+ Meteor +



**その身に纏うは妖艶な**

「……それにしても」

一足先に寝台に腰掛けて、装着した指輪をまだ物珍しそうにずっと眺めているダオスさん。私はその横にちょこんとお邪魔した。

「新しい装いもまた……本当にお美しいですね」
「ふっ、急にどうした?私の生身を初めて見るわけでもなかろうに」
「それは……そうなんですけどっ……」

確かに彼の言うとおりで、私は何度も彼の全てを見てきたし、そしてそれに……もう数え切れないくらい抱かれてきた。今更何を恥ずかしがると言うのか。けれど今までのあの厳重極まりない防御特化の装いに比べて、今のダオスさんの装いはあまりにも色艶に溢れすぎていて……胸の高鳴りが抑えきれない。もちろん、今までの装いだってハッキリと表れる身体のライン、スラリと長い脚、僅かに覗く指先の白い肌もそれはそれでとても妖艶だったのは間違いないのだけれど。

「惚れ直したか?ふふっ、耳までこうも朱に染めて……愛らしいな、
「もうっ、からかわないでくださいな……!」

自分でもわかっていたけれど、改めて声に出されるとますます顔から火が出そうなくらい顔面に熱が集まってくる。ダオスさんだけがくくっと楽しげに笑っているのだ。さすがにマーテル様の前では懸命に堪えたけれど、今はもうお城の中でふたりきり……だから、我慢しなくていいよね?

「ダオスさんがこんなに……色っぽい格好しているから、いけないんですよ……?」

ずっと抑えていた気持ちを彼に分かってもらうべく、私は彼の身体をぐいと寝台に押し倒した。透き通った青い両目を珍しくぱちぱちと瞬きさせて、この展開は彼も予想外だったのだろうか。でも、その方がきっと面白くなる。

「とってもお綺麗で……堪らないです。この長い首筋から鎖骨にかけての線……その下のお胸は筋肉できゅっと引き締まってて硬い……」

指の腹でその男らしい筋張ったラインをつぅっとなぞると、彼の口から微かだか艷やかな息が漏れる。シェイプはどこも鍛え上げられた男性的肉体美を有しているというのに、肌の上は女性と見まごうほどの白さと滑らかさを持ち合わせていて、それが彼特有の圧倒的な色香を放っていた。

「それにこの見事な腰回り……ここまで鍛え上げるには相当苦労なさったでしょう?ダオスさんは頑張り屋さんですから……腹筋も綺麗な6つに割れてますね」

まるでひたすら美のみを追求して創り上げられた調度品のようににさえ感じられる腹筋まわりの美しいくぼみの連続もまた、指でゆっくり時間をかけて愛撫する。それだけでは飽きてしまうだろうから、指でなぞった部分を辿るように今度は唇と舌の先でも撫でてみれば、彼の吐息は一層熱を高めていた。

「はぁっ……本当に、ダオスさんはお美しいです……こんな色っぽい格好で外にいたら……」

ここで私は唇の先を彼の耳たぶに持っていった。よく見れば、彼だって耳まで真っ赤にしてるではないか。私の言葉に照れているのだろうか?だとしたら……ますます愛おしくなる。

「他の人に奪われてしまいそうで、私……心配です」

充血して朱くなった耳たぶを甘噛みして、縁を舌先でちゅるりと舐め上げる。筋肉で締まった靭やかなダオスさんの腰がぴくりと浮いて、快感を感じてくれたことがわかる。心なしか真ん中の部分も、ちょっとだけ盛り上がってるような……

「……ッ……」

名前を呼ばれたから彼の青い瞳と視線を合わせてみたら、形の良い薄い唇が物欲しげに震えている。そんな姿も可愛らしくて、思わず吸い付いてしまう。中で何度も舌を絡め合わせて、疲れると少し引っ込めて、でも切なくなってまた絡ませて……を何度も何度も繰り返す。指輪の力によってまるで内側から発光するように輝きを増した彼の豪奢に波打つ金の髪を指先で梳きながら、優しく頭部を抱き寄せたら彼の腕も私の首筋に回って、熱の高まったふたりの身体がぎゅっと密着した。もう一度、食むように上唇と下唇を順番に吸われて、蕩けるような甘さに全身が疼くように熱を帯びてくる。もっともっと彼が欲しくなって、私も両の腕を彼の広い背中に回すと……今までマントの下になってよく見えなかったけれど、そこにも布地なんて全然無くて、筋肉で硬く締まった白くて形の良くて、つるりと滑らかな背中がそのまま露わになっていた。

「……お背中まで、こんな……反則、ですっ……」

くっきり浮き出た肩甲骨はまるで天使の羽根のよう。とはいえ女性とは違い男らしい逞しさの表れた骨格のラインを深く堪能するように指先を這わせると、再び彼の口からくぐもった息が漏れた。

「本当に……お綺麗ですわ。いつまでも触れていたくなります。いいえ、触れるだけじゃなくて、こうして気持ち良く……なってほしくなる」
「んんッ……!」

これまでの愛撫ですっかり気分も高まっているのか、よく締まった肉体には妙に不釣り合いな、ほんのり桃色に充血した胸の突起をピンと指で弾いてみるとダオスさんがびくりと背中を震わせる。先刻広間で柱を何本も破壊するほどの術を行使したからか、丁度いい疲労感がますます彼を快感の波に飲み込ませているのもあるだろう。あれだけの術、もしアセリアの術師であれば例えエルフやハーフエルフであっても相当な肉体的・精神的エネルギーを消耗していたはず。桁違いに魔術の扱いに長けたカーラーン人の彼だからこそ、こうして性感を堪能するだけの余裕が残っているのだ。とはいえ、先程からすっかり受け身のままでいるくらいにはお疲れのようだけれど。

「ダオスさんのこんなに弱いところ……丸見えになっちゃって大変です」
「んっ、はぁッ」

指で筋肉のラインをじっくりと撫で上げながら、唇と舌で突起をたっぷりと可愛がる。舌先でくりくりと転がすのも良いけれど、歯で甘噛みすると彼の吐息がますます熱っぽくなる。どうやらここは優しく噛まれるのが彼の好みらしい。

「私以外の女性にイタズラされないように……印をつけておきましょうね」

締まった胸筋にひとつ、それから首筋にもひとつ、紅い花弁を散らしておく。彼の首元を幾重にも豪奢に飾り立てる金色の首飾りも相まって実に華やかな光景だ。そんな風にひとりで勝手に満足して、長い首筋の線に唇の先を這わせていたら、たったそれだけなのに彼の身体がまたふるりと震えているではないか。

「ふふ……ダオスさん、こんなところも感じるんですか?可愛いです……もしかして身体中どこを触られても気持ち良くなれる、全身性感帯の素質がお有りなのかもしれませんね?」
「そんなッ、都合の良い話、が……あるわけ……んんっ!」
「あらら、でもこんなところ触っても感じていらっしゃいますね?ほら、ここがこんなに……盛り上がってますもの」

プライドの高い彼はなかなか認めたがらないけれど、男性の身体は可哀相に、嘘をつけない。彼の腰の中心で布地を懸命に押し上げているそれを眺めるのは至福の時間だ。私の愛撫だけで、彼はこんなにも感じてくれているのだと実感できるからだ。

「そういえば、ふふ、足元も生脚を披露されてるんですね。白くて滑らかで、誰もが羨むほどの長いお御足……私も羨ましくて仕方ないですわ」
「んっ、はぁっ、そのようなところにまでッ……」

普段はブーツで隠れたふくらはぎもやはり靭やかな筋肉で締まり、艶めかしい美脚により一層の磨きがかかっている。男性らしいやや硬さも感じるその線に啄むようにキスを落としながら、足先を覆うサンダルの紐を外していく。

「待てっ、せめて湯浴みを済ませてからっ……!」
「お気になさらないでくださいな。ダオスさんのお身体に……汚いところなんてあるものですか」
「しかしッ、くぅっ……!」
「ん……凛々しい戦いの後のお味がしますね」
「なっ……!」

小さくて可愛らしい足の指をぺろりとひと舐めするごとに、くすぐったいのかそれとも気持ちが良いのか、足先をぴくぴくと震わせている。でもやっぱり相当に恥ずかしいみたいで、上品な青い瞳を潤わせて頬はもう真っ赤に染まっている。本当に可愛らしい人だ。

「こうしていつまでも愛でていたいのですが、そろそろダオスさんも限界……ですよね?」

身体を元の腰の位置に戻す。更にまた一層高くせり上がったように見える膨らみを、服越しに優しく爪を立てた指先でなぞってみる。ふるっと切なく震えるそれは今にも待ち切れないといった様子だ。

「ふふ……せっかくの美しい衣装に、先走って恥ずかしい染みができてしまいますね。でも安心してくださいな、私がちゃんと洗って差し上げますから、ね……?」

彼の下半身を覆う衣装は前後ともに、下腹部まで大きく切れ込みが入っている。腹部と腰部の可動を遮らないようにという配慮だろうけれど、そのせいで大切な部分が寸前で際どく隠されていて、それがより情欲をそそるのだ。おかげで布地の隙間に手を差し込めば、簡単にそれは……捕まえることができてしまう。

「こんな狭いところじゃ苦しいでしょうから、せっかくのお召し物ですけど少し脱いじゃいましょうね……あらあら、もう涎でとろとろですね」
「待てっ、ッ……ぁっ……!」

溢れ出た透明な滴は、彼が私を待ち望んでくれているという証。愛おしさにぺろりとひと舐めすれば、もう何度も味わい慣れた雄々しい苦味に、頭も身体も一気にスイッチが入れられていく。

「んんっ、あぁ……!」
「いっぱいいっぱい、気持ち良くなってくださいね……!」

限界まで口を開けなければ頬張り切れないほどの立派なそそり勃ち。たっぷりの唾液を絡ませて根元まで咥え込み、じゅぽ、とわざといやらしい大きな音を立てぬき上げて、聴覚からも煽っていく。血の巡りが良くなって紅色に染まった先端の括れをちろちろと舌先でくすぐれば、余程気持ちが良いのか腰を小刻みに上下させてその性感を堪能している。彼が気持ち良いところ、今まで何度も何度も時間をかけて、私は彼に仕込まれた。だから全部……知ってる。

「どんどん大きくなってます……もうイッちゃいそうですね」

手を添えれば、獣のように筋立った血管がどくどくと波打っているのがわかる。彼の絶頂がすぐそこまで迫っている証拠だ。追い打ちをかけるようにもう一度根元まで一気に咥えて、搾り出すように吸い上げた。

「うっ、ぁ、ぁぁ……!」
「んんっ……」

せり上がった全てを吐き出すように怒張が数度大きく震え、どろどろと生温かいものが口内に注がれていく。それは舌の上にも粘膜の上にも容赦なく張り付いて、私の味覚を塗り潰し痺れさせていく。生々しく官能的で、強い雄を凝縮したような濃味。数回に分けなければ飲み干せないほどの量。そういえば、お互い城を空けたり疲れていたりで最後にしてからそれなりの日数が経ってしまっていた気がする。独りで慰めることもしないで、今までずっと……溜めていてくれてたのだろうか?

「んん……今回もとっても濃くて……脳まで溶けてしまいそう」

疲労と絶頂が重なり、今の彼は軽く放心状態にさえ見える。普段の力強い意志を秘めた眼差しは蕩けきり、興奮の熱によって頬は朱に染まっている。顔に張り付いた柔らかな金髪は、彼にしては珍しく汗を含んでやや束っぽくなっていた。鬱陶しいであろうその横髪を指で優しく払い除けてあげて、赤みの差した耳たぶにもう一度口付けた。

「これでゆっくり……おやすみになってくださいね。一度絶頂を迎えた後の眠りは、とても質が良いそうですから」

彼の妖艶な装いについ熱を上げてしまったが、合わせてここのところほぼ一睡もしていなかった彼に、私は何とか身体を休めてほしかった。今の様子を見るに、このまま朝どころか昼までぐっすり眠ってもらえるかもしれない。彼が起きたらすぐ湯浴みができるように準備しておかなければ。それに朝食の用意も……なんて頭であれこれ考えながら、寝台の隅に丸められた毛布を手に取ろうとしたら。

「……待て、

ふいに手首を優しく掴まれて、引かれるがまま身体は寝台に逆戻りしてしまう。そのまま寝台の上に組み敷かれ、すっかり色欲に染まった瞳が私を見下ろしていた。

「お前ばかり私に触れるのは……面白くないな……?」


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耳の中を甘い低音でくすぐられ、慣れた手付きで私の服の留め具がひとつひとつ外されていく。

「ん、もうっ……お休みにならなきゃ駄目ですよっ……」
「心配せずとも、この気が収まれば眠らせてもらう」

待ち切れないのかもう下の数個は残したままずるりと肩から布地を落とされて、露わになった質素な胸当ての中へ彼の手が強引に潜り込んだ。中に隠していた膨らみは呆気なく捕らえられて、彼の熱に包まれながらやわやわと形を変えられていく。

「私もお前の全てが……この上なく愛おしい。私の手のひらにちょうど良く収まるこの愛らしい丸い胸……」

これも邪魔だ、と小さく呟いてダオスさんは胸当てをぐいと上に押し上げた。はっきりと彼の眼前に晒された私の胸の頂は既に硬くその存在を主張し始めている。彼の口角がニヤリと吊り上がった。

「お前は私に休めと言うが、お前のここは私に触れられたくて仕方がないように見えるがな?」
「んんっ、あッ!」

啄むようなキスを落とされたかと思えば次の瞬間、歯できゅっと甘噛みされてピリピリと刺激的な気持ちよさに思わず背中が反ってしまう。そんな私の反応を楽しむように優しく揉みしだいては先端を食み、舌先で転がして、吸い上げて、時にまた甘く噛む……を繰り返される。彼に休んでほしいはずなのに、身体は理性とは逆のことを彼に求めている。次はどんな快楽を注がれるのか、期待に身体の疼きがもう抑えられない。既に膨らみには幾つも散らされた紅い所有印が刻まれている。

「案ずるな。この程度の疲労で堪えるようでは一国の王など務まらぬ。それに……こうも愛らしいお前を目の前にして黙って眠るなど、できるわけなかろう?」

突然ぎゅうっと力を込めて乳房全体を鷲掴みにされ堪らなく息を漏らすと、開いた唇を割ってすかさず彼の熱い舌が捩じ込まれた。さっきのキスとしていることは同じはずなのに、その熱は更に高まっているようにさえ感じられる。歯列を確かめるように繰り返しなぞられて、舌を絡め取られ、休むことなど許されず、彼が満足するまで口内をくまなく弄られる。

「……唇を重ねるだけで腰が浮いているようだな?私のことを"全身性感帯"などとよく言えたものだ。それはお前の方だろうに」
「そんな、違ッ……」
「だが決して悪い話でもあるまい。こうして私の下で……」
「ひぁッ……!」

彼の長い指の先は焦らすように時間をかけて、下に降りてくる。腰の線をゆっくりとなぞられてくすぐったいような、けれど確実に私の芯をぞくぞくと震わせる刺激に、何度でも息が漏れてしまう。はしたなくその先を望むことを止められない私の様子に満足しているのか、彼はもう一度口元に鋭利な三日月を浮かべて、熱っぽくなった私の耳たぶをかぷりと食んだ。

「いつでもお前を……よがり狂わせることができるのだからな」

いつもよりうんと低くて、甘さをたっぷりと纏わりつかせた彼の声が、私の耳の中を絶え間なく反響し侵食する。全身性感帯という才能は、こうして耳の中に響く音までも性感に変えてしまうのだろうか?少なくとも彼に出会うまで、私はこんな身体ではなかったはずなのに。

「この細く華奢な腰……力を加えれば容易く折れてしまいそうな……」
「あっ……はぁッ……」
「出会った頃より靭やかに見える」
「ダオスさんの足手まといにならないように……少しは鍛えましたもの」
「そうか、私の為か……嬉しいものだな」

先程残した数個の留め具もついに外されて服が大きく開けられると、指が一度辿った道筋を熱を帯びた彼の赤い舌につぅっとなぞられて、その甘美な快感にまた何度も背中が浮いてしまう。

「んっ、あっ……そんなところにまで」
「私がお前のものであるように、お前もまた……私だけのものだと示しておかねばな」

彼がなぞった線を彩るようにたっぷりと落とされる、真紅の印。私が彼だけのものであると示す証。今の私は胸も腰もお腹も、たくさんのその印に飾り付けられて、自分で言うのも何だけど、とても……いやらしい姿をしていると思う。

「柔らかく形が良いのは尻もだな……掴んだそばから零れ落ちそうだ。それから腿も滑らかで……いつまでも触れていたくなる」
「んんっ……」
「ふふ、こうして触れるだけで敏感に反応するところも愛らしい……」
「私をそんな風にしたのは……ダオスさんですよっ……」

男性というのは早く中に挿れて気持ち良くなりたがるものだと思っていたけれど、彼は全然違う。いつもじっくり、深く、深く私を愛でてくれる。それだけで心も身体もとろとろに溶かされてしまうから、今では彼にこうして熱っぽく触れられるだけで……身体中の疼きがもう止められない。身も心も彼がほしくて堪らなくなるように、脳髄まで甘い毒でも注がれて全てを支配されてしまったかのようだ。もし私の身体が全身性感帯だと言うのなら、そうしたのは間違いなく……彼だ。

「それは実に喜ばしいことだな、。そのまま……私無しでは生きられぬ身体となるが良い」
「そんなッ、ぁっ……!」

軽く爪を立てた彼の指先が、腿の付け根をしつこく這い回る。あと少しで私の弱いところだとわかっているから、決してそこには触らないで寸前で何度も焦らして……そんな意地悪な愛撫に全身が切なく震えてしまう。

「私だけの愛くるしい。もっと……私を求めよ」
「っ、ぁッ……!」

散々焦らしておきながら、その時は突然やって来るのだからたまったもんじゃない。私の下腹部を覆う薄布を引き食い込ませると、くっきりと現れた柔らかな双丘の窪みに沿ってその白い指先がつぅっと走る。気持ち良いけれど、もうそれじゃあ足りない、満たされない。早く、早く私を直に……触れてほしい。

「布の上からでも、芽が硬く膨らんでいるのがよくわかる……それに、ふふ……"涎でとろとろ"などと人のこと言えた様ではないな?」
「ひィッ、ぁっ……ごめんなさいぃ……」

布で隠された奥がどうなっているかなど、既に彼にはお見通しだろう。彼欲しさに極限まで湿度を高めたそこにとって、布越しにしか与えられない切ない刺激はさながら拷問だ。

「私を求めるその蕩けた顔も愛らしい……こうして永遠に眺めていたいところだが、お前ももう限界だろう?」

布の隙間からするりと彼の指が潜り込む。溢れ出た粘液を指先に纏わせて、硬くなった芯を優しく撫で回されれば、それだけでびくびくと腰が跳ねてしまう。

「あっ、ぁっ、きも、ち、いいッ……!」
「うむ、そうだな、たまにはこういうのも……よかろう?」

あまりの快感に頭も身体もぼうっとしてしまって、何か起きているのか認識することさえままならない。下腹部の布はいつの間にか解かれていて、血の巡りが良くなり柔らかさを増した割れ目に沿ってぴったりと、熱くて凹凸のある太いものがぐりぐりと擦り付けられている。よく見るとそれは、もうすっかり昂りを取り戻した彼自身だった。いわゆる素股の状態で互いに大切なところを擦り合わせながら、その摩擦で生じる淫らな快感をひたすらふたりで、貪り喰らい合う。

「ん、んッ、だめッ、イッちゃう……!」
「ッ……くッ……!」

私の身体中を絶頂の快感が駆け巡ったのと同時に彼が自身を離すと、先端から勢いよく飛び出したたっぷりの白濁が私めがけて容赦無く降り注ぐ。ぽとり、またぽとりと私の胸に、腹にそれは雫を垂らして、私の身体は一方的にますますいやらしく……飾り立てられてしまった。

「今のお前の方が……ずっと美しい」
「ふふ、ありがとうございます……こんな時しかお披露目できないのが難点ですが」
「それで良い……この世界で唯一私のみが見ることのできる、お前の姿だからな」

私には新しい装いなんてないけれど、彼のつけた紅い所有印と、彼の子種に全身を飾り付けられて……それはどんな装飾品を身に着けるより、彼が喜んでくれるものなのだと思うと、自然と心も幸せで満ち溢れてくる。けれどあとひとつだけ、足りないもの。それは……

「身体にもたくさんいただきましたけれど、私の中も……ダオスさんでいっぱいにしてくださいな」
「ふふ、言われずとも……そうするつもりだ」
「あっ、んッ!」

両の太ももを押さえつけられて、恥ずかしいところが丸見えの状態にされてしまったけれど、そんなこと気にしていられないくらいの猛烈な圧迫感に思わず息が詰まる。直前に二度目の絶頂を迎えたとは思えないほどの巨大な質量の灼熱に、身体の中が甘く焼き尽くされていく。そんな灼熱の前では、私の本能を懸命に守る薄っぺらな理性など容易く燃やされてしまいそうだ。

「ひんッ、あっ、あぁッ、だめっ……壊れちゃうぅッ……!」
「壊れよ、そして私の与える快楽でしか満たされぬ身になるがよい……!」

中の柔肉をめいっぱい拡げて、今にもはち切れんばかりの彼を隙間なくぴったりと包み込む。無限に溢れ出てくるようにさえ思える粘液で潤滑した皮膚と皮膚が、ぐちゅぐちゅと艶めかしい音を響かせながら前後に擦れ合い、生じる本能的快感は私の理性
を確実に剥がしてゆく。いや、私だけじゃない。戦闘時とは打って変わって呼吸を乱し、美しく光を反射する金の髪を大粒の汗でぺったり濡らす彼の理性をも、それは確実に侵食していた。普段はもっぱら澄まし顔の彼もこんな雄の姿を秘めていて、そしてそれは……私しか知らないのだ。

「うぅっ……ぁッ……イく……!」
「ッ……ッ……!」

激しさを増す律動。極限まで硬度を高めた彼の肉剣が、子宮口をこじ開けんばかりの勢いで私を繰り返し穿く。もうすぐそこまで迫った最高潮を目指して本能のまま互いを求める姿は、彼も私も……もはや獣のようでさえあった。そして一段と深い快楽が私の頭を真っ白に塗り潰し、お腹の中も温かなぬくもりで満たされていく。ひとつに繋がり合って、そして私たちは共に同じ世界へと昇りつめたのだ。


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「……ダオスさん、毛布を着ないとお風邪をひきますよ?」
「ん……暖は取れている……」
「それは毛布じゃなくて私です」
「……毛布よりお前の方が……遥かに暖かい……」

ダオスさんの長い両腕と両脚に絡み取られ、私は彼の抱き枕と化していた。めちゃくちゃに乱れた寝具を整え直したいとか、軽く湯浴みをしたいとか、眠る前に済ませたいことはたくさんあったけれど、今にも寝落ちそうな彼の表情が久しぶりに緩んでいるのを見たら……そんなこと後回しで良いと思えてしまうのだ。

「……ダオスさん……?」
「……」

三度も果てたのだ、圧倒的な体力を持つ彼もさすがにもう限界だろう。腕と脚の心地の良い重みと温もりに抱かれながら、私もこのまま眠ってしまおうか。明日のことはまた起きてから考えればよいのだ。今は何よりも、穏やかな寝顔を晒す彼と共に居たかった。

「……おやすみなさい、良い夢見てくださいね」

まだ少し熱の残る彼の頬にそっとキスを落として、私も深く暖かな眠りの底へと、彼を追いかけるように落ちていった――


---END---


Good!(お気に召されたら是非…!)

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