『 出逢い 』

11
「まこと、そなたは小柄だな。食べる量が足らぬのではないか?」
王子は朝日がまぶしい部屋の中で身の置き所がなさそうにもじもじしているキャロルをからかうように言った。滑稽に大きすぎる衣装も、キャロルの美しさを損ないはしない。
「そんなことより・・・私、どうすればいいの?誰かが来たら何と言えばいいの?そろそろ侍女が私を起こしに来るし私がいないと知れたら・・・。アイシスはこれからどうするつもりか気になるし」
キャロルは気もそぞろで、伸び上がるようにして王子の背後にある窓の外を窺っている。
「何、私の滞在する一角には滅多なエジプト人は入れぬ。食事もヒッタイトから連れてきた私の召使いが持ってくる。
そなたがいなければ、それは大騒ぎになるだろうが先走って心配していては身が持たぬ」
王子がわざと気楽に話してやっていると、扉をノックする音がした。
「王子、お目覚めでございますか?お食事をお持ちいたしました」
「む・・・。昨夜、酒を強いられてな。食事はもう少し後で食べる。給仕は不要。扉の内側にでも置いておくように」
王子がそういうと寝室の扉が細く開けられ、盆に載った朝食が差し入れられ、すぐまた閉まった。
召使いの声に反射的に寝台に飛び込んで布団をかぶったキャロルは恥ずかしそうに王子を見た。
「さぁ、食事にいたそうか。どうした?こちらに来ぬか。うまそうだぞ」
「あ・・・私、いいです。王子がどうぞ」
緊張しているのかキャロルは真っ青だ。王子は立ち上がっていきなりキャロルを自分の隣に座らせた。
「とにかく食べよ。取り越し苦労は不毛だ。駄々をこねるでない、そのようだからそなたはそんなに小さいのだ」
キャロルは目を伏せたまま、形ばかり食事に手をつけた。王子は苦笑しながらキャロルを見守った。
王子はアイシスやメンフィスを如何に出し抜くかを冷静に考え、同時にキャロルをこれからどうやって靡かせようかと楽しい計画に没頭している。
その時、扉の外が騒がしくなった。
「どうした?」
「は、王子。奥の宮殿で何事かあった様子。召使い達が右往左往しております」

12
「な、なにぃっ!キャロルがおらぬだと!どういうことだ?」
メンフィスの苛立たしげな声が奥宮殿に響きわたった。キャロルの寝台がもぬけの空だったと報告した侍女は真っ青になって涙を浮かべている。
「おのれ、一体・・・。ええい、探せっ!逃げたのかさらわれたのか・・・いずれにせよ・・・」
メンフィスは朝に夕に自分に金髪の少女を愛でるのがこの上なく楽しみだった。たとえ自分に靡かぬ相手でも。
人々はざわめく。警備の厳しいここからさらわれた可能性は低い。あの小柄な姫は自分で窓からナイルにでも飛び込んだのではないか?
(キャロルがいない?何故だ?奥宮殿は姉上が監督する場所。不審な者が入り込める場所ではない。警備も万全だ。
・・・では、では・・・。キャロルは逃げたのか?私を嫌って・・・私の側にいるのが嫌だから・・・私が嫌い・・・だから・・・)
哀しみはすぐ猛烈な怒りとなった。
「キャロルを探せっ!探して私の許に引っ立てよ!おのれ、私を愚弄しおって許さぬ!」

アイシスは黙ってメンフィスを見守った。朝、メンフィスの目を盗んで密通したキャロルとイズミル王子は破滅するはずだった。ところが二人はいない。アイシスの手の者が見張っていた廊下から外には出られない。
(ナイルから逃げたか・・・。ふん、食えぬ若者!)
「姉上?どこに行く?」
「イズミル王子の宿舎に。朝からこの騒ぎ。事情をそれとなくご説明しなくては」

13
「王子・・・。アイシス女王がお会いしたいと・・・」
「アイシスが?そうか、居間にてお待ちいただけ」
王子はキャロルをそっと部屋の奥、垂れ幕の後ろに隠すと居間に出ていった。
「これはアイシス・・・。早くからどうされた?」
「白々しいっ・・・!そなた、キャロルを隠しましたな?」
「ふ・・・。そのように顔を歪めて怒ると美貌が台無しだ」
「くっ・・・!」
「そなたは昨夜、かの姫を私に呉れた。もらった物を手許に持ち帰って何の不都合があろう?そなたは私と姫を陥れたかったようだが・・・甘いな。
嫉妬に狂って普段の頭の良さもどこかに失せたと見える」
王子はニヤニヤしながら言った。
「メンフィス王に姫の密通を告げるか?嘘八百を告げるか?」
アイシスは居丈高な王子の態度に怪訝そうに眉を顰めた。王子はファラオの愛しい娘を盗ったという弱みがあるはずなのに・・・?
「アイシス、昨夜の回廊。私一人であったと思うか?護衛もつけず一人歩きをしていたと思うか?
甘いな。すぐ側に忍びが控えていたのだぞ?かの者が証人となろうよ。そなたが昨夜、つけてくれた見張りも・・・反対に見張られていたのだぞ。そなたの手下は我が手の中にあるも同然。何かあれば締め上げて真実を吐かせる。手下の忠誠心がどの程度か・・・楽しみだな?」
無論、半分はったりだ。だがアイシスはそれに思い至る余裕もない。王子は畳みかけるように言った。
「そなたは姫を私に呉れた。呉れたものについてはもう忘れよ。あの姫が邪魔なのだろう?私が・・・二度とそなたの目に触れぬ場所に連れていってやる。
邪魔はするな。そなたはメンフィスの正妃となるのだろう?つまらぬ茶番がばれればメンフィスはそなたを・・・どうするかな?」

14
「そ、そなた、王子。居丈高ではありませぬか?私は・・・私は女王アイシス。メンフィスの正妃としてミタムン王女の上に立つ身ですよ。私を怒らせて・・・王女のためになるとでも思っていますのか?」
アイシスは言い返した。しかし狼狽えて顔は赤らみ、追いつめられているのがよく分かる。
「ふん。我がヒッタイトを侮るか?ミタムンを人質にでもしたつもりか?正妃?ミタムンに勝る気でいるのか。正妃の冠に縋って?
ふふ、そのような地位に拘らねばならぬほど追いつめられているそなたも・・・なかなか艶めかしいな」
王子はアイシスの嫉妬と焦りを見透かして嗤っていた。
「悪いことは言わぬ。このまま去れ!そなたが邪魔にしていたナイルの姫については私が引き受けよう。そなたはエジプトのファラオ メンフィスの第一王妃として君臨するのが相応しい。ミタムンや・・・他の女達と争ってな。
良いか、妙な気を起こすでないぞ。そなたがどういうつもりで茶番を仕組んだかは知らぬ。だが茶番の主導権はこれから先、永遠に我が手の中ぞ。そなたが手出しすることまかりならぬ!」
王子の一喝は嫉妬に狂う女を震え上がらせるには十分だった。
「分かり・・・ました。好きになさるがよい。
ほほ・・・でも最後に言っておきましょう。あの娘、神の娘などではありませぬ。卑しい娘です。心根の悪い娘です。じき、そなたにも分かりましょうよ」
自分が愛した娘への侮辱は、王子をたいそう怒らせた。王子は誰もが震え上がる氷のような声音で答えた。
「そなたは誰よりも醜く卑しい。何故、王家になぞ生をうけたか。何故、メンフィスはそなたを娶らねばならぬのか」
アイシスは唇を噛んで、振り返りもせずに出ていった。身分低い母から生まれたことをこの上ない引け目に感じているアイシスは王子の言葉を何時までも忘れないのだった。

15
「大丈夫か?」
垂れ幕の後ろで真っ青になって震えているキャロルの肩を抱こうとした王子の手はいきなり振り払われた。
「さ、触らないで!私をモノ扱いしてっ!私、ヒッタイトになんか行かない。家に帰るっ!あなたになんて引き受けてもらわなくてもいいんだから。離してっ!」
キャロルはあたりを憚らず声を放って泣いた。少し、ほんの少し惹かれていた青年が自分をモノ扱いしたという屈辱がキャロルを打ちのめした。
自分をさらうようにして大嫌いなメンフィスの許から連れ出してくれた文字通りの「王子様」。
それが。自分は単にアイシスの手からイズミル王子の手の中に投げ入れられた玩具だったのだ。
(いい人だなんて・・・兄さんに似ているなんてほんの一瞬でも思った自分の馬鹿さ加減がいやっ!大嫌い、大嫌い、人を馬鹿にしてっ!)
「大嫌いなんだからぁっ!」
イズミルは寝台に突っ伏して泣く少女を困ったように見ていたが・・・下手に声をかければもっと泣くだろうということは分かり切っていたので泣きやむまで放って置いた。

ややあってキャロルは泣きやんだ。声は枯れ果て、目は真っ赤だ。
「落ち着いたかな」
王子はキャロルに水の入った杯と、濡れた布を差し出した。顔を背けるキャロルの顔をてきぱきと拭いてやって王子は聞いた。
「鼻もかむか?」
キャロルは真っ赤になった。モノ扱いの次は子供扱い!
王子は頓着せずにキャロルの手に杯を押しつけた。
「さぁ、飲むが良い。喉が痛いほどに乾いたのではないかな?あれほど泣いて。ミタムンもよく癇癪を起こして泣いていたな。女の子というのはよく泣く」
キャロルは黙って杯を干した。冷たい水が美味しかった。続いて王子が差し出したパンも果物もこの上なく美味しかった。泣いた後、しゃくり上げながら食べるものはどうしてこんなに美味しいのだろうと思いながら。

16
「さぁ・・・もう泣くでない。そなたをモノだとは思っておらぬよ。愛しいそなたをアイシスから守るための方便だが・・・今は信じぬであろうな。
ま、いずれにせよそなたはここから出ることは叶わぬぞ」
「何ですって?私のことは放っておいてよ。私、家に帰るんだからっ!」
そのまま、「あなたのしたこと、ママに言いつけてやるんだからっ!」とでも言いそうなキャロルに王子は厳しい調子で言い聞かせた。
「落ち着け。今、闇雲に逃げてどうする?外に出た途端、アイシスの手下に殺されるか・・・そうでないとしてもメンフィスに捕まるであろうな。
どちらも運良くやりすごしたとして、その後、無事に家族の許に帰る心当てがあるのかな?難しいのではないか?
そなたは賢いし、なかなか行動力もありそうな気の強い娘だ。そのそなたがこれまで王宮暮らしに甘んじていた・・・ということは、だ。家族の許には簡単には帰れぬと分かっているからではないのか?」
図星を指されてキャロルの双眸から涙が溢れる。
「そなたはヤケになって闇雲に不幸に向かって走っているようなものだ。
何が自分にとって一番良いのか冷静に考えて見よ。アイシスの理不尽な怨みを怖れ、メンフィスの横暴を厭いながら不幸に生きるのか?自分の不幸を呪いながら老いていくか?この王宮で」
キャロルは黙って頭を振った。
「では私の所に来い。そなたを守ってやろう。幸せにしてやろう。
ふふ、そなたのような子供をすぐどうこうするほど女には不自由しておらぬ。ただ・・・困り切って泣いているそなたを放っておけぬ気がするのだ。
よいな?分かったな?何が一番、自分に必要なのかを考えよ。そなたが不幸になったら悲しむそなたの家族のことも考えてみよ。
我が儘は許さぬぞ・・・」
王子は厳しい表情を和らげると、布で涙を拭って頭を撫でてやった。
キャロルは、王子の言うことをもっともだと思い、王子の優しさに縋りたくなっている自分の心弱さを思い、王子に頭を撫でられながらひたすら泣いた。

17
「さて・・・私は外に出ねばならぬ。そなたはここで大人しくしておれ。このルカをつけておく。くれぐれも勝手は慎めよ」
王子はそう言うとメンフィスとの会談のために出ていった。キャロルに付き従い・・・監視するのは王子の信厚いルカであった。キャロルは呆然と王子を見送った。
「さ・・・姫君。中へ。王子がお戻りになるまでお静かにおくつろぎ下さい」

メンフィスは固い表情でイズミル王子と向かい合った。キャロルは未だに見つからなかった。兵士は街にも派遣され、娘の行方を追っている。
「メンフィス王、どうされたかな?顔色がすぐれぬ・・・」
さりげなくイズミル王子は言った。原因は分かりきっている。自分の部屋に隠れている金髪の娘のことだろう。
(ふん、たかが娘一人にここまで取り乱すとはな。メンフィスは若いゆえ執心も激しいのだろうが一国の王がこれでは)
「いや・・・何でもない」
メンフィスは強いて何気ない様子を装い、王子と政治向きの会談をこなすのだった。しかし心はここにはない。

一方、アイシスも気が気ではなかった。イズミル王子は本当にキャロルを連れていくだけで満足なのだろうか?キャロルの破滅を願い、あの王子の夜這いを手引きしてやったが、命運強いキャロルは王子の懐で守られている。
(全く・・・王子はキャロルを弄んで・・・新たに執心でも生まれたのであろうか?
私を愚弄した王子、恥をかかせた憎い男。キャロルを気に入ったのならそれでも良い。二人して・・・滅ぶがよい!)

18
会談も終わって。
メンフィスとイズミル王子、それにアイシス、ミタムン王女を交えて午餐会が開かれた。二人の女性はあれこれと囀るが、つきあってやるのはイズミル王子ばかり。メンフィスは不機嫌を隠そうともしない。
(キャロル・・・どこに行った?手引きした者があったのか?おのれ、おのれ・・・私をかくも苛立たせるとは!)
その時。
奥宮殿のほうが騒がしくなった。
「まぁ・・・なんでありましょう?客人がおわすのに。我がエジプトの召使いの至らぬこと・・・。何事です?」
アイシスがそう言って立ち上がると侍女が駆け寄ってきた。
「ナ、ナイルの娘が逃がしたのはこの娘でございます!」
(なに?)
王子が怪訝に思い、アイシスを見やると彼女も又、訳が分からないという顔をしていた。
引き出されてきたのは10才になるかならぬかの下仕えの少女。普段からキャロルに親切にしてやっていた少女だった。
「何ぃ、貴様かっ!貴様がキャロルを逃がしたか!」
メンフィスは人目も憚らず激しく少女を打ち据えた。反りの合わない先輩侍女から、キャロルを逃がしたと理不尽な言いがかりをつけられ、訳の分からぬままメンフィスの前に連れ出された少女こそ気の毒というもの。
メンフィスを押しとどめようとする者、少女を詰問する者、右往左往する野次馬、宮殿は大騒ぎになった。

「何だか外が騒がしいわ・・・。何かあったのかしら?」
キャロルのいる部屋にまで外の騒ぎが聞こえてきた。立ち上がって窓の外を覗こうとするキャロルをルカは押しとどめた。
「端近にお出になってはなりません。私が様子を見てきましょう」
ルカが扉を細く開けると、お喋り好きな侍女達の囀り声が聞こえてきた。
「ナイルの娘を逃がした娘が捕まったんですって!メンフィス様がひどくお怒りになって・・・」

19
「何ですって?その娘は何の関係もないのよ?!」
キャロルはルカの脇を素早く走り抜けると、まっすぐに騒ぎの起こっている場所に走っていった。
「姫君っ、お待ち下さい!」

「メンフィスっ、やめて!わ、私はここです・・・」
唐突に現れたキャロルに居合わせた人々は皆、度肝を抜かれた。
顔が腫れ上がるほどに激しく下仕えの娘を責め立てていたメンフィスさえも、その乱暴な手を離したほどに。
アイシス、ミタムン王女は身体に合わない大きすぎる衣装を着けた少女に声を失った。毅然とメンフィスを見つめるキャロルの頬はほのかに紅潮し、美しかった。
そして。
誰よりも驚いたのはイズミル王子だった。掌中の玉よと大切に思っている宝物のような娘―一目惚れの相手だ―が何を血迷ったかメンフィスの前に姿を現した!自分が何に替えても守ってやろうと・・・自分を愛させてみせようと思っているその相手が!
(自殺行為だ・・・!ルカは何をしていたっ?)
メンフィスがキャロルの細い手首を捻りあげた。
「おのれ・・・そなた、今までどこにいた?そなた・・・私から逃げたな。この娘と共謀してっ!」
凄まじいメンフィスの形相に震え上がりながらキャロルは言った。
「私が・・・私が一人で逃げたの。誰も関係ないの。その娘を離してやって。お願い」
メンフィスは細い肩を鷲掴みにして乱暴に揺すりあげた。
「一人で逃げたか・・・。その衣装は何だ?どこで着替えた?まさか、そなた・・・」
キャロルは痛みと恐怖に目を一杯に見開き、引きつったように震えるばかりだ。
「どこで着替えた?どこで手に入れた?そなたは私のものなのに、まさか・・・」
「違うの、違うの。誰も関係ないの。これは・・・これは・・・」
サイズが合わないとはいえ、衣装はしなやかな上質の生地で作られ、金の装身具も身につけている。メンフィスでなくとも男性の匂いをかぎ取るだろう。
(これは面白いことになった)
アイシスはほくそ笑んで騒ぎを見守った。

20
「メンフィス王、我が姫にそれ以上の無体は見苦しい」
メンフィスとキャロルを引き離したのはイズミル王子だった。驚くメンフィスの腕を巧みに捻りあげ、動きを封じると王子は穏やかにキャロルに言った。
「姫、怪我はないか?何故に私の言いつけを守らなかった?」
キャロルは驚いて王子を見上げた。王子は優しく微笑みを含んだ瞳で自分を見おろしている。
(あ?王子?何故?私を庇うの?そんなことしないで。今回のことは私が全部、被らなくてはいけないの)
「キャロル、そなた、イズミル王子と・・・」
嫉妬に狂い、鬼のような形相になったメンフィス。よく見れば、キャロルの衣装はイズミル王子のそれとよく似たヒッタイト風のものではないか。
夜のうちに姿を消した少女が、今、大きさの合わない見慣れぬ衣装を引きかけて現れた。つまり・・・。
「いいえっ、メンフィス。イズミル王子は関係ないの。こんな人、私、知りません。今回のことは全部、私がしたことなの。本当よ、本当なの・・・」
がちがちと歯を震わせながら必死に周りの人間を庇おうとするキャロルの姿は王子の胸に新たな感動を呼び覚まし、メンフィスの激しすぎる怒りに怖れ呆れながら見守る人々をも引き込んだ。
「姫、もうよい。何を隠すことがあろう。そなたは私の妃なのだから」
王子は穏やかな、でも有無を言わさぬ声音で言った。メンフィスを突き放すように解放し、キャロルの細い肩を抱き寄せる。
こやつらは姦夫姦婦じゃ、捕らえよ!アイシスが勝ち誇ってこう叫ぼうとした瞬間。
王子が先手を打った。
「姫は我が妃だ。そなたの姉にして正妃たるアイシスが昨夜、私に姫を与えた。我がヒッタイトのミタムンがメンフィスの許に嫁ぎ、ナイルの女神の娘たるこの姫が我が許に嫁ぎ来るならば、両国の絆は二重となり、よりめでたいであろうと、な」
キャロルはひゅっと息を吸い込むような悲鳴をあげた。メンフィスがいきなりイズミル王子を殴り倒す。

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