「っ……きゃあああぁっ!!」
服を、着ていない。
目覚めてからの展開があまりに急だったため、今までそんなことにも気付かなかったのだ。
正確には下着と靴下は身につけたままであるが、ごく普通の少女にとっては充分過ぎるほどに恥ずかしい格好である。
「あ、やっぱり気付いてなかったんだ」
「服っ…」
そう一言発するのが精一杯だった。
「そんなに恥ずかしい?それじゃあもっともーっと、恥ずかしい目に遭わせてあげるね」
「っ!?…ひどいよ…なんで、こんな……」
「まだ分からないの?」
半泣きで抗議する美奈に、有紀は畳み掛けるように宣告する。
「男の子がゲンメツしちゃうような、えっちで変態な子にしてあげるって事だよ」
おへそに置かれた指が僅かに下に移動し、下着のゴムをなぞった。
「ゃ…やだ、そんなの……帰るっ…!」
ようやく危険を察した美奈は身を起こそうと試みたが、四肢は全くといっていい程に動かなかった。
あらためて見れば両の手首足首にはベルトのような物が巻き付けてあり、
そこから伸びた太いワイヤーはベットの四隅に固定されていた。
これでは非力な美奈でなくとも身動きが取れないだろう。
「暴れようとしても無駄だから。さーて、どうしてあげよっかなぁ……なんてね。どうするかはもう決まってるんだ」
有紀は怪しげな笑みを浮かべ、両手を美奈の上半身に伸ばした。
「やっ…!」
胸を触られるのだと直感した美奈は、身を固くして目をぎゅっと閉じる。
――が、その予感は外れだった。
有紀の指先は胸を無視し、むきだしの両腋に触れたのである。

こちょこちょこちょ……

「ぁひっ!?」
予感外の刺激に目を見開き、美奈は悲鳴をあげた。
「知ってるんだよ。美奈ちゃんってすぐ泣くんだよね」
告白の一件が過ぎた翌日、有紀は徹底的に美奈のことを調べたのだ。
そして分かった事実の一つが、彼女がかなりの泣き虫だということである。
「泣き虫さんにはぴったりでしょ?美奈ちゃんはね、くすぐられるのが大好きな変態さんになるんだよ」
話している間も指の動きは止まらない。
「あはははっ!くすぐった、だめっ……ははははぁっ!!」
美奈には有紀の言葉の意味がまるで理解できなかった。
虐めとしてならともかく、無理矢理笑わされてくすぐられるのが好きになるはずがない…そうとしか思えなかった。
「はい、ストップー」
唐突にくすぐりが中断され、美奈は大きく息をついた。
「っ…はぁ……ゆ…弓塚さん。こんなの、もうやめてよ…」
「まだ分かってないの?美奈ちゃんは私に命令できる立場じゃないんだよ……一回イかせてあげないと理解できないのかな?」
「ひぁっ!」
美奈の胸に強烈な刺激が走った。
有紀の指が、ソフトブラ越しにその乳首を弾いたのである。
「これ、気持ちいい?こうされる方がいい?」
発展途上の胸が無遠慮にまさぐられ、その頂点の蕾までもが悪戯される。
その堪え難い感覚に、思わず体が跳ねる。
「っ……やめっ…」
「感じてるくせに。それじゃあこっちはどう?」
次に攻撃対象にされたのは、ショーツに隠された秘部であった。
すっ――と割れ目をなぞられ、全身がぞくりと震える。
「やっぱり。美奈ちゃん、一人でえっちな事してるでしょ?」
「っっ!?」
「それくらい分かるよ、イタズラするのは美奈ちゃんが初めてじゃないんだから。
美奈ちゃんは意外とやらしいんだなぁ〜」
無遠慮かつ図星を突いてくる言葉に、美奈の瞳には既に涙が浮かんでいた。
しかし興奮している有紀にとっては、それも加虐心を煽る材料にしかならない。
「たーっぷり時間をかけて教えてあげる。くすぐったいのってね、すっごく気持ちいいんだって…」
指は再び腋の下へと戻り、今度はゆっくりとそこをくすぐり始めた。
「ぁは…っく……ぅ……」
「ね?えっちな事された時と、同じ感じするでしょ?」
有紀の指先は、我慢できるギリギリのくすぐったさを与えていた。
あくまで丁寧に、美奈の腋を優しくひっかく。
その体の内側が疼くようなもどかしさに、美奈の口から悩ましげな吐息が洩れる。
(言われてみれば、似てなくも……ないような…)
「っ…!?」
一瞬浮かんだその考えを、美奈は必死に打ち消した。
それを認めてしまったら、もう抗えなくなってしまう。
その気持ちを見透かしたかのように、有紀は声をかける。
「今、ちょっと気持ちいいって思ったでしょ」
「お、思ってない…」
「嘘つかなくていいって。体が慣れてくるとね、くすぐったさがそのまま気持ち良さになるんだよ。
そうなったらもう、くすぐり無しじゃいられなくなっちゃうからね」
敢えて単調な軽いくすぐったさを与え続け、体にそれを受け入れさせる。それが狙いだった。
美奈は今更ながら、有紀のこの責め方の恐ろしさを思い知った。
「これも邪魔だね。取っちゃうよ」
有紀は当たり前のように、美奈のブラを剥ぎとる。
「ぁ……」
胸がさらけ出された羞恥に、更に顔が赤く染まる。
その乳首は既にツンと立ち、その存在を主張していた。
「なーんだ。乳首立てちゃって、もう準備はいいみたいだね」
有紀はいったんベッドから立ち上がり、腕組みをして美奈の全身を眺めた。
緊張と羞恥に彩られた顔。そして紅潮し汗ばんだ体が、有紀の気持ちを昂ぶらせる。
「いい事思いついちゃった」
有紀はぽつりと呟いた。
「美奈ちゃんを『ここをくすぐられないとイけない!』っていう、とびっきりの変態さんにするよ」
それを聞き、美奈は怯えといっていい表情を浮かべた。
「やっ……許して…」
もはや暴れる気力はなかった。自分は確かに一瞬だけ、くすぐったさを性感として受け入れてしまったのだから。
「ど、こ、に、し、よ、う、か、な……」
腋、足、おへそ、鎖骨……有紀は数々のポイントを指差し、ターゲットとする場所を吟味する。
「て、ん、の、か、み、さ、ま、の、い、う、と、お、り、っと」


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