+ Meteor +

この作品は『現パロもの』です。
夢主設定=オフィス勤務のごく普通の会社員。彼と同棲して1年が経過。
何でも許せる方向け。

『彼と夜のドライブデートをする話』を最初にお読みいただくとよりお話を楽しんでいただけますが
読まなくてもストーリー上問題はございません。


**彼氏のひとりえっちを見ちゃう話**

疲れてぐっすり寝ていたはずなのに、深夜にふと目が覚める――こういうことはたまにある。眠る前に灯していた雰囲気満点のベッドサイドランプもとうの昔に消されていて寝室の中は真っ暗だ。窓を覆う遮光カーテンの隙間からちらちらと僅かに月明かりが漏れているけれど、部屋の中の様子を探るには不十分だ。週の半ばということもあって程よく疲労も溜まっていた私は、彼といつもの"おやすみのキス"をしてすぐ、あっさりと深い眠りに落ちていって……そこまではハッキリと記憶している。嫌な夢を見ただとかそんなことは全く無くて、こうして目が覚めたのは本当にただの偶然だった。そして隣にはもうすっかり見慣れた広い背中。彼の男らしい鍛えられた逞しい背中は、黒一色のシンプルな部屋着の上からでもはっきりとわかる。

ふと、彼――ダオスさんの方からぼんやりと無機質な明かりが差し込んでいることに私は気が付いた。手持ちの通信端末の画面の明かりだ。彼はよく寝る前にオンラインで購入した電子書籍――時に漫画のこともある――を読んでいて、珍しく読書中に寝落ちてしまったのか、それとも……もしかしてまだ、起きてるのかな?話しかけてみるかどうするか、少しの間悩んでいたら、彼の右腕が掛け布団の下でモゾモゾと動き始めた。どうやら起きているらしい。こんな夜中に画面を見ながら何をしているんだろう?突如湧く好奇心に眠気は一気に覚めていく。でも、プライバシーの塊とも言える端末の画面をこっそり覗き見するなんて失礼だし、気になるけど……気になるけど、我慢するしかない。そんなこんなで瞼を閉じたまま、私の眠れない時間が始まった。

しばらくして、彼の右腕が時折また動きを再開して、それと同時に微かに音声らしきものが聞こえてきた。内容ははっきりとは聞き取れないけれど、音のトーンはかなり高く、恐らく女性の声のように感じられた。

"……めッ……恥ずかし……ッ……撮ら……で……"

日常生活では出すこともないような甘ったるい声色。まるで情事の最中のようで……もしかしてダオスさん、そういう動画でも見てるのだろうか?言われてみれば右腕はずっと掛け布団の中で怪しげに動いているし、そういうことをしているように見えなくもない。そりゃあダオスさんくらいの年齢の男性なら毎日したくなるくらい元気でもおかしくないし、実際私との最中には複数回イケるくらい、彼は精力満点なのだ。でも彼もそんな……ひとりえっちとかするんだ、なんて当たり前のことに今更驚かされている自分がいることにも驚いた。昨晩は私に気を遣って何もせず眠らせてくれたのかと思うと、その心遣いが嬉しくなると同時に申し訳なくもなってしまう。

"それは……だ…………お前が……"

ん?ちょっと待って、今……私の名前が聞こえたような気がして、心臓の鼓動が否応なく早まる。彼は一体何を見ているのだろう?

"撮影……お前は……羞恥心を煽られ……好き……だな"
"違っ……そんな……"
"帰宅したら……TVの……画面で再生……良いな"
"そんな……やだぁっ……"

赤の他人が聞けば強引に事に持ち込むシチュエーションを演出したえっちな動画のワンシーンに思えてもおかしくない会話だけれど……私はこの会話に身に覚えがあった。少し前、彼と峠道を走って、その後彼の車の中でふたりで盛り上がってしまった時のものだ。そういえばあの時、彼は私のあられもない姿を撮影していた。つまりどうやら今、彼は私との情事の動画を見ながら、己を慰めているらしい。

"あッ……だめっ……イキそ……イく……"

「んっ……ふ……くッ……!」

動画の中の私が絶頂を迎えると同時に、それを見るダオスさんの口からも熱っぽい吐息が漏れた。掛け布団の布地が一層激しくガサガサと音を立てて擦れ合ったかと思えば急にしんと静まって、この時彼もまた最高潮に達したのだと私は理解した。ベッドボードに置かれたティッシュボックスから無造作にペーパーを数枚取り出して後始末をしている彼に起きていることを悟られないように、私は慎重に寝ているふりを続けていた。

けれど実際のところ、微かに耳に届いた音声からあの時私を穿いた彼の熱さを思い出してしまって……私ももはや眠れるような状態ではなかった。バレないようにダオスさんに背中を向けて、欲望のまま、私の空いた手ははしたなく湿り気を増した大切なところを、あの時彼がしてくれたように……布地の上からぐりぐりと責め立てていた。本当は自分の指なんかじゃなくて、彼の大きくて熱いものがほしくて仕方がなかったけれど、それは次の夜までお預けなのだ。そう思うと切なくて、ますます激しくそこを責めてしまう。それに私の動画をいわゆる"オカズ"にしてくれた彼のこともますます愛おしくて堪らない。次の夜は彼が思う存分満足するまでご奉仕してみせよう。もうイけないと懇願されるくらいたっぷり可愛がったら、ダオスさんはどんな表情を見せてくれるかな?果てても果てても勃ち上がることをやめられない彼のそこが、私の大好きな場所をこうして執拗にぐりぐりと擦って……あっ、あっ、だめッ、私もイッちゃう……!

絶対に彼にバレるわけにはいかないから、必死に息を殺して、下腹部から全身をビリリと駆け巡る絶頂の快感に耐え忍んだ。少し身体が震えてしまったけれど、ダオスさんには気付かれてはいない、はず。そうしているうちに彼の端末の明かりも消えた。ひと仕事終えてやっと彼も眠りにつくらしい。彼だってまさか自分のひとりえっちを私に見られているなんて思ってもみないだろうし、ましてや私も「見たよ」なんて言うつもりも毛頭ない。次の夜はいっぱいいっぱいいちゃいちゃしようね、と心の中で彼に話し掛けて、私も残りの時間、朝までぐっすり眠る……筈だった。いきなり後ろから彼にギュッと強く抱き締められて、私が逃げ出さないように彼の自慢の長い四肢で絡め取られるなんて想像もしていなかった。そして驚きのあまり動けなくなった私の耳の中を、私の大好きな彼の甘い低音はねっとりと反響した。

「……全て、見ていたのだろう?」


---END---


Good!(お気に召されたら是非…!)

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