+ Meteor +

このお話はザレイズ世界(ティル・ナ・ノーグ)での物語になります。
ザレイズオリジナルキャラが多数出てくるためプレイ済推奨です。
ザレイズメインストーリー及びテイフェスイベントシナリオのネタバレあり。
夢主のセリフにのみ『♡喘ぎ』が含まれますので
苦手な方はご注意ください…!


**狂おしいほどに、刻まれて**

このティル・ナ・ノーグでも、ダオスさんの居城はどの大陸のどの建物より美しく荘厳で、見るものを圧倒させる。今日のように一段と澄み渡った青空を背景とすれば尚更だ。今日はそんな城の入口で、私はせっせと荷物の積み込み作業を行っていた。城の華やかさとは打って変わって、使用人のように地味な作業だ。

「……この積み荷の量は、またあの者たちの元へ差し入れを届けるのか?
「あら、ダオスさん、鍛錬からお戻りになったのですね」

入口に施された繊細なアーチの下にいつの間にか現れたのは、この城の主たるダオスさんだ。先程まで城内の鍛錬場で日課の術技鍛錬に励んでいたはずだというのに、疲労のひとつも感じさせない立ち振舞いはさすが彼らしい。

「わざわざお前が苦労して届けずとも、あのいつもの鏡精にでも運ばせればよかろうに」
「ふふ、マークさんのことですね。彼も救世軍の皆さんもかなりお忙しいみたいですし、私も散歩ついでみたいなものですから、お気になさらないでくださいな」

このティル・ナ・ノーグに来てから――正確には"一方的に具現化されてから"だが――ダオスさんと私は救世軍という組織に世話になっていた。私たちの意思とは関係なくこの世界の都合によって勝手に創られてしまったこともあり、彼はこんな世界にかける義理など無いと言う。彼の言うことは至極真っ当で理解もできる。けれど彼が戦う本当の目的を知った救世軍の皆は彼の力になると申し出てくれた上、実際にこの世界の世界樹にかかわる事案が発生した時はこまめに情報を提供してくれるのだ。ひとりよりもふたり、10人より100人、味方は多いほうが良いだろう。だから

「ふん、そんなにあの、マークとやらが気になるのか?」

明らかにマークさんを意識した不満そうな表情でそう言われてしまって、私は面食らってしまった。確かにあれから彼らの事情を知っていく中で、情がわかないといえば嘘にはなるけれど……それはあくまで友人とか仲間とか、そういう感情だ。彼ら全員に対してでもあるし、マークさん個人のことだとか、そんなことは考えもしなかったからだ。

「まさか!……もしかしてダオスさん、変なこと想像してません?」

どんな時も故郷の民への想いを忘れない彼はまさに理想の君主でありながら、それでいて誰よりも強くて美しくて……こんな男性、周りの女性が絶対に放っておくわけがない。そんな彼ならそれなりに経験もありそうだし、嫉妬とか、そういう感情とは無縁の人なのかと思っていたけれど、案外そうでもないらしい。恐ろしく整った顔が珍しく不機嫌一色で、けれどそんな姿がいつになく、可愛らしくて愛おしい。……なんて、口にすれば夜が大変なことになるから言えないけれど。

「いつだって、私の一番はダオスさんです。ダオスさん以外の男性に興味なんてひとつもありませんわ」

この世界でも、私の行動原理は何も変わらない。ダオスさんの悲願を達成する、そのために私は動くのだ。

「……そうか」

積み残しの荷物をひょいと荷台へ放り込むダオスさん。それが彼の照れ隠しだというのは、彼と短くない月日を共に過ごせば自然と解るようになった。ほら、形の良い唇の端がほんの少しだけ緩んでいるもの。最後に積む荷物は差し入れの品物の中でも特に重たいものだったのに、軽々と持ち上げる姿はうんと男らしくて、やっぱりきゅんとする。

「ふふ、ダオスさんのお陰で荷物の積み込みが早く終わらせられて助かりました」

私は荷物の積み込み作業で縮こまった身体を伸ばすように、大きく伸びをした。優しい風が頬をなで、遠い頭上には澄んだ青空がどこまでも広がる、アセリアとひとつも変わらない気持ちの良い昼下りだ。

「差し入れを届けてきたらすぐに戻ってきますね」
「ああ、気を付けて行け」
「はい。……ダオスさん、愛していますよ」

不意打ちのキスは彼の滑らかな頬に。アセリアに居た頃は「愛してる」なんてあまりにも恥ずかしくてなかなか口にできなかったけれど、彼が私にとっての一番だということを、今はちゃんと行動でも示しておきたかった。帰ったら、彼をたくさん甘やかしてあげないと。

******

城を出発して街道を進む。まだまだ太陽は天高く日差しはなかなかに鋭いけれど、カラリとした風が吹けば心地の良い涼しさに全身が包まれる。家々の屋根から聴こえる小鳥たちの唄にゆったり耳を傾けていると、ふと手持ちの魔鏡が反応した。

"……俺だ。今日もすまねぇな、。見張りの兵士には話をつけてあるから、いつも通りそのまま正面から入ってくれ"
「わかりました、マークさん」

気を利かせたマークさんからの通信だろうと思ったところ案の定。差し入れの量のこともありいつも数日前には彼に連絡を入れるのだけれど、直前までこうして気に掛けてくれるなんて本当に優秀な鏡精だ。

"一応先にダオス陛下にも通信かけたんだが……やっぱ陛下は出てくれないな"
「ふふ、ダオスさんは人に呼び出されるのに慣れていないのですよ」
"ま、元の世界じゃここの帝国よりも更にデカい国の王様なんだろ?普通なら話をするどころか、近くで顔を見るのさえ俺たち庶民には無理な話だ。なら仕方ねぇよな"

いつもはるばる来させて悪ぃ、待ってると言い残し通信は終わった。ちゃんとダオスさんにも連絡を入れてるらしい辺り、本当にマークさんってありとあらゆるところまで気が利く人だけれど、そのうち心労で倒れてしまわないか少し心配になってしまう。

救世軍の拠点では、連絡通りマークさんが出迎えてくれた。差し入れの品々はちょうど拠点でも不足していたものらしく、喜んでもらえたみたいで私もホッと胸を撫で下ろす。軍の中には浪費の激しい者もいるみたいで、運営には骨が折れるとマークさんは苦笑いしていた。

「あ!じゃない!」
「わわ!様ですようっ!」

そうしてしばらく立ち話をしていると、背後から聞き覚えのある明るい声がふたつ。思わず振り返ると、救世軍とは別拠点のアジトで活動しているイクスとミリーナのふたりが立っていた。ふわふわと浮かぶミリーナの鏡精、カーリャも一緒だ。

「久しぶりね!しばらく顔を見てなかったけど、元気にしてた?」

ミリーナの変わらない眩しい笑顔で、パッと周りの空気に花が咲く。

「ええ、私もダオスさんも変わらず元気にやってるわ。ふたりはどう?」
「俺たちも相変わらずだよ。皆が手伝ってくれてるおかげで帝国の残存兵も見つけやすくなってるしね。でも、俺たちがやらなきゃいけないこともまだまだ沢山あって」

ふたりが主導する、対帝国への壮大な作戦が無事に完了したのはつい最近のことだ。決戦の時にはもちろんダオスさんにも支援要請が来たけれど、彼の希望で私たちふたりは本来の依頼とは異なる全くの別働隊として戦ったっけ。

「ふたりとも頑張ってるみたいだけど無理はしないで。私で力になれることがあれば協力するから、遠慮なく言ってね?」
「ありがとう、。そう言ってもらえると俺たちも助かるよ」
「そうだ、せっかく久しぶりに会えたし少しお茶していきましょう?もちろんイクスも一緒よ?」

トントン拍子に話が進む。そこにマークさんが「それなら空いてる部屋あるから使っていけよ」と促すのでそのままお邪魔することに。折角のお誘いを断るのは心苦しいし、それにこうして皆とおしゃべりできるのは、純粋に……楽しい。ミリーナもイクスも、カーリャもマークさんも皆、私がこの世界に来たからこそ出会えた、素敵な友人だ。

久しぶりの再会に会話もうんと弾む。聞いたところによるとふたりが今日やってきたのは「テイフェスのお土産」をマークさん達に渡すためらしい。

「突然私とイクスに招待状が届いてね、それが"テイフェス"だったの。かなり大掛かりなパーティだって書いてあって」
「俺たちにはやるべきことだらけで、パーティになんて行ってる場合じゃないって断ろうと思ったんだけど、皆に話したら"やっとの休暇"だと思って行ってこいよって背中を押されて……それで参加することにしたんだ」

お茶うけとしてミリーナが出してくれたこのテーブルの上のお菓子が、そのお土産のひとつだという。見ればアセリアにもある、グミによく似たお菓子だ。カーリャが早速ひと箱平らげていて、相変わらずの食欲につい笑みが溢れる。それから時折マークさんも加わって、イクスの姿が印刷されたグッズをミリーナが種類ごとにまとめ買いした話に、パーティ会場の前で撮影したという写真まで見せてもらった。

「わぁ、ふたりともすごく楽しそうで羨ましい!私もこんな写真を撮ってみたいわね」

満面の笑みのイクスとミリーナの写真は、ふたりが本当にパーティを楽しんできたということがありありと伝わってくる。私もいつか、こんな写真を彼と撮れるだろうか。

「……ダオス陛下ってそもそも写真撮らせてくれるのか?」
がお願いすれば案外応じてくれたりして……」

一方でダオスさんの写真について論じる男性陣。こうして楽しい時間はどんどん過ぎていく。途中マークさんが部下の兵に呼び出されて退室しても、私たちのおしゃべりは一向に止まる気配はなかった。

「それでね、イクスが……」

そしてミリーナがまたひとつ、パーティでのイクスの話を始めようとした時だった。

、迎えが来てるぞ」

そう言って部屋に入るマークさんの後ろにいたのは、何とダオスさんだった。

「ダオスさんっ!?」
「……いつまで経っても帰って来ぬ故、訪ねてみたが」

慌てて外を見ると、空はすっかり茜色。久しぶりのおしゃべりについ夢中で、時間のことなど意識の彼方へ飛んでいってしまっていた。

「わわ、ごめんなさい!ちょっとだけのつもりが……」
「……ともかく、お前が無事ならそれで良い」

ダオスさんが怒っている雰囲気ではないのが、せめてもの救いか。今のところ……ではあるけれど。

「ははっ、陛下を迎えに来させる女か。やるな!」
「もう、マークさんってば!」

笑うマークさんを横目に急いで後片付けと帰り支度を済ませる。長く引き止めたと謝るミリーナとイクスにこちらも謝罪して、また誘ってほしいとお願いした。この件は後でちゃんとフォローしなきゃ。こうして、ダオスさんと私はようやく帰路についたのだった。

******

城に着く頃にはすっかり陽も沈み、太陽に代わって今度は眩い星たちが空をきらびやかに飾っていた。大窓から注ぐ月の光と、穏やかなルームランプの明かりでほんのり優しく照らされた部屋。いつものように着替えをしようとクローゼットに手を伸ばした、その時。

「……やはり私以外の男の前で油を売っていたか、

背後から腕を取られ、ぐるりと回る視界。

「ちょっ、ダオスさんっ?」

そのまま部屋の壁を背に両手を頭上で束ねられ、鋭い青の視線が私を貫く。彼は凄腕の体術使いだ。こうして留められてしまえば、到底私なんかじゃ抜け出せない。

「どこでそのような誘惑の術を覚えてきたのだ?この私をここまで煽るとは、いい度胸だ」
「待って、帰りが遅くなったのは本当にごめんなさいっ……でもそんなつもりは……!」

静かな怒気を纏ったような低い声に圧倒され、私の身体は否応なく縮こまる。今回の件は完全に私の非だ。そこは正直に謝るしかない。でもあの場には同じ女性であるミリーナもいたし、私が彼以外の男性に対して何かしようなんてこれっぽっちも考えたことがないのは本当だ。

「本当に、本当に……私は、ダオスさん以外の男性なんて……」

何とかそれだけは彼に理解してほしいのに、うまく言葉が紡げなくて、じんと目頭まで熱くなってくる。

「……ふっ、はははっ」
「ダオスさん……?」 
「……ふふ、

必死に謝り倒していたら、彼が急に笑い出したものだからまるで状況が理解できない。いい歳して今にも泣き出しそうな私の姿があまりにも情けなくて、笑いさえ込み上げてくるのだろうかとますます落ち込んだけれど、そんな私の頬にふと添えられた彼の手。それはいつもの優しくて男らしい、彼の温かい手だった。

「別に私は、お前に対して怒りなど感じてはおらぬ」
「えっ……?」

先程とは打って変わって穏やかな声色にのせられた彼の予想外の言葉に、私の思考は全く追いつかない。

「友と語らう時間は大切にするといい」

輪郭に添えられた手に導かれるまま顔を上げると、鋭く冷たかった眼差しも消え去っていた。いつもの優しい彼の、温もりを感じる青い瞳が戻ってきたことに内心安堵する。

「えっと、それは、あのっ……」

つまりこれは、許してくれた、という解釈で良いのだろうか?それはそれで、私にとっては最もありがたい展開ではある。良かった、どうにか一件落着だ。もう時間を忘れておしゃべりなんてするんじゃないぞ自分――そんな愚かな私の楽観的な考えは、しかしこの次の彼の言葉によって、いとも容易く砕かれるのであった。

「だが、どうやらお前は自分が誰のものか……まだ認識が足りぬようだ。それが理解できるまで、今から私がお前を、髄まで躾け直してやる――」

----------

「ちょっと、まっ……ダオスさ、んッ」

されるがままに寝台へと放られ、ずしと彼が覆い被さる。ここから逃がす気など更々ないようで、私の質素な着衣も彼の手によって容赦なく剥かれてゆく。

「待たぬ。そもそも私を煽ったお前が悪い」
「ううっ、そんなっ」

役目を果たせなくなった布が1枚、また1枚と乾いた音を立てて寝台の外に放られていった。それは胸当てであっても例外ではなく、守るものが失われ容易く剥き出しになった私の乳房を、青い瞳は満足そうに見下ろしていた。

「……ほう、私はまだ何もしていないのだが……"ここ"は目立ちたがりなようだ」
「やっ♡♡あぅッ♡♡♡」

彼の長い指が両胸の頂きを捏ねると、ピリピリとした気持ち良さに思わず背中が浮いてしまう。身に付けていたものを脱がされただけでも、これから訪れるであろう快楽の大波を期待して疼いてしまうくらいには、すっかり私の身体は彼を教え込まれてしまっていたのだった。

「ひぁ♡♡♡」
「相手が男とあらば、誰でもこうして……誘うのか?」

一際強く爪を立てられて落とされる雷撃のような快感。

「そんなことっ、しなッ……♡♡」
「……まあ良い。、お前は永遠に、この私から逃げられぬと」

乳房を堪能した彼の大きな手に輪郭を捕らえられて、否応なく鋭い瞳に射抜かれる。捕まえたばかりの獲物に今にも食らいつかんとする、猛々しい雄の色を纏った瞳。

「この身にしかと……今から刻んでやらねばな」

唇を奪われて、そのまま彼の熱い舌にくまなく口内を弄られる。舌を絡めるのも一度や二度じゃ満足できないらしく、彼にされるがまま、角度を変えては何度も何度も熱が絡む。こんなに激しいキスとは裏腹に、空いたもう片方の手は繰り返し優しく私の頭を撫ぜ、するすると髪を梳いた。ダオスさんのキスはいつもこうだ。一方的に捕食されるようで、けれどとろとろとこの上なく甘やかされるような心地の良い感覚に、すっかり私は身も心も囚われてしまっていた。

切なく離れた彼の唇が、今度は首筋を、浮き出た鎖骨を、肩を、胸を、そして腰の線をゆっくりとなぞる。

「ぁ、そこ、服で隠せないのにッ……!♡」
「ふ、隠して他の男の気を引くつもりか?ならば尚更、見えるところに私の痕を残してやるまでだ」

ダオスさんが辿った跡に残る、幾つもの紅い花弁。私が服で隠そうとすればするほど、彼はムキになって隠せない場所にわざと痕を残すのだ。以前うっかりヨウ・ビクエさんに首筋の痕を見られてしまったことがあるのだけれど「あら……あの彼、意外と独占欲強いのね♪」なんて意味深な笑みを向けられて……絶対にバレた。救世軍の中ではすっかり私とダオスさんの仲が知れ渡っていることに加えて、よりによって愛を交わした証まで見られてしまうなんてひどく恥ずかしいのに、でもどこか……嬉しいのだ。私は彼のものだという証拠が身体中に刻まれていると思うと、それだけで私の全身が甘く疼いてしまっているのを、きっと彼はとうに見透かしているに違いない。

「ほう、お前の"ここ"は……もう我慢ができぬと言っておる」
「あ♡♡そこはッ……!♡♡♡」
「はて、元の布地は何色だったか?」
「やッ、言わないでっ♡♡」

時間をかけてゆるゆると腰に到達した彼が、私の最も秘められた場所を下穿き越しに舌で撫で上げる。快感が待ち切れなくて湿度が最高潮に達しているそこを、敢えて直接的な刺激は与えずに布越しに焦らす彼は本当に意地悪だ。

「この奇妙な突起は、こうして触れると大きく硬くなるようだ」
「あっ♡♡あっ♡♡それだめッ♡♡」

快楽のためだけに存在するという核は、布越しの鈍い快感さえ余すことなく拾い上げては私の胎を容赦なく疼かせる。けれど布を隔てているが故に決定的な刺激とはなりえていないことも当然彼は理解していて、舌先で緩急をつけ私を煽る。

「あっ、ぁッ……!♡♡」

両の太腿を持ち上げて押さえつけられ、布1枚越しとはいえ恥ずかしいところがぱっくりと丸見えの姿勢をとらされて、その羞恥心で今にも火を吹き出しそうなくらいに顔が熱い。彼の熱い舌が脚の付け根を執拗に這い回り、あと少しのもどかしさに腰が切なく震えてしまう。

「ふふ、何を欲しがっているのだろうな?」
「わかってるくせにっ、いじわるッ……♡♡」

ダオスさんの長い指が、下穿きを留める腰紐をゆっくりと引く。いよいよ隠すこともできず露わになった私の秘められた場所を彼は容赦なく指で広げ、剥き上げられた無防備な核を淡色の唇で挟んだ。

「あ゛♡♡やぁッ♡♡だめぇ!!♡♡♡」

ジュッ、ジュッといやらしい水音を立ててリズミカルに吸い上げられると、脳天を貫くような激しい快感で背中が何度も跳ねる。無意識のうちに足先が力んで丸まり、絶頂という快楽の大波に全身が飲み込まれていく。

「ひゃ、ぁッ……♡♡」
「欲しがっておきながら駄目だと言うのは我儘なものだ。仕置きも必要か」
「そんなッ……♡♡」

下腹部に走る甘い痺れが、絶頂の余韻となって尚も私を責め立てる。私の中は極限の湿り気を帯び、最高の快感が待ち切れなくて溢れたはしたない涎が、とろりと伝い落ちる感覚がした。

「ふふ、そろそろこの欲しがりな口をきつく躾けてやらねばな?」

ダオスさんがいつもの慣れた手付きで下半身を探る。効果音をつけるならまさしく、ぶるん、と取り出された彼自身は既に赤黒く、痛々しいほどに硬く勃ち上がっていた。この恐ろしい剣はもう数え切れないほど私を貫いたというのに、これから私はまた、彼が満たされるまであの剣の餌食となるのだ。想像しただけでもう胎がきゅうきゅうと疼いて止まらない。

寝台の横に置かれたサイドテーブルの引き出しから避妊具を取り出そうとする彼の手を取り、そのままでいいと私のお腹に乗せる。どう見ても彼だって限界間近だし、躾けるだとかお仕置きだとか口では言っていても、いつも私の身体を最優先にして気遣ってくれる。そういう優しいところも、大好き。

「……痛みがあったらすぐに言え」

日々の鍛錬でよく鍛えられた彼の腕が、再び私の太ももをぐいと押さえつける。そしてもう十分すぎるくらい彼を受け入れる準備が整ったそこへ、先端をゆっくりと潜らせていった。

「はぁっ……あっつい……♡♡♡」
「ッ……!」

灼熱の塊が私の中を焼き尽くして進む。ひとつになった彼と私の、ぴったりと重なり合った粘膜と粘膜が擦れる度に、至福の快感が私の身体を駆け巡った。どくり、どくりと力強く波打つ彼の血の巡りさえ感じられるほどに、深く繋がり合える幸せ。ダオスさんも感じてくれていたら……嬉しい。

「ひっ♡♡あ♡♡そこっ♡♡♡」
「……"ここ"が好くなるように拓いてやったのは私だったな?」
「ひゃぁ♡♡あぃっ♡♡♡」

彼の怒張の凛々しいくびれが、私の中にあるひとつ目の"イイトコロ"を的確に擦り上げる。確かに彼と夜を共にするまで、こんなに気持ちよくなれる場所が自分の中にあるなんて知らなかった。彼と肌を重ねる度に、私の身体は彼によってどんどん淫らに育てられてしまったようだ。

「もう私以外の男では……お前は満たされぬだろうなあ?」
「ぅ♡♡あ♡♡だめっ♡♡イクッ……♡♡♡」

ダオスさんの言う通り、もはや私の身体は彼以外の男性ではきっと満足できなくなってしまっただろう。腰を鷲掴みにされ、とんとんとん、と執拗な快楽責めが私を襲う。終わりなく与えられる動物的快楽に、頭の中はもう真っ白だった。中の肉壁が一層締まり、彼の導くまま、私は再び呆気なく絶頂を迎えてしまうのだった。

「その蕩けた顔も愛らしいな、
「んッ……♡♡♡」

下腹が繋がり合ったまま、唇まで奪われて、全身で彼とひとつになる。ひとつになって、もう、このまま溶けてしまいそうな気分だ。ダオスさんの広くて筋肉質な、男らしい背中に両腕を回して抱き締めると肌に伝わる熱もうんと色っぽくて、それもまた格好良い。そうして何度も何度もキスをして、いよいよ最高潮を迎えようとしていた、その時だった。

「……?ダオスさんの魔鏡、呼び出しの反応、してますよ?」

私の魔鏡とペアになるようサイドテーブルに置かれた彼の魔鏡が、規則的な光の点滅を繰り返している。これは魔鏡通信の呼び出しを意味していた。

「知らぬ。この私を一方的に呼び出すなど、気に入らん」
「ふふっ、ダオスさんらしいです」

健気に光る魔鏡などまるで視界にも入っていないかのように、彼は再び私の唇を夢中で食む。魔鏡から溢れる光を反射して、彼の華やかに波打つ金の髪がキラキラと輝いてとても綺麗だ。そうしているうちに、魔鏡の光は静かに消えていったが。

「……あら?今度は私の魔鏡が光ってますね」

彼の魔鏡が沈黙してすぐ、今度は私の魔鏡が同様に光り始めた。こんな呼び出し方をする者などひとりしかいない。呼び出し元の人物が抱える苦労に思いを馳せ、私は心の中で労いの言葉をかけた。当然今は通信には応答できないし、後ほどこちらから掛け直す予定だったのだけれど。

「……なんだ、"私の"に何か用か?」
「ダオスさんッ……!?」

何と、彼が私の魔鏡から通信に応答したのである。

"……?あれ、の魔鏡を呼び出したはずなんだがな、まぁ陛下なら一緒でもおかしくはねぇか"

魔鏡から聞こえてきた声は案の定、マークさん。

「……鏡精か、用件は何だ」
"ああ、今日届けてくれた陛下との差し入れなんだが、フィルが改めて自分からも礼を言いたいらしくてな、それで掛けさせてもらったのさ、なぁフィル?"
"……ダオス陛下にさん、お久しぶりです。本当はちゃんとお会いしてお礼を伝えるべきなのでしょうが……魔鏡通信で申し訳ないです"

マークさんの傍から聞こえる声は、彼を生み出した鏡士であるフィリップさんのもの。救世軍を率いる真のリーダーなのだが、故に多忙で滅多に顔を合わせることもできず、最後にお会いしたのはどれくらい前だったか、記憶がおぼつかない。

「ふん、礼など要らぬ。……用件がそれだけならば切る」
"待ってくれよ陛下。伝えたいことはもう一つあるんだ。今度うちの拠点で各大陸の調査報告会を開くんだが、もしかしたら陛下の役に立てる情報が出るかもしれねぇ。良かったらと一緒にまた来てくれるとありがたいと思ってな"

ダオスさんを待たせないようにか、端的に用件を伝えてくるマークさん。調査報告会……絶対に情報が得られるという保証はないけれど、どんな些細なことでも聞き逃すことはしたくない。私は可能なら是非とも参加したいけれど、果たして彼は同行してくれるだろうか?

「……、参加の可否はお前に任せる」
「えっ?私が決めていいんですか?」

てっきりいつものように不参加で突き返すのかと思いきや、急に選択権を私に振るうのだから驚いた。でも、そうとなれば返事は決まっている。

「もちろん参加させてください!どんな小さな情報でも、もらえたら助かりますか、らぁッ!?♡♡」

返答するタイミングで、胎に浴びせられる容赦ない快感。子宮口のすぐ傍にある、彼に拓かれた私のもうひとつの"イイトコロ"。会話に気を取られていた私は、ダオスさんが密かに私の腰を掴み直していたことになど全く気付けなかったのだ。焦って彼を見やれば、してやったりと言わんばかりに口の端を吊り上げて、もう一度腰を打ち付けられる。

"……?大丈夫か?"
「だっ、大丈夫ですッ!♡♡何でもありま、せ、んんッ!♡♡♡」

立て続けに与えられる甘い一撃。ダオスさんは私が他の男性と会話している時を狙って、わざと的確に弱点を突き上げてきたのだ。まるでマークさんやフィルさんに見せつけるように、私がダオスさんのものだと彼らに知らしめるように。淫らな声を聞かれたくなくて自らの手で口を塞げば、彼はそれが面白くないらしく、腕を掴まれ口を閉じることさえ許してはもらえない。

"、どっか具合悪ぃんじゃ"

私の様子を訝しんで声をかける気配り上手なマークさんとは裏腹に、私はと言えばダオスさんによって強制的に与えられる猛烈な快感に背を跳ねさせ、ひたすらに全身でその悦びを受け止めることしかできなかった。もう数え切れないほど彼に愛され尽くした私の心身は、どんな時でも彼の注ぐ快楽をただ従順に受け入れるように、すっかり作り替えられてしまっていた。マークさんもフィルさんも大人の男性だ、一度でも声が漏れれば、私が今まさに彼に身体を暴かれている最中だとあっという間に知られてしまうだろう。でも、そんな背徳感さえも……私の気持ちをますます高揚させる。

"えっと、マーク、さんは大丈夫だ。それより僕たちが伝えなきゃならないことはもう伝えられたかな?あまり長くふたりを拘束するのも申し訳ないからね"

マークさんの言葉を遮るように、横からフィルさんの声が差し込まれる。ふたりには申し訳ないけれど、早く魔鏡通信を切ってほしい――自分勝手にそう願ってしまうくらいには、私の脳髄は完全に彼に注がれた快楽に支配されてしまっていた。刻一刻と思考までもがどんどんと生物的本能に塗りつぶされていく。通信さえ終われば、私はダオスさんの導くまま淫らな欲に堕ちてしまえる……。

"……?ああ、そうだな。さっきの報告会の件は詳しい日時が決まったらまた連絡する。今日は陛下もも本当にありがとうな。じゃあこれで失礼させてもらうぜ"
「報告会のこと、よろしくッ……お願いします、ねっ……♡♡♡」

飛びそうな意識を何とか押し留めて、魔鏡の光が消えるのを見届ける。その間も、彼は執拗に私を、何度も何度も貫いた。

「ククッ、あのフィリップという男……どうやら勘付いたようだ」

限界まで張り詰めた彼の怒張が私の中を目一杯擦り、甘い摩擦に全身の肌がざわめき立つ。早く、早く、彼と一緒に達してしまいたい。

「あ゛♡♡ダオスさッ♡♡もっ♡♡あれだめッ……恥ずかしすぎ♡♡ま、すッ♡♡♡」
「そう言う割にはいつになく中が締まっておったがな?これであの者らにも良き牽制になったか」

ぎゅうっと抱き締められて「……お前は私のものなのだからな」なんて耳元で囁かれたら、もう恥ずかしささえどうでもよくなってくる。ああ、そうだ。私は永遠にダオスさんのものだ。この腕に捕らわれてしまったら最後、他の男性になんて、これっぽっちも興味を抱けなくさせられる。それくらい強く、深く、徹底的に愛されて……なんて私は幸せ者なのだろう。

……私もじきに限界だッ……」
「んっ……♡♡一緒にイく……♡♡♡」

再開される律動。頑丈な寝台がギシギシと悲鳴をあげる。今にも破裂しそうなくらいに硬直した彼の先端が私の胎を繰り返し穿ち、ぴったりと密着した粘膜から生まれる快感の波が私の全身を飲み込むように駆け巡った。身体の全てで彼を感じたいから、彼の身体をもう一度、思い切り抱き締める。普段は汗なんてちっともかかないくせに、こんな時だけ汗混じりの色っぽい雄の香りをうんと漂わせて……そんなところも愛おしい。

「ッ……!」

頭の中が真っ白に塗りつぶされてゆく。雌としての本能が彼を喰らうように搾り上げ、中の彼はついに観念したようにその身を震わせた。そしてどろどろと甘い熱が私の体内に広がっていくのを感じながら、私たちは共に悦びの頂点へと達したのだった。

----------

眩い月は、相変わらず大窓から静かに私たちを見下ろしている。事が終わっても何だか離れがたく、こうして寝台の上で肌を触れ合わせて、一体どれくらいの時間が経過したのだろうか。

「ん……ダオスさん」

ごろんと横向きになって、彼の長い腕と脚に身体は絡め取られている。まるで彼の抱き枕にでもされてしまったようだ。肌に伝わる彼の熱がとても、心地良い。

「……なんだ、
「心から愛しています。これまでも、これからも、私はずっと……ダオスさんのものですよ」

ダオスさんは喉をククッと鳴らして笑った。

「その言葉、反故にすればどうなるか……わかっておろうな?」
「もちろんです。カーラーンの神様に誓って、お約束しますわ」

決して反故になどするものか。誓いを込めて彼の白くきめ細やかな額と頬にキスを落とすと、私を抱き締める力が少しだけ強くなった。彼は照れ隠しなのか何も言わないけれど、それだけで十分、喜んでくれていることがわかる。

「そうだ!実は今日のお茶会で、ミリーナがイクスと撮った写真を見せてもらったんですけれど」

そんなときふと、あることを私は思い付いた。昼間、ミリーナが見せてくれたあの写真だ。あんな写真を、私も彼と撮れたら……きっとかけがえのない思い出になる。

「写真?」
「はい、ティル・ナ・ノーグなら見たものをそのまま写し出せる装置がありますから、あれで私たちふたりの写真が撮れたら……嬉しいなって……」

普段の彼からしてみれば、相当に無茶なお願いではある。嫌だと言われれば大人しく引き下がるつもりだったけれど。

「ふふ、お前の望みとあらば仕方あるまい」

彼は人形のように整った顔をかすかに緩ませて、そう快諾してくれたのだった。それどころか「世界樹の前なら良い風景で撮れるか」なんて呟くものだから、ノリ気なのがあまりにも意外で可愛くて、つい私の顔まで緩んでしまう。でも、それは彼にも他では得難い利点があるためで。

「お前と私の写る写真だ、お前が私のものだという良い証拠にもなる故、な……?」


---END---


---END---


Good!(お気に召されたら是非…!)

Page Top

yVoC[UNLIMITȂ1~] ECirŃ|C Yahoo yV LINEf[^[Ōz500~`I


z[y[W ̃NWbgJ[h COiq 萔O~ył񂫁z COsیI COze