美味しそうな匂いが立ちのぼる鍋から、おたまで中身を少し掬い、皿に取って味見する。
「うん、出来た!」
満足そうに笑って、火を止めて鍋に蓋をすると、ツナは具材を切った包丁やまな板を洗い始めた。
背後でカサと音がする。
「ん?」
振り向くより先にツナは後ろから抱きつかれた。
「わわっ!?」
「ただいま戻りました〜!10代目〜!」
侵入者は買出しから戻った獄寺だった。先程の音は買ってきた物をテーブルの上の置いた音だったらしい。
「お、お帰り、獄寺君」
「俺の留守中、何もありませんでしたか?」
「うん、大丈夫、平和だったよ〜」
心配そうに尋ねる獄寺を腕の中から見上げて、にっこり笑って答える。
「良かったです…!」
そう言って、獄寺はツナを抱く手の力を強めて、ツナの額にキスした。
ツナはエプロンで手を拭くと、獄寺の腕をそっと撫でて、目を閉じる。
すぐに唇が重なってきて、しばらく台所にピチャピチャと湿った音が続いた。
獄寺の手のひらがエプロンの下に潜り込んで来て、ハーフパンツの上から太腿を撫でる。
布がたくしあがり、指が直に肌に触れた。
しっとりと吸い付くような感触を味わいながら、更に奥に進める。
ツナは身をよじって、キスをほどいた。
「あ、ダメ…」
「…どうして?」
「買い物、早く冷蔵庫にしまわないと、傷んじゃう…」
「保冷材入ってるから、まだ大丈夫ですよ」
「ダメ。今の時期は食中毒とか怖いんだから!」
「…………はい」
しぶしぶ手を離した獄寺は、買い物袋を掴むと、冷蔵庫の扉を開け、あっという間に食料を収納すると、
また扉を閉じた。
早!
あまりの手際の良さに思わずツナは、ぽかんと口を開けた。
「終わりました!10代目!」
満面の笑顔で報告する様子は、ボールを取ってきて主人に誉められるのを待っている犬のようで
ツナは吹き出した。
「10代目〜」
「あー……、もうカレー出来てるし、ごはんにする?」
「ええ?」
「それとも、お風呂沸いてるから、先入る?」
「じゅ、じゅーだいめえ」
「それとも…」
つい、悪戯心が沸いて口走ってしまったが、肝心なところで恥かしくなってきて、ツナは口ごもって真っ赤になった。
「10代目?」
「それとも、お………、え、えーと、つ、続きする?」
「はあい!」
いい返事をして獄寺が再び抱きついてくる。
「10代目」
「あっ」
“続き”の言葉どおりに、先程と同じように背中から抱きしめられた格好で、顎を持ち上げられキスされる。
すぐにもう片方の手が伸びてきて、腰のあたりから太腿にかけてを撫でる。
「ん……」
顎に添えられていた手が離れ、エプロンの胸当ての上から、やんわりと揉まれた。
「ふあっ!」
胸を弄りながら、腿を撫でていた手を横に這わし、ハーフパンツのボタンに手をかける。
ボタンが外され、今度はウエストの方から、手が忍ばされた。
「やっ…」
下着の上から、全体を撫でさするように手のひらを動かされる。
「んんっ…」
もどかしい感覚にツナが悶えると、ハーフパンツがずり下がった。
落ちないようにツナが思わず膝を閉じると、獄寺の手首を挟み込んで動かせないような格好になる。
「あ…」
「10代目…」
「ひゃう!」
獄寺が中指を折り曲げて突き立てると、ぐちゅりと音を立てて、僅かに沈み込んだ。
そのままぐりぐりと円を描くように動かす。
「あっ!あ!ああっ!」
敏感な部分を刺激され、ツナが身悶えると、ハーフパンツがストンと落ちた。
獄寺がツナの下着をずらし、濡れた部分が外気にさらされる。
雫をこぼす入口を指の腹でゆるゆると撫でれば、更にあふれ出て、獄寺の指を濡らす。
べたつく指が小さな尖りに滑らされて、こねくりまわされる。
「ああーっ!」
ツナの体が仰け反り、ビクビクと震える。
「やっ…やぁ…!やっ…」
膝が震えて、力の入らなくなってきているツナの腰を抱きなおすと、
獄寺はいったんツナを弄っていた指を離し、再び入口に指を押し当て、そのまま挿し入れた。
「あうっ!」
ゆっくりと抜き差しされ、ゆるやかな快感に全身が痺れていく。
「はあ、は…あ、ああ…あうんっ!」
えぐるようにかき回され、ひくつく中のしこりの部分を押される。
「ああっ!あ!あ…っ!そ、そこ……」
「気持ちいいですか?」
獄寺の指が感じる部分を強く擦る。
「んんっ…!あ、あ……い、いいよ…」
無意識に強く指を締め付けてしまう。
体の奥が熱くなってきて、目じりに生理的な涙が浮かぶ。
腰が揺れてしまうのを止められない。
「あ……ご、獄寺く…俺、も、もう…」
「沢田さん…」
「あっ!」
指が引き抜かれ、その刺激にも震えてしまう。
手を取られ、シンクの端に置かれる。
「ここに手をついて、腰をこっちに…」
そう言って、獄寺はツナの細い腰を掴むと、後ろに引いた。
流しに手をかけ、腰を獄寺に突き出すような体勢を取らされる。
グイと下着が引き降ろされ、白い双丘が露になった。
「あ…」
ツナは羞恥に思わず震える。
洗いかけの食器が目に入って、ここが台所だった事を思い出した。
俺、こんなとこで、こんな格好で、こんな事してる……恥かしい…
しかし、熱い塊が後ろから押し当てられて、ツナの思考は真っ白になった。
もう、獄寺隼人の与えてくれる熱の事しか考えられない。
「10代目…入れますよ…」
「う、うん、来て……早く…!」
獄寺は反り返ったものを、手で押さえて入口にあてがい、腰を進める。
「あっ!」
入れただけで感じたツナが背を反らせる。
ゆっくり根元まで突き入れると、獄寺はツナの背中に覆いかぶさって抱きしめた。
汗の浮かぶほんのり桃色に染まった首筋に吸い付き、耳たぶを甘噛みする。
「ああっ!」
「10代目…」
うっとりと名前を呼びながら、抽送を開始する。
「はっ、はあ…はあ…あああっ……」
抜けるギリギリまで引いて、また深く突き挿す。
グチュグチュと卑猥な音がたてながら、何度も出入りが繰り返される。
「あふっ……ふ…はあ…ああっ…獄寺くうんっ…」
「10代目、10代目…!」
「ひあっ…!!あ〜っ!!」
奥を突き上げると、切なげな喘ぎ声が悲鳴に近くなった。
更に自分から突き出すようにツナの腰が動く。
腰を掴んで、感じるところを責めるように動くと、中が緩やかに痙攣し始め、獄寺を締め付けた。
「ああっ!…ごくでらく…!あっ…ああっああっ!」
「…っ、じゅうだいめ…!」
締め付けに耐えながら、腰の動きを早くする。
「ああああ―――っ!」
背中を仰け反らせ、高い叫び声をあげると、ツナの体がぶるぶると震え、硬直した。
「あうっ……!!」
「くう…っ!」
ぎゅうぎゅうと絞りあげるように刺激され、獄寺は、ビクビクと収縮を繰り返すツナの中に射精した。
***
くったりと力の抜けた体をソファに横たわらせたツナは、テーブルの上に置かれた紙袋に気付いた。
「獄寺君、それ何?」
「あ、これですか」
獄寺は紙袋を手に取ると、中身を出して見せた。
「レジの傍で売ってたんで、つい」
それは、何種類かの手持ち用のものが入った、家族用の花火の詰め合わせだった。
「晩飯食ったら、庭でやりませんか?」
「うん、やろっか」
二人はにっこりと微笑みあった。
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