱きしめた。その声は嗚咽に震え、逞しい胸は無念の思いに波立っていた。
自主謹慎のようなかたちでカネシュにいる今の王子はあまりに無力だった。

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「許せ・・・許せよ。そなたに、私が守ってやらねばならぬそなたにそこまで言わせる不甲斐ない男の私を。
ああっ、何故サフィエの台頭を許したのだ。私が至らなかったせいで・・・そなたを苦しめ、我がヒッタイトの誇る父上の身の上まで汚すことになるとは!奸臣どもの謀略にがんじがらめになり自由に動けぬとは!」
王子の怒りの激しさ、悲しみ、口惜しさがキャロルを圧倒する。王子はそのまましばらくキャロルを抱きしめ、激情に身を震わせていた。
愛しい愛しい娘を敵地に行かさねばならないのだ。さもなければ狂った王は、世継ぎたる自分の息子に戦をしかけ、その結果、多くの人々が傷つき、また諸外国がヒッタイトに干渉する絶好の機会を与えることになるだろう。
王子はキャロルを愛する一人の男としての立場を捨て、国を預かる王族としての判断を優先させねばならない。
キャロルに出会う以前の王子であれば、私情など何のためらいもなく捨てたであろう。だが今は・・・!
「王子・・・」
抱きしめられていたキャロルはそっと顔を上げると憔悴しきった王子を優しく自分の胸に抱き寄せた。柔らかく暖かな胸は母の限りない優しさと労りで王子を包み込む。
「大丈夫。大丈夫よ、王子。何の心配もないわ。そんなに自分を責めないで。私は大丈夫。本当よ。
ハットウシャには気心の知れた人たちがたくさんいます。きっと皆が力になってくれるわ。何よりも私には王子、あなたがいてくれるわ。あなたが元気でいてくれるということだけで私はこの上ない力を与えられるのよ。
ね・・・私を行かせて。そして・・・そして迎えに来て。私、待っているから」
王子は顔をあげ、万感の思いを込めてこの優しく強い女に接吻した。
「約束する・・・約束する!私がそなたを迎えに行く。そなたを助け出してやる。そなたは何も怖れるな。
たとえ・・・離ればなれであろうとも私の心は常に側にあり、そなたを守る!」

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ハットウシャに戻ったキャロルを待ちかまえていたのは予想外に堕落した魔窟と化した王宮であった。
かつてアナトリアの雄と怖れられていたヒッタイト王は気力を失い懶惰(らんだ)な日々を送っていた。
役に立たなくなった国王を巡る臣下達。王子の影響力ゆえか、決定的な王権の失墜はなく、王子派の人々が国の乱れが政務に悪影響を及ぼさぬよう尽力してくれている。
しかし王子派、サフィエ派の小競り合いは姦しく際限のない権力争いが人心を荒廃させていた。
そしてサフィエは意外なことに臨月であるがゆえか自慢の容色もやや衰え、かつての権勢も若干ではあるが衰えたようであった。

「ようこそお戻りなさいませ、王子妃様」
寝椅子に横たわったサフィエは鷹揚に手を差し伸べた。キャロルに付き従うムーラは愛妾の分不相応の振る舞いに怒り狂ったが、キャロルはまるで頓着しない。
「あなたが戻ってきて下さって嬉しいこと。じき和子が産まれるというのに後宮の者達は私を少しも労ってくれませぬ。こんな体では慣れぬ雑務も手につきませぬし。
あなたの手助けが欲しかったのですよ。本当に・・・・早く和子が産まれてきて欲しいわ。そうすれば体も楽になるでしょう」
「とにかく大切になさいませ。あなたに何かあれば・・・国王様もお嘆きでしょう・・・?」
探るように言うキャロルにサフィエはめんどくさそうに答えた。
「国王様は・・・・この頃はあまり私にかまってくださいませんのよ。ま、臨月ですもの、あまりにご寵愛が激しいのも困りものだけれど。・・・・あの方もすっかり変わられたわ。でも和子の父上なのですからねぇ・・・」
(サフィエは国王様を愛していないんだわ。あの方に縋るのはただ王が自分が産む子供の父親―子供を世継ぎにできる力を持った人―だから!)
キャロルは密かに身震いした。こんな人間に愛する王子は苦しめられたのだ!
だが表面上は至って穏やかに慎ましく、キャロルはじき母となるサフィエに仕えるのだった。そんなキャロルを見て心ある人々は涙をこぼすのだった。

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「ふーむ・・・・。ナイルの姫が戻ったか・・・」
その夜、催されたキャロル帰還を祝うささやかな宴で。
すでに正気を無くすほどに酔ったヒッタイト王は呟いた。
「よくイズミルが手放したのう。美しい瑞々しい金色の姫。ずっとわしが欲しいと思うていた」
「? 国王様?何かおっしゃいまして?」
臨月で不快な身体をようやく宴の広間まで引きずってきたサフィエは怪訝そうに聞いた。
「・・・・・なんでもない。サフィエ、ナイルの姫はずっと奥の宮殿に留まるのかのう?」
「え?ええ。だってあの方には色々お願いしたいことがありますもの」
「そうか・・・・」
国王はぐっと杯を干した。
(では・・・わしがあの姫を手に入れて何の不都合もないわけじゃ。王妃も王子も今はおらぬ。サフィエにも・・・・飽きてきた所じゃ。子を産めば少しは大人しくなるかのう?今は所領よ、宝石よと煩いばかりじゃ)
ヒッタイト王の好色な視線にキャロルは思わず身を震わせた。あれほど王子と約束したのに・・・・言いようのない絶望と不安がキャロルの心を引き裂く。

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「ナイルの姫君、お起き下さいませ!サフィエ様が産気づかれました!姫君をお呼びでございます!」
宴から数日後の真夜中。キャロルは慌ただしい下女の声にたたき起こされた。
声の様子から通常の出産ではないのだということが察せられる。キャロルはムーラを伴って急ぎ産屋に向かった。
産屋ではサフィエが言いようのない苦痛に身を捩り、悶え苦しんでいた。細い腰に大きな腹部、美しかった顔は苦痛に見る影もなく歪んでいる。
「あっ、王子妃様っ!お待ちしておりました。陣痛自体は早くから進んでいたのに・・・水も出ましたのに和子様が・・・お生まれになりませぬ」
狼狽えた産婆が訴えた。キャロルはサフィエの手を握り、波立つ腹部を撫でて慰め力づけてやることしかできない。
「サフィエ、サフィエ、しっかりして!」

翌日の夜、苦しみ抜いてサフィエは王女を産んだ。産婆に引き出されるようにして産まれてきた子は青白く、泣き声も力無かった。
「サフィエ、よく頑張ったわ」
キャロルは憎いはずの若い母親を力づけるように言った。そして疲れ果て惚けたようになっている産婆や、期待はずれで項垂れている侍女達を叱りとばして罪のない赤子の世話を命じた。
「さぁ、早くこの子を暖めてやって。それから乳母を。お乳を吸う力がないようだから、ずっと抱いていつでもお乳が吸えるようにして
それからサフィエのことも!充分に休ませて、暖かいものを取らせて。
・・・何をしているの?王子じゃないですって?何を言っているの!」
キャロルはこの母子をめぐる複雑な心境を忘れ果て、その世話に没頭するのだった。

16
サフィエ失寵・・・・・・・。
漠然とした噂が既成事実として人々に認められたのは、サフィエが弱々しい王女を産み落としてから半月も経たない頃だった。
難産ですっかり容色も衰え、一度も起きあがれず、頼みの綱の赤子は女でしかも虚弱で醜かった。国王は一度か二度、寵姫と新しい王女を見舞ったがサフィエのあまりの変わり様に驚いたのか、訪れはぱったりと止んでしまった。
そうなれば人の心の頼みがたさ、サフィエの周りから人々は離れていき、今度は如何にイズミル王子派に復帰するかを画策する始末。
サフィエが衰弱と王の失寵による心労のあまり、取り巻きの離反にまで気付かないことはかえって幸いだったかも知れない。

そして。
寵姫を見捨てた国王は当然のように金髪の王子妃にその毒牙を向ける。
サフィエの部屋を出て、自室に戻ろうとするキャロルの手をいきなり国王は掴み、酒と阿片の匂いの混ざった息を吐きながら侮辱的な口説き文句を言った。
「のう、姫よ。今宵、わしのものになれ。毎日毎日、病人の看病。夜は独り寝。さぞやさぞや・・・体が辛かろう?わしが慰めてやろう」
「お、おやめくださいませっ!!」
キャロルは真っ青になって王の手を振りほどいた。お付きの人々も必死に王の無体を止めようとする。だが正気を失った国王は馬耳東風だ。
「よいではないか。わしが真実、欲しいのはそなただ。生意気にもイズミルめが横取りをしおったが。これは命令じゃ。今宵からは我が王妃となれ。わしの子を産め!わしとそなたの血を受けた和子を・・・新たな世継ぎとする!」
「汚らわしいっ!」
キャロルは悲鳴をあげ、一散に自室に駆け込んだ。国王は自分に無礼を働いた王子妃の後ろ姿を濁った眼差しで見送った。
(そなたを我がものとするぞ・・・。邪魔な王子など・・・殺しても良い。世継ぎはまた新しく産ませればよいのだ)

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「皆の者、よいなっ!命に代えても姫君をお守りするのですっ!姫君に無体を働き、王子のご尊厳を汚す不埒者は・・・殺しても構わぬ!不埒者と差し違える覚悟で姫君をお守り申せ!」
きりりと鉢巻きをしめたムーラは配下の侍女、兵士に檄を飛ばした。力強い声がムーラに答える。
王子とキャロルの宮殿は殺気立っていた。先ほどの国王は理性の失せたケダモノと化していた。実の息子の妻を奪おうとするとは、もはや正気の人間のすることではない。悪魔ですら赤面
するような汚らわしい行為だ。
騒ぎを聞きつけた王子派の人々、これを機に王子派に復帰しようとする人々がキャロルのいる宮殿に参集していた。まるで戦の前のような雰囲気であった。
この時代の人々は、神の怒りというものを今よりももっと切実に現実的に感じて生きていた。今のヒッタイト国王の行為は神の逆鱗に触れる冒涜的な行為だった。戦勝国の王が、敗戦国の王妃を奪うのは正当だと見なされるが、父親が息子の妻を奪うのは人倫に悖(もと)る行為であり、ヒッタイト全体が神の怒りに晒されるかも知れないのだ。
そのようなことだけは避けねばならない。表沙汰になったらエジプトは絶好の機会とばかりにヒッタイトに攻め入るだろう・・・。

人々のざわめきを遠くに聞きながらキャロルは寝台にふせって泣いていた。義理の父である国王がひたすら厭わしく汚らわしく・・・恐ろしかった。
(わしの子を産め!わしとそなたの血を受けた和子を・・・新たな世継ぎとする)
王の言葉が脳裏を駆けめぐる。
(まさか・・・まさか王は王子に危害を加えようとしているの?新たな世継ぎ。それは王子の廃嫡?!)
キャロルはぶるっと震えた。あの王ならばやりかねない。残酷で理不尽な権力者。王子妃となる前、幾度か言っていたではないか?ナイルの姫をわしに呉れ、と。
(そんなことになったら・・・死ぬわ!私は王子を裏切れない!)
その時、宮殿の入り口がにわかに騒がしくなった。キャロルの許に訪れた国王の護衛兵と、キャロルを護る兵士達が衝突し流血沙汰になったのだ。

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「何事です・・・?!」
宮殿の入り口に現れたキャロルは言葉を失った。
きらびやかに美しいそこは血に汚れた死傷者で溢れかえっていた。
「姫君!お戻りなされませ!出ていらしてはなりませぬっ!」
「姫君、どうかどうか御身お大切に!我らが命に替えてお守り申し上げます」
ムーラや兵士の声に国王の蛮声が被る。
「おお、ナイルの姫!待っておったぞ!今宵、そなたを我が王妃とする。
・・・何という顔をしておる?こやつらは王たるわしに逆らった許し難き反逆者じゃ!死を以て償わせる」
そういうと泥酔した国王は手近にいた不運な侍女を斬り捨てた。侍女は悲鳴も上げず、倒れ臥した。
「やめて、やめて、やめてぇっ!!」
キャロルは絶叫した。異様に惨たらしく凄惨な光景に、涙が滂沱と流れ、手足はわなわなと震えた。
「罪もない者を殺すなんて・・・許されることではありません。ひどい、ひどすぎるわ!この者達が一体何をしたというのです?」
「そなたを王妃にしてやろうとしたわしに逆らったのじゃ。そなたは我がものとなり、我が息子を産めい!わしがそなたを可愛がって喜ばせてやる。王子のような青二才など比べものにならぬほど・・・わしは上手いぞ・・・?」
酒臭い息を吐きながら、王はキャロルの頬に触れようとした。
「触らないでっ!!!」
キャロルは王の頬を思い切り打った。凄まじい音。口の中が切れたのか、王の唇からは血が涎混じりの血が流れる。
「おのれ・・・小娘が・・・!」
王は凄まじい力でキャロルを突き飛ばし、首を絞めようとした。
「こ、国王様!おとどまりを!」
不意に一人の兵士が走り出て、王をキャロルから離した。
「国王様に危害を加えるとは、この女、王のお情けを受けるに値せぬ反逆者でございます。このような女に関わられますな!さぁさぁ、今宵はお戻りを」
巧みに王を押し出しながら、その兵士はキャロルの方を向いた。
「さぁ、この反逆者めはもはや王子妃の身分にふさわしからず!罪を犯した不埒な女を憂いの館へ押し込めるのだ!」
兵士はそういうと驚き、脱力した人々を尻目にキャロルの腕を乱暴に掴んで連れ出していった。
後宮の敷地の北の隅にある「憂いの館」へ。そこは罪を犯したり、死病に侵された宮女を押し込めておく牢屋であった。

19
暗く狭い通路。その先には憂いの館がある。きらびやかな王宮の建物とは対照的な粗末で陰鬱な、それでいて堅牢な館。それは牢屋であり、死を待つ女人の室であり、絶望と悲しみの涙に染まった嘆きの館なのだった。
キャロルの手を引く兵士は無言で小館の前に立った。
(ここで・・・私は死ぬの・・・?)
先ほどの衝撃的な体験で心が麻痺したようになっているキャロルは、無感動に憂いの館を眺めやった。
そんなキャロルの前に兵士は唐突に跪いた。
「姫君、どうかお許し下さい。国王の狂気からあなた様をお守りするには、ここにお連れするしかなかったのです」
「ルカ!あなたなの?!どうして?王子は?」
ルカは油断無くあたりを見回し、館の扉を開け中にキャロルを導いた。
「とりあえず中に。人目があるやもしれませぬ」
灯火に照らされる殺風景な室内。かび臭く陰気な空気が満ちている。窓は高い位置に小さなものがあるだけ。隅の低い衝立があって、側には壊れかけた寝台らしいものが置かれているだけだ。
ルカが扉を閉めるのも、もどかしくキャロルは王子の近況を聞いた。
「さっきの騒ぎは知っているでしょう?王は・・・実の息子である王子を廃嫡して亡き者にしようとしているのよ!」
「王子はすでにご存知です。ただサフィエの失寵が予想外に早く、何もかもが王子のお考えになっていたよりも早くに進みすぎました。
姫君、かくなる上はこの憂いの館が王宮で最も安心できる場所となりました。忌まれたこの場所にはさすがの王も近づけませぬ。
王子はすぐ行動を起こされ、あなた様をお救いになりましょう。私が・・・そして心ある者達が全力でその日まで姫君をお守り申し上げます。どうかどうか・・・その日までご辛抱を・・・!」

20
涙ながらに語るルカをキャロルは優しく抱き起こした。
「ルカ、ありがとう。あなたの機転のおかげで私・・・助けられました。
それに王子は無事なのね。良かった・・・良かったわ・・・。王子にもし万が一のことがあったら私、生きていけないもの・・・」
ルカは女主人の手を押し頂いた。
「姫君、しばしのご辛抱でございます。ご不自由がないようはからいます。どうか御身お大切に。王子はそれはあなたさまのことを
一番心配しておいででございます」
キャロルは頷いた。
「ありがとう。でもルカ。危ないことはしないで。王宮は、王の力が強いわ。もう、もう・・・さっきみたいに関係ない人たちが死んだり・・・き、傷ついたりするのは嫌なの。お願い、これ以上、犠牲になる人を増やしたくないの。私はそこまでして護ってもらう価値のある人間ではないわ。私一人だけのことですむことなら、いつだって私はこの身をヒッタイトに捧げます。
・・・私は大丈夫です。だから皆で王子の帰還を待ちましょう」
健気なその言葉にルカは深く胸を打たれた。
(姫君、あなたをお守りするために誰もが喜んで身を投げ出しましょう。あなたは我がヒッタイトの未来を担う王子の魂そのものなのです。あたなに何かあれば王子は魂を失われましょう。魂を無くした人間はもう・・・生ける屍なのですよ。
我らは新しい王を戴かねばなりませぬ。新しい力に満ちたイズミル王を。そのためにも、あなたの存在は不可欠、万難を排して護らねばならぬのです)
「姫君、私が夜通し外でお守りいたします。ご不自由ではございましょうが、どうかお休み下さいませ。明日になれば、お身まわりの品々など手配いたしましょう」
キャロルはこくんと頷いた。ルカは出ていった。キャロルは闇の中に一人取り残された。

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