あるところにお城がありました。
お城にはライト様と呼ばれる女王様が住んでいました。
ライト様は非常に美しい姿をしていました。
見た目がきれいだからと言っても中身がきれいだとは限りません。
最高な美人に限って、最低な性格だったりするのが世の常です。
もちろんきれいなライト様も例に漏れず、きれいなところは外見だけでした。
女王ライト様はとてもとてもわがままな人なのです。
気に入らないことがあるとすぐに犯罪者を何百人もデスノートで殺してしまいます。
ライト様は恐ろしいキラだったのです。
もちろん、そのことは誰もが知っていました。
そして誰もが、キラの力を恐れてライト様には逆らいませんでした。


冷たい風がびゅうびゅうと吹き付け、人々がコートを着込む季節になりました。
空一面に暗い灰色の雲が広がって雷がゴロゴロと大きな音で空気を震わせます。
ぴかぴかと光る雷が一晩中鳴り響いた翌朝、町中が真っ白な雪に覆われていました。
ライト様の住むお城も積もった雪で真っ白です。

「寒い・・・」

寒さにも暑さにも弱いライト様は頭から毛布をかぶり、暖炉の前で震えていました。
暖房もフル稼働させて居るにもかかわらず、ライト様の広い広いお部屋はなかなか暖まりません。

「ライトくん」

何枚も着込んだライト様とは対照的にLは白いTシャツ一枚で現れました。

「・・・見てるだけで寒い」

呼ばれて振り返ったライト様は、とてもいやそうな顔でLを見ました。

「私はこれで丁度いいのです」

誰もが凍えるほどの気温だというのに、Lは薄着でしかも裸足で城内をうろうろしています。
正体不明の男はもしかしたら人外の生物なのかもしれません。
ライト様はそう思うことにしました。
人間だと思うから異常だと思うのです。
人間ではないと思えば、気になることも気にならないかもしれません。

「ああ、そう」

ライト様は毛布をかぶりなおし、Lから顔を隠しました。

「それで、何の用?」

ライト様がまきを暖炉に投げ込むと火の粉がほわっと舞い上がり、一瞬だけ炎が明るく光りました。

「用がなければいけませんか?」

Lはライト様の隣りに座りました。

「別に」

赤々と燃える炎に照らされて、ライト様のきれいな顔がさらに際立ちます。

「・・・」

ぱちぱちとまきが音をたてて燃えています。
聞こえる音は、それだけでした。
雪の降る夜は、音が消えてなくなるのです。

「冬は、嫌いだ」

ぽつりとライト様が呟きました。
理由は言いません。
そのまま、ライト様は黙ってしまいました。

泣いているのかとLがライト様の顔を覗き込みます。

でも泣いてはいませんでした。

「春になったら一緒に桜を見に行きましょう」

Lが言いました。

「・・・気が早いよ」

ライト様はようやく笑いました。

ライト様はほんの少しだけ、あたたかくなったような気がしました。

まだ見ぬ春に思いをはせて、ライト様は目を閉じました。


春は、Lと初めて出会った季節です。




静かな雪の降る夜でした。










おしまい☆



   
  16/11/16
   
  冬で終わり。
  カオス企画参加作品。
   
 
 
   
 

お出口

   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   

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