今度は互いに立ったままがっぷりよつに手を組み合い、お互いに相手を倒そうと手に力をこめる。 「ううぅ〜!」 「ふぅっ…!」 この単純な力くらべでは、加奈が目に見えて優勢だった。 (いける…!) 加奈は身長差を利用して上から体重をかける。 それでも、今度の攻撃も失敗に終わった。 「あっ!」 パシッ!とお留守になっていた足を払われ、加奈は両膝をついてしまう。 早苗は前屈みにぐらついた加奈の背中に手を置き、力を加えてマットに潰した。 またもや俯せになった加奈は慌てて起きあがろうとするが、それは早苗が許さない。 早苗はマットに腰を降ろすと、四つん這いの加奈の首に細い両足を巻きつけた。 「ちょっと早いけど…これでおしまいかな?」 加奈は頭をふとももで挟まれ、首をきゅっと絞めあげられる。 「う……ぐぅっ…」 「無理無理、外れないよー。足の力って、手の三倍くらいあるんだから」 完全に息ができない程ではないが、早苗のお腹に顔を埋めていることもあってかなり苦しい。 加奈は首を絞めている足を両手で掴むが、早苗の言う通りでビクともしなかった。 「は……はっ…」 酸素が足りず、だんだん頭がぼんやりとしてくる。 頑張って鼻からスーーっと息を吸い込むと、僅かに早苗の汗の匂いが感じられた。 「もう耐えられないっぽいね。っていうか、作戦とか言ってたっけ…ホントにあったの?」 体勢的に早苗の顔を見ることはできないが、彼女がクスクス笑っているのが分かる。