della Tempesta




晴れあがった空にはためく洗濯物たち。

洗剤のCMみたいだな〜とツナは思った。
ここ何日か雨が続いて、全然洗濯が出来なかった。
それが今日は朝起きると今までの天気が嘘のような晴天で、ツナにしては張り切って洗濯に取り組んだのだった。

白いシーツと青い空のコントラストはなかなかに見事で、吹く風は爽やか。
ちょっとツナは楽しくなっていた。
シャツをハンガーにかけながら、自然と鼻歌もこぼれてきて、「母さんはこんな気分だったのかな」と思い出す。
思い出しても、そんなに辛くは感じなかった。

今出来ることをしよう、ツナはある意味開き直っていた。

リボーンから連絡は無いし、獄寺とも、その後進展は無い。
それでも日々は静かに淡々と流れていく。
それならそれでいい、元々、俺は平穏無事に暮らしたかったんだから。

洗った洗濯物を入れた篭から、黒地にドクロがプリントされたシャツを取りあげ、パンとはたく。

君がこのままがいいって言うなら、俺もそれで…

胸の片隅にささったままの棘を感じながら、ツナはある意味諦めていた。



「沢田さーん!」

最後の洗濯物を籠から拾いあげた時、獄寺がやってきた。

「あ、おはよう獄寺君」

「すいません!俺寝坊しちまって……!」

「いいよ、獄寺君いつも早起きだから、たまにはいいじゃん。これ干したら終りだから、そしたら朝ごはんにしよ」

「あっ!?すっ、すいませんっ!!俺の分まで洗濯………って、うわ━━━━っっ!!?じゅ、じゅーだいめ、何をっ!?」

「へ?」

ツナは改めて自分の手にしている紺のトランクスに目をやった。
獄寺は慌ててツナの手から、それをひったくった。

「い、いけません10代目!こ、こんなもんまでっ!」

「え、あー嫌だった?ごめん」

耳まで真っ赤になった獄寺に、ツナは内心「獄寺君て純情だなー」と思った。

「い、嫌というかですね……ダメです、沢田さん、あなたがこんな事しちゃ」

「ちょ、何言ってんの?家事は分担するって決めたじゃんか!?」

「そ、そうですけど…けじめはつけなきゃいけないんです!俺はあなたの部下なんですから」

「何だよ…」

ツナはムッとした。せっかくちょっと楽しかったのに…。

「わかったよ。もうしない」

空になった洗濯籠を獄寺に押し付けるとツナは獄寺に背を向けて屋敷に向かった。

「沢田さん」

その背に獄寺が声をかける。

「何…?」

「その、言いにくいんですが…」

「何だよもう!言いたいことあるなら、はっきり言いなよ!」

「天気予報ですと、今日、晴れてるのは朝の内だけで、昼前には雷雨になるそうです……」

「え━━━━━━━━!?」




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