+ Meteor +



**旅の恥はかき捨て?**

「ダオスさん、ご用意ができましたから、そろそろお休みになってくださいな」

今夜はこのオアシスで野宿だ。程よく焚き火の温もりに包まれる位置にふたり分の簡易な寝床を準備して、明日の帰路に備えることにした。砂漠らしいさらりと乾いた砂地の上に布を敷き毛布をかけただけという、王様の寝床にしてはあまりにも貧相な寝床。けれどダオスさんは私に対して文句ひとつ言うこともない。

、今宵は少し冷える故、毛布はお前が使うがよい。お前に風邪をひかせるわけにはゆかぬ」
「私は日除けのローブがありますから大丈夫です。ダオスさんにこそお風邪をひかせてしまう訳にはいきませんから、毛布を使ってくださいな」

そう返すとダオスさんは何も答えず、しばしの間毛布をじっと見つめていた。元はと言えば私が旅立ちの際、うっかり毛布を1枚詰め忘れてしまったのが原因なのだ。砂漠では昼夜の寒暖差が激しく、旅をするなら毛布は必需品だと言うのに……自分の間抜けさに自身で呆れてしまう。とはいえ幸いにもこの旅の間は天候もよく、眠れないほど寒い夜は今まで経験せずに済んだ。だから私は旅の間毛布をずっとダオスさんに譲っていたのだけれど、確かに今夜は少し寒い、かも。ローブをしっかり全身に巻いて寝よう。

「明日は日の出と共に出発しましょうね。そうすれば気温が低いうちに砂漠を抜けられるでしょうし」

そう声を掛けて、私は自分で用意した寝床にごろんと身体を転がした。満天の星空がちらちらと輝いて私たちをじっと見下ろしている。星空は場所によって輝きの密集度が異なっているけれど、この到底数え切れないほどの無数の星々の中に、ダオスさんの故郷もあるのだろうか?何を口にするわけでもなくそんなことを無言でぼうっと考えていたら、急に隣からゴソゴソと布の擦れる音がして、次の瞬間私の身体は暖かな毛布にふわりと包まれた。

「毛布が1枚しか無いのなら、ふたりで入れば良かろう?」
「……それは、嬉しいんですが……ダオスさんは背がお高いから、私が入ると大きさが足りないでしょう?」
「その時は……こうする」

突然、毛布の下で彼の長い手足が私の身体をギュッと絡め取った。まるで抱き枕になったかように彼に優しく抱き締められて、衣服越しでも彼の身体のぬくもりがじんわりと伝わってくる。彼の纏う異国情緒溢れる豪奢な装いから匂い立つ麝香の妖艶な香りが、私を誘惑するように鼻腔をくすぐった。

「……手先が冷たくなっている。私に遠慮などするからだ」

両手が彼の大きな手の中に包まれて、冷えて鈍感になっていた指先の感覚がゆっくりと取り戻されていく。白くて長い指、覆う肌も滑らかなのに、描かれる線はゴツゴツと骨張っていて厚みもある。美しくありながら、同時に強い男らしさを感じさせる彼の手。触れる度に惚れ直してしまう、私の大好きな手。

「んッ……!」
「耳を温めると暖を感じやすいと聞くが……どうだ?」

後ろから抱き締められたまま、突然耳たぶをちゅるりと舐められてしまったものだから思わず背中がビクリと跳ねてしまった。驚いて彼の顔を見やると楽しそうにクスクスと笑っている……間違いない、これはわかっていてやっている顔だ。

「あぅ、もうっ……びっくりしました……」
「耳も酷く冷えているな。もう少し暖めてやろうか」
「ちょっと、待っ、ゃんッ!」

続け様に耳たぶの縁を熱い舌でなぞられて、柔らかな部分はかぷりと甘噛みされる。温かい吐息がかかって、くすぐるような愛撫に否応なく心臓の鼓動はドキドキと早まっていく。おかげでさっそく身体は温まってきたけれど……。

「外でも甘い声をあげるのだな?誰かが見ているかもわからぬというのに……それとも、見せつけるのが趣味か?」
「ちっ、違います……!」
「ほう?ならば……」

まるで私を試すようにダオスさんは口元に三日月を浮かべて、私の指先を温めていた手を、待ってましたと言わんばかりに私の身体を覆っていたローブの中に入り込ませた。そこから迷うことなく胸当ての中へと侵入してきて、むにゅっと力を加えられ形の変わった乳房の先端には、既に硬く膨れ上がって存在を主張する小さな豆状の突起がふたつ。

「胸の先がこうも硬くなっているのは可笑しな話だ」
「それはッ……ぁんっ……!」

これまで散々彼に触れられる悦びを教え込まれてきたのだ。私の理性などとうの昔に彼に掌握されているから、従順に彼を求める身体を抑え込むことなど最早できやしない。からかうように尖端をキュッと摘まれると、乳房全体への穏やかな気持ち良さから一転、電撃を流されたような強い快感に思わず背中がしなる。しかしそれは一瞬で、またしばらく、今度は乳首の周りを焦らすようにくるくると指先で弄ばれる。いつまたあの甘い快感を注いでもらえるのかと……彼に躾けられた脳も身体も、気付けばそればかりに囚われてしまうのだ。

「徐々に身体の熱が増している。もし下衆な男がこの場を覗いていたら……恐らくお前はその男の脳裏で一晩中食い物にされるだろうな」
「そん、なッ……」

胸の柔らかさとその頂に満足したらしいダオスさんの両腕に優しく、けれど起き上がることはできない程の力で両肩を掴まれて、身体が布を敷いた砂地面に縫い付けられる。静かに揺れる水面に反射した月と星々の光が彼の瞳に幾重にも差し込んで、その眼差しはいつになくうんと色っぽく感じられた。

「だが"本物の"お前は私だけのものだ。そうだろう?

頬の輪郭を確かめるようになぞられながら、次の瞬間には唇に熱が落とされていた。顎をくいと上げられたことで生じた隙間から舌を挿れられて、私の口中でふたつは器用に絡まり合う。互いを激しく求め合ったかと思えば、焦らすように離れて、けれど淋しくなってまたひとつになる。そんなことをしばらく続けていたらふと、ぽちゃん、と音を奏でてオアシスの水面に一滴の夜露が垂れた。

「やだっ、本当に誰かいたら……」
「今更やめるのか?私は構わぬが……」

ニヤリと口角を吊り上げたダオスさんが、乱れたローブの隙間から露わになっていた私の無防備な太ももをスッと撫で上げた。砂漠の風で乾いた肌は早くも快楽の大波を予感して、ゾクゾクと私の芯を容赦なく震わせる。そしてそのまま彼の手は何物にも遮られることなく、私の中へと繋がる割れ目を覆う小さな布地の上をゆっくりと、時間をかけて這い回った。

「"ここ"がこの様子では、お前にはさぞ辛かろうな?」
「待って、だめッ、そこはっ……ぁッ!」

普段よりいつになく湿度を感じるそこに、薄布を隔てたもどかしい刺激が止まることなく与えられる。いつもの城の中とは違う、もしかすると誰かに見られてしまうかもしれない野外という環境。平常心なら決してこんなことにはならないはずなのに……彼の丁寧で優しくて、そして愛情たっぷりの愛撫にかかってしまえば、私の本能を覆い隠す理性なんて1枚、また1枚といとも簡単に剥かれてしまうのだ。

「ふふっ、こうもいつになく蜜が溢れてくるなら……魔物共の狩りなどせずとも、私とお前で仮装でもして、怪しげな夜伽の見世物小屋で容易く小銭を稼げたかもしらぬな?」
「そんなことッ、できませんっ……!」
「不可能な話とも思えぬがな?現にこのような開けた場所であられも無い姿を晒して悦んでいるというのに」

くくっとあくまで上品に嗤いながらも、布地による防衛線を彼は簡単に突破してきた。内側からとめどなく溢れ出ている私の欲望をその指先に纏わせて、充血しふっくら柔らかくなった秘裂が前後に何度もなぞられて、執拗に焦らされ続ける。

「題目は……そうだな、"変態姫の公開羞恥調教"というのはどうだ?」
「……変態ッ……」

変態と言われて思わず顔面に熱が集まる。そもそもこんな星空の下で堂々と誘ってきた変態はダオスさんの方じゃないか、なんて反論のひとつでもしたいところだったけれど、大事なところをはしたなくびっしょりと濡らしてしまっている私が言ったところで説得力など皆無に等しいだろう。

「私、変態っ、なんか、じゃ……あぅッ、ぁんっ!」

とはいえ「はい、そうです」とも流石に受け入れたくなくてささやかな抵抗を試みるものの、そんな思いも割れ目の中で快楽を待ち望みジンジンと疼きを増している核を優しく、けれど容赦なく捻られてしまえば一撃でへし折られてしまうのだ。たくさんの美しい星たちが見下ろす中、私は情けなく腰をがくがくと跳ねさせて、彼の注ぐ快感に耐えるしかなかった。

「否定する割には、今宵のお前はすこぶる敏感に見えるがな?ふふ……そんな姿も愛らしいな、
「うう、イジメないでくださいっ……」

変態と言われ、否定しようにも身体は正反対に彼の与える快楽を享受し悦びに打ち震えているのだ。あまりの恥ずかしさに今にも火を噴き出しそうなくらいに熱くなった顔を見られたくなくて必死に背けたけれど、彼はそんな私の額に、頬に、輪郭に何度も甘いキスを落としてくれる。ああ、私はもう完全に……彼に堕ちてしまっているのだと思う。

「中に指を挿れるとよくわかるな。羞恥心を刺激される度にお前は私を幾度となく締め付ける……」

彼の指が私の中へゆっくりと潜り込んでいく。オアシスの水面が風によって波立つと、岸辺に当たって水音を奏でる。同じ水音だというのに、私のそこから奏でられる、くちゅ、という音は酷く淫らで、オアシスのような清らかさなど何ひとつ感じられなかった。入り口からしばらく進んだところにある、気持ちの良いところに指先が到達すると、彼は指の腹を使って優しく、丹念にそこを責めてくる。

「んっ……んんッ……!」

広大な砂漠の中の小さなオアシスでは、耳にする音といえば風の音と、その風によって椰子の葉が擦れる音くらいだ。そんな自然の中で人間の、しかも甘ったるい声ともなればうんと遠くまで響いてしまいそうな気がしてしまって、私は口に手を押し当てて恥ずかしい声が漏れるのを必死で抑え込んだ。ただでさえ日頃から彼にとことん解され、小さな刺激も大きな快感として享受できる身体に作り変えられてしまっているというのに、野外という環境のせいで私はもうどうにかなってしまいそうだった。

「ん、んっ!ンンンッ……!」
「口を塞いでいては苦しかろう?腕は私が掴んでいてやろう」
「ぁッ、だめっ……声が、聞こえちゃうっ……!」
「むしろ私は聞かせてやりたいくらいだな」

追い打ちをかけるように、いやらしい音を伴って私の中で彼の指が蠢く。それに合わせて入り口で先程与えられた快感の余韻に浸り痺れていた核をくりくりと擦られれば、強烈な同時攻撃に頭の中でバチバチと何度も火花が弾け飛ぶ。

「ひっ、あぁッ、だめっ、イッちゃ、うッ……!」

打ち上げられた魚のように背中が激しく跳ねる。快楽の頂点はもう目と鼻の先……のはずだった。刹那、彼の指は静止し私の全身を駆け巡る快感は突如として波立つのを止めてしまい、あと少しのところで最高の快楽を享受するはずだった身体は切なく小刻みに震えていた。

「あぁっ……そん、なッ……!」
「ふふ……どのような場所でも私をねだる姿が愛おしいな、。私がほしいか?」

キュッと締まった形の良い唇の先が私の耳たぶに触れるか触れないかの絶妙な距離から、彼は私の大好きな甘く低い声でねっとりと語りかける。悪魔のような意地悪な問いかけを。

「ほしい……ですっ……ダオスさんの……全部ッ……!」

絶頂を寸前で断ち切られた脳はもはや彼をもらうことしか考えられなくて、私は夢中でこくりこくりと頭を縦に振るった。

「そうか。では、自分で取り出し自ら飲み込ませて見せよ」

私を覆っていた彼はそう言って、どんと胡座を掻いて布の上に座った。そしてぐったりと仰向けになっていた私の背中に腕を差し込んで優しく上体をおこしてくれた。

「私が……自分で……」

彼の言葉を口に出せば何をどうすればいいのか、痺れた頭でもゆっくりと理解ができてくる。しかしひと度理解ができるとその恥ずかしさに、再び顔面に熱が集まってきた。彼の方はといえばいつもの恐ろしく整った澄まし顔で私を見やっている。普段なら決してできない、やらない環境だ。でもこの時の私はもう……身体も思考も、そして心も全てが彼に支配されてしまっていた。私は恐る恐る、彼の中心部分を覆う衣服の隙間にゆっくりと手を入れた。

「あっ……とっても、大きくて熱くなってる……」

取り出されたそれは、まさに巨大な熱の剣といった具合の立派なそそり勃ち。もう何度も抱かれてきたおかげで、彼が如何に逞しいものを持っているかは身を以て知っているけれど、今夜のそれは普段に増してうんと大きく、硬くなっているようにさえ見える。もしかして、ダオスさんってこういう外でするシチュエーションが好きなのかな?散々抱かれているくせに、そういえば彼の性癖について私は何も知らないことを今更気付かされる。終わったら訊ねてみようか。

「んっ……ダオスさんのだって、濡れてますわ……」

その立派な滾りの先端をしっとりと濡らしている先走りを、舌を使って丁寧に舐め上げる。男性特有のざらりとした苦味を舌いっぱいに受け止めながら、たっぷりの唾液を絡ませて凹凸のひとつひとつまで念入りに舌先で刺激すると、気持ちが良いのか彼の口から時折短い息が漏れた。と同時にどくどくと赤黒い血管を波打たせて、それは更に硬さが増すのがわかる。

「ああ、、これを使うがよい。まだ旅の半ば、いつもの薬で万が一体調を崩してはならぬ故、な」

彼が衣服のポケットから取り出した伸縮性素材の避妊具を受け取って、青白い月明かりを反射しちらちらと妖しい輝きを纏った肉剣にゆっくりと被せる。この避妊具、そういえば砂漠の街で装備を揃えようと寄った雑貨屋で買い物中に、私の買い物かごにいつの間にか入れられていた品だったと思い出す。おかげで会計の際やたらと店主らしい中年男に気色の悪い笑みを向けられたっけ。けれど以前――いつ頃の話だったかもう私自身でも思い出せないが――いつもの避妊薬の副作用で一度だけ具合が悪くなったことがあった。たまたま薬との相性が悪かっただけだろう、とその時私は対して気にも留めていなかったけれど、彼はそのことをずっと覚えていて気に掛けていてくれたのだ。いつだって本当に……彼は私を大切にしてくれる。

、私の上に……そうだ……」
「んっ……」

彼に導かれるまま胡座の上に身体を乗せて、腰元に鎮座する勇ましいそそり勃ちをゆっくりと私の中へ呑み込ませてゆく。いくら事前にしっかり濡らされ解されているとは言え、アセリアの避妊具では特別な大型サイズでなければいけないくらいには圧倒的な質量を伴っているそれを受け入れるために、私の肉壁はめりめりと声にならない悲鳴をあげながら限界まで押し広げられてしまう。まるでお腹の中を太い剣や槍で串刺しにされているような感覚だ。でも、だからこそふたりがひとつになって生じる快感は遥かに深く、愛おしいものになるのだ。

「んっ、はぁっ、奥まで入ってる……」
「……ふふ、お前は本当に愛らしいな」

対面した状態での座位。互いの身体を密着させるようにギュッと抱き締め合えば、性感による興奮で汗をかくほどにふたりとも熱くなっていた。再び吸い付かれるように強く唇を奪われて、大好きな彼に上も下もひとつにさせられて、もう私の全ては今にも蕩けてしまいそうだった。いや、もう既に……とろとろに蕩けてしまっている。

「この邪魔なローブのせいで、お前の美しい身体がよく見えぬ……こちらに置いておくぞ?」
「ちょっと、待ってッ、それがないと全部見えちゃう……!」
「私は見せつけたいのだがな?この愛おしいの姿を」

羽織っていたローブを半ば無理やり脱がされて、既に胸当てをずらされ露わになっていた乳房、紐が解けてただ脚に意味なく纏わりついているだけの下穿き、そして……彼とひとつになり粘液が妖しく光を反射する結合部があっさりと月光の下に晒されてしまった。半裸というより、もはや全裸に近い姿を、あろうことか私だけが披露しているのだ。それも誰かが見ているかもしれない、野外で。

「夜光が照らし出すお前はまたいつになく美しい……滑らかな頬、柳眉な曲線を描く鎖骨、柔らかく愛らしい丸い胸、靭やかな腰のくびれ……それから弾力のある尻に太腿も」
「……お世辞でも、そう言っていただけるのは嬉しいですわ」
「ふん、私は世辞など言わぬ。全て本心……それに触れられるのは、この私だけなのだと思うと」

ふいに彼の大きくて熱い手に腰を掴まれて、優しく時に力強く、上下にトントンと振動を与えられる。すると私の自重によって彼の怒張の先端が何度も何度も、甘い快感を伴って私の子宮口をノックし続けた。

「あっ、ゃんっ、奥にぐりぐり当たってるッ……!」
「こうしてっ……私の腕の中で乱れるお前を見せつけるのはっ……実に心地が良いッ……!」

感情の昂りか、私の腰を掴む彼の手の力が次第に強くなっていく。子宮口を強引にこじ開けるように執拗に突き上げられて、その度に脳天まで痺れるような激しい快楽が全身を容赦なく駆け巡る。もっともっと彼と一緒に気持ちよくなりたくて、野外という環境も忘れ私もまた夢中で腰を揺らし続けた。振動で彼の頭部に巻かれたターバンを飾り付ける金色のアクセサリーが月光をキラキラと跳ね返しながら繊細に揺れ動き、カランカランと心地の良い金属音を奏でていた。

「お前は永遠に私のものだ、そうだろう?ッ……!」
「ひッ、ぁ、ッ……!」

強い語気を孕んだ彼の言葉。返事をしようにも下から私を襲う容赦ない快楽にもはや呂律も回らない。今にも飛んでしまいそうな意識を放さないよう懸命に掴みながら、私は必死で彼の身体にしがみついて……言葉にならない声の代わりに、彼の熱い唇へキスを返した。

「ぁ、ぁっ、だめ、イくっ……!」
「ッ……!」

どこまでも溢れてくる粘液を豊かに絡ませ合いながら、ひとつになった部分をひたすら摩擦させて、そこから生じる深い快感にふたりで酔いしれる。そして私の中で極限まで質量を増大させた彼が大きくその身を震わせると、私の身体を走るまた一段と強い雷撃のような快感に、頭の中は否応なく真っ白に染まっていった。


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日の沈んでいる間も、時折吹く乾いた風が椰子の葉を揺らす。体の脆い人間にとっては、乾いた砂漠の長旅はより過酷であろう。は私に気を遣わせまいとして常に気丈でいるが、蓄積した疲労のせいか、今宵はこうして枕代わりに私の腕を差し出したところで間もなく眠りに落ちてしまったようだ。……いや、眠る前の交わりが彼女を余計に疲れさせてしまったか。

のあの愛くるしい姿を見ると、どうにも本能的欲求が抑えられなくなってしまう。私には成さねばならぬ使命があるのだ。情愛などに現を抜かしている場合ではないと解してはいるものの、自らの非力を認めながらも私の為に懸命に働く彼女を見ていると……この星に降り立ち、故郷の民の為に一切の情を捨て冷酷な魔王となることを決意したはずの胸の奥から、止めどない愛おしさが溢れ出るのだ――彼女を失いたくない、永遠に私の傍に居てほしいと。

狂おしいほど彼女を抱き潰し、力を加えれば容易く壊れてしまいそうなあの小さく愛らしい身体へ徹底的に私を教え込ませたのも、彼女が決して私から離れぬように、いや、離れられぬようにするため。も、大いなる実りも、共に我が手にと願う私は傲慢なのだろうか?彼女さえ居れば、私がこれから歩むことになるであろう修羅の道さえ……立ち止まることなく突き進んで行けるような、そんな気がするのだ。

私を待ち望む民の為に、私に寄り添ってくれる彼女の為に、必ずやこの使命を果たして見せようではないか。そして故郷が再び、命溢れる豊かな大地に生まれ変わった暁には……彼女の気が変わらぬうちに、我が王家の一員として盛大に迎え入れるのだ。子宝を授かれば復興に励む民の新たな象徴にもなろう。姫でも王子でも良い。に似て、優しさに満ち溢れた愛らしい子を授かり……この星での苦労も他愛もないものだった、といつか思える日が来たら良い。そう願って、私は戦う――


---END---


Good!(お気に召されたら是非…!)

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