「あぁ、おぬしのこの厚い唇・・・ひさしぶりだ・・・あぁ、かわいくて仕方が無い」
「私も・・・私も杉田様の唇にずっと触れたかったのでございます・・あぁ・・・」
食いつくように、二人、唇を重ね合わせ
お互いの舌を、絡まるくらいに絡みつかせた
そして、唇が離れた後、代官は首筋へ舌を這わせた
蛇のように舌を尖らせて、越後屋を味見するようにゆっくりゆっくり舌を這わせた
「あ・・・あぁ・・・杉田さ・・・・ま・・・ダメです・・・・人が来たら・・・」
その声を無視するように、代官は舌を下へ下へと這わせた
やがて、その舌は襟元まで這い
代官は、両手で越後屋の胸襟をつかむと、思い切り左右へひっぱった
ほの暗い灯りの中に、越後屋の女性のような少し脹らんだ胸があらわれた
代官は、その胸を揉みあげるように両手で掴み
乳首に吸い付いた
「あっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・いけません・・・こんな所でっ・・・ああっ・・・」
越後屋の荒い息遣いが、橋の下から聞こえてくる
人が近くを通っている雰囲気は無いが、いつ橋を利用する人間が現れるかわからない
よもや、この橋の下で男と男が絡み合っているとは思いも寄らないだろう
代官は、この状況を楽しむかのように、一向に止める気配は無かった
余裕の代官とは対照的に、越後屋の心中は穏やかではなかった
もし、誰かに見つかったら!
男と交わってる事が見つかったら!
商売をして顔を知られてる自分には致命傷だ
今後の商売の行く末にも関わってくるんじゃないだろうか・・・
越後屋は、再度お願いをした
「ダメです・・・誰かに見つかったらどうするんですか・・・外では嫌です・・・・」
自分の胸元で、赤ん坊のように乳首を吸う男を抱きながら
越後屋は静かに優しく声をかけた
そして、その赤ん坊は顔を見上げてこう言った
「止めろだと・・?誰に向かってそう言ってるんだ?」
顔を上げた代官の目付きは、するどかった
冷酷で、冷たい、なんの感情も無いような男の目付きだった
先ほどの、熱い告白が嘘のような冷淡な顔つきになっていた
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