現パロです。
仕事終わりのデートっていいよね…
Short short log -05-
1週間の中で1番清々しい気持ちになれるのはいつか?そう問われれば私は即座に休前日の夜と答えるだろう。まさしく今がその時なのだけど、大好きな彼と美味しいディナーを堪能した後となれば、その開放感は別格だった。
「今日のお店も本当に美味しかったね、特にお肉!」
「ああ、質の良い肉で美味だった」
「選ばなかったメニューも気になるし……また行こうね」
「そうだな」
帰りの車内、運転席のダオスさんがくすりと笑う。SNSで見つけた今回のお店も大当たりだった。美味しいものを食べ慣れているのか、彼を唸らせる味を出せるお店は本当に少ないというのに。上質な食事でお腹が満たされると自然と笑顔が溢れるもの。通りの上も私たちと同じように夜の時間を楽しんでいるらしい人たちがこの時間でも大勢行き交っていて、道路は普段より幾分混み合って見える。進んでは止まる、の繰り返し、それでも彼の運転は恐ろしいほど滑らかで、発進時もブレーキ時も身体がひどく揺れることなんて無い。渋滞では厄介と言われるクラッチ操作とギアチェンジも決しておざなりにせず、いつも私が快適に乗っていられるようにと気遣ってくれる。
「いつも運転してくれてありがとうね」
「……なんだ、急に」
「ん、私、ダオスさんの運転、好きだなぁって」
「……その言葉、毎度聞いている気がするな?」
「ふふ、毎回言ってるかもね」
彼は整った顔を大袈裟に変化させたりなどしない。それでも少しだけ口元を弛ませているのが彼らしい喜びの表現で、可愛いのだ。信号待ち、シフトレバーに置かれた彼の手に触れようと手を伸ばしたら、ふいにその大きな手に上半身ごと引き寄せられる。
「あっ、んっ……」
彼からの唐突なキスには、いつだって胸が大きく鳴ってしまう。驚いて間抜けな顔を晒してないといいんだけれど。
「愛らしいが隣に座っているのが、私も好きでな?」
空気を読んでくれない信号は規則正しく青色に変わる。切なく身体を離す代わりに、シフトレバーの上でふたりの指がそっと絡まり合った。
「今夜は少し走ってから帰るとするか」
道路上の案内標識には"都市環状ハイウェイ・速度無制限区間"の文字。うん、と返事を返せば早速カチカチとウィンカーが車内に心地の良いリズムを響かせる。まばらに明かりが灯るオフィスビル群が次々と車窓を流れ、アクセルが踏み込まれる度にターボエンジンは官能的な重低音を奏でながら車はどんどん加速していく。スピードメーターの針はとうに180km/hを超えていた。
「今夜もまた誰かに挑まれちゃったりして」
「ふ……誰が相手であろうと負けはせぬ」
熱の篭もった青い瞳が真っ直ぐ前を射抜く。刺激的な夜の予感に、また私の胸は一段と高鳴るのだった――
---END---
車の中でちょこちょこイチャイチャするの最高すぎる。