篭の華
>352氏
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柔らかな唇が、額を、頬を、ついばんでいる。
接吻されることが心地良いと解ってか、幾度も私の顔をつついていたが、ふと顔を離すと、なにやら深刻なまなざしで私を見つめている。
意を決したようにきゅっと唇を引き結んで、彼の顔が近づいてきた。
彼の唇が、私の唇に触れる。その寸前で、指先で彼の唇を押し止める
「駄目だよ。女郎は本当に惚れた男にしか、唇を許さないものだ」
「あ・・・ごめん・・・」
拒まれたことがそんなに残念だったのか、彼はずいぶんとへこんだ表情をする。
彼に好意を持っていないのではなく、あくまでも女郎を抱く上でのマナーとして教えたつもりだったのだが、少し言い方がきつかっただろうか。
「それに、君の初物を何もかも貰ってしまったら、君の未来の恋人に失礼だろう?
初めての接吻は、本当に好きな女の子のためにとっておきなさい」
そう諭すが、納得がいかないのか彼は不機嫌な表情のままだ。
「ほら、続きはどうしたんだ?女を焦らすことを覚えるには、まだまだ早いぞ?」
そう言って続きを促すと、ようやく彼は愛撫を再開した。
耳に、首筋に、肩に、接吻の雨を降らせていく。たどたどしい唇の動きは、なかなか快楽のツボに当たらないが、焦らされているようで、面白い。
こんな子供に感じさせれられるのもどうかと思ったが、私の身体は教材なのだから、感じるときには素直に反応することにした。
ここをこうすれば、こういう反応をする、と言うことを、彼に教えなければならないのだから。
私の反応を見ながら、首筋から肩の辺りでさまよっていた唇が、予想通り、鎖骨の辺りで止まる。
胸に触れることを、ためらっているのだろう。
「ほら、胸を揉んでごらん。力任せに握ったりしないで、優しくな」
そう言って彼の前に胸を突き出すと、恐る恐る彼の両手が私の胸に触れた。
感触を確かめるように、下から優しく揉みしだく。不慣れな指使いがかえって新鮮で、心地良い。
「あっ・・・どう・・・?女の胸・・・は・・・」
「・・・ん・・・面白い」
「面白い・・・?」
予想外の答えが返ってきた。
「柔らかいのに弾力があって・・・それに・・・重いなぁ・・・姐さんの、大きすぎるよ」
「んっ・・・重いとは・・・失礼だな・・・あっ・・・大事な・・・商売道具・・・なんだぞ・・・・・・
それに、んんっ・・・大きすぎるのでは・・・なくて・・・あっ、あっ・・・君の手が、あっ・・・小さいんだ・・・」
羞恥心より、女体への好奇心が勝ったらしい。彼はすっかりいつもの調子を取り戻していた。
「・・・ほら・・・乳首が・・・んん・・・硬く・・・勃ってきただろう・・・あぁ・・・感じてくると・・・こう・・・あっ・・・なってくるんだ・・・」
私の言葉に誘導されたように、彼の視線が私の乳首に集中する。胸を見られることなど慣れているはずなのに、彼の真剣な眼差しが刺さるのが、なんだか恥ずかしい。
「あっ・・・乳首・・・触ってごらん・・・勃起して敏感になっているから・・・はぁ・・・優しく摘んで・・・」
言われるままに、彼が私の乳首をつまんだ。そのとたん、
「あっ!?ああぁっ!」
私は、あられもない声を上げて、身体をのけぞらせた。
ただ乳首を摘ままれただけなのに、快感が腰まで響く。
「わ、悪い。痛かったか?」
私が突然大声を上げたので、驚いたのだろう。心配そうに、彼が私を見下ろしている。
「だ・・・大丈夫・・・・・・思っていたより気持ち良かったから・・・驚いただけ・・・・・・続けて・・・」
安心させるように微笑んで見せると、また、彼の頬が朱に染まった。
初心な少年と、小生意気な錬金術師。スイッチが切り替わるようにころころと入れ替わるのが、面白い。
「ほら、早く・・・せっかく気持ちよくなってきたのに、熱が冷めてしまうぞ?」
そう急かすと、再び彼の手が私の胸を包んだ。
感触を愉しむように優しく揉みながら、時々乳首を摘む。
何も知らない子供のはずなのに、そのタイミングが酷くツボを心得ている。
何より、温かく軟らかい生身の左手と、冷たく硬い機械鎧の右手。左右で違う刺激が与えられるのが、たまらない。
「あっ、あっ・・・いい・・・」
つい快楽が、口をついて出る。
私の反応に気を良くしたのか、彼が私の胸に顔を埋めてきた。
胸の谷間を唇でつつきながら、だんだん頂上へと登っていく。
とうとう唇が、頂上まで上り詰めた。彼がそっと、先端の尖りに口付ける。
「あぁっ!」
思わず声を上げたが、私が痛がっているのではないと判ったのだろう。彼はそのまま、愛撫を続けた。
先刻まで、硬く冷たい機械鎧の指で弄られていた乳首が、今度はねっとりと熱く柔らかい舌と唇で包まれる。
舌先で弾くように転がされて、強く吸われて、甘噛みされて。
その刺激が、すべて下肢へと直結する。
ただ、胸を愛撫されているだけなのに、濡れているのが自分でも判る。
思えばあの男は、このように私の胸をじっくりと弄ぶようなことはしなかった。
鷲掴みにして、あとはただひたすら私の中に突き立てるだけ。酷いときは脱がしもせず、裾を捲り上げただけで済ませてしまう。
それだけに、彼の優しく丁寧な愛撫が、私の中の情欲を掻き立てる。
右も左も丹念に揉みほぐされ、吸われ、摘まれ、甘噛みされる。それだけなのに、気をやってしまいそうだ。
それだけは、耐えなければ。
彼を愉しませるのが目的なのだから、私が先に気をやってしまっては、本末転倒になってしまう。
やっと私の胸を堪能したのか、彼の唇が少しずつ下の方へと移動していった。
どうやら、胸だけで気をやるという恥をかかずに済みそうだ。
両手で脇腹を撫でながら、身体の中心線に沿って唇が動く。
先刻教えたとおり、指先が文字を書くように肌の上をなぞる。ぞくぞくと肌が粟立つような快感に、声を抑えられない。
「あっ、あぁ・・・あぅ・・・ああん・・・」
舌先が、つんつんと臍のくぼみをつつくと、針で刺されたような強烈な快感が全身に走った。
「あっ・・・いやっ・・それ、やめてっ!」
反射的にそう叫ぶと、驚いたように彼が顔を上げた。
だが彼は、暫く私の顔を見つめてから、愛撫を再開した。
「あっ、あっ、駄目だって・・・!」
「・・・姐さん、本気で嫌がってねえだろ?」
「そっ・・・そんなこと・・・」
「いつもの・・・マジで怒ってる時の顔じゃねえじゃん」
そう言って彼はいたずらっぽく笑いながら、私の鼻先をつついた。
なんて生意気な。つい先刻まで、女の裸を見ただけでうろたえていたくせに、この順応ぶりは、何なんだ。
彼は、もう一度にやりと笑うと、再び私の腹に顔を埋めた。腰のあたりまで辿ったところで、動きがぴたりと止まる。
私の、閉ざされた脚の合わせ目が気になるらしい。
男が、女の身体で最も関心を持つところ。
いいだろう、女体の神秘を目の当たりにしても、まだ余裕を持っていられるか。これは見ものだ。
「・・・おいで・・・鋼の・・・」
ゆっくりと脚を開き、横から覆い被さるように私を抱いていた彼を、その間に迎え入れる。
吸い寄せられるようにそこに集中する、彼の視線が痛い。
もう濡れているのが、彼の目にも判るだろうか。
だが、まだ触れさせるわけにはいかない。
脚にも性感帯はあるのだ。まず、それを覚えてもらわなくては。
「・・・どうした?前戯の途中だぞ?脚も同じように、撫でて、吸って・・・とくに、内腿のあたりは敏感だから、丁寧に・・・」
わざと甘えた声でそう囁くと、はっとしたように彼が顔を上げた。思ったとおり、顔が真っ赤だ。
小生意気な錬金術師から、初心な少年に、スイッチが切り替わっていたらしい。
「・・・あ・・・あぁ、ごめん・・・」
殆ど呟くような声でそう言って、また彼は愛撫を始める。
そこを見てもなお、愛撫を続けられるということは、どうやら前戯を楽しめる性分なのだろう。
経験を積ませて、女の身体のツボを知ったら、とんでもない女殺しになるかもしれない。
触れるか触れないかという微妙な手つきで撫で回し、文字を書くように指を這わせ、強く弱く肌に吸い付き、時折甘噛みする。
「あっ・・・あん・・・いい・・・上手・・・」
初めてとは思えないほど丁寧な愛撫に、どんどん身体が蕩けていくのが判る。
いけない、これではまた前戯だけで気をやらされてしまう。
愛撫を面倒がらない性分なのはありがたいが、彼が満足するまで前戯を続けられたら、何度気をやらされることか。
何度か身体を交えてからならまだいいが、最初からそれでは示しがつかない。
「あっ・・・は、鋼の・・・そろそろ・・・我慢できなくなって・・・・きたのではないか・・・?」
そう声をかけて、彼の気をそらす。
私に声を掛けられて彼が身を起こすと、思ったとおり彼の男根は、下腹部に届きそうなほど張り詰めていた。
「・・・こうして君に愛撫をしてもらったことには、ちゃんと理由があるんだ・・・私の女陰を開いてごらん・・・」
彼は黙って頷くと、生身の左手で私の女陰に触れた。細い指が、ゆっくりと女陰を開いていく。
「・・・濡れているのが・・・判るかな?」
私の声が聞こえているのかいないのか、彼はそこに魅入られたように固まってしまった。
ほら、ごらん。女をからかう余裕など、ないだろう。
「・・・君に改めて説明するまでもないだろうが、それは愛液といって、女が男を受け入れるための潤滑液だ。
だが、女の身体は厄介なもので、快楽を感じなければ濡れてはこない。そのために、君に、女を悦ばせる方法を覚えてもらった。
さあ、そこに、触れてごらん」
だが彼は、相変わらず固まったままだ。
「さあ、遠慮しないで・・・それとも、女の誘いに背を向けて、私に恥をかかせる気かね?」
そう挑発すると、意を決したように彼が女陰まさぐり始めた。ところが、指が入り口に触れると、いきなり突き込もうとする。
「あっ、こら、待ちなさい!相変わらずせっかちだな、君は。性急な男は嫌われると、いつも言っているだろう?
いくら濡れていても、すぐには受け入れられないのだよ。ここも同じように、愛撫で優しくほぐしてやらないと・・・」
「・・・あ・・・ご、ごめん・・・」
窘められてすぐに反省する素直さは、彼の長所だろう。もっとも、何度言い聞かせても決して受け入れない頑固なところもあるが。
また彼の指が、私の女陰をまさぐり始める。私が教えたとおり、優しく、丁寧に。
「あっ、あっ・・・やぁっ・・・あっ・・・そこっ・・・」
彼の指が、私の花芯を摘んだ。つい、脚を閉じそうになるのをこらえる。
女陰を、身体が反応するのをこんな間近で見られて、恥ずかしくないわけではない。
だが、私の身体は教材なのだ。ありのままを、見せなくては。
「あっ、は・・・鋼のっ・・・わ、私の・・・女陰・・・よく見てっ・・・」
何とか私の声が届いたのだろう。彼の指が止まった。
「はぁ・・・入り口を・・・よく見てごらん・・・ひくついているのが・・・判るだろう・・・?これが・・・受け入れる準備が出来た・・・合図だ・・・」
彼は無言のまま頷く。どうにも、心ここにあらずといった様子だ。次々と送り込まれる情報を受け取るだけで、精一杯なのかもしれない。
「・・・指を・・・挿れてごらん・・・」
ごくり、と、彼が唾を飲み込む音が聞こえた。ゆっくりと、彼の指が入ってくる。
「うわ・・・なんだ・・・これ・・・」
驚いたように、彼が声を上げた。初めて触れた女の体内の感触に戸惑っているのだろう。
「・・・これが・・・女だ・・・指だけでも・・・悪くない感触だろう・・・?」
「・・・女の人の中って・・・こんなに狭いの・・・?」
「そう・・・だから・・・優しくして・・・」
そう言うと、また彼は黙って頷いた。ゆっくりと、彼の指が出入りを始める。
「あっ、あん・・・ああぁっ・・・」
「・・・姐さん・・・なんか・・・どんどんきつくなってくるけど・・・・」
無意識に、彼の指を締め付けていたらしい。
「あっ、あっ・・・な、中だけじゃ・・・なくてっ・・・花弁や・・・花芯もっ・・・」
そう言ったとたん、ぬるりと暖かいものに花芯を包まれた。最も敏感なところが、舌で弄られている。
「あああぁっ!?」
反射的に、腰が跳ね上がる。
私の反応に驚くかと思ったが、そこが敏感なところだと判ったためか、何事もなかったかのように彼は愛撫を続けた。
「・・・すごい・・・溢れてきた・・・」
うわごとのように呟く彼の言葉も、淫らな水音で半分しか聞き取れない。
「あっあっ、で・・・出入りがっ・・・楽になったら・・・ああっ・・・も、もう・・・一本・・・」
いったん、彼の指が引き抜かれると、今度は倍の太さになって突いてくる。
もちろん、その間にも花弁や花芯、胸への愛撫も忘れない。
「あっあっ・・・いいっ・・・素敵・・・素敵・・・」
初めての子供相手に、こんなにも感じるとは思わなかった。
普段から、あの男にぞんざいに扱われているだけに、彼の、真摯な愛撫がツボにはまったのかも知れない。
指を二本入れても馴染んできたのが判ったのか、彼は指を引き抜いて自身をあてがった。
ごくり、と、喉を鳴らす音が聞こえる。
「・・・おいで・・・鋼の・・・」
そう言って彼の腰に足を絡め、首に腕を回す。
ゆっくりと、私に覆い被さるように彼が体重を掛けてきた。少しずつ、私の中に彼が埋まっていく。
「熱っ・・・」
きつく目を瞑ったまま、彼が呻く。
漸く最奥まで辿り着くと、彼は大きく息を吐いた。
「・・・どうかね・・・女の身体は・・・?」
そう訊ねると、彼は肩で息をしながら、それでも私に答えた。
「・・・っ、あ、熱くて・・・柔らかくて・・・あ・・・な、何か・・・ざわざわするっ・・・」
中で、彼が硬く熱く張り詰めているのが判る。もう、持たないだろう。
「動いて・・・私の中・・・突いて・・・」
そう誘うと、彼は遠慮なく私の中を突きまくった。やはり限界だったらしい。
「あ、あ、姐さん、オレ、もう・・・」
「あっ、あぁっ・・・いいっ・・・そのまま・・・私の中に・・・出してっ・・・」
彼には悟られないようにしていたが、私のほうも、もう限界だ。今まで焦らされた、その止めを刺して欲しい。
「あっ、あっ、姐さんっ・・・!」
ひときわ深く貫いて、彼が私の中で果てた。
「ああっ、鋼のっ・・・!」
最奥まで突かれ、熱い精を放たれる快楽に、私も果てる。
流石に疲れたのか、ぐったりと彼が倒れこんできた。私の胸の間に顔を埋めて、肩で息をしていたが、やがて呼吸が整ってくると、ゆっくりと自身を引き抜いた。
「・・・上手に出来たね・・・ご褒美だよ・・・」
そう言って、私の脚の間でへたり込む彼の股間に顔を近づけた。
私の愛液と、彼の精液で濡れている男根を、舌で綺麗に拭い取ってやる。
「ちょっ・・・姐さん、待ってっ・・・!」
流石に若いだけあって反応が良い。見る見るうちに硬く勃ちあがる。
「姐さんっ・・・また・・・!」
「構わないよ・・・出してしまいなさい」
男根の先端を口に含んで吸ってやると、彼は私の肩に爪を立てて身体を震わせた。口の中に、熱い飛沫が注がれる。
私がそれを飲み下す様を見て、彼が顔を赤らめる。恥ずかしいのだろうか。
「・・・さっき、胸にかけたときもそれ舐めてたけどさ・・・美味いの?」
「正直、美味くはないな。でも、これは君の命の欠片だ。無駄にしては勿体無いだろう?」
「でも・・・なんて言うか・・・」
そう言って、彼はますます顔を赤くする。
どうやら、女が精液を飲み下す、という行為に、扇情的なものを感じているらしい。
まったく、可愛いのか可愛くないのか、判らない少年だ。
だが、憎めない。このまま傍に置きたい。
「さて、一休みしようか。今した事を、きちんと整理しなくてはね」
そう言って私は彼の首に腕を回すと、そのまま一緒に布団の上に倒れこんだ。
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