愛の向こう側2
あの後どう帰ったのか茜は覚えていない。ただ、瑞佳が付き添っていたことだけはおぼろげに記憶に残っている。身体の汚れがきちんと落とされていたことを考えると、おそらくシャワーを浴びせてもらったのだろう。制服もきちんと畳まれていたおかげでまったく皺になっておらず、外からは茜の身体に何が起こったのか分からないようになっていた。
結局、茜は食事も取らず朝まで眠りについた。その日受けた衝撃に肉体も耐えられなかったらしく、夢も見ずに。目を覚ましても学校に行く気力はなかった。下腹部に残る疼痛感を持て余しながら、母親に休みたい意思だけを伝えて、茜はまた自室に戻る。
「どうして……」
そう呟くと、ベッドの中でどうしようもなく涙が溢れてきた。一体今までの浩平はなんだったのか、今でも彼の豹変が信じられない。
しかし、事実は変えられようもない。はっきりと自分の体に残る感覚は、あの陵辱が夢ではなかったことを示している。
次から次へと溢れてくる涙を堪えずに茜は静かに泣いた。部屋の暖房がたてる機械音が場違いなほどのどかな雰囲気を作り出していた。
そして翌日、泣き腫らした瞼はほぼ元の通りに戻っていた。これならば誰にも怪しまれずにすむだろう。相変わらず学校に行く気はなかったが、母親に勧められるまま朝食を取ると、幾分気は落ち着いてきた。
そんな現金な自分に、思わず自嘲の笑みがこぼれてくる。不審そうな母親を背に茜は鞄を取りに部屋へ戻ろうとした、母親に心配はかけられない。
「あ、お弁当忘れているわよ」
「え?」
「ほら、持って行きなさい」
「……はい」
無性に母親の心遣いがうれしかった。
2日振りの学校はまったく雰囲気が違って見えた。しばらくその場に立ち尽くして校舎を見上げる。次第に身体が冷えていくのを茜は自覚すると、首をかすかに振って中へ足を踏み入れた。
名も知らぬ生徒の間をすり抜け教室に辿りつくと、重たい息を吐いて教室のドアを開く。そして誰にも言葉をかけられないまま自分の席に到着する。特に親しい友人がいるわけでもない自分が、この時ばかりはよかったと感じられた。
窓の外を眺める気にもならず、のろのろと机にしまった教科書をまた取り出してはぺらぺらとめくる。そんな意味のない行動を繰り返しているうちにすっと影が落ちた。
「よう」
今、最も会いたいと同時に、最も会いたくない男。
「浩平……」
一昨日のことがあったというのに、目の前の少年はまったく変わりない様子でいた。憎々しげな視線をぶつけてもまったく堪えた様子もない。
「茜に見せたいものがあるんだけどな」
へらへらと笑いながらポケットに手を入れる。そうして取り出されたものに茜は目を見張った。
「や、やめてくださいっ」
それは明らかに浩平と繋がっている時の写真だった。ただ角度から浩平とは分からないようになっていて、痛みに顔を歪めている自分の顔だけがしっかりと写されている。目を閉じてはいるが、十人が十人この写真を見て茜と断定するだろう。
あの時の自分に引き戻された気になり、治まっていた痛みが再びぶり返してくる。と同時に、こんな写真を誰が見ているか分からない教室で晒そうとすることに、強い憤りを感じた。
「ん、大声は出さないほうがいいと思うぞ」
奪い取ろうとする茜の動きをさらりとかわして、浩平は再びポケットにしまいこむ。
「……捨ててください」
そのしまいこまれたポケットの辺りを睨みつけながら、茜はそれだけを口にした。
「折角の記念写真じゃないか、何を遠慮することがある? まあポラロイドだからうまく撮れてないけどな」
「遠慮とかそういうことではなくて……」
「ネガは家にあるから気にするな」
「ネガ」
改めて茜の顔色が青くなる。
「な、何が望みなんです、はっきり言ってください」
「ん〜、俺はただ今まで以上に茜と仲良くしたいと思っているだけだぜ」
「よくもぬけぬけと……」
こんな写真まで撮っていて親しくもなにもないだろう、ぎりっと噛み締めた奥歯が鳴る。悔しげな茜とは対照的に浩平は優越感に浸ったような笑みを浮かべた。
「そうだな、柚木にでも見せてやるか。友人に大人になれたおめでたい報告をしてやるのも悪くないだろう」
「なっ、詩子を巻きこまないでください!」
「ふふん」
鼻で笑いながら席に戻っていく浩平に、茜はわなわなと唇を噛み締めるしかなかった。
それから、なにごともなく3日が過ぎた。浩平はあれから茜に対して声をかけてくることはなく、瑞佳もまた時折茜に複雑な視線を向けてくるばかり。そんなふたりの不気味な沈黙は、茜の心に不安ばかり募らせていく。それでも茜は待つしかなかった。
その日も変わらぬ1日が始まるかに見えた。まだ眠気が残る1時間目の授業が終わって数分たった時。
「里村さん」
授業が終わると真っ先に教室を出て行った瑞佳が、ものすごく残念そうな表情を浮かべて茜に声をかけてくる。
「……なんですか?」
茜も表面上は穏やかに受け答えする。思い思いにお喋りに花を咲かせる教室に強ばった顔がふたつ、言葉もなく見つめあう。
瑞佳はついと視線を廊下に向けた。茜がかすかに頷くのを確認せずに、瑞佳は先に歩き始める。
茜が連れられたのは同じ階にある空き教室。音をたてないようにこっそりと開けた教室には予想された人物がだらしなく机に腰かけている。
「いやあ、ほっといて悪かったな。瑞佳のやつと約束しちまってよ。3日間は茜にちょっかいをかけちゃいけないって言われたんだ」
「そのまま放っておいてくれたらよかったのに……」
一歩踏み入れて吐き捨てた。
「そうもいかないんだよな」
「一体なんの用ですか?」
一刻も早くここを離れたい茜に、浩平は顎に手を当てて考えるふりをする。
「茜のいやがりそうなことを考えていたんだけど、いいアイデアが思いつかないんで……とりあえず脱いでくれ」
「ここでっ?」
とんでもない言葉に茜の語尾が跳ね上がる。誰もいないとはいえ、廊下を通りがかる生徒から見られないとも分からない。
「ははは、全部なんて言わないさ。パンツだけでいいよ、まさかできないなんて言わないよな」
手にかざすのは前にも見せられた写真、茜は震える手で下着に手をかけた。
「…………」
決心がつかず手をかけたまま立ち尽くしていたが、浩平の無言の圧力に諦めたようにするすると引き降ろしていく。
「これでいいんですか?」
どうする気なのかと、手のなかで小さくまとまった布切れを見る。
「あ、貸してくれ」
その言葉に何も言わず茜はそれを手渡した。手から離れたとたん、急に心細さを覚える。無意識にスカートを押さえようとする茜に、受け取った浩平は反対側の手を茜に差し出した。
「せっかく脱いでくれて悪いんだがもう時間がないな、代わりにこれでも穿いていてくれ」
どういうつもりなのか、疑わしげな視線を浩平に向けたままそれを受け取る。手に取った瞬間、茜は小さく悲鳴をあげた。
「いやっ?!」
その下着はデパートで簡単に手に入る普通の水色のショーツだった。普通でないのはその下着が一部湿っていたからだ。濡れている個所は広範囲に渡っていた。茜の悲鳴を耳にした瑞佳が羞恥に顔を赤くさせる。
「さっきまで瑞佳が穿いていたやつだ、朝からバイブを入れていたおかげで凄いことになっているだろう?」
「……これを?」
信じられないような目で浩平とそれとを見比べる。やがてうなだれたまま足を通した。ひんやりとした感覚がふくらはぎを登っていく。
「変態っ……」
太股を通ってスカートの中に納めた茜はぎりっと奥歯を噛み締めた。
「ほれ」
意に介すことなく、今度は茜の下着を瑞佳に放り投げる。瑞佳は茜の下着を頬を赤らめたまま足を通した。
「ははは、下着の取りかえっことは仲がいいな」
浩平だけが愉快そうに笑う。そして時計を確認すると静かに立ちあがった。
「昼休みになったら屋上に来てくれよ」
「分かりました……」
不快感に眉をひそめたまま茜は頷いた。
次の休み時間、茜は瑞佳の制服の袖を掴んだ。無言で首を傾げる瑞佳に構わず、そのまま教室を出ていこうとする。浩平は前の席の七瀬を相手にしていて、ふたりの様子に気がついていない。瑞佳も反抗することもなく後をついていった。
誰もいないところまで引っ張るとようやく袖を離す、そして茜は瑞佳と正面に向かい合った。
「長森さんはどうしてこんなことを許しているんですか?」
そう言うと、わずかな期待を込めて答えを待つ。
「許しているわけじゃないよ」
ぼそっと答える瑞佳の表情はあきらかに嫌悪感に彩られていた。
「だったらなぜっ」
叫びたい気持ちをすんでのことでこらえて、茜が問い詰める。
「わたしにも分からないよ」
「分からないのにですか」
嘘をついているのかいないのか瑞佳は表情ひとつ変えない。さらに神経質な瞳を突き刺したが、瑞佳の強固な壁は破れそうになかった。ただ悲しげに目を伏せると茜の横をすり抜けて去っていった。
「遅いぞ」
屋上では浩平と瑞佳が並んで昼食を取っていた。ふたりをまったく知らない人間が見ても、恋人同士にしか見えない空気を作り出している。そんなところに割って入るのは嫌だったが、当事者が強制したことだ。茜は持たされた弁当箱をぶら下げたまま、少し離れた場所に腰をおろした。
「こっちに来いよ」
それを見て浩平が手招きする。茜はため息をつくと瑞佳とは反対側の浩平の隣に腰をおろした。太股の上に弁当箱を置いてナプキンを解く。中身は茜の体調を気遣ってか、消化によさそうなものが並べられていた。
「ねえ、おいしい?」
「ん? ああ、うまいぜ」
ふたりのやりとりを横目で見ながらぼそぼそと口をつける。
「なんだよ、ずいぶんと詰まらなそうじゃないか」
「当たり前でしょう……」
返した次の瞬間、頭を押さえつけられていた。反射的に逃れようとする茜の顔を、浩平は強引に自分の方に向けさせると唇を塞ぎにかかる。
息苦しさに目を白黒させた茜の口腔に流動物が流れこんでくる。そのついでとばかりに浩平の舌も茜を蹂躙するかのように入りこんできた。なんとか押し返そうとするが、すぐに苦しさに負けて、喉を小さく鳴らさざるを得なかった。
「なっ、なにをっ、するんですかっ」
解放された口の端を拭いながら茜が抗議する。
「うまいか? 瑞佳が作ったんだぞ」
涙目の茜を横目に浩平は箸を取りご飯を摘む。自分の口に放りこんで咀嚼を繰り返すとその箸をそのまま茜に向けた。
「そうだ、そろそろパンツを瑞佳に返してやってくれよ」
「ここで……?」
「茜が望むんなら別に教室でも構わないけどな」
「そんなわけないでしょう……」
一旦弁当箱を脇にどかすと、腰を浮かす。
「見ないでください」
無駄と分かっていても、ついつい口にしてしまう。瑞佳の所有物を浩平に差し出さないとならないことが癪だった。
「んー、茜の匂いはどうかな」
「嗅がないでくださいっ」
「くくっ」
にやけた笑みを張りつけたまま、手渡されたショーツを瑞佳に渡さずに浩平はポケットにしまいこんだ。
「あの……」
手渡してもなんのリアクションもない。
「ん? なんだ?」
視線の意味に気づいてもにやにやと首を捻るばかり。しかたなく茜は視線を瑞佳のほうに向けた。
「私の下着……」
「ふん、瑞佳を見ても無駄だぜ……」
言葉とともに瑞佳のスカートをまくりあげる。小さく声をあげた茜の目に、白い肌と黒い蔭りがまともに目に飛び込んでくる。
「で、では?」
うろたえた目を浩平に向けると、浩平は校庭を指差した。
「ああ、茜が遅いから向こうに放り投げてやったよ、今ごろ知らない誰がお前のパンツを拾って大騒ぎしているんじゃないか」
「そんなっ」
一瞬にして青ざめた顔で、慌てて金網に取りすがる。
「冗談に決まってるだろ」
金網越しに下を覗く茜の頭に浩平の手がなにかを被せてきた。見なくてもそれが自分の下着であることは容易に想像がつく。
「やめてくださいっ」
「おっと」
取ろうとした茜の手が止まる、笑みを浮かべていた浩平の目は茜にそれを許さなかった。
「せっかくだから、昼休みが終わるまでそのままでいてもらおうか」
「浩平……あなたって人は」
「くくくっ、その姿で凄まれてもなあ、滑稽にしか思えないぜ」
そしてにやけた顔を瑞佳に向けた。
「どうだ、瑞佳も被ってみるか?」
「わ、わたしはいいよっ」
慌てて首を振ると、顔を伏せて弁当の残りに箸をつける。浩平は横からエビフライを摘み上げると、
「ふう、ごちそうさん」
と、満足げに息をついた。次に何をされるのか分からず、茜は身体を強張らせる。せめてこの時間が早く終わることだけを願うほかなかった。
「相変わらず遅いな」
話しかけてくる浩平を無視して、無表情に箸を動かし続ける。返事のない茜の横顔をしばらく眺めていた浩平は、やおら手を伸ばした。
「ひっ」
「話しかけているんだから無視しないでくれよ」
無骨な指が抵抗をせせら笑うようにスカートとコンクリートの隙間に潜りこんでいく。思わぬ力が入った茜の箸が弁当箱の底に当たってかつんと音を立てた。
「やめてくださいっ」
我慢できずに茜が叫ぶと、浩平は手を引っ込めてズボンに手をかける。
「手っ取り早く栄養を取れる方法を教えてやろうと思ってな」
茜が訝しげに思う間もなくチャックを引き下ろした。
「なっ」
「しゃぶってくれよ」
ちらと目に入ったそれを追い出そうと慌てて首を振る。おさげが激しく揺れて、かいま見えるその顔はかっと熱くなっていた。
「何考えてるのっ」
「しょうがないなあ……じゃあ、瑞佳でいいか」
「わっ、わたし?」
弁当箱を片付けていた瑞佳が突然の指名に驚いた顔を見せる。が、ちらりと茜の方を見るとうんと頷いた。
「まあ、いきなりやれって言われても無理な話だよな、瑞佳がお手本を見せてやれよ」
「分かったよ」
そんな瑞佳に茜は驚きで目を見開く。どうしてそこまでできるのか、まったく理解できない。
「長森さん……」
しかし現実として、瑞佳は投げ出された足の間にうずくまって顔を近づけると、トランクスから引き出したそれを躊躇いもなく口に含んだ。邪魔にならないように髪を押さえながら頭を前後させて浩平のペニスに奉仕する。
いやらしくすぼめた口元から聞こえる音がいやでも茜の耳に入ってくる。唾液がこぼれるのも厭わずに奉仕するその光景に、しだいに目が離せなくなっていく自分がいた。
「こんなふうにやってくれよ」
快感に顔を歪めながら浩平が足元の瑞佳を指差す。
「いやです」
動揺をおし隠して冷たく拒否する。
「……柚木にお願いしたら喜んでやってくれそうだよな」
「あなたって人はっ」
どうあがいても茜に勝ち目はないのだ。再び茜は弁当箱を乱暴に脇に置いた。
「もういいぞ。茜がその気になってくれたようだからな」
瑞佳は無言で口元を拭うとその場を離れた。代わりに茜がその場所に納まる。
「じゃあ、頼んだぞ」
男の匂いが茜の鼻腔を刺激する。今まで咥えていた瑞佳の唾液でべとべとになっているそれに、茜はためらいがちにほっそりとした指を触れさせた。ひんやりとした感覚に浩平のモノが跳ねる。茜は目をぎゅっとつぶるとそろそろと首を前に傾けていった。
「っつ?」
唇に先が触れたとたん、ぴくんとペニスが跳ねあがり、驚いた茜は口を離してしまう。
「どうした?」
自分を見下ろす浩平の視線以上に瑞佳の視線が怖い。
「むぐっ?」
唇に触れたままでいつまでも動こうとしない茜に、さすがの浩平もじれたように茜の頭を押さえつけ、瑞佳に目配せをした。
瑞佳が頷く。そして後ろから茜にのしかかると、右手を茜の太股の間に突っ込んだ。下着を穿いていない茜の尻は容易く瑞佳の手を秘部まで届かせてしまう。
「やっ、やめ?」
「いいから咥えていろよ」
吐き出そうとする茜の動きを浩平が押さえつける。瑞佳は空いていた左手を茜の制服の下に潜りこませて乳房を目指す。
「まだ痛い?」
突起を摘まれて体がぴくんと反応する。それを見て瑞佳はにんまりと指を動かしていく。目をつぶって耐える茜の壁を緩やかに溶かしていった。
「ふふっ……里村さん濡れてるよ」
やがて花弁のあわいを上下にさすっていた瑞佳が勝ち誇った表情を茜の後ろ頭に向けた。否定しようする言葉は浩平のモノに塞がれてしまっている。
「うわっ、茜の中気持ちいいっ……」
思わず漏れた言葉は瑞佳の心を苛立たせたようだった。
「ひっ?」
次の瞬間、敏感な乳首に爪を立てられた茜がくぐもった悲鳴をあげる。
「あ、ごめんなさい」
そして冷たく謝罪の言葉を口にする瑞佳。そんな瑞佳にさらに冷たい目を向ける浩平。
「……瑞佳、おかしなことはことはするなよ? 噛まれるのだけはいやだからな」
怯えたように一瞬硬直すると、瑞佳は何度も頷いていた。
「それから、もっと動いてくれよ」
そして茜に注文をつける。けれど咥えるだけで精一杯の茜にはどうすることもできない。苦しさに顔を歪める口の端からだらだらと唾がこぼれ、さきほど瑞佳がつけた染みの上に重なっていく。
「うぐっ」
業を煮やしたのか浩平は自分から腰を動かした。逃げようにもがっちりと押さえられた頭は動かせそうにもない。
浩平が腰を押し付けると、押されて瑞佳の指を強く感じてしまう。酸素を求めて荒くなく呼吸、鼻から漏れる空気が浩平の下腹部を緩やかに刺激する。さらに美少女が自分に奉仕している目の前の光景に征服欲までも満たされる。
「そろそろ出すから飲んでくれ」
やがて昂ぶりが頂点に達し、空を見上げた浩平がそう宣言した。一瞬意味の分からなかった茜が表情に疑問符を浮かべるが、さっと顔色を変えてそこから逃れようと必死にもがく。
「んーっ!」
だがそれはさらなる刺激を浩平に与えるだけだった。
「うわっ、出るっ」
小刻みに腰を震わせた瞬間、脈打ちながら口の中に勢いよく放たれる精液。それを絶望的な気分で受けとめる茜。やがて浩平が腰を引くと、すぐに茜は吐き出した。
「飲んでくれって言ったのに」
「けほっ……そんなことできるわけ、ないでしょうに」
苦しげに眉をしかめて、何度もえずいている茜をふたりが見下ろす。どうするのか、瑞佳が目で問いかけた。
「あ〜あ、こりゃおしおきだな」
言葉と裏腹に浩平は楽しげに、ティッシュで萎えたペニスの後始末をするとチャックを引き上げる。
「このままパンツなしで残りの授業を受けてもらうからな」
「そんなっ……」
茜は力なく肩を落とした。